じょう)” の例文
旧字:
さびしいいえのようすをると、もない三じょうに、子供こどもは、ひとりでねているのでした。きよは、かわいそうになりました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは丸太まるたんで出来できた、やっと雨露うろしのぐだけの、きわめてざっとした破屋あばらやで、ひろさはたたみならば二十じょうけるくらいでございましょう。
左に六じょうばかりの休息所がある。向うが破襖やれぶすまで、その中が、何畳か、仁右衛門堂守のる処。勝手口は裏にあって、台所もついて、井戸いどもある。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほかに六じょう二間ふたま台所だいどころつき二じょう一間ひとまある。これで家賃やちんが十円とは、おどろくほど家賃も高くなったものだ。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
たたみじょうもある巨大な口の、まっかなくちびるのあいだから、牙のような二本の歯が、ニューッとのぞいていました。
妖人ゴング (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかも菊之丞きくのじょうの冷たいむくろを安置あんちした八じょうには、妻女さいじょのおむらさえれないおせんがただ一人ひとりくびれたまま、黙然もくねんひざうえ見詰みつめていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
光一の家へゆくとすでに五、六人の友達がきていた、その中には医者の子の手塚もいた、光一の家は雑貨店であるが光一の書斎しょさいははなれの六じょうであった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
銀蠅ぎんばえの飛びまわる四じょう部屋へやは風も通らず、ジーンと音がするように蒸し暑かった。種吉が氷いちごを提箱さげばこに入れて持ち帰り、皆は黙々もくもくとそれをすすった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
というのは、十じょうの部屋に大火鉢一つと六人分の机とをすえ、そこに六人分の夜具を都合よくのべるのには、かなりの工夫と協力を必要としたからである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかし、八じょうを二つぶっとおした部屋に、さわやかな風はみちわたり、はだにこころよくしみとおるようだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
玄関げんかんの出入口と書いてある硝子戸ガラスどを引くと寄宿舎のように長い廊下ろうかが一本横につらぬいていて、それに並行へいこうして、六じょうの部屋が三ツ、鳥の箱のように並んでいる。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
やはり、甲館こうかんほりのうちで、躑躅つつじさき殿でんのうちの桜雲台おううんだいじょうじき広間ひろまの東につづいてってある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くついで上がると、お座敷ざしきがあきましたからと下女が二階へ案内をした。十五じょうの表二階で大きなとこがついている。おれは生れてからまだこんな立派な座敷へはいった事はない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
清兵衛は、この金を頂戴ちょうだいすると、第一に新しいうまやを建てた。そして、自分のすむ家は、屋根がやぶれて雨もりがするので、新築のうまやのすみに、三じょうきばかりの部屋へやを作らせて
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
次の日六兵衛は、生まれてから一度も手を通したことのない礼服れいふくをきせられ、お城に参上さんじょうしました。百じょうじきもある大広間には、たくさんの家来けらいがきら星のようにずらりと居流いながれています。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
畳一じょうがた日のさしこむ茶の間の六畳で二人は朝餉あさげぜんに向かった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
わたくしいそいでいわからりてそこへってると、あんたがわず巌山いわやまそこに八じょうじきほどの洞窟どうくつ天然てんねん自然しぜん出来できり、そして其所そこには御神体ごしんたいをはじめ
表二階おもてにかいの、狭い三じょうばかりの座敷に通されたが、案内したものの顔も、つとほのめくばかり、目口めくちも見えず、う暗い。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
東の六じょうに始め、千穂子たちは寝ていたのだけれども、朝晩の寝床ねどこのあげおろしに時間がとれるので、いつの間にか、千穂子達は万年床のままで置くにふさわしい
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
階下の六じょう二間を先生の書斎と茶の間兼食堂に、二階の四畳半を次郎の部屋にあて、夫人の手で簡素かんそながらも一通りの装飾そうしょくまで終わったころになって、先生は、ある夕方
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
たたみ一じょうじきもあるような大きな手で、えぐりとられているところが、二つも三つもある。
天空の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこは四面三十七けん、百二十じょうとうむしろをしき、黒く太やかな円柱えんちゅう左右に十本ずつの大殿堂。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じょうのへやには、すみのほう吉雄よしおつくえいてあって、そこへとこいたので、病人びょうにんのまくらもとには、くすりびんや、洗面器せんめんきや、湯気ゆげたせる、火鉢ひばちなどがあってあしのふみもないのです。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
じょうに六じょうの二は、せまいようでも道具どうぐがないので、ひと住居ずまいにはひろかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二人が着いたころには、人数にんずももう大概たいがいそろって、五十じょうの広間に二つ三つ人間のかたまりが出来ている。五十畳だけにとこは素敵に大きい。おれが山城屋で占領せんりょうした十五畳敷の床とは比較にならない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
へやは十じょうばかりの青畳あおだたみきつめた日本間にほんまでございましたが、さりとて日本風にほんふう白木造しらきづくりでもありませぬ。
縁側には、七輪や、馬穴バケツや、ゆきひらや、あわび植木鉢うえきばちや、座敷ざしきは六じょうで、押入れもなければとこもない。これが私達三人の落ちついた二階借りの部屋の風景である。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
おやと、燕作がびっくりしているに、さらに、二じょうじきほどな床板ゆかいたをはねあげると、えんの下は四角な井戸のように掘り下げられてあった。顔をだすと、つめたい風がふきあげてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とこの八じょうで応じたのは三十ばかりの品のいい男で、こんの勝った糸織いとおり大名縞だいみょうじまあわせに、浴衣ゆかたかさねたは、今しがた湯から上ったので、それなりではちとうすら寒し、着換きかえるも面倒めんどうなりで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その六じょう行燈あんどんしたに、つくえうえからされたのであろう、こし付根つけねからしただけを、いくつともなくいた紙片しへんが、十まいちかくもちらばったのを、ときおりじろりじろりとにらみながら、薬罐やかん湯気ゆげ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
じょうに四畳半、それに玄関げんかんと便所とがついているきりだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
部屋の中に空箱あきばこのように風が沁みて行ったが、生きている喜びも何も感じられないほど、すべてが貧弱なもので、二じょうと八畳きりの座敷の中には、この僕一人が道具らしい存在だ。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
勝手に帰つて御覧なさいと、も軽蔑をしたやうに、あは、あは笑ふと両方のえんへふたつに別れて、二人の其の侍女こしもとが、廊下づたひに引込むと、あとはがらんとして畳数たたみかず十五じょうも敷けようといふ
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)