片腕かたうで)” の例文
なかには片腕かたうでられ、また両脚りょうあし切断せつだんされて不具者ふぐしゃになっているのもあります。そして今夜こんやにもにそうなおも病人びょうにんもありました。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
げ、ばうり、ステツキはしなどして、わあわつとこゑげたが、うちに、一人ひとりくさおちをんな片腕かたうでたものがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
良人おつとそしるはみませぬほどになにひませぬ、せき立派りつぱ良人おつとつたのでおとゝためにも片腕かたうで、あゝ安心あんしんなとよろこんでくださればわたしなにおもこと御座ござんせぬ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ッつ斬られつした血汐ちしおやりの折れや、なまなましい片腕かたうでなどがゆくところに目をそむけさせる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいちやんは仕方しかたなく片方かたはうひぢもたれ、片方かたはううであたましたいてよこになりましたが、それでも寸々ずん/″\びてつて、一ばんしまひには、あいちやんは片腕かたうでまどそと突出つきだ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
話しかけた若い女は、四角い包みを胸にかかえこむようにしながら、おじいさんの、むき出しのまま片腕かたうでにひっかけている粗末そまつなランドセルに、親しいまなざしをおくり
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
なほちからをつくしてほりけるに真白ましろなる雪のなかにそめたる雪にほりあて、すはやとてなほほり入れしに片腕かたうでちぎれてくびなき死骸しがいをほりいだし、やがてかひなはいでたれども首はいでず。
わたくしいまときならぬ輕氣球けいきゝゆうこの印度洋上インドやうじやうみとめ、ことその乘組人のりくみにん一人ひとり櫻木大佐さくらぎたいさ片腕かたうではれた武村兵曹たけむらへいそうであつたのでかんがへると、いま孤島こたう櫻木君さくらぎくん身邊しんぺんには、なに非常ひじやう異變ゐへんおこつて
童子どうじ斷落きりおとされしわが片腕かたうでをも
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたしは、片腕かたうでをなくなしました。はたらくにもはたらきようがありません。どうぞ、おめぐみください。」と、うったえました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昨夜ゆふべつてつた彫像てうざうのまゝ突返つゝかへされて、のめ/\とかついでかへつたんです。しか片腕かたうでもぎつてある、あのさいたせたが。……あゝ、わたし五躰ごたいしびれる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五十けんによき得意塲とくいばもちたりとも、内證ないしようくるま商賣しようばいものゝほかなればせんなく、十三になれば片腕かたうで一昨年おとゝしより並木なみき活版所かつぱんじよへもかよひしが、怠惰なまけものなれば十日とうか辛棒しんぼうつゞかず
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
手ばやく上半身をきはじめると、オオ、その時だ! れんげの花へピタリとからだをせて、へびのようにスルリ、スルリ……とはってきた異形いぎょうの武士が、寝たまま片腕かたうでをズーッとばして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むら源吉げんきちさんもシベリア戦役せんえきにいって、片腕かたうでをもがれたのだった。あの時分じぶん自分じぶんはまだ子供こどもだったので、源吉げんきちさんが不具かたわになってかえってくると、おそろしがったものだ。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あらためてしるしせう、……前刻さきにまをした、鮫膚さめはだ縮毛ちゞれけの、みにくきたない、木像もくざうを、仔細しさいありげによそほふた、心根こゝろねのほどの苦々にが/\しさに、へしつて捻切ねぢきつた、をんな片腕かたうでいまかへすわ、受取うけとれ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長吉ちやうきち野郎やらう片腕かたうでがなくなるものふに、何故なぜどうして片腕かたうでがなくなるのだ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしはこれから内職ないしよくなりなんなりして亥之助いのすけ片腕かたうでにもなられるやうこゝろがけますほどに、一生いつしやう一人ひとりいてくださりませとわつとこゑたてるをかみしめる襦袢じゆばんそで墨繪すみゑたけ紫竹しちくいろにやいづるとあはれなり。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)