)” の例文
これは、簡単にいえば、流星の状態になっている期間であるが、この間機体はにぶい赤色に見える程度まで、けているわけである。
宇宙旅行の科学 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
よ、愚劣ぐれつな×(2)に対してこぶし子供こどもらを、かほをそむけてのゝしをんなたちを、無言むごんのまゝ反抗はんこう視線しせんれつきつけるをとこたちを!
硫黄いおうを燃せばちょっとのくるっとするようなむらさきいろの焔をあげる。それからどうくときは孔雀石くじゃくいしのような明るい青い火をつくる。
同じところに永く入れて置くと、たとい洋服だの襯衣シャツだのをとおしてでも、ラジウムの近くにある皮膚にラジウムけをしょうずるからだ。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女たちが示した嬌態きょうたいや叫び声の強烈な印象が、眼にも耳にもなまなましくきついていて、それが神経をかき乱し、血をわきたたせた。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
けれどもそれはつい二三週間前までのやうなただれた真赤な空ではなかつた。底には快く快活な黄色をかくしてうはべだけがくれなゐであつた。
茎を折つても、水気ひとつ出るではなし、線香のやうに乾いた髄を通して、生命が呼吸してゐるのはこの花です。砂の夢。けつく石の夢。
石竹 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
けれどもそれはつい二、三週間前までのようなただれた真赤な空ではなかった。底には深く快活な黄色をかくしてうわべだけが紅であった。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
嘗て、青春の夢にとりつかれ、放浪と漂泊の情熱に全身をかれたとき、つねに、その若々しい志は、はるか支那の天地につながれていた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
すると、けるような各人の希望は、ただれるように苦しく、ぐッとみこまれる。彼らは自分の気持を待つ身に宿命づける。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
飯盛おろしに吹き流される雲が、枯草が、蕭条しょうじょうとして彼等の網膜に写し出され、捉える事の出来ない絶望感が全身的にきついて来たのであろう。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
また「秋の歌」のうちで「白くくる夏を惜しみつつ、黄にやわらかき秋の光を味わわしめよ」といって人生の秋の黄色い淡い憂愁ゆうしゅうを描いている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
私が一心に視詰みつめていると、彼女の肌に燃える光りはいよいよ明るさを増して来る、時には私のまゆきそうに迫って来る。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
けつくような豆太郎の視線を受けて、われにもなくどきりとした弥生が、ゆらりと草間に立って忙しく襟を掻き合わせると、こんどは豆太郎
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
遠目には違いないが、うなだれたあの若い女が、しょんぼりと靴先でくりかえし道に線を引いていた姿が、彼の目にきついたように残っていた。
待っている女 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
きつくような情慾に飢えていた青年時代に、こうした雰囲気的享楽の茶屋遊びが、無意味に思われたのは当然だった。
老年と人生 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
地獄の釜のふたがあくという盂蘭盆の十六日は朝から晴れて、八ツ(午後二時)ごろの日ざかりはけるように暑かった。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼は、床をよぎつて私の腕を捉へ、私の胴を掴んだ。彼はその燃えるやうな眼で私をき盡くさうとするやうに見えた。
倒るるごとくにみちこしかけりて、くがごとく熱し、つちにて打たるるごとく響くかしら榻背とうはいに持たせ、死したるごときさまにて幾時いくときをか過しけん。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その後、妻が家に戻って来て、療養生活をつづけるようになってからも、烈しく突き離されたものと美しくきつけられたものが、いつもうずいていた。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
大利根からうごきだした北条勢の一部が、きつくような三伏の道を、蛇形だぎょうになって、安中城の方へいそいでいた。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
砂地のけつくようなの直射や、木蔭こかげ微風びふうのそよぎや、氾濫はんらんのあとのどろのにおいや、繁華はんか大通おおどおりを行交う白衣の人々の姿や、沐浴もくよくのあとの香油こうゆにおい
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
『日本紀』一に伊弉冊尊いざなみのみこと火神を生む時かれてみまかりましぬ、紀伊国熊野の有馬村に葬る。『古事記』には火之迦具土神ひのかぐつちのかみを生ますに御陰みほとかれて崩りましぬ。
あかい髪をし、おおどかな御顔だけすっかりこうにおけになって、右手を胸のあたりにもちあげて軽く印を結ばれながら、すこし伏せ目にこちらを見下ろされ
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
昼飯を終えるころから、日は高い鉄格子てつごうしの窓を通して流れ込み、コンクリートの壁をじりじりといた。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
「ああ苦しい! タチバナ、ひどい物を俺に飲ませてくれた! 苦しい! 胸がけ付くように苦しい!」
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
だが、房一の印象は強く皆の頭にきつけられた。何かしらいどむやうな、たゝかな足どり、——だが、それは表面筋が通つてゐて誹難することはできなかつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
銃口から突然烈しい光箭こうせんがほとばしって、その瞬間宇治は左胸部にけつくような熱い衝撃を感じた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
わたしは新しい別の世界、いっさいが変わっているところに生まれて来たと思ったのです。恐ろしい苦悩が赤くけたはさみをもって、わたしの心臓を苦しめ始めました。
きつける太陽でその岩は、手を当てるとヤケドしそうなくらいな熱さだった。そんな岩にくっついている貝も、こう照りつけられてはたまったもんじゃないと思う。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
皇子のお顔はその火の熱でけるやうに赤くなりました。皇子はお傍の人達の名をいろ/\お呼びになりましたが、あたりの音が騒がしいのに消されてよく聞えません。
拾うた冠 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
雲一つない空からぎらつく太陽が照りつければ、きつく大地に風一つなく草の葉一枚もそよがぬ日、山ぞいの藪の中に入ると裸になって大の字に寝ころんだのである。
ことに、あれほど彼の網膜にきついた映像に見誤りがあるはずはない。なによりもその「異様に長い黒の外套がいとう」が眼印めじるしとなって、パッカアは一眼でそれと判別した。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ごんごん胡麻ごまは老婆の蓬髪ほうはつのようになってしまい、霜に美しくけた桜の最後の葉がなくなり、けやきが風にかさかさ身を震わすごとに隠れていた風景の部分が現われて来た。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
トスカニーニの如くきつくような表現を与えたものは、確かに比類がないと言ってよかった。
併しまだ気の落ち着かぬうちにくやうな痛がし出して、たら/\流れる血の温みを覚えた。セルギウスは血の滴る指の切口を法衣の裾に巻いて、手をしつかり腰に押し付けた。
吾平爺がその翌日、警察から釈放されてきたときには、荷車の上の野菜は残暑のかれてすっかりしおれていた。爺はしかし、それをそのまま捨ててしまう気にはなれなかった。
或る嬰児殺しの動機 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
我はみづから面のくが如く目の血走りたるを覺えて、きれ鹹水しほみづひたして額の上に加へ、又水をわたり來る汐風しほかぜすこしをも失はじと、衣のボタン鬆開しようかいせり。されど到る處皆火なるを奈何いかにせん。
悠々、空を埋める恒星の大群、蜿蜒えんえん、天を貫く銀河の長流は、宇宙外の宇宙、超銀河系の星雲まで加えて、われらの葉尖きを、ただらさんばかり、火花を散らして、きしりめぐる……。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
それからあらゆる智慧と経験に照らして土間にころがつてゐた地金の屑をかき集め、き、打ち、又焼き又叩き、虹蓋の秘伝を自ら編み出さうと夜の目も寝ずに苦心に苦心を重ねたが、どう工夫し
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
宗乗の誤謬をただすべく、火にかれる迄も正理を標榜した鼻がありました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
けただれた匕首あいくちがわたしの心臓に突き透るように感じる時もあった。
雪之丞つつましやかに、江戸前の遊芸を眺めているふりをしていたが、その胸のうちは、まるで、烈風にあおられる火炎のように渦まき乱れていた。呪いのほむらは、魂をこがし、あおりたてた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
石炭で真っ赤にけている炉の中へ投げ込むと、敵がじゅじゅっと云って縮くれあがり、やがての果てにはふんわりした、雪のように白い一片の灰に化してしまうまで、彼は長いこと見守っていた。
惡太郎共に紙や色鉛筆の賄賂わいろを使うて阿諛へつらふやうな不憫ふびんな眞似もするだらうがなどと子供の上に必定ひつじやう起らずにはすまされない種々の場合の悲劇を想像して、圭一郎は身をかれるやうな思ひをした。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
事実それは、もし現代いまの世に、妖術というものが実現されたときのような状態であった。頭が重く、顳顬こめかみの辺がけるようにうずいて、左枝には、花瓶の柔皮花の匂いもいっこうに感ぜられなかった。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
水は夏の夕映の空をうつしてけた緑色に展びています。風が吹くと川の中に立つ人の袂がはためきます。すると立つ人の無雑作な姿は煙りっぽい影と共に水の表面を歩いて行くようにも見えます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
万一、見知る者があってはと存じ、かおを少々くことに致しました
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
きつくす口火みじかしひた駈けにぜて碎けて果てぬべき兵
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
陽にけた顔も骨っぽく、身体もがっしりしている。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)