剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ああ云う大切な、一筆は、前もって考えられて居たか、右の巻雲を、濃く重く濛々と描いたなごりの力が、さっと一筆彼の処をかすったか。
日記:10 一九二四年(大正十三年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
雪中行:小樽より釧路まで (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
谷間という谷間には濛々たる霧がたちこめていた。そして、悪霊のように、安息を求めて得られずに、寄るべなく丘の上へさまよい上っていた。
二都物語:01 上巻 (新字新仮名) / チャールズ・ディケンズ(著)
銭形平次捕物控:064 九百九十両 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
濛々たる灰煙の降りそそぐのに窒息を感じていたが、三人の湯がばかに長いのを思い出して、心配のあまり、様子をうかがいに来て見るとこの有様で
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何が私をこうさせたか:――獄中手記―― (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そして誰かがひょっと見たら、二人とも、部屋じゅうに濛々と立ちこめた煙草のけむりがくるくると渦巻くのに、すっかり心を奪われているように見えたかもしれない。
盗まれた手紙 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
新島先生を憶う:二十回忌に際して (新字新仮名) / 大隈重信(著)
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より (新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)