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柏
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かしわ
ふりがな文庫
“
柏
(
かしわ
)” の例文
それから鉄砲打ちが何か云ったら、『なんだ、
柏
(
かしわ
)
の木の皮もまぜておいた
癖
(
くせ
)
に、一俵二
両
(
テール
)
だなんて、あんまり無法なことを云うな。』
毒もみのすきな署長さん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
橘
(
たちばな
)
と
榊
(
さかき
)
の
植
(
うわ
)
った庭園の
白洲
(
しらす
)
を包んで、
篝火
(
かがりび
)
が赤々と燃え上ると、不弥の宮人たちは各々手に数枚の
柏
(
かしわ
)
の葉を持って白洲の中へ集って来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
そこで皇后樣が非常に恨み、お怒りになつて、御船に載せた
柏
(
かしわ
)
の葉を悉く海に投げ棄てられました。それで其處を
御津
(
みつ
)
の埼と言うのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼の不安は、
山毛欅
(
ぶな
)
へ、
柏
(
かしわ
)
へ、マロニエへと移って行き、やがて、庭じゅうの樹という樹が、互いに、手まね身ぶりで
囁
(
ささや
)
き合う。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ところが、坂の七合目あたりに、崖の横から出ている
椋
(
むく
)
か
柏
(
かしわ
)
の木か、何しろ喬木の一枝が、わざと道の邪魔しているように横へ出ていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
ムルデの河波は窓の
直下
(
ました
)
のいしづゑを洗ひて、むかひの岸の草むらは緑まだあせず。そのうしろなる
柏
(
かしわ
)
の林にゆふ
靄
(
もや
)
かかれり。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
座敷の父とむすこに対して台所の母と嫁を出した並行であり、碁石打つ手と
柏
(
かしわ
)
の葉を並べる手がオーバーラップするのである。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
太古は食べ物を
柏
(
かしわ
)
の葉に載せて食ったということであるが、すでに柏の葉に載せたことが食器の必要を如実に物語っている。
料理と食器
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
村から少し離れた山のふもとに、松や
柏
(
かしわ
)
やくぬぎや
椎
(
しい
)
などの
雑木林
(
ぞうきばやし
)
がありました。秋のことで、
枯枝
(
かれえだ
)
や
落葉
(
おちば
)
などがたくさん積もっていました。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
彼はこの寂しさに悩まされると、しばしば山腹に枝を張った、高い
柏
(
かしわ
)
の
梢
(
こずえ
)
に上って、遥か目の下の谷間の景色にぼんやりと眺め入る事があった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下りられねえって
何
(
ど
)
うかして下りられるだろう、待ちねえあの杉だか松だか
柏
(
かしわ
)
だかの根方に成って居る
処
(
とこ
)
に
藤蔓
(
ふじつる
)
に
蔦
(
つた
)
や何か縄の様になってあるから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あなたも顔ぐらい見ている筈よ、名はおすげ、年はたしか二十三だったわ」と
柏
(
かしわ
)
屋の女中のはつが云った
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
倶胝
(
ぐてい
)
和尚は指を
竪
(
た
)
て、
趙州
(
じょうしゅう
)
和尚は
柏
(
かしわ
)
の樹を指さしたということだから、慢心和尚がああして幽霊のような手つきをして、自分の円い頭を辷らしているところに
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三十有余人を
一家
(
いっけ
)
に
籠
(
こ
)
めて、信州、
飛騨
(
ひだ
)
、
越後路
(
えちごじ
)
、甲州筋、諸国の深山
幽谷
(
ゆうこく
)
の鬼を驚かし、魔を
劫
(
おびや
)
かして、谷川へ
伐出
(
きりだ
)
す杉
檜
(
ひのき
)
松
柏
(
かしわ
)
を八方より積込ませ、
漕入
(
こぎい
)
れさせ
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土佐の西南端の
柏
(
かしわ
)
島、沖の島へも行き、また土佐の西の岬と称する足摺岬(
蹉跎
(
さだ
)
の岬)へも行った。
若き日の思い出
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
秋の光を送る風が騒しく吹渡ると、草は黄な波を打って、動き
靡
(
なび
)
いて、
柏
(
かしわ
)
の葉もうらがえりました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
というので、私も好奇心につられて、
直
(
すぐ
)
に行ってみると、それは花園橋
側
(
わき
)
の材木置場のすぐ
傍
(
そば
)
にある、
一寸
(
ちょっと
)
太い
柏
(
かしわ
)
の木なので、
蔓下
(
つるさが
)
ってるのは五十ばかりの老人であった。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
東京などでも三月に
室
(
むろ
)
咲きの桃の花を求めて、雛祭りをするのをわびしいと思う者がある。去年の
柏
(
かしわ
)
の葉を塩漬にしておかぬと、
端午
(
たんご
)
の
節供
(
せっく
)
というのに
柏餅
(
かしわもち
)
は食べられぬ。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ヴォージラールの墓地はものさびた場所で、フランス式の古い庭園のようなふうに木が植わっていた。まっすぐな道、黄楊樹、
柏
(
かしわ
)
、
柊
(
ひいらぎ
)
、
水松
(
いちい
)
の古木の下の古墳、高い雑草。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
女は約束の時間を
違
(
たが
)
えず来た。
三
(
み
)
つ
柏
(
かしわ
)
の
紋
(
もん
)
のついた
派出
(
はで
)
な色の
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織を着ているのが、一番先に私の眼に映った。女は私の書いたものをたいてい読んでいるらしかった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
定明の北のやかたは庭をよぎり、松と
柏
(
かしわ
)
とにかこまれていて、夜は仕えの者も遠ざかって、ただ一人の唖の
翁
(
おきな
)
がやかたの外部屋に寝泊りしているだけで、誰も往き来はしない。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
柏
(
かしわ
)
の木と
楓
(
かえで
)
が若々しい色をして枝を差しかわして立っているのを指さして、大将は女房に
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
雨に
叩
(
たた
)
き落された
柏
(
かしわ
)
や何かの大きな枯葉が、ところどころべつたり敷石に
貼
(
は
)
りついてゐて
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
すると中村座の初日の二日前の夜、其の幽霊が蔦芳の
臥
(
ね
)
ている部屋へぬうと現れた。蔦芳はしめたと思って
能
(
よ
)
く見た。二十四五の壮い男で、
衣服
(
きもの
)
は
浅黄木綿
(
あさぎもめん
)
の三つ
柏
(
かしわ
)
の
単衣
(
ひとえ
)
であった。
幽霊の衣裳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この
藪地
(
ジャングル
)
は四方十里、それほどにも渡る広大なもので、沼あり河あり丘あり谷あり、それを蔽うて松、杉、
柏
(
かしわ
)
、
桧
(
ひのき
)
、からまつ、
櫟
(
くぬぎ
)
、
栗
(
くり
)
、
白楊
(
しろやなぎ
)
などの喬木類が、昼は日光、夜は月光を
遮
(
さえぎ
)
り
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ラビオーラは鶏の肉とホウレンソウをあんこにしてお
柏
(
かしわ
)
餅のようなものに、ドレッシングをかけ粉チーズをふりかけた、これも大変おいしい、まるで頬ッぺたが落ちそうな御馳走なのです。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
樹木はその頃の立木を残したもので、亭々とした
樫
(
かし
)
だの
柏
(
かしわ
)
だのエルムなどが、家々の屋根をおおって
聳
(
そび
)
え立っている。それで、この附近では、まるで林の中で生活しているような恰好である。
ウィネッカの秋
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
終点の四駅程手前の
柏
(
かしわ
)
駅で降りると息をつく間もなく道を北方に約一里
溯
(
さかのぼ
)
った塚田村に駆け登って、予定の如く知合いの水車小屋から馬車挽き馬のゼーロンを借り出さなければならなかった。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
妻は燃えかすれる囲炉裡火に背を向けて、綿のはみ出た
蒲団
(
ふとん
)
を
柏
(
かしわ
)
に着てぐっすり寝込んでいた。仁右衛門は
悪戯者
(
いたずらもの
)
らしくよろけながら近寄ってわっといって乗りかかるように妻を抱きすくめた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
萩
(
はぎ
)
、うるしがもみじして
柏
(
かしわ
)
の葉がてらてらと日を照りかえす。あらまし葉を落した山つつじの灰色の幹の群立ちも美しい。滑かな窪地をとおして帯のように雑木が繁ってるのは清水の流があるのだ。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
猿の吉兵衛は主人の恩に報いるはこの時と、近くの山に出かけては
柏
(
かしわ
)
の枯枝や松の落葉を掻き集め、家に持ち帰って
竈
(
かまど
)
の下にしゃがみ、松葉の煙に顔をそむけながら
渋団扇
(
しぶうちわ
)
を矢鱈にばたばた鳴らし
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこへ飄然と、
柏
(
かしわ
)
という友人が訪ねてきた。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
松平能登守
(
まつだいらのとのかみ
)
は、丸に変り
柏
(
かしわ
)
。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あたしのは丸八の
柏
(
かしわ
)
墨だ。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お月さまのちかくはうすい緑いろになって、
柏
(
かしわ
)
の若い木はみな、まるで飛びあがるように両手をそっちへ出して叫びました。
かしわばやしの夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
沔陽
(
べんよう
)
の廟前に
後主
(
こうしゅ
)
劉禅
(
りゅうぜん
)
が植えたという
柏
(
かしわ
)
の木が、唐時代までなお繁茂していたのを見て、杜子美がそれを題して詠ったものだといわれている。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毛氈
(
もうせん
)
のような草原に二百年もたった
柏
(
かしわ
)
の木や、百年余の
栗
(
くり
)
の木がぽつぽつ並んで、その間をうねった小道が通っています。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これより後に皇后樣が御宴をお開きになろうとして、
柏
(
かしわ
)
の葉を採りに紀伊の國においでになつた時に、天皇がヤタの若郎女と結婚なさいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼がそこで生長した世界は、その後に展開した恐るべき事変のために粉砕され混乱されたとは言え、
柏
(
かしわ
)
の木クリストフはなおつっ立ってると充分に信ぜらるる。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
鶫
(
つぐみ
)
の群れが、
牧場
(
まきば
)
から
還
(
かえ
)
りに、
柏
(
かしわ
)
の
木立
(
こだち
)
の中で、ぱっとはじけるように散ると、彼は、眼を慣らすために、それを狙ってみる。銃身が
水気
(
すいき
)
で曇ると、袖でこする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
山の峰には松
柏
(
かしわ
)
の大木ところ/″\に見えて、草の花の盛りで、いうにいわれぬ景色でございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼が始めてこの娘に
遇
(
あ
)
ったのは、やはりあの山腹の
柏
(
かしわ
)
の
梢
(
こずえ
)
に、たった一人上っていた時であった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元からよくない所なので、あの
柏
(
かしわ
)
の木も、
此度
(
こんど
)
で
丁度
(
ちょうど
)
三人目の
首縊
(
くびくく
)
りだ、初め
下
(
さが
)
った時、一の枝を切ると、また二の枝に下ったので、それも切ると、
此度
(
こんど
)
は実に三の枝でやったのだ
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
かれはまた
柘榴
(
ざくろ
)
、
柚子
(
ゆず
)
、
紅梅
(
こうばい
)
、……ずいぶん枯れてしまいましたね、
柏
(
かしわ
)
、
杏
(
あんず
)
、
柿
(
かき
)
、いたや、なぞはまるで見ちがえるように、枝にも
瘤
(
こぶ
)
がついて大した木にふとっていますな、時時
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
前の庭の
若楓
(
わかかえで
)
と
柏
(
かしわ
)
の木がはなやかに繁り合っていて、何とはなしに
爽快
(
そうかい
)
な気のされるのをながめながら、源氏は「和しまた清し」と詩の句を口ずさんでいたが、玉鬘の豊麗な
容貌
(
ようぼう
)
が
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大兄の
哄笑
(
こうしょう
)
は
忍竹
(
しのぶ
)
を連ねた
瑞籬
(
みずがき
)
の横で起ると、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の微風に揺れている
柏
(
かしわ
)
の
棖
(
ほこだち
)
の傍まで続いていった。卑弥呼は
染衣
(
しめごろも
)
の
袖
(
そで
)
を
噛
(
か
)
みながら、遠く松の茂みの中へ消えて行く大兄の姿を見詰めていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と言い言い歩いて往って、そこの
柏
(
かしわ
)
の木の傍で消えてしまった。
賭博の負債
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そのうしろなる
柏
(
かしわ
)
の林にゆう
靄
(
もや
)
かかれり。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
柏
(
かしわ
)
の木はみんな度をうしなって、
片脚
(
かたあし
)
をあげたり両手をそっちへのばしたり、眼をつりあげたりしたまま化石したようにつっ立ってしまいました。
かしわばやしの夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
水はもう
瓢
(
ふくべ
)
になかった。しかし
陽
(
ひ
)
出
(
い
)
づる雲の大海をながめながら
柏
(
かしわ
)
の葉でつつんだ
稗
(
ひえ
)
飯を喰う味は、生涯、忘れ得まいと思われるほど
美味
(
うま
)
かった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
柏
漢検準1級
部首:⽊
9画
“柏”を含む語句
羅漢柏
扁柏
松柏
柏原
柏葉
柏木
柏手
柏餅
柏崎
竹柏
柏屋
柏木如亭
花柏
御綱柏
側柏
赤目柏
柏樹
巻柏
柏林
竹柏園
...