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束縛
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そくばく
ふりがな文庫
“
束縛
(
そくばく
)” の例文
師範生が自分の校友の説に反対することができなかったりそのために個人個人の自由意志が
束縛
(
そくばく
)
されて弁論の主義が立たなくなった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ところで、そうした
讃辞
(
さんじ
)
は、次郎にとって大きな悦びであると共に、また強い
束縛
(
そくばく
)
でもあった。彼はいつも人々の讃辞に耳をそばだてた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
蜂須賀家の家来であって、家来の
束縛
(
そくばく
)
はうけていないし、
無禄
(
むろく
)
の浪士に似て浪士でもない。いわば、山野へ放ち飼いにされていた客分である。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
個人の自由を
束縛
(
そくばく
)
し個人の活動を切りつめても、国家のために尽すようになるのは天然自然と云っていいくらいなものです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちょうど、資本家が、労働者を
酷使
(
こくし
)
したように、男子が女子を
束縛
(
そくばく
)
したように、子供は常に、その親達から、また大人から虐待されて来たのだ。
子供は虐待に黙従す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
「あんまり勉強すると、肺病が出ますぜ、少し遊ぶほうがいい。学校の先生だッて、同じ人間だ。そう道徳倫理で
束縛
(
そくばく
)
されては生命がつづかん」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
秀才だの半分天才などというものはもう無限の自由の怖しさに堪えかねて一定の標準のようなもので
束縛
(
そくばく
)
される
安逸
(
あんいつ
)
を欲するようになるのである。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
誰一人
(
だれひとり
)
わたしの自由を
束縛
(
そくばく
)
するものはなかった。わたしはしたい放題に
振舞
(
ふるま
)
っていたが、とりわけ最後の家庭教師と別れてからはなおさらだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
強
(
し
)
いて
俺
(
おれ
)
はこれから剛にする、俺はこれから柔にすると、
天賦
(
てんぷ
)
の性質を
矯
(
た
)
め、
束縛
(
そくばく
)
することはすこぶる難事であるが、しかし俺はあくまでも剛である
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
貴女
(
あなた
)
が内心
俺
(
わし
)
を嫌っているのも、全く無理はありません。当然です、当然です。
俺
(
わし
)
も嫌がる
貴女
(
あなた
)
を、
何時
(
いつ
)
までも名ばかりの妻として、
束縛
(
そくばく
)
していたくはないのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
貴嬢は今ま始めて
凡
(
すべ
)
ての
束縛
(
そくばく
)
から逃れて、全く自由を得なすつたのです、親の権力からも、世間の
毀誉褒貶
(
きよはうへん
)
からも、又た神の慈愛からさへも自由になられたのである
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
見えない
束縛
(
そくばく
)
が破れて、思ひがけない自由の世界へ飛び出したやうな氣がした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
同時に彼は、子爵といふ
冠
(
かんむり
)
のある勝見家の
門内
(
もんない
)
に
住
(
す
)
まツて、華族といふ名に依ツて存在し、其の自由を
束縛
(
そくばく
)
されてゐることを甚だ窮窟にも思ひ、また
意久地
(
いくぢ
)
なく無意味に思ふやうになツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ただその発達上連歌は和歌より出でたるを以て、和歌慣用の言語材料を用ゐて自ら
束縛
(
そくばく
)
し、区域を広くし材料を富ましむることを為さざるのみ。されば連歌の発句は到底陳腐と平凡とを免れず。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
自然主義
(
しぜんしゆぎ
)
の
風潮
(
ふうてう
)
に
漂
(
たゞよ
)
はされた
年若
(
としわか
)
い少女が(
尤
(
もつと
)
もこの自然主義は、
新聞
(
しんぶん
)
の三
面記事
(
めんきじ
)
に
術語化
(
じゆつごくわ
)
されたものを
指
(
さ
)
してゐません。その頃の
生眞面目
(
きまじめ
)
な
文壇
(
ぶんだん
)
の
運動
(
うんどう
)
を言つてゐます。)
從來
(
じゆうらい
)
の
習慣
(
しふくわん
)
の
束縛
(
そくばく
)
を
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
自由に対する慾望とは、
啻
(
ただ
)
に政治上または経済上の
束縛
(
そくばく
)
から個人の意志を解放せむとするばかりでなく、自己みずからの世界を自己みずからの力によって創造し、開拓し、司配せんとする慾望である。
初めて見たる小樽
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
国家か、何ものぞ。法律か、何の関係ぞ。
習慣
(
しゅうかん
)
、何の
束縛
(
そくばく
)
ぞ。彼等は胃の命令と、
腸
(
ちょう
)
の法律と、
皮膚
(
ひふ
)
の要求と、舌頭の指揮と、生殖器の
催促
(
さいそく
)
の外、何の
縛
(
しば
)
らるゝ処がない。彼等は自然力其ものである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
周三の毎日の行動を一つ/\
監視
(
かんし
)
し、
束縛
(
そくばく
)
したのであつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
「脱走などとは無礼な言葉、
束縛
(
そくばく
)
の鎖を解いてやったのさ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「主人を
束縛
(
そくばく
)
する。失敬千万だ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それをもらしたために、塾生たちに道案内をせがまれたりして、行動の自由を
束縛
(
そくばく
)
されてはならないと思ったからである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その又八の監視と
束縛
(
そくばく
)
をうけながらも、
珠
(
たま
)
を
抱
(
いだ
)
くように、貞操を護持して、やがて武蔵、城太郎など、行き
迷
(
はぐ
)
れた人々が
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえ
鳥
(
とり
)
に
対
(
たい
)
してすら、
人間
(
にんげん
)
にはそんな
権利
(
けんり
)
がないのを、
同
(
おな
)
じ、
人間
(
にんげん
)
の
自由
(
じゆう
)
を
束縛
(
そくばく
)
したり、または
牢獄
(
ろうごく
)
にいれたりする。
自由
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其
眼
(
め
)
のうちには
明
(
あき
)
らかに
憎悪
(
ぞうお
)
の色がある。三四郎は
凝
(
じつ
)
と
坐
(
すは
)
つてゐにくい程な
束縛
(
そくばく
)
を感じた。男はやがて行き
過
(
す
)
ぎた。其
後
(
うし
)
ろ影を見送りながら、三四郎は
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「わかったよ、だがきみは、なにもぼくらの自由を
束縛
(
そくばく
)
するような、法律をつくる権利がないじゃないか?」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
たとえ体は
束縛
(
そくばく
)
せられていても、精神が
自主的観念
(
じしゅてきかんねん
)
をいだいていればよいなどというが、心の自由と体の自由とは関係がすこぶる密着して離し得ぬ場合が多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
せめて
今夜
(
こんや
)
だけは、かってなまねをさしておいて、
明日
(
あした
)
は、そのかわり、
身動
(
みうご
)
きのならないように
束縛
(
そくばく
)
をしてやろうと
思
(
おも
)
いながら、カフェーの
前
(
まえ
)
を
離
(
はな
)
れたところです。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
抜ける事のできないような
位地
(
いち
)
と事情の
下
(
もと
)
に
束縛
(
そくばく
)
されていたので、ついそれなりになってしまった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それはありますよ。だれも
束縛
(
そくばく
)
するようなもののいない、そして、
暗
(
くら
)
い
夜
(
よる
)
というようなものもない、まったく
自由
(
じゆう
)
で、一
日
(
にち
)
明
(
あか
)
るい
昼
(
ひる
)
ばかりのよい
国
(
くに
)
がありますよ。」
馬を殺したからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
要
(
えう
)
するに
彼
(
かれ
)
位
(
ぐらゐ
)
の
年輩
(
ねんぱい
)
の
青年
(
せいねん
)
が、
一人前
(
いちにんまへ
)
の
人間
(
にんげん
)
になる
楷梯
(
かいてい
)
として、
修
(
をさ
)
むべき
事
(
こと
)
、
力
(
つと
)
むべき
事
(
こと
)
には、
内部
(
ないぶ
)
の
動搖
(
どうえう
)
やら、
外部
(
ぐわいぶ
)
の
束縛
(
そくばく
)
やらで、
一切
(
いつさい
)
手
(
て
)
が
着
(
つ
)
かなかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の胸は今までさほど責任を感じていなかったところへ急に重苦しい
束縛
(
そくばく
)
ができた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いつ、
私
(
わたし
)
は、おまえをそんなに
束縛
(
そくばく
)
をしましたか。おまえは、どこへなりとかってにいくがいい。けれど、おまえはしまいには
私
(
わたし
)
のところへ
帰
(
かえ
)
ってこなければならない。」と、
姉
(
あね
)
はいいました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
落雷を、
土中
(
どちゅう
)
に
埋
(
うず
)
めて、自由の響きを
束縛
(
そくばく
)
したように、
渋
(
しぶ
)
って、
焦
(
いら
)
って、
陰
(
いん
)
に
籠
(
こも
)
って、
抑
(
おさ
)
えられて、岩にあたって、包まれて、激して、
跳
(
は
)
ね返されて、
出端
(
では
)
を失って、ごうと
吼
(
ほ
)
えている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
書生
(
しよせい
)
として
京都
(
きやうと
)
にゐる
時分
(
じぶん
)
、
種々
(
しゆ/″\
)
の
口實
(
こうじつ
)
の
下
(
もと
)
に、
父
(
ちゝ
)
から
臨時
(
りんじ
)
隨意
(
ずゐい
)
に
多額
(
たがく
)
の
學資
(
がくし
)
を
請求
(
せいきう
)
して、
勝手
(
かつて
)
次第
(
しだい
)
に
消費
(
せうひ
)
した
昔
(
むかし
)
をよく
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
して、
今
(
いま
)
の
身分
(
みぶん
)
と
比較
(
ひかく
)
しつゝ、
頻
(
しき
)
りに
因果
(
いんぐわ
)
の
束縛
(
そくばく
)
を
恐
(
おそ
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然の児にならうか、又意志の
人
(
ひと
)
にならうかと代助は
迷
(
まよ
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
彼
(
かれ
)
の主義として、弾力性のない
硬張
(
こわば
)
つた方針の
下
(
もと
)
に、寒暑にさへすぐ反応を呈する自己を、器械の様に
束縛
(
そくばく
)
するの愚を忌んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其時
(
そのとき
)
宗助
(
そうすけ
)
は
始
(
はじ
)
めて
細君
(
さいくん
)
から
宣告
(
せんこく
)
を
受
(
う
)
けた
人
(
ひと
)
の
樣
(
やう
)
に、しばらく
腕組
(
うでぐみ
)
をして
考
(
かんが
)
へたが、
何
(
ど
)
う
工夫
(
くふう
)
したつて、
拔
(
ぬ
)
ける
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
ない
樣
(
やう
)
な
位地
(
ゐち
)
と
事情
(
じじやう
)
の
下
(
もと
)
に
束縛
(
そくばく
)
されてゐたので、つい
夫成
(
それなり
)
になつて
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを
続
(
つゞ
)
かないと見るのはたゞ表向の沙汰で、心を
束縛
(
そくばく
)
する事の
出来
(
でき
)
ない形式は、いくら
重
(
かさ
)
ねても苦痛を増す許である。と云ふのが代助の論法であつた。代助は縁談を断るより外に
道
(
みち
)
はなくなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
教育は一種の権利かと思っていたら全く一種の
束縛
(
そくばく
)
だね。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“束縛”の意味
《名詞》
束 縛(そくばく)
縛ること。
行動の自由を制限すること。
(出典:Wiktionary)
束
常用漢字
小4
部首:⽊
7画
縛
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“束”で始まる語句
束
束髪
束脩
束帯
束子
束髮
束藁
束修
束々
束把