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ふりがな文庫
“
扱
(
しご
)” の例文
隅の
階子段
(
はしごだん
)
を
視
(
み
)
て空ざまに髯を
扱
(
しご
)
いた。見よ、下なる壁に、あの
羆
(
ひぐま
)
の毛皮、
大
(
おおい
)
なる筒袖の、抱着いたごとく
膠頽
(
べたり
)
として掛りたるを——
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ
懐
(
ふところ
)
から縄を出して
扱
(
しご
)
くような
素振
(
そぶり
)
をしたり、またそこらにあったものを引き寄せるような仕事をしているうちに、寝ていた幸内が
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
荷
扱
(
しご
)
きの仕事で、毎日晝過から夕景まで、横山町の問屋仲間を廻るのが菊之助の仕事、これは總七ならずとも、皆んな知つて居ります。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手のなかの髪の毛をスーイスーイ
扱
(
しご
)
いてみたり、クルクルと拳へ巻きつけてみたりしながら、しきりにその辺を眺め廻していたが
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
浄瑠璃の「寺子屋」で、源蔵に近づきになつてゐる人達が
偶
(
たま
)
に訪ねてゆくと、爺さんは長い髯を
扱
(
しご
)
きながら色々な自慢話を始める。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
それにも山の法則があって、他人の
執
(
と
)
りかけたものに手をつけることはできなかった。手をつけた印には木の葉を
扱
(
しご
)
いてあった。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
グルグルと解いたは紫の
扱
(
しご
)
き、首へ纒うとキュ——ッひと絞め! くたばったかな? いや駄目だ! 人の馳せ来る足音がした。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
腰は
海老
(
えび
)
の様に二重に曲つて、地にも届きさうな長い白髯を
扱
(
しご
)
きながら、よぼ/\と梅の樹間を
彷徨
(
さまよ
)
うて居るのが、時々私達の眼に入つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
老人は自分から胸元を見下し、指を拡げて裏から
白髯
(
はくぜん
)
を
扱
(
しご
)
いた。長い白髯は春の光の中で、支那
素麺
(
そうめん
)
のように清らかに輝いた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と云いながら倉前へ来て見ますと、
緋
(
ひ
)
の縮緬の
扱
(
しご
)
きが一本、
傍
(
そば
)
に浴衣が有りまして、ポタリ/\と血が垂れて居ますを見て由兵衞は慄え上り
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葉縁には
尖
(
する
)
どき細鋸歯が
駢
(
なら
)
んで
扱
(
しご
)
けばよく手を切る事は人の知っている通りである。支那の書物にも「甚ダ快利ニシテ人ヲ傷クルコト鋒刀ノ
如
(
ごと
)
シ」
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「
泣
(
な
)
かさねえでよきことも
連
(
つ
)
れでつてくろうな」といふおつぎの
聲
(
こゑ
)
が
追
(
お
)
ひ
掛
(
か
)
けるのであつた。
僅
(
わづか
)
な
鰌
(
どぜう
)
は
味噌汁
(
みそしる
)
へ
入
(
い
)
れて
箸
(
はし
)
で
骨
(
ほね
)
を
扱
(
しご
)
いて
與吉
(
よきち
)
へやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それを押し
除
(
の
)
けて生々した張合いのある精神が背骨を伝って、ぐいぐい堕気を
扱
(
しご
)
き上げるので、かの女は胸を張ったちゃんとした姿勢で、むす子と向い合った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この敵、ただ者に非ず——と見ながら権之助は、満身を気に
膨
(
ふくら
)
ませて、杖をうしろに
扱
(
しご
)
きながらもう一度
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前後も不覚に
鼾
(
いびき
)
を掻き始めたその寝入り
端
(
ばな
)
を、逆さに
扱
(
しご
)
くようにあわただしく叩き起されたのであった。
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
祠
(
ほこら
)
の前に住んでいる湯沢医者が、
髯
(
ひげ
)
を
扱
(
しご
)
きながら縁先へ出て来て、食肉鳥のような声を絞った。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
……その吾輩が
長髯
(
ちょうぜん
)
を
扱
(
しご
)
きながら名刺を突き出すと、ハガキ位の金縁を取った厚紙に……日本帝国政府視察官、医典博士、勲三等、
轟雷雄
(
チョツデヨンウウン
)
……と一号活字で印刷してある。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それほど、新兵衛はその
扱
(
しご
)
き出す三間
柄
(
え
)
の大身の鎗の
鋒先
(
ほこさき
)
で、さきがけ
殿
(
しんがり
)
の功名を重ねていた。そのうえ、彼の武者姿は戦場において、水ぎわ立ったはなやかさを示していた。
形
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すると隆法老僧は、自慢の白髯の、それも甚だ
疎
(
まば
)
らなのを、無理に兩手で
扱
(
しご
)
きながら
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「うん、そうじゃ」司令官の別府大将は、
頤髯
(
あごひげ
)
をキュッと
扱
(
しご
)
いて、目を閉じた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
壁面の上部には
纔
(
わず
)
かの罅隙を
覓
(
もと
)
めて根を托した
禾本
(
かほん
)
科らしい植物の葉が、女の髪の毛を
梳
(
す
)
いたように房さりと垂れて、葉末からは雫でも落ちているらしく、手で
扱
(
しご
)
いたように細くなっている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
扱
(
しご
)
かれて砕かれて、滝になったり、淵になったりして、消えて行く……。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
と新太郎君は
頻
(
しき
)
りに髪の毛を
扱
(
しご
)
き始めた。
煩悶
(
はんもん
)
があると必ずこれをやる。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
酒を
呑
(
の
)
んで赤い顔した
女連
(
おんなれん
)
が、兵隊に仮装して、長い剣をガチャガチャひきずりながら、宴会のところに、「万歳万歳」と云ってころげこんで来ると、長い
鬚
(
ひげ
)
を
扱
(
しご
)
いているえらい将校の人たちも
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
村中で穀物を
扱
(
しご
)
き出す
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人の形が、そうした霧の
裡
(
なか
)
に薄いと、
可怪
(
あやし
)
や、
掠
(
かす
)
れて、
明
(
あから
)
さまには見えない
筈
(
はず
)
の、
扱
(
しご
)
いて
搦
(
から
)
めた
縺
(
もつ
)
れ糸の、蜘蛛の
囲
(
い
)
の
幻影
(
まぼろし
)
が、幻影が。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなた、これがお米なの。それともお麦?」と夫人は稲穂の一つを
扱
(
しご
)
いて手に取つた。「まあ贅沢だわね、外套を着てますよ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
黄八丈の財布が一つ、
扱
(
しご
)
いて見ると、中から出たのは、數も百二十枚、昨夜女隱居が盜られたといふ小判に
紛
(
まぎ
)
れもありません。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
その
)
庖丁
(
はうちやう
)
のとん/\と
鳴
(
な
)
る
間
(
あひだ
)
に
忙
(
せは
)
しく
八人坊主
(
はちにんばうず
)
を
動
(
うご
)
かしてはさらさらと
藁
(
わら
)
を
扱
(
しご
)
く
音
(
おと
)
が
微
(
かす
)
かに
交
(
まじ
)
つて
聞
(
きこ
)
える。お
品
(
しな
)
は
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
前
(
まへ
)
にして
酷
(
ひど
)
く
心強
(
こゝろづよ
)
く
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
たいして
疲労
(
つか
)
れてもいないらしい。審判席では定吉先生が、さも驚いたというように、長い
頤髯
(
ひげ
)
を
扱
(
しご
)
いていた。眉の間に皺が寄っていた。神経的の皺であった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それを
扱
(
しご
)
いて一文字に、群衆の中へ飛び込んでしまった、その早いこと。生薬屋の屋根の上から
覘
(
ねら
)
いを定めようとした猟師の藤吉は、火縄を吹いて
呆気
(
あっけ
)
に取られ
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又四郎は手に取って
扱
(
しご
)
いてみたりした。さっき物陰に潜んでいる
間
(
ま
)
に通った庭番の持物などであろうが
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千本格子の中から聞える三味線は、長唄のものを使っているらしく、浄瑠璃のあの節太い写実の調子はやさしく
扱
(
しご
)
かれ、たゞ美しいだけの抒情詩の耳触りになっています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
新婦の母親の頓野老夫人も、ちょっと中腰になって押止めにかかったが、新夫婦が強いて行こうとするのを見た頓野老人が、山羊鬚を
扱
(
しご
)
いて老夫人を押止めた。小声で囁いた。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こういいながら、忠直卿は槍を
扱
(
しご
)
いて二、三間後へ退りながら、位を取られた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「や、白髪じゃねえか。」呻いた藤吉、ぐいと濡髪を
扱
(
しご
)
いてみてから
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
机の上に肘をついて、髪の毛を両手で
扱
(
しご
)
いていた新太郎君は間もなく
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼の 白髭を
扱
(
しご
)
くだろう。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
おや、顔に何かついている?……すべりを
扱
(
しご
)
いて、思わず
撫
(
な
)
でると、これがまた化かされものが狐に対する眉毛に
唾
(
つば
)
と見えたろう。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
岡本氏はかういつてその入れたいといふ羽織の襟を指先で
扱
(
しご
)
いてみせた。細かい銘仙の
絣
(
かすり
)
で大分皺くちやになつてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
死骸の懷ろには、
鬱金
(
うこん
)
の胴卷がありますが、
扱
(
しご
)
いて見ても、中は空つぽ、
鐚
(
びた
)
錢一つ入つては居りません。
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掌
(
て
)
でにぎりしめて、ぎゅうと、
扱
(
しご
)
いてみると、伸びと
反
(
そ
)
りとの調和に、無限な味と快感がおぼえられる。武蔵は、お甲からもらった
黒樫
(
くろがし
)
の木剣を常に離さなかった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同時に飛び退いた小一郎は、引き抜いた下緒をピューッと振り、一つ
扱
(
しご
)
くと
早襷
(
はやだすき
)
! 袖が捲くれて二本の腕が生白くニュッと
食
(
は
)
み出したが、つづいて聞こえたは鞘走る音だ。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この島山に住む人は、山のわたくし同様、驚異でいのちに傷目をつけられ、美しさにいのちの芽を牽出され、苦悩に
扱
(
しご
)
かれて、希望へと伸び上がらせられなければならない。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
田植
(
たうゑ
)
の
同勢
(
どうぜい
)
は
股引
(
もゝひき
)
穿
(
は
)
いた
儘
(
まゝ
)
泥
(
どろ
)
の
足
(
あし
)
をずつと
堀
(
ほり
)
の
水
(
みづ
)
に
立
(
た
)
てゝ、
股引
(
もゝひき
)
の
紺地
(
こんぢ
)
がはつきりと
成
(
な
)
るまで
兩手
(
りやうて
)
でごし/\と
扱
(
しご
)
いた。
溶
(
と
)
けた
泥
(
どろ
)
が
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
水
(
みづ
)
を
濁
(
にご
)
らしてずん/\と
流
(
なが
)
される。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
七兵衛は
行燈
(
あんどん
)
の下で麻を
扱
(
しご
)
いて、それを足の指の間へ
挿
(
はさ
)
んで小器用に
細引
(
ほそびき
)
を
拵
(
こしら
)
えながら
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時に、紅軍の大将たる忠直卿は、自ら三間柄の大身の槍をりゅうりゅうと
扱
(
しご
)
いて、勇気凜然と出場した。まことに山の動くがごとき勢いであった。白軍の戦士は見る見るうちに威圧された。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お美野の死体の傍に
躙
(
にじ
)
り寄ると、はじめ一応
検
(
み
)
た時と同じように、ちょっと申訳にちらと頸筋を拭いて手をやってみたのち、それから、死体の首に結んであった細引きを両手に
扱
(
しご
)
きながら、何か
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
某名士氏は八十幾歳の高齢で悠々と白髯を
扱
(
しご
)
いて御座った。
恐ろしい東京
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
扱
(
しご
)
けば、するすると伸び、伸びつつ、長く美しく、黒く艶やかに、
芬
(
ぷん
)
と薫って、手繰り集めた杯の
裡
(
うち
)
が、光るばかりに漆を
刷
(
は
)
く。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“扱”の解説
「あつかい」はこの項目へ転送されています。
薩摩藩の職制については「噯」をご覧ください。
「あつかい」の語義については、ウィクショナリーの「あつかい」の項目をご覧ください。
扱(あつかい・噯)とは、中世から近世にかけての日本で行われた紛争解決のための仲裁・調停のこと。
(出典:Wikipedia)
扱
常用漢字
中学
部首:⼿
6画
“扱”を含む語句
取扱
扱帯
稲扱
持扱
仕扱
扱入
扱帶
扱落
者扱
素扱
荷扱
稲扱器
麥扱
邪魔扱
麦扱
殿様扱
橋場稲扱
樂人扱
根扱
扱箸
...