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ひきおこ
ふりがな文庫
“
惹起
(
ひきおこ
)” の例文
博士の場合も、これらの面白からぬ関係が
募
(
つの
)
り募って、あの惨事を
惹起
(
ひきおこ
)
したのだろう。という推論は、まず条理整然としているからね。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
之によつて非常に甘美なる感情を
惹起
(
ひきおこ
)
されるのであつて、其の感情の衝動された結果として生ずる影響は、決して些細なものでは無い。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
酔
(
よい
)
に乗じて
種々
(
いろいろ
)
の
捫着
(
もんちゃく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
している
中
(
うち
)
に、
折悪
(
おりあし
)
くも
其処
(
そこ
)
へ冬子が来合わせたので、更にこんな面倒な事件を
演出
(
しいだ
)
す事となって
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで、お家の體面論を眞つ向に、お菊の茶屋へ案内して、この事件を
惹起
(
ひきおこ
)
した、柴田、吉住の兩名へ、詰問したのでした。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
最初は唐辛の
端
(
はじ
)
を
嘗
(
なめ
)
ても辛いといった人が後には一本食べても平気になります。そうなると身体に毒で強壮な人でも種々の弊害を
惹起
(
ひきおこ
)
します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
漬
(
つ
)
けた
玉菜
(
たまな
)
や、ランプの
燻
(
いぶり
)
や、
南京蟲
(
なんきんむし
)
や、アンモニヤの
臭
(
にほひ
)
が
混
(
こん
)
じて、
入
(
はひ
)
つた
初
(
はじ
)
めの一
分時
(
ぷんじ
)
は、
動物園
(
どうぶつゑん
)
にでも
行
(
い
)
つたかのやうな
感覺
(
かんかく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ハムムラビ法典の発見後、比較法学上種々の新問題を
惹起
(
ひきおこ
)
したが、その中で最も重要なものは、ハムムラビ法典とモーゼの法律との関係である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
それにあるこーる、えーてる
等
(
とう
)
の
如
(
ごと
)
く
一時
(
いちじ
)
に
燃
(
も
)
え
擴
(
ひろ
)
がるものが
近
(
ちか
)
くにあるとき、
直
(
すぐ
)
に
大事
(
だいじ
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すに
至
(
いた
)
ることが
多
(
おほ
)
い。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
漁期中にストライキの如き不祥事を
惹起
(
ひきおこ
)
させ、製品高に多大の影響を与えたという理由のもとに、会社があの忠実な犬を「無慈悲」に涙銭一文くれず
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
然うさ、
都
(
すべ
)
て人間といふものは然うしたものさ。
眞
(
ほ
)
ンの
小
(
ちい
)
ツぽけな理由からして素敵と大きな事件を
惹起
(
ひきおこ
)
すね。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
しかしこのことは外国貿易に何らの混乱をも
惹起
(
ひきおこ
)
さず、いかなる一貨物の製造を阻害することもないであろう。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
即ちこれが経済上に現れれば、資本的勢力が貧しき下層民、
重
(
おも
)
に小作人、労働者というが如き者の生活を圧迫する事と為って、由々しき社会問題を
惹起
(
ひきおこ
)
す。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
先生の演説は直接には聞かなかったが、それがヤカマしい問題を
惹起
(
ひきおこ
)
したことを、後で私は理学士から聞いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
王さまの信仰者と名乗つたリツプが一声は、尚囲繞いて居た撰挙人の群に、
劇
(
はげ
)
しい混雑を
惹起
(
ひきおこ
)
しました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
とまれ、安宅先生の辞職という事件を
惹起
(
ひきおこ
)
してわたくしにこうも気を
揉
(
も
)
ませる男は、憎むべき男である。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
聞えん
風
(
ふり
)
も出来ぬから、渋々
起
(
た
)
って取次に出て、倒さになる。私のお辞儀は家内の物議を
惹起
(
ひきおこ
)
して度々
喧
(
やかま
)
しく言われているけれど、面倒臭いから、構わず倒さになる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
けれども、この水の色は、山よりも川よりも湖よりも、また更に云はれぬ優しい空想を
惹起
(
ひきおこ
)
す。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
先日のラウペパ王訪問は、果然、大騒を
惹起
(
ひきおこ
)
す。新しい布告が出る。何人も領事の許可なくして、又、許されたる通訳者なしには、王と会見すべからず、と。聖なる
傀儡
(
かいらい
)
。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
父は
二宮流
(
にのみやりゅう
)
に与えんと欲し、子は
米国風
(
べいこくふう
)
に富まんことを欲した。
其
(
その
)
為
(
ため
)
関家の
諍
(
あらそい
)
は、北海道中の評判となり、色々の風説をすら
惹起
(
ひきおこ
)
した。翁は其為に心身の精力を
消磨
(
しょうま
)
した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自分が
唯
(
たつた
)
十五円なのに、長野の服装の自分より立派なのは、若しや俺より高く雇つたのぢやないかと云ふ疑ひを
惹起
(
ひきおこ
)
したが、それは翌日になつて十三円だと知れて安堵した。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
離婚沙汰を
惹起
(
ひきおこ
)
すような結婚を致す訳もなく、社交や処世において不都合を仕出かす訳もなく、夫に対しては貞淑な妻、子に対しては賢明な母と成り得るに違いありません。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
門口に群れている藤兵衛の
乾児
(
こぶん
)
——捕吏たちの間から湧き起こり、つづいて
蜘蛛
(
くも
)
の子を散らすように、四方へ逃げ出したという意外な出来事が、
惹起
(
ひきおこ
)
されたではありませんか。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ああ事業よ事業よ
幾干
(
いくばく
)
の偽善と卑劣手段と嫉妬と
争
(
あらそい
)
とは汝の名に
依
(
より
)
て
惹起
(
ひきおこ
)
されしや。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
其土地の塩となるべし、其世の光となるべし、大学に所謂一家仁、一国興仁、もの是也、西郷南洲氏は、是を以て百二都城の健児を結び、維新の盛事を成せり、十年の争乱を
惹起
(
ひきおこ
)
せり
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「今一寸の間にお母さんのことを二度まで婆と言って問題を
惹起
(
ひきおこ
)
したところだよ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
隨
(
したが
)
つて
空
(
そら
)
の
日光
(
につくわう
)
が
招
(
まね
)
くやうに
女
(
をんな
)
の
心
(
こゝろ
)
を
促
(
うなが
)
すべき
村
(
むら
)
の
青年
(
せいねん
)
との
間
(
あひだ
)
にはおつぎは
何
(
なん
)
の
關係
(
くわんけい
)
も
繋
(
つな
)
がれなかつた。おつぎが十七といふ
年齡
(
とし
)
を
聞
(
き
)
いて
孰
(
いづ
)
れも
今更
(
いまさら
)
のやうに
其
(
そ
)
の
注意
(
ちうい
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
したのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此
(
この
)
寒空
(
さむぞら
)
に外へ出してよく病気に成らない物だと思ふが、東京の様に
乾風
(
からかぜ
)
が吹かないせいもあらう。又
巴里
(
パリイ
)
の様に日当りの悪い構造の建築では室内に子供を置く事が
却
(
かへつ
)
て病気を
惹起
(
ひきおこ
)
し易からう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
もってその
騒擾
(
そうじょう
)
のいかにはなはだしかりしかを知りうると同時に、平生冷静沈着なる英人がかほどまでの騒動を
惹起
(
ひきおこ
)
せしことは、その
激昂
(
げきこう
)
の度のいかにはなはだしかりしをも知るに足ると思う。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
ところが彼は問題を
惹起
(
ひきおこ
)
さずにいられないことになったというのは、
幾度
(
いくたび
)
もマリ子に、痔の
清掃
(
せいそう
)
を命じているうちに、いままでのあらゆる彼の暴令に、唯の一度も
厭
(
いや
)
な顔を見せたことのない彼女が
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その日も養父は、使い道の
分明
(
はっきり
)
しないような金のことについて、昼頃からおとらとの間に
紛紜
(
いざこざ
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
していた。長いあいだ不問に附して来た、青柳への貸のことが、ふとその時彼の口から言出された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
偏頭痛さへ
惹起
(
ひきおこ
)
し、
眼
(
まなこ
)
どろんとさせるにぞ
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
一つのほんの一寸した誤解に始まって、殺人罪の発覚という戦慄すべき結果を
惹起
(
ひきおこ
)
すまで、彼奴はだまって見ていたのです。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで、お家の体面論を真っ向に、お菊の茶屋へ案内して、この事件を
惹起
(
ひきおこ
)
した、柴田、吉住の両名へ、詰問したのでした。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
漬
(
つ
)
けた
玉菜
(
たまな
)
や、ランプの
燻
(
いぶり
)
や、
南京虫
(
なんきんむし
)
や、アンモニヤの
臭
(
におい
)
が
混
(
こん
)
じて、
入
(
はい
)
った
初
(
はじ
)
めの一
分時
(
ぷんじ
)
は、
動物園
(
どうぶつえん
)
にでも
行
(
い
)
ったかのような
感覚
(
かんかく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
特に青年期に於ける疾病は、甚だしく其の人をして蹉躓懊惱悲哀を
惹起
(
ひきおこ
)
さしむる傾がある。病者が是の如くなるに至るは、一毫も無理とすべき所は無い。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
...
身体
(
からだ
)
の弱い人はよく旅へ出て病気を
惹起
(
ひきおこ
)
します。全く旅先では衛生法を厳守する事が出来ないからですね」中川
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
害を加えた物に対して
快
(
こころよ
)
くない感情を
惹起
(
ひきおこ
)
すのは人の情であって、殊に未開人民は復讐の情が
熾
(
さかん
)
であるから、木石を
笞
(
むちう
)
って僅に余憤を洩す類のことは
尠
(
すく
)
なくない。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
さういふ
海底
(
かいてい
)
の
地形變動
(
ちけいへんどう
)
は
直
(
すぐ
)
に
海水面
(
かいすいめん
)
の
變動
(
へんどう
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すから、そこに
長波長
(
ちようはちよう
)
の
津浪
(
つなみ
)
が
出來
(
でき
)
るわけである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ここに於て我輩不肖なりといえども、老いたりといえども、どうかこの人の心に心理的変化を
惹起
(
ひきおこ
)
したいと考えた。これはもとより困難な事業である。大胆な事業である。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
寺本の馬は、新宿で電車に驚いて、盲目の
按摩
(
あんま
)
を二人
轢
(
ひ
)
き倒し、大分の面倒を
惹起
(
ひきおこ
)
した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
貨物によって現わされる労賃の市場率の下落を
惹起
(
ひきおこ
)
さないであろう、もっとも貨幣労賃は、耕作の進行につれて必要貨物の価格が騰貴しなければならぬから、騰貴しなければならないが
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
今日となツては、父子爵は
最早
(
もはや
)
猶豫
(
ゆうよ
)
して居られぬと謂ツて、
猛烈
(
もうれつ
)
な
勢
(
いきほひ
)
で最後の
決心
(
けつしん
)
を
促
(
うなが
)
してゐる。で是等の事情がごツちやになツて、彼の頭にひツかゝり、
絡
(
からま
)
ツて
激
(
はげ
)
しい
腦神經衰弱
(
なうしんけいすゐじやく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
した。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
忠一は元気の
好
(
い
)
い男で、酔って随分騒いだ。市郎も
温順
(
おとなし
)
くしては居なかった。けれども、二人ながら
唯
(
ただ
)
酔って騒いで帰った
丈
(
だけ
)
のことで、別に
後日
(
ごにち
)
の面倒を
惹起
(
ひきおこ
)
すような種は
播
(
ま
)
かなかったのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昔女優サラ・ベルナアルが奮然辞職した以来の大悶着を
惹起
(
ひきおこ
)
して居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
時には一寸面白い事件を
惹起
(
ひきおこ
)
しなぞして、その当座は十分慰めにもなったのですけれど、真似事はどこまでも真似事で
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もしもこの婚礼を
拒
(
こば
)
むなら大原君の父親を離縁するといい出した騒ぎだ。大原君も自分一人のために一家の大騒動を
惹起
(
ひきおこ
)
しては済まんから遂に婚礼の事を承諾した。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は
地震
(
ぢしん
)
の
搖
(
ゆ
)
り
返
(
かへ
)
し、
或
(
あるひ
)
は
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しを
恐
(
おそ
)
れたものである。
此言葉
(
このことば
)
は
俗語
(
ぞくご
)
であるため
誤解
(
ごかい
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
し、
今
(
いま
)
の
人
(
ひと
)
はこれを
餘震
(
よしん
)
に
當
(
あ
)
て
嵌
(
は
)
めてゐるが、それは
全
(
まつた
)
く
誤
(
あやま
)
りである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
自分の
粗忽
(
そこつ
)
からこの騒動を
惹起
(
ひきおこ
)
したと思込んでいる半之丞は、心の底からそう言うのでした。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから
如何
(
どう
)
かというに、多少内乱を
惹起
(
ひきおこ
)
したが、ついに西南戦争に於て終りを告げた。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そこで先生の
哀
(
かな
)
しい最期前後の出来事は、
如何様
(
どのよう
)
な微細な事までも、世界中の新聞雑誌に掲載されて、色々の評判を
惹起
(
ひきおこ
)
しました。私は漏らさず其記事を見ました。無論
誤報
(
ごほう
)
曲説
(
きょくせつ
)
も多かったでしょう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
“惹起”の意味
《名詞》
惹 起(じゃっき)
問題や事件などをひきおこすこと。
刺激などにより誘発すること。
(出典:Wiktionary)
惹
漢検準1級
部首:⼼
12画
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“惹”で始まる語句
惹
惹付
惹着
惹入
惹出
惹寄
惹恨
惹行
惹爾日
惹吠奢爾