惡魔あくま)” の例文
新字:悪魔
それはあの弱々しい美しいお糸が考へさうも無い惡魔あくま的なくはだてですが、平次の推理には素より一點の疑ひをはさみやうもありません。
つねなんともおもはぬ島田しまだがめ今日けふばかりはづかしいとゆふぐれのかゞみまへなみだくむもあるべし、きくのおりきとても惡魔あくまうまがはりにはあるまじ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きたにはゴビの大沙漠だいさばくがあつて、これにもなに怪物くわいぶつるだらうとかんがへた。彼等かれらはゴビの沙漠さばくからかぜ惡魔あくま吐息といきだとかんがへたのであらう。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
かんがへると、じつ愉快ゆくわいで/\たまらぬ、いま吾等われらまなこには、たゞ希望きぼうひかりかゞやくのみで、たれ人間にんげん幸福さひはひねた惡魔あくま
しかれども白晝はくちう横行わうぎやう惡魔あくまは、四時しじつねものにはあらず。あるひしうへだててかへり、あるひつきをおきてきたる。そのとききたとき進退しんたいつねすこぶなり。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しやあはれな勞働者は其の唄のをはらぬうち惡魔あくまのやうな機械の運轉うんてん渦中くわちう身躰からだ卷込まきこまれて、唄の文句もんくの其のとほり、ながくもない生涯しようがいをはりげたのではあるまいか。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ヂュリ 罰當ばちあたりの夜叉やしゃめ! おゝ、惡魔あくまめ! わし誓約ちかひやぶらせうとしをるばかりか、まへには幾千度いくせんたびくらものいやうにめちぎったわし殿御とのごそのおなした惡口あくこうしをる。
とにかくかゞみむかし支那しなでもかほうつすばかりのものではなく、これをつてゐると、惡魔あくまけるといふようなかんがへがあつたので、はかをさめたのもさういふ意味いみがあつたかもれないのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
與へければかたじけなしと押戴おしいたゞき是にて討入のせつおもふまゝに働き申さんと喜びて立出しが如何なる惡魔あくま魅入みいられしにや俄然にはか欲心よくしんきざして此十四日の夜討に入りなば討死するか又は切腹なすか二ツの外はいづべからずさいはひ此二百五十兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「そんなことは惡魔あくまけ!」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
惡魔あくま木暗こぐれ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
幸福さひはひにも吾等われらいへは、斷崖だんがい絶頂ぜつてうてられてつたので、このおそ惡魔あくま犧牲ぎせいとなることけはまぬかれた。
あたか加能丸かのうまる滅亡めつばう宣告せんこくせむとて、惡魔あくまつかはしたる使者ししやとしもえたりけむ、乘客等じようかくらは二にんにん彼方あなた此方こなたひたひあつめて呶々どゞしつゝ、時々とき/″\法華僧ほつけそう流眄しりめけたり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くらひついてもらぬ惡魔あくまにお菓子くわしもらつたべてもいかとくだけがなさけない、きたなむさ此樣こん菓子くわしうちくのもはらがたつ、すて仕舞しまいな、すててお仕舞しまい、おまへしくててられないか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『あゝ、あゝ、縁起えんぎでもない、南無阿彌陀佛なむあみだぶつ! このふね惡魔あくまみいつなければよいが。』とつぶやいた。
なほ何處いづこにか惡魔あくまのひそみて、あやなきものをもおもはするよ、いざゆきふらばかぜふかばけ、方寸はうすんうみ波騷なみさわぎておき釣舟つりふねおもひもみだれんか、ぎたるそらかもめ春日はるひのどかになりなんむね
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)