“悼:いた” の例文
“悼:いた”を含む作品の著者(上位)作品数
岡本綺堂19
吉川英治9
野村胡堂4
高浜虚子3
森鴎外2
“悼:いた”を含む作品のジャンル比率
文学 > イタリア文学 > 詩28.6%
文学 > 文学 > 叢書 全集 選集14.3%
文学 > 英米文学 > 小説 物語5.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「……いや申しおくれたが、お父上の国香殿の御死去。はるかに、お噂はきいた。さぞ御無念でおわそう。おいたみ申しあげる」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『可哀さうに! 恐ろしい火山の煙りが、あの勇敢なプリニイを窒息させたんですね。』とジユウルがいたましさうに云ひました。
島は七の死をいたんで、七が遺物の袱紗に祐天上人いうてんしやうにん筆の名號みやうがうを包んで、大切にして持つてゐた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ならびおかの草庵で長く病んででもいたのか、旅先で果てたのか、よくもわからず、またその死をいたむ者もない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆず湯で清元を聴かされて以来、わたしは徳さんの一家をおおっている暗い影を、いたましく眺めるようになって来た。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いたはしや花瀬は、夫の行衛ゆくえ追ひ駆けて、あとより急ぐ死出しでの山、その日の夕暮にみまかりしかば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
在るが故によろこぶべきか、きが故にいたむべきか、在る者は積憂の中にき、亡き者は非命のもとたふる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
汝ラヴィーナを失はじとて身を殺し、今我を失ひたまへり、母上よ、かの人の死よりさきに汝の死をいたむものぞ我なる。 三七—三九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼こゝにフランスびとの銀をいたむ、汝いふべし、我は罪人の冷ゆる處にヅエラの者をみたりきと 一一五—一一七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
即ちこの長歌及び反歌は、旅人の心持になって、あたかも自分の妻をいたむような心境になって、旅人の妻の死を悼んだものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
伝七はそう云ったが、盂蘭盆うらぼんに死んで行った薄命の女達をいたんだのであろう、その眼は涙に濡れていた。
さすが武骨の将たちも、慄然りつぜんとして、曹操の冷虐な感情におぞをふるい、また楊修の才をいたんだ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時に御年四十九歳、当時の人々が、太子の薨去をいかに深くいたんだかは日本書紀にもしるされているとおりである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
詩集巻七まきのしちに、席道士せきどうしをべんすとあるもの、疑うらくは応真、しくは応真の族をいためるならん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
夫人は、口でこそ青年の死をいたんでいるものゝ、その華やかな容子ようすや、表情の何処どこにも、それらしいかげさえ見えなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
お蝶の書置は簡単なもので、お筆や吉之助の問題には何にも触れていなかったが、そのいたましい最後はお筆に対して、一種の復讐手段となった。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お蝶の書置きは簡単なもので、お筆や吉之助の問題には何にも触れていなかったが、そのいたましい最後はお筆に対して、一種の復讐手段となった。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なつかしき友に別れを告げし日、海行く者の思ひ歸りて心やはらぎ、また暮るゝ日をいたむがごとく 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
劈頭へきとうに、議長格の柴田勝家から、主君をいたむの辞やら、爾後じごの報告などがあって後、
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こゝに彼等その非情の罪業をいたむ、こゝにアレッサンドロあり、またシチーリアにうれへの年を重ねしめし猛きディオニシオあり 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
因って虎を慰めいたことばを懸けながら近寄り虎が耳を傾け居るすきを見澄まし殺すのだ。
いずれにしても、おこよの死はいたましいものであったと、女房はかれの不幸にひどく同情していた。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とも思わずにいられない。——それを自分にかくしていた彼の心はよく分っていたので、すぐ頼尚を床几の前に呼び、彼の父妙恵の死を共にいたんだ。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
筒井は手をついていたみの言葉をのべた。父という人は満足げにその言葉を受けて、軽く頭をさげた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
如是果にょぜか如是報にょぜほうかなしいたむ可く、驚く可く嘆ずべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それが四十年後の今日には、こうした悲しいいたましい姿を舞台の上にみせなければならない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
当時のうわさはそれをいたみ合っても、名は伝説に付されてあかすべきものも後にない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ミニシミル」の句は前書がないと意味が十分に受取りにくいけれども、八雲のいう通り、「死んだ子をいたんでいる母の悲みを意味している」ことは想像出来る。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
白いひげがまだらに伸びて、頬骨のいたましく尖った顔に、くぼんだ眼ばかりを爛々らんらんとひからせて、彼は玉藻の白い襟もとをじっと見つめていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかも大雪のふる日に妙義の奥に分け登って、底の知れない淵にむかって、恋しい兄の名を呼ぼうとした弟の心を思いやれば、なんだか悲しいいたましい気もします。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
——その姿を見るに堪えないようないたましい心持になって、僕はおもわず顔をそむけた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これは弟の書持ふみもちの死をいたんだものであるが、この憶良の歌から影響を受けているところを見ると、大伴家に伝わった此等の歌をも読味ったことが分かる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そこでその季節シーズンを二人で暮らしたが、その年の終わるころに私のこのくだらない恋愛の火焔ほのおは燃えつくして、いたわしい終わりを告げてしまった。
と、後々ではみないたみもし、英時の善政なども、今さらしたわれていたことだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たしかに、ニコラス・クレーグ船長はいたましい死を遂げたのではなかったものと思う。
五月九日 楠目橙黄子くすめとうこうしいたむ。(五月八日午後三時三十分逝去)。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
ここしばらくの間というもの、洛陽の市人は、寄るとさわると、操の死をいたみ、操の逸話を語り、操の人物を評し、何かにつけて、その生前をしのび合っていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分たち門弟は皆師匠の最後をいたまずに、師匠を失つた自分たち自身を悼んでゐる。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そうして、自分の眼の前に悩ましげに坐っているお絹の衰えた姿をいたましく眺めた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「いや、そのお春というお嬢さまは……」と、老人はいたましそうに顔をしかめた。
「そこを落ち延びると、たちまち紀州勢が現われて藤本殿はあわれ斬死きりじにじゃ。いたましいことではあるが、その働きぶりは、さながら鬼神のすがたであった」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いたましい追憶に生きている爺さんの濁ったような目にはまだ興奮の色があった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「父の正成もえらかったのだな。まろは顕家とみちのくに長くいて正成とは会うていぬが、いまでも、ここの旧臣たちは、り、正成の死をいたんでやまぬようだ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれら夫婦は自分の娘の死を悲しむよりも、若旦那の死を深くいたんでいた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ふだん姉を可愛かわいがって、荒い言葉一つかけたこともない父が、人前もなくこんなにもののしりつけているのは、姉の死をいたむ父の痛恨の一種だったかも知れません。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
私はあの江戸を記念すべき日本固有の建築の死をいたまずにはおられない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そう言いながらも、しおれ切っている男の顔が、半月前とは別の人のように痩せ衰えているのを見るにつけても、そのいたましい苦労が思いやられて、お園の涙は止めどなしに流れた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いや、頼まなくともこういう際には、十二分に出しゃばるべき先生を、ついした自分の粗忽そこつから置き忘れてしまった腑甲斐ふがいなさを自ら憐れみ、いたみ、くやみ、あせり
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは、妹の保護のもとに、芸術の道に精進していた唐沢光一が、妹の横死をいたむ涙の裡に完成した力作で、彼女に対する彼が、唯一ゆいいつ手向たむけであったのであろう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼女はいたましさと悲しさが胸いっぱいになって、両手で彼をいだいた。
野村は実にいやあな気がした。それは友人の死をいたむとか悲しむとかいうはっきりした感情ではなくて、自分自身が真暗な墓穴の中に引込まれるような、一種の恐怖に似た不快さだった。
黄鳥の嘆き (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
一門の人々、思顧のさむらひは言ふも更なり、都も鄙もおしなべて、いたしまざるはなく、町家は商を休み、農夫は業を廢して哀號あいがうこゑ到る處にちぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「それは、劉琦りゅうきの死をいたんでいたのではありませんか」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
集に存ずる所の三絶句の一は、亡妻をいたんで作つたものらしい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
楽人はいたみの曲を奏し、市人は感嘆の声をおしまず、文章家は彼女が生れたおりから死までが、かくなくてはならぬ人に生れたことを、端厳たんごんな筆につづりあわせたであろう。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
武田博士は、眼をつぶって、好敵手の最期をいたむのであった。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
戸山が原は青い衣をはがれて、古木もその葉をふるい落すと、わずかに生き残った枯れ草が北風と砂煙にいたましくむせんで、かの科学研究所の煉瓦や製菓会社の煙突が再び眼立って来る。
それは遠くシューマンをいたみ、あらたに母の死を悲しむブラームスの真心から出たもので、ドイツ語で書かれた最初の鎮魂曲であり、かつ芸術的にきわめて高い価値を有するからである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
わたしはそれを見るに堪えないくらいにいたましく思った。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
太子の御遺族ことごとく難に殉じたるをいたみて。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
子として、父の死をいたまぬものが、どこにあろう。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼は幾何いくばくの給料を貰っていたか知らないが、舞台の上では定めて役不足もあったろうと察せられて、その全盛時代を知っている私たちには、さびしくいたましく感じられることも少くなかった。
源之助の一生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しか他人たにんいたむ一にち其處そこ自己じこのためには何等なんら損失そんしつもなくて十ぶん口腹こうふくよく滿足まんぞくせしめることが出來できる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
酒井野梅其児の手にかゝりて横死するをいた
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
死後、鎮魂曲レクイエムはフランベルク伯爵が自分の名で夫人の死をいたむ鎮魂曲を発表するため、家扶かふつかわしてモーツァルトに代作を依頼したのだと解ったが、それはしかし後の祭であった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
かへらぬたまをいとどしくいためる窓の
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
牡丹散るはいふくみていたまばや
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
義貞もそれには、共に眉をいたんでみせた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……といったようなわけでありまして、憎むべき烏啼天狗は理不尽りふじんにもわが最愛の妻を奪取しようというのであります。およそかかる場合において、夫たる身ほど心をいたましむ者が他にありましょうか」
雨風あめかぜに任せていたむ牡丹かな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
男はいたましそうに溜め息をついた。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
勝利の後のほろ苦い悲哀といったようなもの、——名匠が不本意な仕事を俗衆にヤンヤと言われる時のような、——言いようもない腹立たしさと交って、若く美しい娘の死をいたむ気持が、異様に胸を騒がせるのでした。
散る花をいたむ心もあわただ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
僧 おいたわしや、御最期じゃ。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ところが、アリスの死後、まもなくブラドンの態度が一変してなんら妻の死をいたむようすがなくなったので、クロスレイ家の人々は、それをひどく不愉快に思って、排斥はいせきの末、彼を下宿から追い出すにいたった。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
僧 おいたはしや、御最期ぢや。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
世にいたましいことである。
九月四日 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
勝利の後のほろ苦い悲哀といつたやうなもの、——名匠めいしやうが不本意な仕事を俗衆にヤンヤと言はれる時のやうな、——言ひやうもない腹立たしさと交つて、若く美しい娘の死をいたむ氣持が、異樣に胸を騷がせるのでした。
「右将軍が墓に草はじめて青し」と大将は口ずさみながらも、この詩も近ごろった人をいたんだ詩であることから、詩の中の右将軍の惜しまれたと同じように、世人が上下こぞって惜しんだ幾月か前の友人の死を思うのであった。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かの小夜衣の事件以来、ひどく師直の機嫌を損じて、いつどんな祟りを受けるかと、落ち着かない胸をかかえて其の日を送っているかれの顔には、いたましいほどのやつれを見せていたが、今夜はその顔の色が取り分け陰っていた。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二度のゆり返しを恐れながら、急いで二階へあがってうかがうと、棚一ぱいに飾ってある人形はみな無難であるらしかったが、ただ一つ博多人形の夜叉王やしゃおうがうつ向きに倒れて、その首がいたましく砕けて落ちているのがわたしの心を寂しくさせた。
火に追われて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「悪いことはできませんな」とか、「うらんでいる人は随分ありましょうからね」とか、柴田の横死おうしいたむよりも、むしろ痛快がっているらしい私語が、はじめはひそひそとであったが、しまいにはほとんど公然と、未亡人の眼の前で、ささやきはじめられた。
誰が何故彼を殺したか (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
たつた一人の御跡取時之助樣の御壽命をのろはれ、殿御腹立ちももつとも至極だが、まゝしき仲を疑はれて生害して身の潔白けつぱくを示された、奧樣の御心中もおいたはしい。今朝からお孃樣若葉樣始め、召仕共の歎きで、お屋敷の中は滅入めいつたやうな心持だ。
その一番高くなつた処に地上の電気が堆積してゐるので、雲の電気は出来るだけそれに近づいて、引かうとするのだ。で、もしそんな処にゐれば、その人も落雷に見舞はれるのだ。毎年雷に人が打たれて死ぬと云ふ、悲しい、いたましい例は、此の一番あぶない区域の背の高い木の下に雨やどりをしたりする事から出来るのだ。
そがなすままにまかしおけば、奇異なる幻影眼前めさきにちらつき、𤏋ぱっと火花の散るごとく、良人のはだを犯すごとに、太く絶え、細く続き、長くかすけき呻吟声うめきごえの、お貞の耳を貫くにぞ、あれよあれよとばかりに自ら恐れ、自らいたみ、且つ泣き、且ついかり、且つ悔いて、ほとんどその身を忘るる時、
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)