“小唄:こうた” の例文
“小唄:こうた”を含む作品の著者(上位)作品数
永井荷風5
ヴィクトル・ユゴー4
ロマン・ロラン4
岡本かの子3
佐々木味津三2
“小唄:こうた”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語(児童)30.8%
文学 > フランス文学 > 小説 物語21.2%
文学 > 日本文学 > 日本文学0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
純情な恋の小唄こうたを好んで口誦くちずさむ青年子女にいてみると恋愛なんか可笑おかしくって出来できないと言う。
その文学について知ってるところはただ、仔鷲や気儘夫人などの放逸な滑稽こっけい劇と洒亭の小唄こうたとにすぎなかった。
わたくしはこの忘れられた前の世の小唄こうたを、雪のふる日には、必ず思出して低唱ていしょうしたいような心持になるのである。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
例のナポリの小唄こうたの第一せつを歌って第二節にかかろうとしていたとき、か細いきみょうな声で歌う声がした。
彼はその手に接吻せっぷんして、膝の上で彼女をおどらしながら、世に知られてる小唄こうたを歌った。
一時を快くする暴言もつひひかもの小唄こうたに過ぎざるをさとりて、手持無沙汰てもちぶさたなりを鎮めつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「そいつがまた筋書きどおり、笛には縁の深い小唄こうたのお師匠さんというんだから、どう見たっておあつらえ向きの相手じゃござんせんか」
そこでワルツや舞踏曲ぶとうきょくの代わりに、わたしはヴィタリスが教えてくれたナポリ小唄こうたを歌った。
あのロマンヴィルという名前が、昔耳にしたことのある小唄こうたの二句とともに、絶えず頭に上がってきた。
「オオ、そういうじぶんが、すでに胡蝶陣のわなちているのも知らずに……ホホホホ、かれ者の小唄こうたは聞きにくいもの——」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流行りうかう小唄こうたうたひながらベンヺーリオーとともにマーキューシオーはひる。
連歌俳諧もうたい浄瑠璃じょうるりも、さては町方の小唄こうたの類にいたるまで、滔々とうとうとしてことごとく同じようなことをいっている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わたしはゼルビノとドルスを休ませて、今度は、わたしのきな小唄こうたを歌い始めた。わたしはこんなにいっしょうけんめいになったことはなかった。
五左衞門は用心棒のつもりで置いた樣子ですが、小僧から下女にまで甘く見られて、劍術よりは小唄こうた淨瑠璃じやうるりの節廻しに苦勞する肌合の男です。
とりわけわたしはナポリ小唄こうたおぼえて、それがいつも大かっさいをはくした。
寄食者ゐさふらうに對する非難は、始終、私の耳へ漠然と傳はる小唄こうたになつてゐた。
小唄こうたをうたったりすると、どうしても洗湯おゆやの隣りに住んでる気がしたり
開いてみると中には、ラオーティエールと署名した二つの対話の印刷物と、労働者よ団結せよという題の小唄こうたと、弾薬のいっぱいつまってるブリキかんとがあった。
女はなほ恋の小唄こうた口吟くちずさみて男ごころをやはらぐ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
またしてもくちずさむ、下品げひんなる港街みなとまち小唄こうた
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その人こそ現今いまも『朝日新聞』に世俗むきの小説を執筆し、歌沢うたざわ寅千代の夫君として、歌沢の小唄こうたを作りもされる桃水とうすい半井なからい氏のことである。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その仲間だけでまた革命の道化歌を作った。彼らは革命の暴威をあべこべに革命者どもの方へ向けさせようとする一種の下心を持っていた。人々はその小唄こうたの「よからん」を歌った。
グランテールのそばには、ほとんど黙り返ったテーブルの上に、二つの小さなコップの間に一枚の紙とインキつぼとペンとがあって、小唄こうたができ上がりつつあることを示していた。
その時、少年ガヴローシュの若々しい声が防寨ぼうさいの中に響いた。彼は銃にたまをこめるためにテーブルの上に上がり、当時よくはやっていた小唄こうたを快活に歌ったのである。
嘆きや悲しみさえも小唄こうたにして、心の傷口を洗って呉れる。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それがすむと小唄こうたを四ツ五ツつけてもらうことにしていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
二百石小姓佐野竹之助なぞは、あくまでさようしからばで四角張っているが、岡部の三十はぐっとくだけて小意気な縞物しまもの、ちょっと口三味線くちじゃみせん小唄こうたでもやりそう。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
果樹園や畑の見えるだらだら下りの裾野平すそのだいらはてに、小唄こうたで名高いY——山の山裾が見え、夏霞なつがすみがうっすりめている中になみがきらりきらり光った。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
背にかついでる大きなこりの中には、あらゆる物がはいっていた、香料品、紙類、糖菓類、ハンケチ、襟巻えりまき履物はきもの罐詰かんづめこよみ小唄こうた集、薬品など。
あたしにも苦しい事があるのよと思うよいにもぐうぐうと寝るという小唄こうたがあるけど、そっくりお前みたいだ。あんまり居眠りばかりしてないで、たまにはフランスの兄さんに、音信をしろよ。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
上邸にも下邸にも、昨日まで小唄こうたはやしで世渡りをしていた、素姓も知れぬてあいが黒羽二重の小袖に着ぶくれ、駄物の大小を貫木差ぬきぎざしにしてあらぬ権勢をふるい、奥はまた奥で
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
頭は月代さかやきが広く、あお向いた頸元くびもとに小さなまげねじれて附いていて、顔は口を開いてにこやかなのは、微酔ほろよい加減で小唄こうたでもうたっているのかと思われました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
われ近頃人より小唄こうたなるものを教へらる。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それはでたらめの言葉を並べた工場の小唄こうたの一つで、豊富にむちゃに韻をふみ、木の身振りや風の音と同じく何らの意味もなく、煙草の煙とともに生まれ、その煙とともに散り失せ飛び去ってゆく歌の一つであった。
「せんだって、あなたに差し上げた銭十一文は、私の腹掛けから取り出したものでございますから、あれは私に返して下さい。」と言ったとやら、ひかれ者の小唄こうたとはこれであろうかと、のちのち人の笑い話の種になった。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
恋の小唄こうたをくちずさみ、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それらのピアノの小曲や小唄こうたに、フランスの室内音楽に、ドイツの芸術は一べつも注ごうとしなかったし、クリストフ自身もその詩的妙技をこれまで閑却していたのであるが、その懶惰らんだな優美さと表面の享楽主義との下に
「忘られし小唄こうた」三曲のうち「そは恍惚こうこつなれ」をバトリが歌い(コロムビアJ五一八七)、「我が心にも涙の雨が降る」をクロアザが歌い(コロムビアJ五一五七)、「緑」をヴァランが歌っている(コロムビアJ五五〇五)。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
「あれわいさのさ。」と、つきもない小唄こうたを口ずさんで見たが一向に気持が浮き立たず、やがて、三十九歳の蕾を相手に、がぶがぶ茶碗酒ちゃわんざけをあおっても、ただ両人まじめになるばかりで、顔を見合せては溜息ためいきをつき、
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
我は狂歌をもっ俳諧はいかいと『松の葉』所載の小唄こうたならびに後世の川柳せんりゅう都々一どどいつの種類を一括してこれを江戸時代もっぱら庶民の階級にありて発達したる近世俗語体の短詩としてつつあるなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
働こうにも働かせてくれぬ社会にいつもペッペッとつばきをき、ののしりわめいている男が……私はこのような手紙には何としても返事が書けず、「あなたひとりに身も世も捨てた」と云う小唄こうたをうたって、誤魔化ごまかして暮していた。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
また途切とぎれがちな爪弾つまびき小唄こうたは見えざる河心かわなか水底みなそこ深くざぶりと打込む夜網の音にさえぎられると、厳重な御蔵おくらの構内に響き渡る夜廻りの拍子木が夏とはいいながらも早や初更しょこうに近い露の冷さに
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
顳顬こめかみ即功紙そっこうし張りて茶碗酒引かける流儀は小唄こうたの一ツも知らねば出来ぬことなるべく、藁人形わらにんぎょうに釘打つうしときまいり白無垢しろむくの衣裳に三枚歯の足駄あしだなんぞ物費ものいりを惜しまぬ心掛すでに大時代おおじだいなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その優美さ、仁侠にんきょうさ、礼儀正しい細やかなやり方、いずれにも見らるる愉快なぜいたくさ、すなわち、上は交響曲から下は太鼓に至るまで婚礼の一部となっていた音楽、舞踊、食卓の楽しい顔、穿うがちすぎた恋歌、小唄こうた、花火、打ち解けた談笑、冗談や大騒ぎ、リボンの大きな結び目。
小唄こうたにも、浮かれ浮かれて大川を、下る猪牙ちょき船影淡く、水にうつろうえり足は、紅の色香もなんじゃやら、エエまあ憎らしいあだ姿、という穏やかでないのがあるとおり、江戸も四月の声をきくとまず水からふぜいが咲いて、深川あたり大川の里、女もそろそろ色づくが、四月はまた仏にも縁が深い。