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室
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むろ
ふりがな文庫
“
室
(
むろ
)” の例文
播州の
室
(
むろ
)
ノ
津
(
つ
)
でも、遊女たちを教化している。当時の遊女たちにも、
今昔
(
こんじゃく
)
のない共通の女の悩みや反省があったことにはちがいない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
須走
(
すばしり
)
口に下山、第二回は吉田口から五合目まで馬で行き、そこの
室
(
むろ
)
に一泊、御中道を北から南へと
逆廻
(
ぎゃくまわ
)
りして、御殿場に下りた。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ところで備前にあった参河守範頼は、船のないのを良いことに、
室
(
むろ
)
や
高砂
(
たかさご
)
などで遊蕩にふけって、すっかり戦を忘れ果てていた。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
籠り居るという以上、
室
(
むろ
)
の薔薇にちがいないので、すると、薔薇の紅は文女だと、疎通しなかったのがふしぎなくらいだった。
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
読んでお夏が「我も
室
(
むろ
)
で育ちし故、母方が悪いの、
傾城
(
けいせい
)
の風があるのとて、何処の嫁にも嫌はるゝ、これぞ
宜
(
よ
)
い事幸ひと、
猶
(
なほ
)
女郎の風を似せ」
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
太田から
往昔
(
むかし
)
の佐野の渡しのあつた渡良瀬川を渡つて、安蘇山、都賀山の裾を掠めて、そして
下野
(
しもつけ
)
の
室
(
むろ
)
の
八島
(
やしま
)
の方へと出て行つたのであつた。
日光
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
大穴のやうな
室
(
むろ
)
の中に、すつぽり頭を包んで眼だけ出した酒男だちが、
室
(
むろ
)
の周囲三尺ほどの層を「もみがら」で埋めてゐる。
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
重昌は水路を
和泉國境
(
いづみのくにざかひ
)
へ出て、そこから更に乘船し、利安は陸路を播磨の
室
(
むろ
)
まで行つて、そこから乘船して中津川へ歸つた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これは
結婚
(
けつこん
)
に
先立
(
さきだ
)
つて、
新
(
あたら
)
しい
家
(
いへ
)
を
建
(
た
)
てる、その
新築
(
しんちく
)
の
室
(
むろ
)
の
讃
(
ほ
)
め
言葉
(
ことば
)
で、
同時
(
どうじ
)
に、
新婚者
(
しんこんしや
)
の
幸福
(
こうふく
)
を
祈
(
いの
)
る
意味
(
いみ
)
の
言葉
(
ことば
)
なのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
掃清めた広い土間に、
惜
(
おし
)
いかな、火の気がなくて、ただ冷たい
室
(
むろ
)
だった。妙に、日の
静寂間
(
しじま
)
だったと見えて、人の影もない。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また同じ国の
室
(
むろ
)
の
泊
(
とまり
)
についた時に、小舟が
一艘
(
いっそう
)
法然の船へ近づいて来た。何ものかと思えばこの泊の遊女の船であった。その遊女が云うのに
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこでその大神が出て見て、「これはアシハラシコヲの命だ」とおつしやつて、
呼
(
よ
)
び入れて蛇のいる
室
(
むろ
)
に寢させました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
望むのだね。哲学にしろ、宗教にしろ、芸術にしろ、何かかう自分以外のものに縋ってゐると気持がいいからね。だから君があの
室
(
むろ
)
のやうな街に魅力を
椅子と電車
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
隣の座敷では二人の小娘が声を
揃
(
そろ
)
えて、
嵯峨
(
さが
)
やお
室
(
むろ
)
の花ざかり。長吉は首ばかり
頷付
(
うなずか
)
せてもじもじしている。お糸が手紙を
寄越
(
よこ
)
したのは
一
(
いち
)
の
酉
(
とり
)
の
前
(
まえ
)
時分
(
じぶん
)
であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女は、数年前、江戸おかまいになる先から、そっと祠内の
根太
(
ねだ
)
をはがし根気よく地下を掘りさげて、床したの土中に、ちょっとした
室
(
むろ
)
を作っておいたのである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
西日の
室
(
むろ
)
のやうな部屋に歸るのは氣が進まなかつたが、會社に居る時間も辛かつた。
心懸
(
こゝろがけ
)
が惡くて、未だに
間着
(
あひぎ
)
の紺サアジを着て、汗みどろになつて居たのである。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
法然
(
ほうねん
)
様がある時
室
(
むろ
)
の
宿
(
しゅく
)
にお泊まりあそばしたとき、一人の遊女が道をたずねて来たことがある。そのとき法然様はどんなにねんごろに法を説き聞かせなすったろう。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その夜素戔嗚は人手を借らず、蜂の
室
(
むろ
)
と向ひ合つた、もう一つの室の中に、葦原醜男を抛りこんだ。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今は
三七二
老いて
室
(
むろ
)
の
外
(
と
)
にも出でずと聞けど、我が為には
三七三
いかにもいかにも捨て給はじとて、馬にていそぎ出でたちぬ。道
遥
(
はるか
)
なれば夜なかばかりに
蘭若
(
てら
)
に到る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
仲間のお
粂
(
くめ
)
に逢おうという、そういう約束があったがために、車屋町の隠れ家を出て、烏丸、
室
(
むろ
)
町、新町、
釜座
(
かまんざ
)
、
西洞院
(
にしのとういん
)
の町々を通って、千本お屋敷とご用地との間の
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
矢崎は明治十九年の十月には処女作『
守銭奴
(
しゅせんど
)
の
肚
(
はら
)
』を公けにし、続いて同じ年の暮れに『ひとよぎり』を出版し、二葉亭に先んじて
逸早
(
いちはや
)
く
嵯峨
(
さが
)
の
屋
(
や
)
お
室
(
むろ
)
の文名を成した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
東京などでも三月に
室
(
むろ
)
咲きの桃の花を求めて、雛祭りをするのをわびしいと思う者がある。去年の
柏
(
かしわ
)
の葉を塩漬にしておかぬと、
端午
(
たんご
)
の
節供
(
せっく
)
というのに
柏餅
(
かしわもち
)
は食べられぬ。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
吾妹子
(
わぎもこ
)
が
見
(
み
)
し
鞆
(
とも
)
の
浦
(
うら
)
の
室
(
むろ
)
の
木
(
き
)
は
常世
(
とこよ
)
にあれど
見
(
み
)
し
人
(
ひと
)
ぞ
亡
(
な
)
き 〔巻三・四四六〕 大伴旅人
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私が若し描くんなら燃えしきる焔の上に座って
室
(
むろ
)
咲の花に取り巻かれて居るのを描く。
千世子(三)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
関東の学者、道春以来、新井、
室
(
むろ
)
、
徂徠
(
そらい
)
、
春台
(
しゅんだい
)
らみな幕府に
佞
(
ねい
)
しつれども、その内に一、二箇所の取るべき所はあり。
伊藤仁斎
(
いとうじんさい
)
などは尊王の功もなけれども、人に益ある学問にて害なし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それで、ひとつこの若い神を
困
(
こま
)
らせてやろうとお思いになって、その晩、大国主神を、へびの
室
(
むろ
)
といって、大へび小へびがいっぱいたかっているきみの悪いおへやへお
寝
(
ね
)
かせになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
室
(
むろ
)
の方の話を纏めるにしても、浅井の力を借りないわけに行かなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
かつての「武蔵屋」のそれが露にめぐまれて咲いた野の花なら「伊勢勘」のそれはだまされて無理から咲いた「
室
(
むろ
)
」の花である。でなければ糊とはさみとによって出来た
果敢
(
はか
)
ない「造花」である。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
寂しそうに留守をしていた姪は、留守中に訪ねてくれた人達だの、種々な郊外の出来事だのを話して、ついでに、黒が植木屋の庭の裏手にある
室
(
むろ
)
の中で四
匹
(
ひき
)
ばかりの子供を産んだことを言出した。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
とき髪に
室
(
むろ
)
むつまじの百合のかをり消えをあやぶむ
夜
(
よ
)
の
淡紅色
(
ときいろ
)
よ
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
同じ花でもナオミは野に咲き、綺羅子は
室
(
むろ
)
に咲いたものです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
冬を眠り春は起き
出
(
づ
)
る田の
室
(
むろ
)
のぬめり
蛙
(
かはづ
)
か覺めつつあるらし
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
皆
(
みな
)
さんは、かような
石
(
いし
)
の
室
(
むろ
)
にはひつたことがありますか。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
さらば君氷にさける花の
室
(
むろ
)
恋なき恋をうるはしと云へ
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
松前や筑紫や
室
(
むろ
)
の混り唄帆を織る磯に春雨ぞ降る
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
文目
(
あやめ
)
もわかぬ
夜
(
よる
)
の
室
(
むろ
)
に濃き愁ひもて
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
室
(
むろ
)
の梅出し並べ置き
鶏
(
とり
)
うたひ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「——
室
(
むろ
)
で致しますのよ」
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
くらがりの冷えたる
室
(
むろ
)
に
寂寞
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
この青き愁の
室
(
むろ
)
に
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
室
(
むろ
)
を窺へ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
室
(
むろ
)
の津の港に、五六人のごまの蠅が、
干鰯
(
ほしか
)
のように砂地で転がっていた。そして、品のよい老女が通るのを見つけて、
賭
(
かけ
)
をした。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
陸
(
おか
)
で探るより、船で見る方が
手取
(
てっと
)
り早うございますよ。樹の根、
巌
(
いわ
)
の角、この巌山の
切崖
(
きりぎし
)
に、しかるべき
室
(
むろ
)
に見立てられる巌穴がありました。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山の中で、雪を売るということが、一方の
室
(
むろ
)
で、シトロンやミルクキャラメルを売っているのに対して、いかにも原始的で、室でやりそうな商いではないか。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
また次の日の夜は
呉公
(
むかで
)
と
蜂
(
はち
)
との
室
(
むろ
)
にお入れになりましたのを、また呉公と蜂の領巾を與えて前のようにお教えになりましたから安らかに寢てお出になりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
隣
(
となり
)
の
座敷
(
ざしき
)
では二人の
小娘
(
こむすめ
)
が声を
揃
(
そろ
)
へて、
嵯峨
(
さが
)
やお
室
(
むろ
)
の花ざかり。
長吉
(
ちやうきち
)
は首ばかり
頷付
(
うなづか
)
せてもぢ/\してゐる。お
糸
(
いと
)
が手紙を
寄越
(
よこ
)
したのは
一
(
いち
)
の
酉
(
とり
)
の
前時分
(
まへじぶん
)
であつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
求
(
もと
)
め
播州
(
ばんしう
)
室
(
むろ
)
の津に
到
(
いた
)
りけり當所は
繁華
(
はんくわ
)
の
湊
(
みなと
)
にて名に聞えたる
室
(
むろ
)
の
早咲町
(
はやざきまち
)
など
遊女町
(
いうぢよまち
)
軒
(
のき
)
を
連
(
つら
)
ねて在ければ吾助は例の
好色
(
かうしよく
)
者と言ひ懷中には二百兩の金もあり先此處にて
勞
(
つか
)
れを慰め
鬱
(
うつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
土間へ並べた青い物の気で店一体に
室
(
むろ
)
のようにゆらゆらと
陽炎
(
かげろう
)
が立っていた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天蓋山の
鉱山
(
かなやま
)
からも、また船津の城下からも、ひとしく二里の
道程
(
みちのり
)
を距てた、飛騨きっての歓楽境、例えば
室
(
むろ
)
の津、
潮来
(
いたこ
)
のような、遊君または
狡童
(
こうどう
)
などの売色の徒、館を並べ、
箏
(
こと
)
、笛、鼓
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妻も一しょに見た鞆の浦の
室
(
むろ
)
の
木
(
き
)
は、今も少しも変りはないが、このたび帰京しようとして此処を通る時には妻はもう此世にいない、というので、「吾妹子」と、「見し人」とは同一人である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
“室”の意味
《名詞》
(シツ)特に、身分の高い人の妻。内室。
(出典:Wiktionary)
室
常用漢字
小2
部首:⼧
9画
“室”を含む語句
室内
寝室
室中
内室
此室
船室
車室
居室
茶室
御内室
庵室
小室
御室
空室
客室
彼室
舞踏室
氷室
浴室
病室
...