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夥多
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あまた
ふりがな文庫
“
夥多
(
あまた
)” の例文
血だらけ、
白粉
(
おしろい
)
だらけ、手足、顔だらけ。刺戟の強い色を競った、
夥多
(
あまた
)
の看板の中にも、そのくらい目を引いたのは無かったと思う。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
という様なことが分ったばかりで、
如何
(
いか
)
なる名探偵と
雖
(
いえど
)
も、園内の
夥多
(
あまた
)
の人々の内から、真犯人を探し出すことは、殆ど不可能な仕事であった。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
輕
(
かろ
)
き
服裝
(
ふくさう
)
せる
船丁等
(
ボーイら
)
は
宙
(
ちう
)
になつて
驅
(
か
)
けめぐり、
逞
(
たく
)
ましき
骨格
(
こつかく
)
せる
夥多
(
あまた
)
の
船員等
(
せんゐんら
)
は
自己
(
おの
)
が
持塲
(
もちば
)
/\に
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
りて、
後部
(
こうぶ
)
の
舷梯
(
げんてい
)
は
既
(
すで
)
に
引揚
(
ひきあ
)
げられたり。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
心思
(
しんし
)
を磨き信仰に進み、愛と善との
業
(
わざ
)
を為し、霊の王国に来る時は
夥多
(
あまた
)
の勝利の
分捕物
(
ぶんどりもの
)
を以てわが主と我とを悦ばせよ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
二種
(
ふたいろ
)
加
(
くは
)
ゆるゆゑ如何程
重
(
おも
)
き
癲癇
(
てんかん
)
なりともたゞ一二服を服用すれば
忽地
(
たちまち
)
全快なさんこと
霜
(
しも
)
に
沸湯
(
にえゆ
)
を注ぐに等き世にも
怪有
(
けう
)
なる
奇劑
(
きざい
)
なるは是迄
夥多
(
あまた
)
の人に用ゐ
屡々
(
しば/\
)
功驗
(
こうけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
そして、風にゆらぐ繁葉の間から、隱れた月の光がぽろり/\と
夥多
(
あまた
)
の蛇の目の樣にひかつてこぼれるのを見ると、どうしても、おぞ氣がついてそこへ這入る氣になれない。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
当時
(
とうじ
)
の
習慣
(
しゅうかん
)
でございますから、むろん
命
(
みこと
)
の
御身辺
(
ごしんぺん
)
には
夥多
(
あまた
)
の
妃達
(
きさきたち
)
がとりまいて
居
(
お
)
られました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
たとえばここに一軒の家あらん。楼下は
陋
(
いや
)
しき一室にして、楼上には
夥多
(
あまた
)
の美室あり。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
目出度
(
めでた
)
いものは
芋
(
いも
)
の種」と申す文句でございます。「目出度いものは芋の種葉広く茎長く子供
夥多
(
あまた
)
にエヽ」と詰らん唄で、それを婆アさんが二人並んで大きな声で唄い、
目出度
(
めでたく
)
祝
(
しゅく
)
して帰る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
石鏃
石鏃
(
せきぞく
)
は
通例
(
つうれい
)
長さ六七分にして其形状一定せざれど、何れも一端
鋭
(
するど
)
く
尖
(
とが
)
り、左右常に
均整
(
きんせい
)
なり。此種の石器
夥多
(
あまた
)
の中には
石質美麗
(
せきしつびれい
)
、
製作緻密
(
せいさくちみつ
)
、實用に供するは惜ししと思はるる物無きに非ず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
ヰンクルの心に
夥多
(
あまた
)
の記念を喚起しました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そのむかし我に従ひし
夥多
(
あまた
)
の蛮民
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
雲の峰は崩れて遠山の
麓
(
ふもと
)
に
靄
(
もや
)
薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の
茜
(
あかね
)
に
染
(
そ
)
みて、
遠近
(
おちこち
)
の森の
梢
(
こずえ
)
に並ぶ
夥多
(
あまた
)
寺院の
甍
(
いらか
)
は
眩
(
まばゆ
)
く輝きぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
この
)
他
(
ほか
)
猶
(
な
)
ほ、
見
(
み
)
もし
聞
(
きゝ
)
もしたき
事
(
こと
)
は
澤山
(
たくさん
)
あつたが、
時刻
(
じこく
)
は
既
(
すで
)
に八
時
(
じ
)
に
近
(
ちか
)
く、
艇
(
てい
)
の
邊
(
へん
)
には
既
(
すで
)
に
夥多
(
あまた
)
の
水兵
(
すいへい
)
が
集
(
あつま
)
つて
來
(
き
)
て、
最早
(
もはや
)
工作
(
こうさく
)
の
始
(
はじ
)
まる
模樣
(
もやう
)
、
且
(
か
)
つは、
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
には
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして、
夥多
(
あまた
)
の肉団に取囲まれたまま、二羽の白鳥は静に目ざす
石階
(
いしだん
)
の下へと着きました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
負
(
おひ
)
しと
露知
(
つゆしら
)
ぬお光が
嫁入
(
よめいり
)
の支度の
好惡
(
よしあし
)
父親とも又お金とも相談して
調
(
とゝの
)
へければ
衣類
(
いるゐ
)
諸道具
(
しよだうぐ
)
今は殘らず
揃
(
そろ
)
ひたるに大家の事故先方にては
夥多
(
あまた
)
の支度ある事にて未だ
調
(
とゝの
)
はぬか
婚姻
(
こんいん
)
の日を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
未来を論じつつ
矢鳩答毒
(
しきゅうとうどく
)
を飲みしソクラット、異郷ラベナに放逐されしダンテ、その他
夥多
(
あまた
)
の英霊は今は余の親友となり、詩人リヒテルとともに天の使に導びかれつつ、球より球まで、星より星まで
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
さるにても
暢気
(
のんき
)
の
沙汰
(
さた
)
かな。我に
諂
(
へつら
)
い我に
媚
(
こ
)
ぶる
夥多
(
あまた
)
の男女を客として、
貴
(
とうと
)
き身を
戯
(
たわむれ
)
に
謙
(
へりくだ
)
り、商業を
玩弄
(
もてあそ
)
びて、
気随
(
きまま
)
に一日を遊び暮らす。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
花卉
(
かき
)
、石材、ガラス板、セメント、鉄材、
等
(
など
)
の註文書が、或は註文の使者が、遠くは南洋の方までも送られ、
夥多
(
あまた
)
の土方、大工、植木職などが続々として各地から召集されました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
立退
(
たちの
)
き
夥多
(
あまた
)
の年を
過
(
すご
)
したれば
我幼顏
(
わがをさながほ
)
も變り
果
(
はて
)
見知る者無るべし
然
(
さら
)
ば兩三年の内には是非々々
大望
(
たいまう
)
の
企
(
くはだ
)
てに
取掛
(
とりかゝ
)
るべし夫に付ては
金子
(
きんす
)
なくては事
成就
(
じやうじゆ
)
し
難
(
がた
)
し率や是よりは金子の
調達
(
てうだつ
)
に掛らん物を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
果
(
は
)
ては
無聊
(
ぶれう
)
に
堪
(
た
)
え
兼
(
か
)
ねて
頻
(
しき
)
りに
腕
(
うで
)
をさすつて
居
(
ゐ
)
たが、
其内
(
そのうち
)
に
夕刻
(
ゆふこく
)
にもなると、
此
(
この
)
時刻
(
じこく
)
は
航海中
(
かうかいちう
)
、
軍艦乘組員
(
ぐんかんのりくみゐん
)
の
最
(
もつと
)
も
樂
(
たの
)
しき
時
(
とき
)
、
公務
(
こうむ
)
の
餘暇
(
よか
)
ある
夥多
(
あまた
)
の
士官
(
しくわん
)
水兵
(
すいへい
)
は、
空
(
そら
)
高
(
たか
)
く、
浪
(
なみ
)
青
(
あを
)
き
後部甲板
(
こうぶかんぱん
)
に
集
(
あつま
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
島には鎌倉殿の
定紋
(
じょうもん
)
ついた
帷幕
(
まんまく
)
を
引繞
(
ひきめぐ
)
らして、威儀を正した
夥多
(
あまた
)
の神官が詰めた。紫玉は、さきほどからここに控えたのである。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
島には鎌倉殿の
定紋
(
じょうもん
)
ついた
帷幕
(
まんまく
)
を
引繞
(
ひきめぐ
)
らして、威儀を正した
夥多
(
あまた
)
の神官が詰めた。紫玉は、さきほどからこゝに控へたのである。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲荷堂の、
背裏
(
うしろ
)
から、もぞもぞと這出して、落ちた長襦袢に掛って、両手に
掴
(
つか
)
んだ、葛木を仰ぎ見て、
夥多
(
あまた
)
たび押頂いたのは赤熊である。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
能登
(
のと
)
、
越中
(
ゑつちう
)
、
加賀
(
かが
)
よりして、
本願寺
(
ほんぐわんじ
)
まゐりの
夥多
(
あまた
)
の
信徒
(
しんと
)
たちが、
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
殆
(
ほとん
)
ど
色絲
(
いろいと
)
を
織
(
お
)
るが
如
(
ごと
)
く、
越前
(
ゑちぜん
)
——
上街道
(
かみかいだう
)
を
往來
(
ゆきき
)
した
趣
(
おもむき
)
である。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この
住居
(
すまい
)
は狭かりけれど、奥と店との間に
一
(
ひとつ
)
の池ありて、金魚、
緋鯉
(
ひごい
)
など
夥多
(
あまた
)
養いぬ。
誰
(
た
)
が飼いはじめしともなく古くより持ち伝えたるなり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
広岡の庭には実のなる樹ども
夥多
(
あまた
)
ありし、中にも何とかいう一種李の実の、またなく
甘
(
うま
)
かりしを今も忘れず。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠
(
かれ
)
は
清国
(
しんこく
)
の富豪
柳氏
(
りゅうし
)
の家なる、奥まりたる一室に
夥多
(
あまた
)
の
人数
(
にんず
)
に取囲まれつつ、
椅子
(
いす
)
に懸りて
卓
(
つくえ
)
に向へり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠
(
かれ
)
は
清国
(
しんこく
)
の富豪
柳
(
りゅう
)
氏の家なる、奥まりたる一室に
夥多
(
あまた
)
の
人数
(
にんず
)
に取囲まれつつ、椅子に
懸
(
かか
)
りて
卓
(
つくえ
)
に向えり。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天守の千畳敷へ打込んだ、関東勢の
大砲
(
おおづつ
)
が炎を吐いて転がる中に、淀君をはじめ、
夥多
(
あまた
)
の美人の、
練衣
(
ねりぎぬ
)
、
紅
(
くれない
)
の
袴
(
はかま
)
が
寸断々々
(
ずたずた
)
に、城と一所に滅ぶる景色が、目に見える。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、貴女を船に送出す時、
磯
(
いそ
)
に倒れて悲しもうが、新しい白壁、
艶
(
つや
)
ある
甍
(
いらか
)
を、山際の月に照らさして、
夥多
(
あまた
)
の
奴婢
(
ぬひ
)
に取巻かせて、近頃呼入れた、若い
妾
(
めかけ
)
に介抱されていたではないのか。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斜
(
ななめ
)
に甲羅を、板に添って、手を掛けながら、するすると泳ぐ。これが、
棹
(
さお
)
で操るがごとくになって、
夥多
(
あまた
)
の
可
(
いい
)
心持に乾いた亀の子を、カラカラと
載
(
の
)
せたままで、水をゆらゆらと流れて辷った。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
椿 そのほか、
夥多
(
あまた
)
の
道陸神
(
どうろくじん
)
たち、こだますだま、
魑魅
(
ちみ
)
、
魍魎
(
もうりょう
)
。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“夥多”の意味
《名詞》
非常に多いこと。夥しいこと。
(出典:Wiktionary)
夥
漢検1級
部首:⼣
14画
多
常用漢字
小2
部首:⼣
6画
“夥多”で始まる語句
夥多敷