“あまた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アマタ
語句割合
数多68.5%
夥多10.5%
許多9.2%
數多5.0%
幾多1.3%
甘垂1.3%
多数0.8%
0.4%
0.4%
天窓0.4%
天足0.4%
巨多0.4%
0.4%
数々0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
肴屋さかなや、酒屋、雑貨店、その向うに寺の門やら裏店うらだなの長屋やらがつらなって、久堅町ひさかたまちの低い地には数多あまたの工場の煙筒えんとつが黒い煙をみなぎらしていた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
という様なことが分ったばかりで、如何いかなる名探偵といえども、園内の夥多あまたの人々の内から、真犯人を探し出すことは、殆ど不可能な仕事であった。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
巨匠オオギュスト・ロダンの仕事場になっているオテル・ビロンでロダンは晴やかな顔つきをして、許多あまたの半成品を見渡している。
あいちやんは其處そこ彼等かれらまはるのをて、偶々たま/\自分じぶん以前まへしうに、數多あまた金魚鉢きんぎよばちくりかへしたときざまおもおこしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そうしてうす暗い夜の世界がべられると蝙蝠こうもりのように夜だけ羽をひろげて飛び廻る女供を狙う幾多あまたの男が、何処からともなく寒いのも打ち忘れてぞろぞろと出て来る。
女給 (新字新仮名) / 細井和喜蔵(著)
祖母に強求ねだる、一寸ちょっと渋る、首玉くびったまかじいて、ようようと二三度鼻声で甘垂あまたれる、と、もう祖母は海鼠なまこの様になって、およし——母の名だ——彼様あんなに言うもんだから、買って来てお遣りよ、という。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あまり一時に多数あまたの人を会合させるとかえって雑沓ざっとうするからそういう時は幾種いくしゅにも区別して先ず第一は会費二円の食道楽会を毎月一回開く。第二は一円の会費でこれも毎月開く。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「我、兄とつりばりを易へて、その鉤を失ひつ。ここにその鉤を乞へば、あまたの鉤を償へども、受けずて、なほその本の鉤を得むといふ。かれ泣き患ふ」
みことを仰ぎ待ちつる間に、已にあまたの年を經て、姿體かほかたちやさかかじけてあれば、更に恃むところなし。
えらびて立派に婚姻こんいん取結とりむすぶに二個ふたりおもおもはれし中なれば其親みは一方ならす男女あまたの子をまうけしに中なる一にんは成長の後有馬家ありまけ召出めしいだされ家臣と成て大藤の家名を再興し武左衞門は一生を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と太い声して、ちと充血した大きなひとみをぎょろりと遣る。その風采ふうさい、高利を借りた覚えがあると、天窓あまたから水を浴びそうなが、思いの外、温厚な柔和な君子で。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あまはらふりさければ大王おほきみ御寿みいのちなが天足あまたらしたり 〔巻二・一四七〕 倭姫皇后
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ことに此老人を殺してそれが為に得の行くのは唯此藻西太郎一人いちにんだ、老人は巨多あまたの財産を持て居て、しにさえすれば甥の藻西へ転がり込む様になって居る、のみならず老人の殺されたのは昨夜の事で
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
わめき叫びながら、むらがり寄せる敵をさんざんに駈けなやましたが、わずかな手兵はしだいに討ち取られ、吉信もついにあまた𤺨きずを負った。かたな折れ、矢つきたのである。
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
播磨風土記はりまふどき』の多可郡の条にも巨人が南海から北海に歩んだと伝えて、そのゆる迹処あとどころ数々あまた沼を成すと記してある。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もとより慣れぬ徒歩かちなれば、あまたたび或は里の子が落穗おちぼ拾はん畔路あぜみちにさすらひ、或は露に伏すうづらとこ草村くさむら立迷たちまようて、絲より細き蟲のに、覺束なき行末をかこてども、問ふに聲なき影ばかり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)