甘垂あまた)” の例文
主人しゆじんあやかりたいもとに、甘垂あまたるい金玉糖きんぎよくたう幾切いくきれ頬張ほゝばつた。これはさけみ、ちやみ、めし菓子くわしへるやう出來できた、重寶ちようはう健康けんかうをとこであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
祖母に強求ねだる、一寸ちょっと渋る、首玉くびったまかじいて、ようようと二三度鼻声で甘垂あまたれる、と、もう祖母は海鼠なまこの様になって、およし——母の名だ——彼様あんなに言うもんだから、買って来てお遣りよ、という。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
主人は肖りたい名のもとに、甘垂あまたるい金玉糖きんぎょくとうを幾切か頬張ほおばった。これは酒も呑み、茶も呑み、飯も菓子も食えるようにできた、重宝で健康な男であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)