器物きぶつ)” の例文
器物きぶつとしてはつごうがいことをもつたので、青銅器時代せいどうきじだいをはごろには、混合こんごう歩合ぶあひがたいていこのわりあひになつてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
衰破すゐは斷滅だんめつし其屋敷あとはたとなりてのこれり其中に少しのをかありて時々とき/″\ぜに又は其外そのほか種々いろ/\器物きぶつなど掘出ほりだす事ある由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
声色せいしよく飲食いんしよくは、その美なるをこのまず、第宅ていたく器物きぶつはその奇なるを要せず、あれば則ちあるにしたがひてこれを楽しみ、無くば則ち無きにまかせて晏如あんじよたり。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金庫きんこ書庫しよこ土藏どぞうにはおの/\おほきさに相應そうおうする器物きぶつたとへば土藏どぞうならばばけつ)にみづくこと。これは内部ないぶ貴重品きちようひん蒸燒むしやきになるのをふせぐためである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さけあぶらのにおいが、周囲しゅういかべや、器物きぶつにしみついていて、よごれたガラスまどから光線こうせんにぶうえに、たばこのけむりで、いつも空気くうきがどんよりとしていました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
勘次かんじ平生へいぜいなんともおもはなかつた器物きぶつにしみ/″\と便利べんりかんじた。かれ藥鑵やくわんのまだあつ茶碗ちやわんいで彼等かれらちつけるたゞまいむしろはしいこうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其所そこにも摺硝子すりがらすまつた腰障子こししやうじが二まいててあつた。なかでは器物きぶつあつかおとがした。宗助そうすけけて、瓦斯七輪ガスしちりんいたいた蹲踞しやがんでゐる下女げぢよ挨拶あいさつをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その眼は澄みきつて、レンズのやうで、むしろ生き物のものといふよりは器物きぶつのやうであつた。縁側に吊した金魚鉢か何かのやうに、こはれ易く、庭の緑を映してゐるやうなものであつた。
亡弟 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
東游記とういうきに越前国大野領の山中に化石渓くわせきたにあり。何物にても半月あるひは一ヶ月此たにひたしおけばかならず石に化す、器物きぶつはさらなり紙一そくわらにてむすびたるが石にくわしたるを見たりとしるせり。
針目博士は、はじめのうちは、器物きぶつを投げることをひかえていた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それらの器物きぶつ今日こんにちではたいていつちうづもれてえなくなつたり、こはれてなくなつてしまつて、のこつてゐるものははなはすくないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一秒間いちびようかん二三回にさんかい繰返くりかへされるほどの急激きゆうげきなものであつたならば、木造家屋もくぞうかおく土藏どぞう土壁つちかべおとし、器物きぶつたなうへから轉落てんらくせしめるくらゐのことはありべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれ灰燼くわいじんなかからなべかま鐵瓶てつびん器物きぶつをだん/\と萬能まんのうさきからした。鐵製てつせい器物きぶつかたちたもつてても悉皆みんな幾年いくねん使つかはずにすててあつたものゝやうにかはつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
東游記とういうきに越前国大野領の山中に化石渓くわせきたにあり。何物にても半月あるひは一ヶ月此たにひたしおけばかならず石に化す、器物きぶつはさらなり紙一そくわらにてむすびたるが石にくわしたるを見たりとしるせり。
かざりつきのつぼだとか、またくちのついたしびんのようなかたちをしたものもありますが、なかにも不思議ふしぎなのははさふといふ器物きぶつです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それゆゑあまおほきくない地震ぢしんたとへばやうや器物きぶつ顛倒てんとう土壁つちかべそん粗造そぞう煉瓦れんが煙突えんとつ損傷そんしようするにとゞまる程度ていどおいても、石燈籠いしどうろう顛倒てんとうによつて兒童じどう壓死者あつししやすことがめづらしくない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)