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値
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あたい
ふりがな文庫
“
値
(
あたい
)” の例文
幸三
(
こうぞう
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
働
(
はたら
)
いたことが、これほどの
報酬
(
ほうしゅう
)
に
値
(
あたい
)
するとは
思
(
おも
)
われなかったので、すまぬ
気
(
き
)
がして
受
(
う
)
け
取
(
と
)
ることをためらっていますと
新しい町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(女子に向かい)明日の
贈物
(
かずけもの
)
の貴女のお顔を皆の者にお見せ下されて、贈物がどのように美しく気高く
値
(
あたい
)
あるかをお知らせなされませ。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
友人はこれを聞き、カッとしてわが胸中に
湧
(
わ
)
きいずる同情の海に比ぶれば二千、三千の金はその一
滴
(
てき
)
にだも
値
(
あたい
)
せずと
絶叫
(
ぜっきょう
)
したと聞いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
今日における我々日本の青年の
思索
(
しさく
)
的生活の半面——
閑却
(
かんきゃく
)
されている半面を比較的
明瞭
(
めいりょう
)
に指摘した点において、注意に
値
(
あたい
)
するものであった。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
否
(
いや
)
、公平な判定さ。個人としては誠実で申分ありませんが、一般とすると未だ封建思想が抜け切っていませんから、
寧
(
むし
)
ろ
憐憫
(
れんびん
)
に
値
(
あたい
)
しますよ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
しかもそれが妻を売る
値
(
あたい
)
だという。もってのほかと言うべきところへ、あまつさえそのお艶もすでに家を出ているではないか。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれどもそれは
全
(
まった
)
く、作者に
未知
(
みち
)
な
絶
(
た
)
えざる
驚異
(
きょうい
)
に
値
(
あたい
)
する世界
自身
(
じしん
)
の
発展
(
はってん
)
であって、けっして
畸形
(
きけい
)
に
捏
(
こ
)
ねあげられた
煤色
(
すすいろ
)
のユートピアではない。
『注文の多い料理店』新刊案内
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それはこんな
淋
(
さび
)
しい
田舎暮
(
いなかぐら
)
しのような高価な
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
うだけの
値
(
あたい
)
は十分にあると言っていいほどな、人知れぬ
悦楽
(
えつらく
)
のように思われてくるのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
瀕死
(
ひんし
)
のハルクは、ただ一人、とうとうこの倉庫のおくに、とじこめられてしまった。まったく同情に
値
(
あたい
)
することだった。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ほ。この
忠顕
(
ただあき
)
の世話を、お辺は、さまで心に
銘
(
めい
)
じていてくれたか。いや
珍重
(
ちんちょう
)
に
値
(
あたい
)
する。近ごろは信義もすたれ、
軽佻
(
けいちょう
)
な奴らばかりが多い中でよ」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
特に結句の、「月照りにけり」は、ただ一つ万葉にあって、それが家持の句だということもまた注目に
値
(
あたい
)
するのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
あなたが、憎むにも
値
(
あたい
)
しない、哀れまれるべきなだけの男だとわかったのです。私は、二度とあなたという存在に、わずらわされることもないでしょう。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
彼の超然とした態度はたとい外観だけにもせよ、敬服に
値
(
あたい
)
すべきだと私は考えました。彼と私を頭の中で並べてみると、彼の方が
遥
(
はる
)
かに立派に見えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
ここ
)
に二十余年を送り
来
(
きた
)
った重太郎自身に取っては、人間の身分や階級などは、何の
値
(
あたい
)
も無いものであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恕
(
ゆる
)
したまえ妾をお忘れ下されたし君には
値
(
あたい
)
なき妾に御心ひろくもたれよ再び妾を見んことを求めたまいそ
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
江戸演劇は既に通俗なる平民芸術にはあらで貴重なる
骨董
(
こっとう
)
となりし事あたかも
丹絵売
(
たんえうり
)
が一枚
幾文
(
いくもん
)
にて街頭にひさぎたる浮世絵の今や数百金に
値
(
あたい
)
すると異なる事なし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
コスのアスクレーピオス医聖の
廟
(
びょう
)
に掲ぐるための作で、百タレンツ今の約二十万円を
値
(
あたい
)
した。アペルレースの人となり至って温良故、アレキサンダー王の殊寵を得た。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
実に旧約聖書はその歴史部を終えて教訓部に入るや、劈頭第一に異邦の地名を掲げ、異邦人ヨブの実験を語らんとするのである。これ真に
今人
(
こんじん
)
の驚異に
値
(
あたい
)
することである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いずれにしてもこの方は前述の百分の二粍などという
値
(
あたい
)
よりも、ずっと大きくなりそうである。
立春の卵
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
胆
(
きも
)
は皮ハギのそれに似てそれよりもおいしく、腹の卵粒も珍賞に
値
(
あたい
)
したのであった。
淡紫裳
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
なお
子細
(
しさい
)
に注意すると、花の形でも
萼
(
がく
)
でも、注意に
値
(
あたい
)
せぬものはほとんどない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「奥羽行脚」から引続いて、幻住庵時代の芭蕉は最も研究に
値
(
あたい
)
するものがある。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
さはれ左千夫の実験談は参考の材料として聞き置くべき
値
(
あたい
)
あり。(四月十四日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ボートルレ君の話は十分聞くだけの
値
(
あたい
)
があります。ボートルレ君の鋭い頭を持っていることはなかなかの評判で、英国の名探偵エルロック・ショルムス氏の
好
(
い
)
い
対手
(
あいて
)
とさえいわれているのですよ。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「やはり、うなどんぐらいの壮行会には
値
(
あたい
)
するかね。はっはっはっ。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「市場では
錦葵
(
きんき
)
の
値
(
あたい
)
がひどく
安
(
やす
)
い、これこそめっけものだよ」
酒友
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これに反し、張りきっておって、二十
貫目
(
かんめ
)
の力を二十貫目
始終
(
しじゅう
)
手先きや足先きに現す者は感心はするけれども、
吾人
(
ごじん
)
の深い尊敬に
値
(
あたい
)
しない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それこそ
伊那丸
(
いなまる
)
さまへたいしてぬぐわれざる
不忠不義
(
ふちゅうふぎ
)
! 腹を切っておわびしても、その
大罪
(
だいざい
)
をつぐなうには
値
(
あたい
)
しない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
戦慄
(
せんりつ
)
に
値
(
あたい
)
する報告書を前に、司令部の幕僚は、
流石
(
さすが
)
に黙して、何も語らなかった。果して彼等の胸中には、勝算ある作戦計画が秘められているのであろうか。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
君のような敏感者から見たら、僕ごとき
鈍物
(
どんぶつ
)
は、あらゆる点で
軽蔑
(
けいべつ
)
に
値
(
あたい
)
しているかも知れない。僕もそれは承知している、軽蔑されても仕方がないと思っている。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あ、それは、それは、じゃ、
先日
(
せんじつ
)
の
値
(
あたい
)
で
売
(
う
)
ってくださるか。」と、
金持
(
かねも
)
ちは、
大喜
(
おおよろこ
)
びでした。そして、
男
(
おとこ
)
の
出
(
だ
)
した
仏像
(
ぶつぞう
)
を
押
(
お
)
しいただいて、
眼鏡
(
めがね
)
をかけてじっと
見
(
み
)
ましたが
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
日々死に面する如き迫害にありて生命と勇気に
充溢
(
じゅういつ
)
しているその心理状態は、実に驚異に
値
(
あたい
)
するものではないか。これをヨブの哀哭と比して
霄壌
(
しょうじょう
)
の差ありというべきである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「文学士田中謙一郎君慰労会」といったように覚えている。それくらい学問は苦しいものと思われていた。謙一郎君は町会の慰労に
値
(
あたい
)
するほど勉強した
所為
(
せい
)
か、間もなく肺病で
殪
(
たお
)
れてしまった。
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
植物でも自家受精、すなわち自家結婚だと自然種子が弱いので、そこで他家受精すなわち他家結婚して
強壮
(
きょうそう
)
な種子を作ろうというのだ。植物でこんな
工夫
(
くふう
)
をしているのはまことに
感嘆
(
かんたん
)
に
値
(
あたい
)
する。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
山門に限らず
仏語
(
ぶつご
)
には漢音の用語多し。さてこの句の
値
(
あたい
)
を論ぜんに、
固
(
もと
)
より余韻ある句にあらねど一句のしまりてたるみなき処
名人
(
めいじん
)
の作たるに相違なく、
将
(
は
)
た冬至の句としては上乗の部に入るべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
驚異には
値
(
あたい
)
していたが、不思議と恐怖には値していなかった。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
頼春は、
値
(
あたい
)
をきいて、
販
(
ひさ
)
ぎ
女
(
め
)
の手に
銭
(
ぜに
)
をわたし、
早々
(
そうそう
)
に追い立てたが、女はぬかずいたまま、縁の上の尊氏の姿へ
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は従来地方に行き、よく教師の悪口を
忌憚
(
きたん
)
なく
吐
(
は
)
いた。また教師の中には悪口に
値
(
あたい
)
するものも
数多
(
あまた
)
ある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼は今更ながら彼の級友が、彼の
侮蔑
(
ぶべつ
)
に
値
(
あたい
)
する以上のある動機から、貴重な時間を惜しまずに、相国寺へ行ったのではなかろうかと考え出して、自分の軽薄を深く恥じた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああ、金博士は、
驚異
(
きょうい
)
に
値
(
あたい
)
する人物だ。一体あの人は、中国人かね、それとも日本人かね」
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さだめし
高価
(
こうか
)
のものであろうと
思
(
おも
)
いながら
聞
(
き
)
いてみますと、はたして
相当
(
そうとう
)
な
値
(
あたい
)
でした。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この両節の如きは、古代博物学の資料として
値
(
あたい
)
あるものである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
……そのような下郎の暴言、いや一徹など、ご失笑にも
値
(
あたい
)
せぬかとぞんじますが、しかしいつか
信
(
しん
)
をなしてくる一般の誤解ほど恐ろしきはございませぬ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汽車中では報知に
値
(
あたい
)
するような事が別に起りませんでした。先方へ着いても、風呂へ入ったり、飯を食ったり、茶を飲んだりする間は、これといって目に着く点もなかったのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
がその
山
(
やま
)
へ、
友
(
とも
)
だちにも
告
(
つ
)
けずに、らんを
探
(
さが
)
しにいったのは、すぐ
後
(
のち
)
のことです。じつをいえば、
矛盾
(
むじゅん
)
と
恥
(
は
)
じますが、
花
(
はな
)
の
美
(
び
)
にあこがれるよりは、一
万円
(
まんえん
)
に
値
(
あたい
)
するらんを
探
(
さが
)
すためだったのです。
らんの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それからのちの、アンの働きぶりは、
驚嘆
(
きょうたん
)
に
値
(
あたい
)
するものがあった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
値
(
あたい
)
として、彼は、御所の一財務官に過ぎない勤めと、十年一日のような平々凡々を、ひとり愛していた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、あの
仏像
(
ぶつぞう
)
がいいものであって、
値
(
あたい
)
が
高
(
たか
)
く
売
(
う
)
れたら、どんなにしあわせだろう。
俺
(
おれ
)
は、たくさんの
田地
(
でんち
)
を
買
(
か
)
うし、また、
諸国
(
しょこく
)
を
見物
(
けんぶつ
)
にも
出
(
で
)
かけるし、りっぱな
着物
(
きもの
)
も
造
(
つく
)
ることができるだろう。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そうしてそれが君の
軽蔑
(
けいべつ
)
に
値
(
あたい
)
する
所以
(
ゆえん
)
なんだ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
歪
(
ま
)
げて、自分一存の計らいを取りおきましたことは罪万死に
値
(
あたい
)
いたしまする。法は
紊
(
みだ
)
すべからずです。今日参上いたしましたのも、まったくは唯、そのご処分を
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
値
常用漢字
小6
部首:⼈
10画
“値”を含む語句
価値
價値
安値
値切
値打
高値
報道価値
値踏
数値
無価値
新聞価値
買値
値嘉島
値段
懸値
掛値
値遇
幾値
棄値
卸値
...