“体裁:ていさい” の例文
“体裁:ていさい”を含む作品の著者(上位)作品数
夏目漱石9
太宰治4
村井弦斎3
森鴎外3
永井荷風3
“体裁:ていさい”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史40.0%
芸術・美術 > 絵画 > 日本画2.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
もっとも今日こんにちの保吉は話の体裁ていさいを整えるために、もっと小説の結末らしい結末をつけることも困難ではない。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御互に体裁ていさいの好い事ばかり云い合っていては、いつまでったって、啓発されるはずも、利益を受ける訳もないのです。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やくにもたぬものを、体裁ていさいだけでごまかすなんて、ほんとうにわるいことだな。」と、いわれたのでした。
正二くんの時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
万事が打算的で、体裁ていさいばかりで、いやにこせこせ突ッ付き廻したがるんで、僕はちくちく刺されどうしに刺されているんです。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうですあたったでしょう。あたしはあなたがなぜそんな体裁ていさいを作っているんだか、その原因までちゃんと知ってるんですよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれは歌を読むのをやめて、体裁ていさいから、組み方から、表紙の絵から、すべて新しい匂いに満たされたその雑誌にあこがれ渡った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それについてそれをフィロソフィーにしよう——それをまあこじつけてフィロソフィーにして演説の体裁ていさいにしようというのです。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その上部には西洋の御城のように、形儀ぎょうぎよく四角なあなをいくつも開けて、一ぱしやぐら体裁ていさいを示している。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山の芋などはどうでも構わんと思ったが、盗難品は……と云いかけてあとが出ないのはいかにも与太郎よたろうのようで体裁ていさいがわるい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
巴里パリーの巴里たる体裁ていさいは寺院宮殿劇場等の建築があればたとえ樹と水なくとも足りるであろう。
余はこの体裁ていさいを一見するや否や、台所で下男がめしき込んでるんじゃなかろうかと考えた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
右は我が邦今日の有様にて洋学を開く次第を述べたるのみ。年月を経るにしたがい学風の進歩することあらば、その体裁ていさいもまた改まるべし。
製本の体裁ていさいからしてがすでにスペンサーの綜合哲学そうごうてつがくに類した古風なものである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然れども大正年間に及びていはゆる新傾向の称道を見るに至り俳諧も遂に本来の面目めんもく体裁ていさいを破却せられ漸く有名無実のものとならんとす。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ことに室津は都近い船着きであったから、遊里の体裁ていさいをなすまでに繁昌したものと見えます。
もともと、抜け目の無い男で、「オベリスク」の編集は世間へのお体裁ていさい、実は闇商売やみしょうばいのお手伝いして、いつも、しこたま、もうけている。
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
私は生れてから、こんなに体裁ていさいの悪い思ひをした事は無いよ。本当にひどいよ。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
というと体裁ていさいがいいが、その実、このカフェの持主の喜多村次郎きたむらじろう邸宅ていたくにして同時に五人ばかりの女給が宿泊するように出来ている家で
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてその体裁ていさいをして荒涼なるジェネアロジックの方向を取らしめたのは、あるいはかのゾラにルゴン・マカアルの血統を追尋させた自然科学の余勢でもあろうか。
なかじきり (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それは、むろん、ここの共同生活の体裁ていさいをととのえるために必要なのではない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
こんなふうに寿司屋は体裁ていさいではグングンと万事に改良し進歩を示している。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
が、話の体裁ていさいは?——芸術は諸君の云うように何よりもまず内容である。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いびつになった顔は、たしかにあまり体裁ていさいいものじゃない。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
勿論その住民の階級職業によって路地は種々異った体裁ていさいをなしている。
湯壺は去年まで小屋掛こやがけのようなるものにて、その側まで下駄げたはきてゆき、男女ともに入ることなりしが、今の混堂立ちて体裁ていさいも大にととのいたりという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此方こなたには具足櫃ぐそくびつがあつたり、ゆみ鉄砲抔てつぱうなど立掛たてかけてあつて、ともいかめしき体裁ていさい何所どこたべさせるのか
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
(無論自然死ではないのだ)二川家では過失で多量の催眠剤を呑んだ為かも知れないと、新聞記者に話したが、それは一つの体裁ていさいであって、過失という事は全然あり得ないのだった。
黄鳥の嘆き (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
しかし其体裁ていさい措辞そじは大概窺知きちせられるであらう。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かかる苦心は近頃やまい多く気力乏しきわが身のふる処ならねば、むしろ随筆の気儘なる体裁ていさいをかるにかじとてかくは取留とりとめもなく書出かきいだしたり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
初めてあなたとぼくに気づくと、こちらが照れてしまうほどになり、大きな身体からだをもじもじさせ、スカアトのひだを直したりして体裁ていさいつくろってから
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ああ云うものは当世の情事好いろごとごのみのすることで武人の血を引く石ノ上ノ綾麻呂の息子ともあろうものが、あんなものにかぶれるなどと云うことは大体、体裁ていさいがよくないからな。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
その外体裁ていさいを変えれば色々の料理が出来ますから少しは御自分で工風くふうして御覧なさいまし。私どもでは日本料理の玉子酢から西洋料理の淡雪あわゆきソースというものを工風致しました。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それで津村は、自分の家の祖母が亡くなった年の冬、百ヶ日の法要を済ますと、親しい者にも其の目的は打ち明けずに、ひとり飄然ひょうぜんと旅におもむ体裁ていさいで、思い切って国栖村へ出かけた。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私のたたかい。それは、一言で言えば、古いものとのたたかいでした。ありきたりの気取りに対するたたかいです。見えすいたお体裁ていさいに対するたたかいです。ケチくさい事、ケチくさい者へのたたかいです。
美男子と煙草 (新字新仮名) / 太宰治(著)
自分が直接に長蔵さんと応対している間は、人格も何も忘れているんだが、自分が赤毛布になって、君もうかるんだぜと説得されている体裁ていさいを、自分がわきへ立って見た日にはかたなしである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「たいていこういうふうにしようと思うんだ。沢田(印刷所)にも相談してみたが、それがいいだろうと言うんだけれど、どうも中の体裁ていさいはあまり感心しないから、組み方なんかは別にしようと思うんだがね」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
こんな体裁ていさいのいい偽善はない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを無理矢理に体裁ていさいつくろって半間はんまに調子を合せようとするとせっかくの慰藉いしゃ的好意が水泡と変化するのみならず、時には思いも寄らぬ結果を呈出して熱湯とまで沸騰ふっとうする事がある。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まぎれもなく敬太郎に分らせようとするには、往来を驚ろかすほどな大きな声で叫ぶに限ると云ってもいいくらいなものだが、そう云う突飛とっぴなよほどな場合でも体裁ていさいを重んずる須永のような男にできるはずがない。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佐吉さんが何も飲まないのだから、私一人で酔っぱらって居るのも体裁ていさいが悪く、頭がぐらぐらして居ながらも、二合飲みほしてすぐに御飯にとりかかり、御飯がすんでほっとする間もなく、佐吉さんが風呂へ行こうと私を誘うのです。
老ハイデルベルヒ (新字新仮名) / 太宰治(著)
考えてみると、道江の問題について、これまで自分のとって来た態度のすべては、要するにお体裁ていさいであり、偽善であり、下劣げれつな自尊心の満足であり、劣等感れっとうかんをごまかすための虚勢きょせいでしかなかったのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
まだほかにお芋の使い方はございませんか」お登和「体裁ていさいをかえればまだ色々なものになりますが、湯煮て裏漉うらごしにしてお芋を一日しておもちく時お米と一所に蒸して搗き込みますと大層美味しいお餅が出来ます。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
正面にはコンクリートの上に緑色の文字で山の手ビルディングと浮き出させ、一おうの体裁ていさいは整っておりますが、中はまだほんとうに修復が出来ていないらしく、何んとなく殺風景で、明るい太陽の下で見ると、人間が住んでいそうもありません。
九つの鍵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
酒屋さかやのおじさんが、あのおとこは、べつに仕事しごともせず、競輪けいりんや、競馬けいばで、もうけたかねで、ぶらぶらしてらすんですって。そして、お体裁ていさいにあんなよけ眼鏡めがねをかけているのだって。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
変ったといっても店の体裁ていさいや職人小僧のたぐい、お客の扱いに別に変ったところはなく、「銀床ぎんどこ」という看板、鬢盥びんだらい尻敷板しりしきいた毛受けうけ手水盥ちょうずだらいの類までべつだん世間並みの床屋と変ったことはない。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
題号さえも付けてないくらいで、本人はもちろん世間に発表するつもりはなかったのであろうが、それにしても余りに乱雑な体裁ていさいだと思いながら、こんよく読みつづけているうちに「深川仇討の事」「湯島女殺しの事」などというような、その当時の三面記事をも発見した。
西瓜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
故に人間社会の事物今日の風にてあらん限りは、外面の体裁ていさいに文野の変遷へんせんこそあるべけれ、百千年の後に至るまでも一片いっぺんの瘠我慢は立国の大本たいほんとしてこれを重んじ、いよいよますますこれを培養ばいようしてその原素の発達を助くること緊要きんようなるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
盲目者は別にして誰でも先ず食物に対すれば眼を以てその体裁ていさいる。如何いかに味の良い御馳走でも盛り方が乱雑で皿が不潔であったらば食べる気にならん。第一に人の食慾を起さしめるものは眼の働きだ。その次は鼻で皿の中からこうばしいにおいが鼻をかすめればそこで一段の食慾を起す。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
……こうなれば、世間的の体裁ていさいなどを云っていられない、断然別居しよう、小供には可哀そうだがしかたがない、そして、別居を承知しないと云うならひと思いに離別しよう、小供はもう三歳みっつになっているからしっかりした婆やを雇えば好い、今晩まず別居の宣言をしてみよう、気の弱いことではいけない。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今これら諸家の制作を見るに、美術としての価値もとより春信はるのぶ清長きよなが栄之えいしらに比する事あたはざれど、画中男女が衣服の流行、家屋庭園の体裁ていさい吾人ごじん今日こんにちの生活に近きものあるをもって、時として余はただちに自己現在の周囲と比較し、かへつて別段の興あるを覚ゆ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
世間への体裁ていさいからばかりでなく、実際に、六十の坂を越してから、なお、働き続けねばならない自分の親を、彼は心の底から気の毒に思って、出来るだけの慰撫いぶを心掛けているのであったが、なぜか長作は、それを露骨に現すことは出来なかったし、そういう言葉を口にすることは、なおさら出来ない性分しょうぶんだった。
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)