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ていさい
ふりがな文庫
“
体裁
(
ていさい
)” の例文
旧字:
體裁
もともと、抜け目の無い男で、「オベリスク」の編集は世間へのお
体裁
(
ていさい
)
、実は
闇商売
(
やみしょうばい
)
のお手伝いして、いつも、しこたま、もうけている。
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かれは歌を読むのをやめて、
体裁
(
ていさい
)
から、組み方から、表紙の絵から、すべて新しい匂いに満たされたその雑誌にあこがれ渡った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「どうですあたったでしょう。あたしはあなたがなぜそんな
体裁
(
ていさい
)
を作っているんだか、その原因までちゃんと知ってるんですよ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学校といえば
体裁
(
ていさい
)
がいいが、実は
貧民窟
(
ひんみんくつ
)
の
棟割長屋
(
むねわりながや
)
の六畳間だった。
煤
(
すす
)
けた薄暗い部屋には、破れた
腸
(
はらわた
)
を出した薄汚ない
畳
(
たたみ
)
が敷かれていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
此方
(
こなた
)
には
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
があつたり、
弓
(
ゆみ
)
鉄砲抔
(
てつぱうなど
)
が
立掛
(
たてかけ
)
てあつて、
最
(
い
)
とも
厳
(
いか
)
めしき
体裁
(
ていさい
)
で
何所
(
どこ
)
で
喫
(
たべ
)
させるのか、お
長家
(
ながや
)
か
知
(
し
)
ら、
斯
(
か
)
う思ひまして
玄関
(
げんくわん
)
へ
掛
(
かゝ
)
り
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
長門
(
ながと
)
の
赤間
(
あかま
)
ヶ関
(
せき
)
、播州の室津などはそれである。ことに室津は都近い船着きであったから、遊里の
体裁
(
ていさい
)
をなすまでに繁昌したものと見えます。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かかる苦心は近頃
病
(
やまい
)
多く気力乏しきわが身の
堪
(
た
)
ふる処ならねば、むしろ随筆の気儘なる
体裁
(
ていさい
)
をかるに
如
(
し
)
かじとてかくは
取留
(
とりと
)
めもなく
書出
(
かきいだ
)
したり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
……「海」の話はこれだけである。もっとも
今日
(
こんにち
)
の保吉は話の
体裁
(
ていさい
)
を整えるために、もっと小説の結末らしい結末をつけることも困難ではない。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その反対に、いかに
体裁
(
ていさい
)
がよく意匠を
凝
(
こ
)
らした立派なものでも、肝腎のレコード保存の目的を満たすに不十分なものであれば、勿論これも不合格だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
こちらが照れてしまうほど
真
(
ま
)
ッ
赧
(
か
)
になり、大きな
身体
(
からだ
)
をもじもじさせ、スカアトの
襞
(
ひだ
)
を直したりして
体裁
(
ていさい
)
を
繕
(
つくろ
)
ってから、大急ぎで
駆
(
か
)
け去ってしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それにしても、これぢやああんまり
体裁
(
ていさい
)
が悪いから、もう少し何とか
店附
(
みせつき
)
を
好
(
よ
)
くしようと云つてゐるんですが、例の区画整理がまだ本当に
決
(
き
)
まらないんでね。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
役
(
やく
)
にも
立
(
た
)
たぬものを、
体裁
(
ていさい
)
だけでごまかすなんて、ほんとうにわるいことだな。」と、いわれたのでした。
正二くんの時計
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
世間的の
体裁
(
ていさい
)
などを云っていられない、断然別居しよう、小供には可哀そうだがしかたがない、そして、別居を承知しないと云うならひと思いに離別しよう
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そしてその
体裁
(
ていさい
)
をして荒涼なるジェネアロジックの方向を取らしめたのは、あるいはかのゾラにルゴン・マカアルの血統を追尋させた自然科学の余勢でもあろうか。
なかじきり
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その外
体裁
(
ていさい
)
を変えれば色々の料理が出来ますから少しは御自分で
工風
(
くふう
)
して御覧なさいまし。私どもでは日本料理の玉子酢から西洋料理の
淡雪
(
あわゆき
)
ソースというものを工風致しました。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(無論自然死ではないのだ)二川家では過失で多量の催眠剤を呑んだ為かも知れないと、新聞記者に話したが、それは一つの
体裁
(
ていさい
)
であって、過失という事は全然あり得ないのだった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それで津村は、自分の家の祖母が亡くなった年の冬、百ヶ日の法要を済ますと、親しい者にも其の目的は打ち明けずに、ひとり
飄然
(
ひょうぜん
)
と旅に
赴
(
おもむ
)
く
体裁
(
ていさい
)
で、思い切って国栖村へ出かけた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
年月を経るにしたがい学風の進歩することあらば、その
体裁
(
ていさい
)
もまた改まるべし。
学校の説:(一名、慶応義塾学校の説)
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
また再興した
新富
(
しんとみ
)
寿司本店も今までに見られないものを持って臨んでいる。これもまた、寿司王国を示している。こんなふうに寿司屋は
体裁
(
ていさい
)
ではグングンと万事に改良し進歩を示している。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
世間への
体裁
(
ていさい
)
からばかりでなく、実際に、六十の坂を越してから、なお、働き続けねばならない自分の親を、彼は心の底から気の毒に思って、出来るだけの
慰撫
(
いぶ
)
を心掛けているのであったが
山茶花
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
せいぜいできることは、お
体裁
(
ていさい
)
を作るために形をかえでそれを満足させることでしょう。しかし、だからといって、時代の力は
軽蔑
(
けいべつ
)
はできませんよ。うそを本気でやらせる力もあるんですから。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
第一、
外聞
(
がいぶん
)
が悪いよ。ああ云うものは当世の
情事好
(
いろごとごの
)
みのすることで武人の血を引く石ノ上ノ綾麻呂の息子ともあろうものが、あんなものにかぶれるなどと云うことは大体、
体裁
(
ていさい
)
がよくないからな。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
そして姉妹にまで
体裁
(
ていさい
)
を作らねばならない境遇の中で、気ばかりつかって暮しているカヤノに、同情と反感の
交錯
(
こうさく
)
した気持で、背中をどやしつけてやりたいようなもだもだしたものを持たされた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
猿楽の狂言および俗間の茶番狂言なるもの
体裁
(
ていさい
)
さらに
善
(
よ
)
し。今一歩を進め、
猥雑
(
わいざつ
)
に流れず時情に
濶
(
へだた
)
らず、滑稽の中に諷刺を
寓
(
ぐう
)
し、時弊を
譏諫
(
きかん
)
することなどあらば、世の益となることまた少なからず。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
今日
(
けふ
)
ならではの
花盛
(
はなざか
)
りに、
上野
(
うへの
)
をはじめ
墨田川
(
すみだがは
)
へかけて
夫婦
(
ふうふ
)
づれを
樂
(
たの
)
しみ、
隨分
(
ずいぶん
)
とも
有
(
あ
)
る
限
(
かぎ
)
りの
体裁
(
ていさい
)
をつくりて、
取
(
と
)
つて
置
(
お
)
きの一てう
羅
(
ら
)
も
良人
(
おつと
)
は
黒紬
(
くろつむぎ
)
の
紋
(
もん
)
つき
羽織
(
ばをり
)
、
女房
(
にようぼう
)
は
唯
(
たゞ
)
一
筋
(
すぢ
)
の
博多
(
はかた
)
の
帶
(
おび
)
しめて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と立花君は
体裁
(
ていさい
)
を飾る男だから、発表するのに甚だ
吝
(
やぶさ
)
かだった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
店がひけてから三丁ほど先に在るカフェ・ネオンの別荘(というと
体裁
(
ていさい
)
がいいが、その実、このカフェの持主の
喜多村次郎
(
きたむらじろう
)
の
邸宅
(
ていたく
)
にして同時に五人ばかりの女給が宿泊するように出来ている家で、実は彼女等の特殊な取引が行われるために存在する家だともいう)
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
市中の電車に乗って
行先
(
ゆくさき
)
を急ごうというには
乗換場
(
のりかえば
)
を
過
(
すぎ
)
る
度
(
たび
)
ごとに
見得
(
みえ
)
も
体裁
(
ていさい
)
もかまわず人を突き
退
(
の
)
け
我武者羅
(
がむしゃら
)
に飛乗る
蛮勇
(
ばんゆう
)
がなくてはならぬ。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
朝起きたら、歯の痛みが
昨夜
(
ゆうべ
)
よりひどくなった。鏡に向って見ると、左の頬が
大分
(
だいぶ
)
腫
(
は
)
れている。いびつになった顔は、
確
(
たしか
)
にあまり
体裁
(
ていさい
)
の
好
(
い
)
いものじゃない。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな
体裁
(
ていさい
)
のいい偽善はない。病人はいじめるだけいじめる。ジャンボーは
囃
(
はや
)
したいだけ囃す。その代り医者にかけてやると云うのか。
鄭重
(
ていちょう
)
の至りである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又「別に締りはない、たゞ
栓張棒
(
しんばりぼう
)
が有るばかりだが、泥坊の入る心配もない、
此
(
かく
)
の如き
体裁
(
ていさい
)
だが、どうだ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
子供が出来て見ろ、大きな腹を抱えて学校に通うなんて余り
体裁
(
ていさい
)
のいいものじゃない。結局、それでは食って行けないっていうことになる。だから俺は思うんだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
一おうの
体裁
(
ていさい
)
は整っておりますが、中はまだほんとうに修復が出来ていないらしく、何んとなく殺風景で、明るい太陽の下で見ると、人間が住んでいそうもありません。
九つの鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それにしても余りに乱雑な
体裁
(
ていさい
)
だと思いながら、
根
(
こん
)
よく読みつづけているうちに「深川仇討の事」「湯島女殺しの事」などというような、その当時の三面記事をも発見した。
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
見えすいたお
体裁
(
ていさい
)
に対するたたかいです。ケチくさい事、ケチくさい者へのたたかいです。
美男子と煙草
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
酒屋
(
さかや
)
のおじさんが、あの
男
(
おとこ
)
は、べつに
仕事
(
しごと
)
もせず、
競輪
(
けいりん
)
や、
競馬
(
けいば
)
で、もうけた
金
(
かね
)
で、ぶらぶらして
暮
(
く
)
らすんですって。そして、お
体裁
(
ていさい
)
にあんな
日
(
ひ
)
よけ
眼鏡
(
めがね
)
をかけているのだって。
春はよみがえる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
湯壺は去年まで
小屋掛
(
こやがけ
)
のようなるものにて、その側まで
下駄
(
げた
)
はきてゆき、男女ともに入ることなりしが、今の混堂立ちて
体裁
(
ていさい
)
も大に
整
(
ととの
)
いたりという。人の浴するさまは外より見ゆ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
... 出してみましょう。きっと
吃驚
(
びっくり
)
致しますよ。まだ
外
(
ほか
)
にお芋の使い方はございませんか」お登和「
体裁
(
ていさい
)
をかえればまだ色々なものになりますが、湯煮て
裏漉
(
うらご
)
しにしてお芋を一日
乾
(
ほ
)
してお
餅
(
もち
)
を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
変ったといっても店の
体裁
(
ていさい
)
や職人小僧の
類
(
たぐい
)
、お客の扱いに別に変ったところはなく、「
銀床
(
ぎんどこ
)
」という看板、
鬢盥
(
びんだらい
)
、
尻敷板
(
しりしきいた
)
、
毛受
(
けうけ
)
、
手水盥
(
ちょうずだらい
)
の類までべつだん世間並みの床屋と変ったことはない。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外面の
体裁
(
ていさい
)
に文野の
変遷
(
へんせん
)
こそあるべけれ、百千年の後に至るまでも
一片
(
いっぺん
)
の瘠我慢は立国の
大本
(
たいほん
)
としてこれを重んじ、いよいよますますこれを
培養
(
ばいよう
)
してその原素の発達を助くること
緊要
(
きんよう
)
なるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さて、第三にお願いしたいのは、おたがいの生活に組織を
与
(
あた
)
えるための工夫をこらしてもらいたいということである。それは、むろん、ここの共同生活の
体裁
(
ていさい
)
をととのえるために必要なのではない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「たいていこういうふうにしようと思うんだ。沢田(印刷所)にも相談してみたが、それがいいだろうと言うんだけれど、どうも中の
体裁
(
ていさい
)
はあまり感心しないから、組み方なんかは別にしようと思うんだがね」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そんな見識はただの
見栄
(
みえ
)
じゃありませんか。よく云ったところで、
上
(
うわ
)
っ
面
(
つら
)
の
体裁
(
ていさい
)
じゃありませんか。世間に対する手前と
気兼
(
きがね
)
を引いたら後に何が残るんです。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勿論その住民の階級職業によって路地は種々異った
体裁
(
ていさい
)
をなしている。
日本橋際
(
にほんばしぎわ
)
の
木原店
(
きはらだな
)
は
軒並
(
のきなみ
)
飲食店の
行燈
(
あんどう
)
が出ている処から今だに
食傷新道
(
しょくしょうじんみち
)
の名がついている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かたがた保吉は前のような無技巧に話を終ることにした。が、話の
体裁
(
ていさい
)
は?——芸術は諸君の云うように何よりもまず内容である。形容などはどうでも差支えない。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして読みさしの雑誌をとりあげて、貸し主の前には
体裁
(
ていさい
)
のいいことを言って返してしまった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
私は生れてから、こんなに
体裁
(
ていさい
)
の悪い思ひをした事は無いよ。本当にひどいよ。
お伽草紙
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
わたくしは
忌憚
(
きたん
)
なき文字二三百言を
刪
(
けづ
)
つて此に写し出した。しかし其
体裁
(
ていさい
)
措辞
(
そじ
)
は大概
窺知
(
きち
)
せられるであらう。丁卯は慶応三年である。大意は「人君何天職」の五古を
敷衍
(
ふえん
)
したものである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
君なぞは食物を舌でばかり味わうと思うから
間違
(
まちが
)
っている。食物の味を心に感ずるのは眼と鼻と舌との三つである。盲目者は別にして誰でも先ず食物に対すれば眼を以てその
体裁
(
ていさい
)
を
視
(
み
)
る。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
其処
(
そこ
)
じゃア御挨拶が出来ぬ故
何卒
(
どうぞ
)
此方
(
こっち
)
へ這入って下さい、此の通り今稽古を仕舞って一杯初めた処で、甚だ
鄙陋
(
びろう
)
な
体裁
(
ていさい
)
で
居
(
お
)
るが、どうぞ無礼の処はお許し下すって、これへお這入り下さい
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
裁
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
“体裁”で始まる語句
体裁屋
体裁好
体裁家
体裁悪