)” の例文
旧字:
彼はただ秩序と精励とを事としたばかりだった。それに彼はまったくむべき人物であって、至当な尊敬の念をだれにも起こさせた。
上邸かみやしきと違ってお長家ながやも広いのを頂戴致す事になり、重役の気受けも宜しく、男がよくって程がいから老女や中老までもめそやし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
イカにも老兄と川路らとは出処同じからざるゆえ、出身の相違もあるべく、賄賂を以て出身するは元よりむべきことにあらざれども
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
父の世にありしきとき、伴はれてゆきし嬉しさ、なほ忘れざりしかば、しぶしぶうべなひつるを、「かくてこそき子なれ」とみなめつ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そこでそれ、お前達が人にめられるために私等わっちらに税金をお出しなされる。今日はそれを取上げに来やした。こころありだけ寄来よこさっせえ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黙してめられて笑いて損をしたるがごとく、終歳胸痛をうれうるがごとく、生涯父母の喪にいるがごとくなるもまたはなはだ厭うべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それとは事かわりますが、世の中には、めたいのだが、他人があんまり感心するから嫌だといったふうな旋毛曲つむじまがりがかなりにあります。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
どこにでもある話だが、その初めての訪問から帰るとき、寒藤先生はだらしもなく笑っていたし、近所の人たちにもかえってめたものだ。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのほか賀知章がちしょうの画を見たことがあるが、それも尋常じんじょうでないといふことで不折ふせつめて居つた。けれども人物画は少し劣るかと思はれる。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
侍の最大な恥は面傷おもてきずだというその意気地を明らかにしたのだ。むしろ、められるかとさえ思っているかも知れないのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
虎は死して皮を留むとか、今井兼平いまいかねひらなどは死に様を見せて高名したが、『愚管抄』に重成は後に死にたる処を人に知られずとめけりとある。
若主人の留守中、彼の手助けは若い作男であった。故人は其作代が甲斐々々しく骨身を惜まず働く事を人毎ひとごとめて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しからざれば自分らが足が弱くてなかなか十里の道を遠しとしている連中ならば、これまたわが輩をめるであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「ツァンニー・ケンボは大変な大金持でその金をチベットの僧侶に供養する。なかなか感心な事だ、出来ない事だ」といってめ立てる者ばかりで
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「われ汝らに強いられて愚かになれり、我は汝らにめらるべかりしなり。我は教うるに足らぬ者なれども、何事にもかの大使徒たちに劣らざりしなり。」
パウロの混乱 (新字新仮名) / 太宰治(著)
全体ぜんたいだれに頼まれた訳でもなく、たれめてくれる訳でもなく、何を苦しんで斯様こんな事をするのか、と内々ない/\愚痴ぐちをこぼしつゝ、必要に迫られては渋面じふめんつくつて朝々あさ/\かよふ。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
才物だ。なかなかの才物だとしきりにやし、あの高ぶらぬところがどうもえらい。談話はなしの面白さ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
そのミルヤニヤがしばしばこの世をおとずれ、世馴よなれ神とまでめたたえられていたのであった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
銀のねこすてた所が西行さいぎょうなりと喜んでむるともがら是もかえって雪のふる日の寒いのに気がつか詮義せんぎならん。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しょうは八、九歳の時、屋敷内やしきうちにて怜悧れいりなる娘とめそやされ、学校の先生たちには、活発なる無邪気なる子と可愛がられ、十一、二歳の時には、県令学務委員等ののぞめる試験場にて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
いつもながらの「世辞」のうまさと「かた」(つまり、「かた」)の巧みな事である、ところで、いま、この文句を読みかえしてみると、その世辞には見えいたところがあり
茂吉の一面 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
んでもねえ。太夫たゆうめて、にくむようなやつァ、みんなけだものでげさァね」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
それでかならずしもこれはむべき精神ではないと思うが、しかしながら武士の意地というものです。その意地をわれわれから取りけてしまったならば、われわれは腰抜け武士になってしまう。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
僕等のめたりけなしたりするのも畢竟ひつきやうは自己を表現する為であらう。
現今の王党らは、むべきことには、もはや一種の民主派である。
おいら一人も友達はこせえねえんだ、総曲輪でお前に、滝やッて言われた時にゃあ、どんなに喜んだと思うんだ、よく見てめてくんねえな。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今朝のお汁の鳥はものかは」「何処いずこにも飽かぬはかれいなますにて」「これなる皿はめる人なし」とは面白く作ったものだ。
主人は以前の婢僕ひぼくめ、婢僕はせんの旦那を慕う。ただに主僕の間のみならず、後妻をめとりて先妻を想うの例もあり。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼らはルイザとクリストフとの苦しみを親切に気の毒がってくれ、クリストフが感動したほどやさしい言葉で、二人の勇気ある行いをめてくれた。
諷諫ふうかんとはただちにその人の過悪かあくをさしあらわしていわず、まずその人のよきところをあげてめ、その人を喜ばしめ、その人の心に従いてさからわず
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「なにをいうぞ。お甲などという女を討ったところで、故郷くこの衆が、めもせぬし、家名の面目も立ちはせぬがな」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うも杉山すぎやまえらい者ぢやの、うもこの行文かうぶん簡単かんたんにしての意味深く僕等ぼくらの遠くおよところではない、つてみなめてつたぜ、あとほう松嶋まつしまの詩があつたの
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
美しい娘さんなどは坊さんからめられるような事があったら充分注意して自分の身を用心しなければならん
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
全体ぜんたい誰に頼まれた訳でもなく、誰めてくれる訳でもなく、何を苦しんで斯様こんなことをするのか、と内々愚痴ぐちをこぼしつゝ、必要に迫られては渋面じゅうめん作って朝々通う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
旧暦八朔はっさくのタノムの節供せっくのごときも、今は晩稲のまだ穂を出さぬものが多くなって、単に田をめまたは田の神さんたのみますなどと、わめいて巡るだけの村もあるようだが
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
光代は向き直りて、父様はなぜそう奥村さんを御贔負ごひいきになさるの。と不平らしく顔を見る。なぜとはどういう心だ。めていいから誉めるのではないか。と父親てておやは煙草をはたく。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
それを百枚画いたとて、二百枚画いたとて、少しも名誉にはならぬ。こんな事でめられては月樵も迷惑するであらう。月樵の本分は何処にあるか、まだ世間には知られて居らんと見える。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
太祖れんていめて曰く、宋景濂ちんつかうること十九年、いまかつて一げんいつわりあらず、一人いちにんたんそしらず、始終無し、たゞに君子のみならず、そもそも賢とう可しと。太祖の濂をることかくの如し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
またかしましく多言たげんするなかれ、みだりに外出するなかれというも、男女共にその程度を過ぐるはむべきことにあらず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あゝいう芸者などには似合わぬ者とおめなすったが、是も孝行の徳だ、私は又んな姿になるまで零落おちぶれました
嘘にもめられたり、嬉しがられたりしたのは、私は昨日きのう一昨日おとといまでだ、と思っているんだ。(嘆息す。)
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それはかねて一緒に参りました巡礼者らは非常に私を信仰した。余り信仰してめ上げる余りに
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ある時その人々に今日の評はと聞くと今日は誰一人めない者はなかったと答う。その内一人いわく、ただ一人能に難なけれど男が少し小さいばかりの難があるといったと。
『新撰姓氏録』巻二十、山城国諸藩の内に任那みまなから帰化したという多々良公たたらのきみ氏というのは、欽明天皇の御宇ぎょうに来朝して「金多多利金平居等」を献じたゆえに、これをめて多々良公の姓を賜った。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
また太田道灌おおたどうかんが歌を作りて「かかる言葉の花もありけり」とめられたるが如き、歌の善き事が人を感ぜしめたるよりも、むしろ意外の人が歌詠みたりとの一事は人を驚かしたる者ありしなるべし。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
けれども私はソレをいといっめもしなければ悪いと云てめたこともなし、又あるいは大に漢学をさかんにすると云てしきりに学校の改革などを企てたこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私……もう、やがて、船の胡瓜きゅうりも出るし、お前さんの好きなお香々こうこうをおいしくして食べさせてめられようと思ったけれど、……ああ何も言うのも愚痴ぐちらしい。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
面目ないどころじゃアない、みんながめて居やす、錨床いかりどこてつが来て、あのねえさんのような感心なものはえ、親の為に自分から駈込んで身を売るというのは実に感心だ
慰みに、おしゃくさんの桃割ももわれなんか、お世辞にもめられました。めの字のかみさんが幸い髪結かみゆいをしていますから、八丁堀へ世話になって、梳手すきてに使ってもらいますわ。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誠に結構けつこうなおしなでございますと、めながらきずけるんだ、しい事には揚物あげものでございますつて。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)