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誉
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ほ
ふりがな文庫
“
誉
(
ほ
)” の例文
旧字:
譽
彼はただ秩序と精励とを事としたばかりだった。それに彼はまったく
誉
(
ほ
)
むべき人物であって、至当な尊敬の念をだれにも起こさせた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お
上邸
(
かみやしき
)
と違ってお
長家
(
ながや
)
も広いのを頂戴致す事になり、重役の気受けも宜しく、男が
好
(
よく
)
って程が
善
(
い
)
いから老女や中老までも
誉
(
ほ
)
めそやし
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
イカにも老兄と川路らとは出処同じからざるゆえ、出身の相違もあるべく、賄賂を以て出身するは元より
誉
(
ほ
)
むべきことにあらざれども
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
父の世にありしきとき、伴はれてゆきし嬉しさ、なほ忘れざりしかば、しぶしぶ
諾
(
うべな
)
ひつるを、「かくてこそ
善
(
よ
)
き子なれ」とみな
誉
(
ほ
)
めつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そこでそれ、お前達が人に
誉
(
ほ
)
められるために
私等
(
わっちら
)
に税金をお出しなされる。今日はそれを取上げに来やした。
志
(
こころ
)
ありだけ
寄来
(
よこ
)
さっせえ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
黙して
誉
(
ほ
)
められて笑いて損をしたるがごとく、終歳胸痛を
患
(
うれ
)
うるがごとく、生涯父母の喪にいるがごとくなるもまたはなはだ厭うべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それとは事かわりますが、世の中には、
誉
(
ほ
)
めたいのだが、他人があんまり感心するから嫌だといったふうな
旋毛曲
(
つむじまが
)
りがかなりにあります。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どこにでもある話だが、その初めての訪問から帰るとき、寒藤先生はだらしもなく笑っていたし、近所の人たちにも
却
(
かえ
)
って
誉
(
ほ
)
めたものだ。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのほか
賀知章
(
がちしょう
)
の画を見たことがあるが、それも
尋常
(
じんじょう
)
でないといふことで
不折
(
ふせつ
)
は
誉
(
ほ
)
めて居つた。けれども人物画は少し劣るかと思はれる。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
侍の最大な恥は
面傷
(
おもてきず
)
だというその意気地を明らかにしたのだ。むしろ、
誉
(
ほ
)
められるかとさえ思っているかも知れないのである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
虎は死して皮を留むとか、
今井兼平
(
いまいかねひら
)
などは死に様を見せて高名したが、『愚管抄』に重成は後に死にたる処を人に知られずと
誉
(
ほ
)
めけりとある。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
若主人の留守中、彼の手助けは若い作男であった。故人は其作代が甲斐々々しく骨身を惜まず働く事を
人毎
(
ひとごと
)
に
誉
(
ほ
)
めて居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しからざれば自分らが足が弱くてなかなか十里の道を遠しとしている連中ならば、これまたわが輩を
誉
(
ほ
)
めるであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「ツァンニー・ケンボは大変な大金持でその金をチベットの僧侶に供養する。なかなか感心な事だ、出来ない事だ」といって
誉
(
ほ
)
め立てる者ばかりで
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「われ汝らに強いられて愚かになれり、我は汝らに
誉
(
ほ
)
めらるべかりしなり。我は教うるに足らぬ者なれども、何事にもかの大使徒たちに劣らざりしなり。」
パウロの混乱
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
全体
(
ぜんたい
)
誰
(
だれ
)
に頼まれた訳でもなく、
誰
(
たれ
)
誉
(
ほ
)
めてくれる訳でもなく、何を苦しんで
斯様
(
こん
)
な事をするのか、と
内々
(
ない/\
)
愚痴
(
ぐち
)
をこぼしつゝ、必要に迫られては
渋面
(
じふめん
)
作
(
つく
)
つて
朝々
(
あさ/\
)
通
(
かよ
)
ふ。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
才物だ。なかなかの才物だとしきりに
誉
(
ほ
)
め
称
(
そ
)
やし、あの高ぶらぬところがどうも
豪
(
えら
)
い。
談話
(
はなし
)
の面白さ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
そのミルヤニヤがしばしばこの世をおとずれ、
世馴
(
よな
)
れ神とまで
誉
(
ほ
)
めたたえられていたのであった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
銀の
猫
(
ねこ
)
捨
(
すて
)
た所が
西行
(
さいぎょう
)
なりと喜んで
誉
(
ほ
)
むる
輩
(
ともがら
)
是も
却
(
かえっ
)
て雪のふる日の寒いのに気が
付
(
つか
)
ぬ
詮義
(
せんぎ
)
ならん。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
妾
(
しょう
)
は八、九歳の時、
屋敷内
(
やしきうち
)
にて
怜悧
(
れいり
)
なる娘と
誉
(
ほ
)
めそやされ、学校の先生たちには、活発なる無邪気なる子と可愛がられ、十一、二歳の時には、県令学務委員等の
臨
(
のぞ
)
める試験場にて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
いつもながらの「世辞」の
甘
(
うま
)
さと「
持
(
も
)
ち
上
(
あ
)
げ
方
(
かた
)
」(つまり、「
誉
(
ほ
)
め
方
(
かた
)
」)の巧みな事である、ところで、
今
(
いま
)
、この文句を読みかえしてみると、その世辞には見え
透
(
す
)
いたところがあり
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
「
飛
(
と
)
んでもねえ。
太夫
(
たゆう
)
を
誉
(
ほ
)
めて、
憎
(
にく
)
むような
奴
(
やつ
)
ァ、みんなけだものでげさァね」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それでかならずしもこれは
誉
(
ほ
)
むべき精神ではないと思うが、しかしながら武士の意地というものです。その意地をわれわれから取り
除
(
の
)
けてしまったならば、われわれは腰抜け武士になってしまう。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
僕等の
誉
(
ほ
)
めたり
貶
(
けな
)
したりするのも
畢竟
(
ひつきやう
)
は自己を表現する為であらう。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
現今の王党らは、
誉
(
ほ
)
むべきことには、もはや一種の民主派である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
おいら一人も友達は
拵
(
こせ
)
えねえんだ、総曲輪でお前に、滝やッて言われた時にゃあ、どんなに喜んだと思うんだ、よく見て
誉
(
ほ
)
めてくんねえな。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「今朝のお汁の鳥はものかは」「
何処
(
いずこ
)
にも飽かぬは
鰈
(
かれい
)
の
膾
(
なます
)
にて」「これなる皿は
誉
(
ほ
)
める人なし」とは面白く作ったものだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
主人は以前の
婢僕
(
ひぼく
)
を
誉
(
ほ
)
め、婢僕は
先
(
せん
)
の旦那を慕う。ただに主僕の間のみならず、後妻をめとりて先妻を想うの例もあり。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼らはルイザとクリストフとの苦しみを親切に気の毒がってくれ、クリストフが感動したほどやさしい言葉で、二人の勇気ある行いを
誉
(
ほ
)
めてくれた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
諷諫
(
ふうかん
)
とはただちにその人の
過悪
(
かあく
)
をさしあらわしていわず、まずその人のよきところをあげて
誉
(
ほ
)
め、その人を喜ばしめ、その人の心に従いてさからわず
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「なにをいうぞ。お甲などという女を討ったところで、
故郷
(
くこ
)
の衆が、
誉
(
ほ
)
めもせぬし、家名の面目も立ちはせぬがな」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
ど
)
うも
杉山
(
すぎやま
)
は
豪
(
えら
)
い者ぢやの、
何
(
ど
)
うも
此
(
この
)
行文
(
かうぶん
)
簡単
(
かんたん
)
にして
其
(
そ
)
の意味深く
僕等
(
ぼくら
)
の遠く
及
(
およ
)
ぶ
処
(
ところ
)
ではない、
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
つて
皆
(
みな
)
誉
(
ほ
)
めて
居
(
を
)
つたぜ、
跡
(
あと
)
の
方
(
ほう
)
に
松嶋
(
まつしま
)
の詩があつたの
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
美しい娘さんなどは坊さんから
誉
(
ほ
)
められるような事があったら充分注意して自分の身を用心しなければならん
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
全体
(
ぜんたい
)
誰に頼まれた訳でもなく、誰
誉
(
ほ
)
めてくれる訳でもなく、何を苦しんで
斯様
(
こんな
)
事
(
こと
)
をするのか、と内々
愚痴
(
ぐち
)
をこぼしつゝ、必要に迫られては
渋面
(
じゅうめん
)
作って朝々通う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
旧暦
八朔
(
はっさく
)
のタノムの
節供
(
せっく
)
のごときも、今は晩稲のまだ穂を出さぬものが多くなって、単に田を
誉
(
ほ
)
めまたは田の神さん
頼
(
たの
)
みますなどと、わめいて巡るだけの村もあるようだが
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
光代は向き直りて、父様はなぜそう奥村さんを
御贔負
(
ごひいき
)
になさるの。と不平らしく顔を見る。なぜとはどういう心だ。
誉
(
ほ
)
めていいから誉めるのではないか。と
父親
(
てておや
)
は煙草を
払
(
はた
)
く。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
それを百枚画いたとて、二百枚画いたとて、少しも名誉にはならぬ。こんな事で
誉
(
ほ
)
められては月樵も迷惑するであらう。月樵の本分は何処にあるか、まだ世間には知られて居らんと見える。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
太祖
濂
(
れん
)
を
廷
(
てい
)
に
誉
(
ほ
)
めて曰く、宋景濂
朕
(
ちん
)
に
事
(
つか
)
うること十九年、
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て一
言
(
げん
)
の
偽
(
いつわり
)
あらず、
一人
(
いちにん
)
の
短
(
たん
)
を
誚
(
そし
)
らず、始終
二
(
に
)
無し、たゞに君子のみならず、
抑
(
そもそも
)
賢と
謂
(
い
)
う可しと。太祖の濂を
視
(
み
)
ること
是
(
かく
)
の如し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また
姦
(
かしま
)
しく
多言
(
たげん
)
するなかれ、
漫
(
みだ
)
りに外出するなかれというも、男女共にその程度を過ぐるは
誉
(
ほ
)
むべきことにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あゝいう芸者などには似合わぬ者とお
誉
(
ほ
)
めなすったが、是も孝行の徳だ、私は又
斯
(
こ
)
んな姿になるまで
零落
(
おちぶれ
)
ました
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
嘘にも
誉
(
ほ
)
められたり、嬉しがられたりしたのは、私は
昨日
(
きのう
)
、
一昨日
(
おととい
)
までだ、と思っているんだ。(嘆息す。)
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはかねて一緒に参りました巡礼者らは非常に私を信仰した。余り信仰して
誉
(
ほ
)
め上げる余りに
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ある時その人々に今日の評はと聞くと今日は誰一人
誉
(
ほ
)
めない者はなかったと答う。その内一人いわく、ただ一人能に難なけれど男が少し小さいばかりの難があるといったと。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
『新撰姓氏録』巻二十、山城国諸藩の内に
任那
(
みまな
)
から帰化したという
多々良公
(
たたらのきみ
)
氏というのは、欽明天皇の
御宇
(
ぎょう
)
に来朝して「金多多利金平居等」を献じたゆえに、これを
誉
(
ほ
)
めて多々良公の姓を賜った。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また
太田道灌
(
おおたどうかん
)
が歌を作りて「かかる言葉の花もありけり」と
誉
(
ほ
)
められたるが如き、歌の善き事が人を感ぜしめたるよりも、むしろ意外の人が歌詠みたりとの一事は人を驚かしたる者ありしなるべし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
けれども私はソレを
宜
(
よ
)
いと
云
(
いっ
)
て
誉
(
ほ
)
めもしなければ悪いと云て
止
(
と
)
めたこともなし、又
或
(
あるい
)
は大に漢学を
盛
(
さかん
)
にすると云て
頻
(
しき
)
りに学校の改革などを企てたこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私……もう、やがて、船の
胡瓜
(
きゅうり
)
も出るし、お前さんの好きなお
香々
(
こうこう
)
をおいしくして食べさせて
誉
(
ほ
)
められようと思ったけれど、……ああ何も言うのも
愚痴
(
ぐち
)
らしい。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
面目ない
処
(
どころ
)
じゃアない、
皆
(
みん
)
なが
誉
(
ほ
)
めて居やす、
錨床
(
いかりどこ
)
の
鐵
(
てつ
)
が来て、あの
娘
(
ねえ
)
さんのような感心なものは
無
(
ね
)
え、親の為に自分から駈込んで身を売るというのは実に感心だ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
慰みに、お
酌
(
しゃく
)
さんの
桃割
(
ももわれ
)
なんか、お世辞にも
誉
(
ほ
)
められました。めの字のかみさんが幸い
髪結
(
かみゆい
)
をしていますから、八丁堀へ世話になって、
梳手
(
すきて
)
に使ってもらいますわ。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誠に
結構
(
けつこう
)
なお
品
(
しな
)
でございますと、
誉
(
ほ
)
めながら
瑾
(
きず
)
を
附
(
つ
)
けるんだ、
惜
(
を
)
しい事には
揚物
(
あげもの
)
でございますつて。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
誉
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“誉”を含む語句
名誉
栄誉
誉田
毀誉褒貶
毀誉
道誉
不名誉
了誉上人
二代源氏誉身換
名誉心
名誉毀損
誉詞
道誉寺
美香弊乃誉路臂
視誉
褒貶毀誉
蓮生院薫誉智才信士
花菱院照誉東成信士
花上野誉碑
艦隊誉夜襲
...