おこなひ)” の例文
(七九)閭巷りよかうひとおこなひてんとほつするものは、(八〇)青雲せいうんくにあらずんば、いづくんぞく(名ヲ)後世こうせいかん
さきにいはれしごとく二人ふたり勇士ますらをおくりて己が新婦はなよめたすけ給へり、かれらのことばおこなひとにより迷へる人々道に歸りき 四三—四五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そして心の底では、こんな風に神の為めにするおこなひの代りに人間の為めにする行を授けたのは、悪魔の所為しよゐだらうと思はれる。
才学はあつたが、痘痕とうこんのためにかたちやぶられ、婦を獲ることが難かつた。それゆゑ忍んでおこなひなき梅をめとつたのださうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
栄蔵はその人のおこなひに感動させられたので、もしも今眼の前にその人がゐるなら、その人にいて行きたいと思つた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
それもこれも知つてゐながら、阿父おとつさんを踏付にしたやうなおこなひを為るのは、阿母おつかさん能々よくよくの事だと思つて下さい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
に佛者はおこなひなかばには、王侯のめしにも應ぜずとかや、我ながら心なかりしと、しばし門下に彳みて、鈴の音の絶えしを待ちてふたゝかどを敲けば、内にはあるじの聲として
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
時として我を輕んずるやうなる詞、我をあなどるやうなるおこなひなきにしもあらねど、そはわが爲め好かれとて言ひもし行ひもし給ふなれば、憎むべきにはあらざるなるべし。
ほんとにあきれた親だ、毎朝々々これ程までにおこなひにあらはして説いてゐるのに、未だ子の孝心をさとらないとは。かうなれば、どちらが我慢強いか根較べをするより他に仕方がない。
親孝行 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
○さて此関山村のかたほとりに、ひと草庵さうあんむすびて源教げんけうといふ念仏ねんぶつ道心坊だうしんばうありけり。年は六十あまり、たゞ念仏三昧ざんまい法師はふしにて、无学むがくなれどもそのおこなひ碩僧せきそうにもをさ/\おとらず。
古来存在した幾万億の仏達、菩薩ぼさつ達のおこなひが、言葉がかれの心によみがへつて来た。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
おこなひ清きたゞひとり
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
伯夷はくい叔齊しゆくせいけんなりといへども、(七三)夫子ふうし益〻ますますあらはれ、顏淵がんえん篤學とくがくなりといへども、(七四)驥尾きびしておこなひ益〻ますますあらはる。
我乃ちわが導者に、おこなひまたは名によりて知らるべき者をたづね、かくゆく間目をあたりにそゝぎたまへ 七三—七五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
貫一は篤学のみならず、性質もすぐに、おこなひただしかりければ、この人物を以つて学士の冠をいただかんには、誠に獲易えやすからざる婿なるべし、と夫婦はひそかに喜びたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのおこなひ倐忽しゆくこつの間に一人の命を助けて、その言は俗僧の妄誕ばうたんをいましめ得たるなり。われはこの昔の友を敬する念を禁ずること能はずして、運命の我等二人を遠離とほざけしをうらみとせり。
これこれのおこなひをするやうなものは、一緒に話をする資格がないとか、ほんたうの勇気とは、どういふものかとか、君が正しいと思つたことをしないなら、君に意気地がないことにならう
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
如何いかにと人に尋候へば、辞安も今は尋常的の医になりし故、儒者めけるものの文通などは面倒に思候覧などと申候。我辞安其ていには有御座間布ござあるまじく、大かたは医をおこなひいそがしき事ならむと奉存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
おこなひ清きたゞひとり
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
またいとひいづる家系いへがらと二の冠とを辱めたるその叔父と兄弟との惡しきおこなひは何人にも明らかなるべし 一三六—一三八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
で、仮に一歩を譲るさ、譲つて、高利アイスを借りるなどは、紳士たるもののいともづべきおこなひと為るよ。さほど慚づべきならば始から借りんが可いぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ゆゑ彌子びしおこなひいまはじめかはらざるに、まへにはけんとせられて、のちにはつみものは、(一〇九)愛憎あいぞう至變しへんなり
我一身の大事は前によこたはりて、まことに危急存亡のときなるに、このおこなひありしをあやしみ、又たそしる人もあるべけれど、余がエリスを愛する情は、始めて相見し時よりあさくはあらぬに、いま我数奇さくきを憐み
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
またこの事ありしため、そのゆがめるおこなひはエルクレの棒に罹りて止みたり、恐らくは彼百を受けしなるべし、然もその十をも覺ゆる事なかりき 三一—三三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
(四二)あるひいはく、(四三)天道てんだうしんく、つね善人ぜんにんくみすと。伯夷はくい叔齊しゆくせいごときは、善人ぜんにんものか。じんおこなひいさぎようし、かくごとくにして餓死がしせり。
そのまはりには大いなるアッスエロとその妻エステル、及びことばおこなひ倶に全き義人マルドケオゐたり 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
異事いじともけいおなじうするをはかり、異人いじんともおこなひおなじうするをめば、すなはもつこれかざつて・そこなかれ。ともしつおなじうするらば、すなはあきらかにしつきをかざれ。
我は極惡ごくあくなるローマニアの魂と共に汝等のひとりそのおこなひによりて魂すでにコチートにひたり 一五四—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
てうるや、(三九)きみこれおよべばすなは(四〇)げんたかくし、これおよばざればすなは(四一)おこなひたかくす。くにみちればすなは(四二)めいしたがひ、みちければすなは(四三)めいはかる。
このおこなひなりき彼のためにかの幽閉を解きたるものは。 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)