「新一、遅くなるよ、さあお起き。」と耳もとで母の声——。おや夢かな、と思ふ途端、悲しくも夢ではなかつた。私は亀の子のやうに床の中にもぐつた儘、眼を開いた。——なさけない程眠かつた。即座に夢を見る、といふことが非常に容易な事だつた。——何も横 …
| 著者 | 牧野信一 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
| 初出 | 「少年 第二〇二号(魔の国ロシア号 六月号)」時事新報社、1920(大正9)年5月8日 |
| 文字種別 | 新字旧仮名 |
| 読書目安時間 | 約6分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約10分(300文字/分) |