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蓙
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ござ
ふりがな文庫
“
蓙
(
ござ
)” の例文
さうして
東隣
(
ひがしどなり
)
から
借
(
か
)
りて
來
(
き
)
た
蓙
(
ござ
)
が五六
枚
(
まい
)
敷
(
し
)
かれた。それから
土地
(
とち
)
の
習慣
(
しふくわん
)
で
勘次
(
かんじ
)
は
淨
(
きよ
)
めてやつたお
品
(
しな
)
の
死體
(
したい
)
は一
切
(
さい
)
を
近所
(
きんじよ
)
の
手
(
て
)
に
任
(
まか
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
図210は蔓のある
瓢
(
ひさご
)
の形をしている。葉及び昆虫の翅のような平な面は、
蓙
(
ござ
)
編みで出来ているが、他の細部はみな本当の籠細工である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
蓙
(
ござ
)
と戸板と丸太と縄を持って、いそいそした心持で松林の避難所に帰って行ったが、一郎の心には岡部の事がいっぱいだった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
御膳
(
ごぜん
)
何人前、
皿
(
さら
)
何人前と箱書きのしてある器物の並んだ土蔵の
棚
(
たな
)
を
背後
(
うしろ
)
にして、
蓙
(
ござ
)
を敷いた座蒲団の上に正香がさびしそうにすわっていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「すみませんが、六尺を一本ずつ切って戴きたいもんで。」安公は座敷に
蓙
(
ござ
)
を敷いて、仏に湯灌を使わそうとするとき、
女連
(
おんなれん
)
の方へ声かけた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
栄玄はこれを認めて子としたのに、「あんなきたない子は畳の上には置かれない」といって、板の
間
(
ま
)
に
蓙
(
ござ
)
を敷いて寝させた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お延は隅にあった酒徳利から
冷
(
ひや
)
のを茶碗に
注
(
つ
)
いで、グ、グ、グ、グ、グ……と一息に飲み干して、後は
蓙
(
ござ
)
の上へ人魚のように足を投げだした。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
多分、貧窮組の捨てて行った米の空俵や、
蓙
(
ござ
)
や
蓆
(
むしろ
)
の
類
(
たぐい
)
であろうと思われる。それをじっと立って見ていた米友が、また一思案を思い浮べました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして地面には
蓙
(
ござ
)
が敷いてありますがお客があると取って置きの
蓙
(
ニキノ
)
を出してすすめます。お客用のだからと云っても、矢張り黒く煤けていました。
親しく見聞したアイヌの生活
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
馬糞にたかつてゐる蛇の目蝶と
蓙
(
ござ
)
を煽つて行く私、——それがこの急な路の上に、生きて動いてゐるすべてであつた。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
絶えざる低い
大太鼓
(
おおだいこ
)
の音に例の如く板をバタバタ
叩
(
たた
)
く音が聞えて、左手の辻番小屋の
蔭
(
かげ
)
から
仲間
(
ちゅうげん
)
と
蓙
(
ござ
)
を抱えた女とが大きな声で争いながら出て来る。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこには蒲団と毛布が箱の中に入れてあって、その上に
蓙
(
ござ
)
が冠せてあった。それを引出し、偃松の上に蓙を敷き蒲団四枚と毛布を使って寝床を作った。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
「何分電気のコードから、
蒲団
(
ふとん
)
の皮まで盗られたので、どうにもなりません。畳は表の
蓙
(
ござ
)
だけ切り取って行きましたよ」と言うと、皆が
怪訝
(
けげん
)
な顔をする。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
仕方がないから、また布団の上へ
坐
(
すわ
)
って、
煤掃
(
すすはき
)
の時に
蓙
(
ござ
)
を丸めて
畳
(
たたみ
)
を
叩
(
たた
)
くように、そこら近辺を無暗にたたいた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのふとんと
蓙
(
ござ
)
の間を長くこゝに住みなれ、おそらくは(原文七字缺)の血を吸ひとつたであらう、貪慾な夜の蟲どもが列をみだして逃げまどふのであつた。
盲目
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
転びとは大道へ
蓙
(
ござ
)
を敷いて商品を並べるもの、ぼくというのは植木屋、引張とあるは
香具師
(
やし
)
のことである。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夜中に大地震があって、みんな戸外に飛び出し、家の前の空地に
蓙
(
ござ
)
を敷いて、そこに
屯
(
たむろ
)
して夜を明かした。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
客座敷なぞは疊がへをした上へ
蓙
(
ござ
)
を敷いて、其の上へまた澁紙を敷いて、
乾餅
(
かきもち
)
が干し並べてあつたりした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その間に例によって宝物を拝観したが、此処のは
蛇身鳥
(
じゃしんちょう
)
の牙だの石や鐘の
破片
(
かけら
)
だので古道具とまでも行っていない。品が粗末なだけに縁先の
蓙
(
ござ
)
の上に列べてあった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
尾田はあたりを見廻したが、脱衣籠もなく、ただ、片隅に薄汚ない
蓙
(
ござ
)
が一枚敷かれてあるきりで
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
彼の郷里熊本などは、
昼間
(
ひるま
)
は百度近い暑さで、夜も
油汗
(
あぶらあせ
)
が流れてやまぬ程
蒸暑
(
むしあつ
)
い夜が少くない。
蒲団
(
ふとん
)
なンか滅多に敷かず、
蓙
(
ござ
)
一枚で、真裸に寝たものだ。
此様
(
こんな
)
でも困る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
主人が持参した
蓙
(
ござ
)
のうえに着物を脱ぎ捨て、ふたり湯の中にからだを滑り込ませる。かず枝のからだは、丸くふとっていた。今夜死ぬる物とは、どうしても、思えなかった。
姥捨
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
店内は日本の品物をもって
埋
(
うず
)
まり、
蓙
(
ござ
)
・雨傘・浮世絵・屏風・茶碗・塗物・呉服・小箱・
提灯
(
ちょうちん
)
・人形・骨董・帯地・着物・
行李
(
こうり
)
・火鉢・煙草盆——一口に言えば何でもある。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ともかく、二人の
先触
(
さきぶ
)
れ小僧が、小川湯へつくと、
他
(
ほか
)
に
浴客
(
おきゃく
)
があろうがなかろうが、
衣類
(
きもの
)
の
脱
(
ぬ
)
ぎ場をパッパッと掃きはじめ、
蓙
(
ござ
)
を敷く、よきところへ着物を脱ぐ入れものをおく。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
若殿は
恍惚
(
うっとり
)
として、
見惚
(
みと
)
れて、
蓙
(
ござ
)
の上に敷いてある
座蒲団
(
ざぶとん
)
に、坐る事さえ忘れていた。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
老僧は船長や船童に扶けられて通ひ船に乘り移り、
蓙
(
ござ
)
の上にきちんと坐られた。そして舷側を離れるとともに恰も佛の前に
稽首
(
ぬかづ
)
くやうに、三度ばかり鄭寧に頭を下げて謝意を表せられた。
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
それもこの
気息奄々
(
きそくえんえん
)
たる場面を活気づけようとして、わざわざ姿を現わしでもしたように、
蓙
(
ござ
)
がけの荷を積んだ荷馬車で
偶々
(
たまたま
)
一人の百姓がそこへ乗りこんで来たればこそで、いつもだったら
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
貧乏で何一つ食べさせる物もないが、せめて
大火
(
おおび
)
を
焚
(
た
)
いてあたらせると、七人は
蓙
(
ござ
)
を頭から
被
(
かぶ
)
って
炉
(
ろ
)
のはたで睡ってしまい、夜が明けて元日の朝日がさし込むのにまだ起きようともしなかった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「入らツしやいましたよ。」繼母はお鳥の先きへ立つてやつて來て、持つて來た
蓙
(
ござ
)
の座蒲團を床の間の前に置き、「さあ、あなたもぢかによくお頼みなさいよ」と、お鳥を置いて去つてしまつた。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
まだ午前であつたが、湯殿山の
谿合
(
たにあひ
)
にかかると風の工合があやしくなつてきてたうとう『
御山
(
おやま
)
』は荒れ出して来た。豪雨が全山を
撫
(
な
)
でて降つてくるので、
笠
(
かさ
)
は飛んでしまひ、
蓙
(
ござ
)
もちぎれさうである。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
唐津出来
(
からつでき
)
の
茶碗
(
ちゃわん
)
や、
皿
(
さら
)
や
丼
(
どんぶり
)
などを、
蓙
(
ござ
)
を敷いて
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
この人を裏の土蔵の方へ導こうとして、おまんは
提灯
(
ちょうちん
)
を手にしながら先に立って行った。半蔵も
蓙
(
ござ
)
や
座蒲団
(
ざぶとん
)
なぞを用意してそのあとについた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
絶えざる低い
大太鼓
(
おほだいこ
)
の音に例の
如
(
ごと
)
く板をバタバタ
叩
(
たゝ
)
く音が
聞
(
きこ
)
えて、左手の
辻番
(
つじばん
)
小屋の
蔭
(
かげ
)
から
仲間
(
ちゆうげん
)
と
蓙
(
ござ
)
を
抱
(
かゝ
)
へた女とが大きな声で争ひながら出て来る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
竜之助は
財布
(
さいふ
)
を取り出して、小銭百文をパラリと縁台の
蓙
(
ござ
)
の上へ投げ出して、その取るに任せると、黒坂は横目で
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
足
(
あし
)
には
脚絆
(
きやはん
)
と
草鞋
(
わらぢ
)
とを
穿
(
はい
)
て
背
(
せ
)
には
蓙
(
ござ
)
を
負
(
お
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
蓙
(
ござ
)
は
終
(
た
)
えず
彼
(
かれ
)
の
背後
(
はいご
)
にがさ/\と
鳴
(
な
)
つて
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
騷
(
さわ
)
がした。
彼
(
かれ
)
は
遂
(
つひ
)
に
土手
(
どて
)
から
折
(
を
)
れて
東
(
ひがし
)
へ/\と
走
(
はし
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
仕方がないから、又布団の上へ坐つて、煤掃の時に
蓙
(
ござ
)
を丸めて畳を叩く様に、そこら近辺を無暗にたゝいた。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
豊臣家
(
とよとみけ
)
にはなんのしたくもなく、
見物
(
けんぶつ
)
にまじってぶらりとやってきた三名は、さしずめ、そこらの
樹
(
き
)
のしたに
蓙
(
ござ
)
でもしいて
一晩
(
ひとばん
)
明かすよりほかにしかたがない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素早く戸板や
蓙
(
ござ
)
を持って来て、仮の場席をこしらえ、
怪我人
(
けがにん
)
や子供を寝かしているのもあった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
土のうへに藁を敷詰めて、上に
蓙
(
ござ
)
をしいたゞけである。どこもかしこもじめじめしたもので、こゝにスキイヤアが、多勢泊ることもあるらしいが、無論都会人向きではない。
霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
椅子は駿介の手製のもの一脚きりだつたから、卷いて壁に寄せかけてあつた
蓙
(
ござ
)
をのべ、そこへ布團を敷いて請じた。二人は向ひ合つて坐つた。互に短く挨拶の言葉を云つた。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
庭一面の落葉は道具の調べや荷づくりをするには
蓙
(
ござ
)
や薄べりを敷くよりも遥に
誂
(
あつら
)
え向きなものであった。
写況雑記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬丁の吹き鳴らす
喇叭
(
らっぱ
)
の音が起る。薄い
蓙
(
ござ
)
を掛けた馬の
身
(
からだ
)
はビッショリと
濡
(
ぬれ
)
て、
粗
(
あら
)
く乱れた
鬣
(
たてがみ
)
からは
雫
(
しずく
)
が
滴
(
したた
)
る。ザクザクと音のする雪の路を、馬車の輪が
滑
(
すべ
)
り始める。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お吉は
蓙
(
ござ
)
などを持って来て、すすめるものだから、主膳もついそこへ上り込んでしまいました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かぶってきた
蓙
(
ござ
)
をすてて
焚火
(
たきび
)
のそばへふるえついたのは、おなじ姿の呂宋兵衛だった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衣物
(
きもの
)
だつて
幾
(
いく
)
らも
無
(
な
)
いんだらうがね、それにまあどうして
川
(
かは
)
へなんて
其麽
(
そんな
)
遠
(
とほ
)
くへ
蓙
(
ござ
)
ばかり
持
(
も
)
つてね、
行
(
ゆ
)
くうちにや
居
(
ゐ
)
た
蚤
(
のみ
)
もみんな
飛
(
と
)
んで
了
(
しま
)
ふだらうがね、まあさういのも
運
(
めぐ
)
り
合
(
あは
)
せだね
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
病室には、糺が知合いの医員に話して、自由を
利
(
き
)
かせて、特別に取り入れた寝台のうえに、叔父が一人、毛布を着てごろりと転がっていた。
床
(
ゆか
)
の上には、
蓙
(
ござ
)
を敷いて幸さんも寝ていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
金網の張ってある重い戸があくと、そこは半蔵夫婦が火災後しばらく
仮住居
(
かりずまい
)
にもあてたところだ。
蓙
(
ござ
)
でも敷けば、客のいるところぐらい設けられないこともなかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
プロペラ船のお客もまばらで、
蓙
(
ござ
)
の上に、おのおの、足腰をのばしたせいか、内輪同士のくつろぎに、旅も、きょうあたりから、なんとなく、旅情の子らしい
侘
(
わび
)
しさにとらわれてくる。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この時、後ろの方から
蓙
(
ござ
)
のような巻いたものを抱えて、三人連れの女がやって来ました。その三人の女をよく見ると、その一人は手拭を
被
(
かぶ
)
らないで、頭の上へ
御幣
(
ごへい
)
のような白紙を結んでいます。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
蓙
(
ござ
)
のうへに一緒くたに取り出された帯揚を取りあげたりした。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
“蓙(ござ)”の解説
ござ(茣蓙、蓙)は、草茎を織ることによって作られた敷物。一般にはイグサで織ったものを指す。構造は畳表とほぼ同じ。
(出典:Wikipedia)
蓙
漢検1級
部首:⾋
13画
“蓙”を含む語句
茣蓙
荒蓙
花蓙
蓙掛
盆茣蓙
着茣蓙
盆蓙
呉蓙
比翼蓙
胡蓙
花茣蓙
藁蓙
青蓙
蓙打
豊島茣蓙
蓙巻
蒲蓙
華蓙
円蓙
茣蓙敷
...