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糞
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くそ
ふりがな文庫
“
糞
(
くそ
)” の例文
万一小染が下手人でなかったら、あんまり綺麗な細工じゃねエが、たった一つしかねエこの
雁首
(
がんくび
)
をやると言うがいい。
糞
(
くそ
)
面白くもねエ
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうち最前からの
疲
(
つか
)
れが出て、ついうとうと寝てしまった。何だか騒がしいので、
眼
(
め
)
が覚めた時はえっ
糞
(
くそ
)
しまったと飛び上がった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この頃光子さんの綿貫に対する態度だんだん焼け
糞
(
くそ
)
になって来なさって、どないなとなれいうような
素振
(
そぶり
)
見せなさるもんですさかい
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……勅令……内務省令、
糞
(
くそ
)
を
啖
(
く
)
らえだ。いよいよ団結を固くして、益々大資本を集中しつつ、全国的に鋭敏な爆薬取引網を作って行く。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
折々「
糞
(
くそ
)
」「畜生」などと云う、いかがわしい単語を口の内でつぶやいているのである。昌平橋に掛かる時、向うから芸者が来た。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
一寸やっては
顎
(
あご
)
の下に入れて暖めているのを見るに見兼ねて、「え
糞
(
くそ
)
ッ!」という気になり、ストーヴをたきつけてやったと云っている。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
俳諧歌となりと、狂歌となりと、
味噌
(
みそ
)
となりと、
糞
(
くそ
)
となりと思ふやうに名づけられて苦しからず。われらは名称などにかかはらざるなり。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「ようし、てめえっちのような、兎の
糞
(
くそ
)
みてえなチビに、挨拶しても仕方がねえ、後から、
秩父
(
ちちぶ
)
の熊五郎が返答にゆくから引っ込んでろ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いない……時を……見……
何故
(
なぜ
)
、何故言難い、
苟
(
いやしく
)
も男児たる者が零落したのを耻ずるとは何んだ、そんな小胆な、
糞
(
くそ
)
ッ今夜言ッてしまおう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「どっちにしても、おれらのためにゃあ正勝さんだよ。いくら姿ばかり立派でも、敬二郎の野郎じゃ
糞
(
くそ
)
の役にも立たねえから」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その足跡は里犬よりも大きく、
糞
(
くそ
)
は毛と骨で——
雨晒
(
あまざら
)
しになったのを農夫が熱の薬に用いる。それは兎や鳥なぞを捕えて食うためだという。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ちょっと側を通っても
蝿
(
はえ
)
の大群が物すごい音を立てて飛び立った。「肺病のたれた
糞
(
くそ
)
や食い残しじゃ肥しにもなりゃしねえ」
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
自由
気儘
(
きまま
)
にグングン訳し、「昔のような
糞
(
くそ
)
正直な
所為
(
まね
)
はしない、
拙
(
まず
)
い処はドンドン直してやる」と、しばしば豪語していた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「間、貴様は犬の
糞
(
くそ
)
で
仇
(
かたき
)
を取らうと思つてゐるな。遣つて見ろ、そんな場合には
自今
(
これから
)
毎
(
いつ
)
でも蒲田が現れて
取挫
(
とりひし
)
いで遣るから」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
仁右衛門はいわれる事がよく飲み込めはしなかったが、腹の中では
糞
(
くそ
)
を
喰
(
く
)
らえと思いながら、今まで働いていた畑を気にして入口から眺めていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして些と娘の方を見て、「ですから私等も、
一
(
ひ
)
とつ頃は
可成
(
かなり
)
に暮してゐたものなんですが、此う
落魄
(
おちぶれ
)
ちや
糞
(
くそ
)
ですね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「さうだ。汚いとも。耳はボロボロの麻のはんけち
或
(
あるい
)
は焼いたするめのやうだ。足さきなどはことに見られたものでない。まるで乾いた牛の
糞
(
くそ
)
だ。」
月夜のけだもの
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
誰も知人のない東京なので、恥かしいも
糞
(
くそ
)
もあったものではない。ピンからキリまである東京だもの。裸になりついでにうんと働いてやりましょう。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
お年はお十七とのこと、これが若様なれば
余程
(
よっぽど
)
宜
(
よろ
)
しゅうございますに、お武家様にお嬢様は
糞
(
くそ
)
ったれでございますなア
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蜘
(
くも
)
網
(
あみ
)
をむすびて
九二
諸仏を繋ぎ、
燕子
(
つばくら
)
の
糞
(
くそ
)
九三
護摩
(
ごま
)
の
牀
(
ゆか
)
をうづみ、
九四
方丈
(
はうぢやう
)
九五
廊房
(
らうばう
)
すべて物すざましく荒れはてぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
大勢の見物人の前だから、初めは標準語でやっているが、
忽
(
たちま
)
ち心乱れてくると「何んやもう一ぺんいうて見い、あほめ、
糞
(
くそ
)
たれめ、何
吐
(
ぬか
)
してけつかる」
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「似合わねえな。波田君、
糞
(
くそ
)
だらけの服と、澄み切ったひとみの処女とは、どう工面して見たって、縁がねえなあ」
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「
糞
(
くそ
)
。冬になりゃあ、こんな天気になるのは知れているのだ。出掛けさえしなけりゃあいいのだ。おれの靴は水が染みて海綿のようになってけつかる。」
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
このように、作家と作品に距離があるということは、その作家が処世的に
如何
(
いか
)
ほど
糞
(
くそ
)
マジメで謹厳誠実であっても、根柢的に魂の不誠実を意味している。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
娘さんは二階へ行き、やがて、おじさんが
糞
(
くそ
)
まじめな顔をして二階から降りて来た。悪党のような顔をしている。
未帰還の友に
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
遊女から振られた
腹癒
(
はらい
)
せに
箪笥
(
たんす
)
の中に
糞
(
くそ
)
を入れて来たことなどを実験談のようにして話しているが、まだ、少年の私がいても
毫
(
すこし
)
も邪魔にはならぬらしい。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
無理に二階へ押し上げると、柳吉は天井へ頭を
打
(
ぶ
)
っつけた。「痛ア!」も
糞
(
くそ
)
もあるもんかと、思う存分折檻した。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
また、ほかの家にて蚕児を盗まれたとの届け出に対し、警官が出張して検閲せしときに、そのうせたる場所に鼠
糞
(
くそ
)
の残れるを発見したことも聞いている。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「帰りがけに今一言いっておく。親類も
糞
(
くそ
)
もあるもんか、懇意も
糸瓜
(
へちま
)
もねいや、えい加減に勝手をいえ、今日限りだ、もうこんな家なんぞへ来るもんか」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
俗に「
糞
(
くそ
)
も
味噌
(
みそ
)
も一
緒
(
しょ
)
にする」というが、
味噌
(
みそ
)
を見て
糞
(
くそ
)
のようだというのと、糞を見て味噌のようだというのとは、その人の
態度
(
たいど
)
に大差あるを証明する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
米はあきらめて黙って
紙石盤
(
かみせきばん
)
を出して来ると
腹這
(
はらば
)
いになって画をかき始めた。一頁に一つずつ先ず前の軍人から始めて二枚目に
糞
(
くそ
)
を落している馬を描いた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
寺では二三日前から
日傭
(
ひよう
)
取りを入れて掃除をしておいたので、墓地はきれいになっていて、いつものように
樒
(
しきみ
)
の枯葉や犬の
糞
(
くそ
)
などが散らかっていなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そして彼はその上に
痰
(
たん
)
を吐きかけるのみでは足れりとしない。数と力と物質との優勢の圧迫の下に、彼は心に一つの言葉を、
糞
(
くそ
)
を見いだす。くり返して言う。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
されどもピラミッド全体は、長い間の惰性に引きずられて眠っている。ただ現在に固執している。死体のごときずっしりとした重さで
糞
(
くそ
)
落着きに落着いている。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
『
掘
(
ほ
)
らせんといふなら
掘
(
ほ
)
らん。
掘
(
ほ
)
らうと
思
(
おも
)
へば、どんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つても
屹
(
きつ
)
と
掘
(
ほ
)
つて
見
(
み
)
せるが、ナニ、
這
(
こ
)
んな
糞
(
くそ
)
ツたれ
貝塚
(
かひづか
)
なんか
掘
(
ほ
)
りたくは
無
(
な
)
い』と
叫
(
さけ
)
ぶのである。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかし、
何
(
ど
)
うしためぐり合せか私には不運が続いた。ころべば
糞
(
くそ
)
の上とか言ふ、この地方の
譬
(
たと
)
へ通りに。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「ちぇっ、勝手にしろ! どうして貴様はまた、発作が起こることに決めてやがるんだ、本当に
糞
(
くそ
)
! いったい貴様はこのおれをからかっているのか、どうだ?」
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
将軍忽ち岸の草陰に隠れて
糞
(
くそ
)
をひる。これも何かの好紀念であろう。四人手を
捉
(
と
)
り躍り上りて万歳を
呼
(
よ
)
ぶ
三呼
(
さんこ
)
。ああ、かくして我々の痛快なる旅行は
了
(
おわ
)
ったのである。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
將棋
(
せうき
)
では何
糞
(
くそ
)
つと力み
返
(
かへ
)
つて
遠慮
(
えんりよ
)
なしに
負
(
ま
)
かしたり
負
(
ま
)
かされたりする事既に五六年にもならうか?
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
その蛇の中には
糞
(
くそ
)
がある、という愚にもつかないことを音読みでやっているだけのことなんです。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ソ連の参戦も
糞
(
くそ
)
もあるか。頭を強く二三度振り、今までの考えから抜け出ようと努力しながら、歌でも歌おうとよろめく足をふみしめ、卓に手をかけ立ち上ろうとした。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
……具体的も
糞
(
くそ
)
もあるもんか! 問題は、なよたけを大納言の手から救い出せばそれでいいんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
わざと
糞
(
くそ
)
落ちつきに落ついて、おのぶが不承不精に出す湯呑へ、
手酌
(
てじゃく
)
でなみなみとつぎ入れた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「
捨身成仏
(
しゃしんじょうぶつ
)
ということがある。大事な物を捨てた時、そこへ解脱がやって来る」「また談義か、
糞
(
くそ
)
でも食らえ」「アッハハハ、面白いなあ」「何が面白い、生臭坊主め!」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうして彼はその少女の靴へほんの少し
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の
糞
(
くそ
)
ほどの泥がはねあがっているのを見つけた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
はつきり
惡
(
わ
)
りいたあ
云
(
ゆ
)
はねえんだから、
夫
(
それ
)
から
俺
(
お
)
れ
糞
(
くそ
)
攫
(
つか
)
んで
見
(
み
)
ねえ
奴
(
やつ
)
ぢや
駄目
(
だめ
)
だつちんだ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こんなことぢや駄目です。こんなぢや、わたしはいつまでも、生臭坊主の
糞
(
くそ
)
坊主です。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
ぼくは自己批判も
糞
(
くそ
)
もなく、
甘
(
あま
)
くて下手な歌や詩を作り、
酩酊
(
めいてい
)
している時が多かった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
尤も今日は、
刻限
(
こくげん
)
が
遲
(
おそ
)
いせいか、一羽も見えない。唯、
所々
(
ところどころ
)
、崩れかゝつた、さうしてその
崩
(
くづ
)
れ目に長い草のはへた
石段
(
いしだん
)
の上に、
鴉
(
からす
)
の
糞
(
くそ
)
が、點々と白くこびりついてゐるのが見える。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
伊勢屋稲荷に犬の
糞
(
くそ
)
と、江戸の名物のようにいわれたほど、おいなりさんは江戸時代の
流行
(
はやり
)
ものだが、秀郷祀るところの神さまと、どうして代ったのかというと、それにも
由縁
(
ゆえん
)
はあるが
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“糞”の意味
《名詞》
(フン)動物の大便。
(くそ)くそを参照のこと。
(出典:Wiktionary)
“糞”の解説
糞(くそ、ふん。※「くそ」の別表記:屎)とは、動物の消化管から排出される固体状の排泄物(屎尿)。
(出典:Wikipedia)
糞
漢検準1級
部首:⽶
17画
“糞”を含む語句
糞壺
馬糞
牛糞
糞尿
糞色
胸糞
糞汁
糞堆
土糞
袂糞
馬糞茸
糞垂
糞爺
金糞
糞桶
下手糞
鼻糞
糞力
何糞
糞度胸
...