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祀
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まつ
ふりがな文庫
“
祀
(
まつ
)” の例文
建築術のなかった昔にも神道はあった、樹を植えて神を
祀
(
まつ
)
ったのがすなわち神社である——この故に三輪の神杉には神霊が宿る
云々
(
うんぬん
)
。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
庭の奥の林の中には、近所の百姓地で荒れ放題になっていたという、稲荷様の
祠
(
ほこら
)
を移して、元のままながら小綺麗に
祀
(
まつ
)
ってあります。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
例
(
たと
)
へば
越中
(
えつちゆう
)
氷見
(
ひみ
)
の
大洞穴
(
だいどうけつ
)
の
中
(
なか
)
には、
今
(
いま
)
は
小
(
ちひ
)
さい
社
(
やしろ
)
が
祀
(
まつ
)
られてありますが、その
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
から
石器時代
(
せつきじだい
)
の
遺物
(
いぶつ
)
がたくさんに
出
(
で
)
て
來
(
き
)
ました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
本邦でも秀吉の馬塚(『摂陽群談』九)、吉宗の馬像(『甲子夜話』五一)、その他例多く、馬頭観音として
祀
(
まつ
)
ったのも少なからぬ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私のうちに去来するもろもろの心は自己の
堂奥
(
どうおう
)
に
祀
(
まつ
)
られたるものの直接的な認識を私に
喚
(
よ
)
び起させるために生成し、発展し、消滅する。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
▼ もっと見る
またそういう婦人になにかふしぎな事があって、神に
崇
(
あが
)
めまたは
塚
(
つか
)
に
祀
(
まつ
)
ったという伝説は、今でもおりおり
田舎
(
いなか
)
にはのこっている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あっと、関興はそこに立つや否、
愕
(
おどろ
)
いて拝伏した。正面の小さい壇に明々と
燈火
(
ともしび
)
を照らし、亡父関羽の画像が
祀
(
まつ
)
られてあるではないか。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神
(
かみ
)
に
祀
(
まつ
)
られたといえば、ちょっと
大変
(
たいへん
)
なことのように
思
(
おも
)
われましょうが、
内容
(
なかみ
)
は
決
(
けっ
)
してそれほどのことではないのでございまして……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ところでそこに語られているのは、熊野に今
祀
(
まつ
)
られている神々が、もとインドにおいてどういう経歴を経て来たかということなのである。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
川へ続く崖のところに老樹が数本昼間も暗いくらいに繁っていて、その下に
三宝荒神様
(
さんぼうこうじんさま
)
が
祀
(
まつ
)
ってある。それで荒神風呂と名がついている。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
本妙寺に
祀
(
まつ
)
られてある、加藤清正公の神苑で、凱旋祝賀会があったときにも、私は白色銅
葉章
(
ようしょう
)
と従軍
徽章
(
きしょう
)
を胸に
着
(
つ
)
けた父と一緒に行った。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
芝増上寺の末寺飯倉赤羽橋の心光院に今なお
祀
(
まつ
)
られていることを最近に知り、それがまた故渡辺海旭先生と深い因縁のあることも分って
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
それを動物園で買い取ったのだが、そのとき先方は、
祀
(
まつ
)
ってくれるなら譲るといって、ずいぶんと動物園に手を焼かせたという。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
本所には
窟
(
いわや
)
の弁天、藁づと弁天、
鉈
(
なた
)
作り弁天など、弁天の
社
(
やしろ
)
はなかなか多いのであるが、かれが
祀
(
まつ
)
っているのは光明弁天というのであった。
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
薄緑の芝生や、しなやかに昇る噴水で飾られた
園
(
その
)
がある。
処々
(
しよ/\
)
に高尚な大理石の像が立てゝある。木立の間には、愛の神を
祀
(
まつ
)
つた
祠
(
ほこら
)
がある。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
その日も孝也がでかけたので、日が
昏
(
く
)
れてから二人は会った。屋敷の北の隅に「茂庭明神」といって氏の神を
祀
(
まつ
)
った
祠
(
ほこら
)
がある。
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「こんどのやく病はこのわしがはやらせたのである。これをすっかり
亡
(
ほろ
)
ぼしたいと思うならば、
大多根子
(
おおたねこ
)
というものにわしの
社
(
やしろ
)
を
祀
(
まつ
)
らせよ」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
空地の中央には何んとかいう小さな
淫祠
(
ほこら
)
が
祀
(
まつ
)
ってあるが、その後の闇の中へお由の屍体を下して、二人は初めてほっとした。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大和
西大
(
さいだい
)
寺の南に菅原神社といつて、
天穂日命
(
あめのほひのみこと
)
と
野見宿禰
(
のみのすくね
)
と菅原道真とを一緒に
祀
(
まつ
)
つた
社
(
やしろ
)
がある。そこに
詣
(
まゐ
)
つた事のある人は、社の直ぐ前に
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
他のチベット風の寺のように二階造りあるいは三階造りになって居りません。ただ一層の家でありましたが、その中に最も尊く
祀
(
まつ
)
ってあるのが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼はそこに
祀
(
まつ
)
つてある「伎芸天」と共に暮して少しも淋しくなく、孤独の楽しみに充実して酔つてゐる事が出来た。しかしそこは画の家である。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
とくに宝蔵殿のような場所では
尚更
(
なおさら
)
である。それにしても、いまのこの
祀
(
まつ
)
り方は、あまりに人工的に過ぎはしないだろうか。尊ぶ気持はわかる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
すると彼らは討ち死にする。不幸のようではあるけれど、その華々しい戦没の様が、詩となり歌となって
詠
(
うた
)
われる。ある者は神にさえ
祀
(
まつ
)
られる。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小さな木祠が
祀
(
まつ
)
ってあって、扉を開けて見ると、穂高神社奉遷座云々と、
禿
(
ち
)
び筆で書いた木札などが、散乱している。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
わからぬにしても写真を仏壇に
祀
(
まつ
)
られるようになったのでは、結局この私よりもあの男たちは不幸な人間であった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
僕の
家
(
うち
)
には祖父の代からお
狸様
(
たぬきさま
)
というものを
祀
(
まつ
)
っていた。それは赤い布団にのった一対の狸の
土偶
(
でく
)
だった。僕はこのお狸様にも何か恐怖を感じていた。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日向丸は
艫
(
とも
)
の船底に
船霊
(
ふなだま
)
を
祀
(
まつ
)
り、その小さい神棚の右よりに赤いおき上りの小法師がぽつりと一つ置かれてあった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この立派な日本独自の字体に向う時、私たちは名も知られざる貧乏な職人たちの亡き霊を
祀
(
まつ
)
る志を失ってはならぬ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
怪
(
あやし
)
みて
或博士
(
あるはかせ
)
に
占
(
うらな
)
はするに
日外
(
いつぞや
)
罪
(
つみ
)
無
(
なく
)
して殺されたる嫁の
祟
(
たゝ
)
り成んと云ければ鎭臺には大に駭かれ
塚
(
つか
)
を
建
(
たて
)
て是を
祀
(
まつ
)
り訴へたる娘を罪に行ひ
前
(
さき
)
の鎭臺の官を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その洞窟の一つに、ギリシャの神パンを
祀
(
まつ
)
る宮がありました。それでこの町の旧名はパネアスと呼ばれたのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
日本のずうつと西の
端
(
はて
)
の
或国
(
あるくに
)
では、氏神といつて、どこの
家
(
うち
)
でも、先祖代々自分だけの神様を
祀
(
まつ
)
つてをります。
蛇いちご
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
多田院
(
ただのゐん
)
は
日光
(
につくわう
)
に
次
(
つ
)
ぐ
徳川家
(
とくがはけ
)
の
靈廟
(
れいべう
)
で、
源氏
(
げんじ
)
の
祖先
(
そせん
)
が
祀
(
まつ
)
つてあるから、
僅
(
わづ
)
か五
百石
(
ひやくこく
)
の
御朱印地
(
ごしゆいんち
)
でも、
大名
(
だいみやう
)
に
勝
(
まさ
)
る
威勢
(
ゐせい
)
があるから
天滿與力
(
てんまよりき
)
も
幅
(
はゞ
)
が
利
(
き
)
かなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
鶴見はその石の頂上にある平面のところに、かつては小さな
龕
(
がん
)
が
祀
(
まつ
)
られてあったものと想像した。この石はそこの村での或る信仰の対象物であったらしい。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
これではならぬと思い、私は考えた末、これを私の
前栽
(
せんざい
)
へ解放してやろうと思った。前栽には大きな石が積み重ねてあり、その上には
稲荷
(
いなり
)
様が
祀
(
まつ
)
ってあった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
お国のお山の上に
社
(
やしろ
)
があって、何をお
祀
(
まつ
)
りしてありましたか、家中の信仰も厚く、皆お参りをするのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その家は今でも連綿として栄え、初期の議会に埼玉から多額納税者として貴族院議員に撰出された野口氏で、喜兵衛の
位牌
(
いはい
)
は今でもこの野口家に
祀
(
まつ
)
られている。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
部屋
(
へや
)
の壁の上に昔ながらの
注連縄
(
しめなわ
)
なぞは飾ってあるが、
御嶽山
(
おんたけさん
)
座王大権現
(
ざおうだいごんげん
)
とした床の間の軸は取り除かれて、御嶽三社を
祀
(
まつ
)
ったものがそれに掛けかわっている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
古火鉢と、大きな細工盤とで
劃
(
しき
)
って、うしろに神棚を
祀
(
まつ
)
った仕事場に、しかけた仕事の
鉄鎚
(
かなづち
)
を持ったまま、
鏨
(
たがね
)
を
圧
(
おさ
)
えて、平伏をなさると、——畳が汚いでしょう。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あすこは
聖天
(
しょうでん
)
さまが
祀
(
まつ
)
ってあるんですの。あらたかな神さまですわ。舟で行くといいんですけれど。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
○およそ 菅神を
祀
(
まつ
)
る
社
(
やしろ
)
にはおほかたは
雷除
(
らいよけ
)
の
護府
(
まもり
)
といふ物あり。此 御神雷の
浮名
(
うきな
)
をうけ玉ひたるゆゑ、
神灵
(
しんれい
)
雷
(
らい
)
を
忌
(
いみ
)
玉ふゆゑに此まもりかならず
験
(
しるし
)
あるべし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
いま通り過ぎて来た
音羽
(
おとわ
)
の護国寺から
坤
(
ひつじさる
)
の方角に当たる
清土
(
きよづち
)
という場処で、そこへ行くと、今でも草むらの中に小さな
祠
(
ほこら
)
があって、はじめはここに
祀
(
まつ
)
ってあった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
木造の小さな
祠
(
ほこら
)
があるが、確か不動尊を
祀
(
まつ
)
ってあるという話しであった、絶頂は別段平地がある訳でもなく、またこの辺には樹は生えていなくて皆草ばかりである
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
女子大学に入ろうとする昔の幼ない少女よりも、今は心に
祀
(
まつ
)
る主キリスト、でなければ、
陋巷
(
ろうこう
)
に沈淪してもがいている泥の中のマリヤの事を思っていたのであろう。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
藩主の祖先を
祀
(
まつ
)
つた神社の祭に全校生が参拝した際、社殿の前で礼拝の最中石に躓いてよろめいた生徒を皆に混つてくツ/\笑つた私を、後で伊藤がひどく
詰
(
なじ
)
つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
といって、
本堂
(
ほんどう
)
に
祀
(
まつ
)
ってある
勝軍地蔵
(
しょうぐんじぞう
)
と
勝敵毘沙門天
(
しょうてきびしゃもんてん
)
のお
像
(
ぞう
)
の
前
(
まえ
)
に行ってみますと、どうでしょう。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
たじたじとなって彼は
蒼
(
あお
)
ざめたのである。人々の前にあるのは
屍棺
(
しかん
)
であった。北向きの壁に寄せて
祀
(
まつ
)
られ、包まれた白い布に、取りあえず松の葉が投げかけられていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
泣き声の大きさは
界隈
(
かいわい
)
の評判で、やんちゃ坊主であった。路地の井戸端に
祀
(
まつ
)
られた石地蔵に、あるとき何に腹立ってか、小便をひっかけた。お君は気の向いた時に叱った。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
その本城たりし
山吹城
(
やまぶきじやう
)
の
遺址
(
ゐし
)
は今猶其の東端にありて、
田圃
(
でんぽ
)
蕭條の
中
(
うち
)
仔細にその地形を指點すべく、
傍
(
かたはら
)
に
祀
(
まつ
)
れる八幡宮の
小祠
(
せうし
)
は義仲が初めて元服を加へたるところと傳ふ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
柿本人麿
(
かきのもとのひとまろ
)
は、
平安朝
(
へいあんちよう
)
の
末
(
すゑ
)
になると、
神樣
(
かみさま
)
として
祀
(
まつ
)
られる
程
(
ほど
)
の
尊敬
(
そんけい
)
をうけるようになりました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
相馬将門
(
そうままさかど
)
威を東国に振い、藤原
秀郷
(
ひでさと
)
朝敵
誅伐
(
ちゅうばつ
)
の計策をめぐらし、この神の加護によって将門を
亡
(
ほろぼ
)
したので、この地にいたり、
喬々
(
きょうきょう
)
たる杉の森に、神像を
崇
(
あが
)
め
祀
(
まつ
)
ったのだとある。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
祀
漢検1級
部首:⽰
8画
“祀”を含む語句
祭祀
日祀
日祀部
合祀
奉祀
淫祀
船玉祀
享祀
神社合祀
燈籠祀
漢郊祀志
淫祀論
星暦卜祀
廟祀
崇祀
子祀
大祀
各奉祀其主
先祀