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知己
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ちき
ふりがな文庫
“
知己
(
ちき
)” の例文
源吉の調べと
併
(
あは
)
せて、もう一度平次の頭で整理して見ましたが、下手人はお小夜の
知己
(
ちき
)
で、木戸を開けて狹い庭から通して貰つて
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうちに某町の豪家で婚礼があって、親戚
知己
(
ちき
)
をはじめ附近の人びとがめでたい席へ招かれて御馳走になった。それは秋の夜であった。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかし、そのまへにおとうさんとおかあさんには成すべき或る事がありますのです。それは昔の大方の
知己
(
ちき
)
を見て廻ることです。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
吾輩は無論泥棒に多くの
知己
(
ちき
)
は持たぬが、その行為の乱暴なところから
平常
(
ふだん
)
想像して
私
(
ひそ
)
かに胸中に
描
(
えが
)
いていた顔はないでもない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
知己
(
ちき
)
を六十六国に有する一代社交の顕著なる中心となり、逍遙院前内府の文名が後の代まで永く歌人の欽仰するところとなり
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
▼ もっと見る
だが、それは一
匹
(
ぴき
)
の
猿
(
さる
)
なのである。猿が話しかけるのはすこしへんだ。忍剣には、あの
三太郎猿
(
さんたろうざる
)
にも
知己
(
ちき
)
がないはずであった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
知己
(
ちき
)
を百代の
後
(
のち
)
に待たうとしてゐるものではない。だから私はかう云ふ私の想像が
如何
(
いか
)
に私の信ずる所と
矛盾
(
むじゆん
)
してゐるかも承知してゐる。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家族、親戚
知己
(
ちき
)
、自分の社会的地位など一切のものと絶縁して、生れかわりたいのだが、しかし金だけは持って行きたい。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
恐
(
おそろ
)
しく
鐵拐
(
てつか
)
に
怒鳴
(
どな
)
つて、フト
私
(
わたし
)
と
向合
(
むきあ
)
つて、……
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て……
雙方
(
さうはう
)
莞爾
(
につこり
)
した。
同好
(
どうかう
)
の
子
(
し
)
よ、と
前方
(
さき
)
で
思
(
おも
)
へば、
知己
(
ちき
)
なるかな、と
言
(
い
)
ひたかつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と寛一君はもう
悉皆
(
すっかり
)
知己
(
ちき
)
に感じてしまった。学校時代にカンニングの手伝いをして退学になりかけた丈けのことはある。頼まれゝば何でもする。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は老爺さんの心根を思って、駄目と知りながら
知己
(
ちき
)
の鉱山所長にその明細書を見せたら、その人は首を振っていった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私のどんな
放恣醜態
(
ほうししゅうたい
)
の日にもイエは
嘗
(
かつ
)
て一度も不機嫌な顔を見せたことはなかったのだが。そして、イエはこんな
知己
(
ちき
)
の言を吐いて私をまいらせた。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
そしてどうやら二人の武士は、二人ながら老人を
追従
(
つ
)
けては行くが、武士達二人はお互いに
知己
(
ちき
)
であるようにも思われぬ。二人は他人であるらしい。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だから二人は知り合ってから、まだ一年と経たないのに十年来の
知己
(
ちき
)
よりも親しく見えた。それはどっちも探偵趣味に生くる者同士だったからであった。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
馬車の中では、田舎紳士の
饒舌
(
じょうぜつ
)
が、早くも人々を五年以来の
知己
(
ちき
)
にした。しかし、男の子はひとり車体の柱を握って、その生々した眼で野の中を見続けた。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
世に「
知己
(
ちき
)
」という言葉がありますが、ハンターこそはジェンナーのよき知己であったといわねばなりません。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
たとい専門にやるとしたところが、もしそういうことを専門に取調べるというと、いかに親しい私の
知己
(
ちき
)
の大蔵大臣でもきっと疑いを起すに違いないです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
三次聞て大いに笑ひ何と云はるゝや長庵
老
(
らう
)
牢屋
(
らうや
)
の
苦
(
くる
)
しみにて眼も
暗
(
くら
)
みしや
確乎
(
しつかり
)
し給へ小手塚の三次なりと云ひければ何ぞ
牢内
(
らうない
)
の苦しみが
強
(
つよ
)
ければとて
知己
(
ちき
)
の人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今より
後
(
のち
)
は大いにそれを取り出して、独り
郷党
(
きょうとう
)
知己
(
ちき
)
の間のみならず、弘く世の中のために利用してもらう必要がある。すでに家と家との目の見えぬ
垣根
(
かきね
)
は取れた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夫の頭が変であることは、すでに友人や
知己
(
ちき
)
の間には相当知れ渡っているのかもしれない。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
汚い
草履
(
ぞうり
)
をはき汚い二重回しをきた私の肩を、瓶口は十年の
知己
(
ちき
)
のように親しげに叩いて
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
彼等
(
かれら
)
の
仲間
(
なかま
)
でも
羽振
(
はぶ
)
りよき
男
(
をとこ
)
、
何
(
なに
)
か
一言
(
ひとこと
)
二言
(
ふたこと
)
いふと、
勇
(
いさ
)
ましき
水兵
(
すいへい
)
の
一團
(
いちだん
)
は、
等
(
ひと
)
しく
帽
(
ぼう
)
を
高
(
たか
)
く
飛
(
とば
)
して、
萬歳
(
ばんざい
)
を
叫
(
さけ
)
んだ、
彼等
(
かれら
)
は
其
(
その
)
敬愛
(
けいあい
)
する
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
知己
(
ちき
)
たる
吾等
(
われら
)
が
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さればこそ
暮
(
くれ
)
やすき、
秋日
(
あきのひ
)
の
短時間
(
たんじかん
)
に、
糸子
(
いとこ
)
主從
(
しゆうじう
)
は
竹村夫人
(
たけむらふじん
)
が
胸中
(
きようちう
)
の
知己
(
ちき
)
とぞなれりける
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
混雑のなかをくぐりぬけて、自分たちの乗るべき線路のプラットホームに立って、先ずほっとした時に、
倫敦
(
ロンドン
)
で
知己
(
ちき
)
になったO君とZ君とが写真機械携帯で足早にはいって来た。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真によく
対手
(
あいて
)
に
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んでもらうためには、対手が自分の親友
知己
(
ちき
)
であり、自分の心持ちや性格やを、充分によく知っているものでない限り百万言を費して
無駄
(
むだ
)
になる場合が多い。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
なにね深川の方の
知己
(
ちき
)
の処に蟄息して居たが、
遠州
(
えんしゅう
)
の親族の者が立帰って来て、何か商法を始めようと思うのだ、それに就いて
蠣売町
(
かきがらちょう
)
に
宜
(
よ
)
い
家
(
うち
)
が有るから、その家を宿賃で
借
(
かり
)
る
積
(
つもり
)
で
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親戚、
知己
(
ちき
)
の間はもちろん、遠隔な土地にいる者をすら電報でかつぐことがある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その医者は三田村(碁を打っていた友人だ)の
知己
(
ちき
)
で、彼に伴われて私宅を訪ねたのである。面談した応接間はこぢんまりして、壁には風景画がかけられ、隅の卓には花が飾られていた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
而
(
しこう
)
して彼が力よりも多くの感化を及ぼし、彼が人物と匹敵する、ある点においては、むしろ彼より優れる弟子を出したるは何ぞ。「感は
知己
(
ちき
)
に
在
(
あ
)
り」の一句これを説明して余りあるべし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そして茂緒にむかっても、十年の
知己
(
ちき
)
のような、なれなれしさで話しかけた。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
こうして絶対に盗難の憂をなくするため、ほとんど要塞のように厳重な設備が出来上がったので、大佐はいよいよ邸宅改築の披露を兼ね、自慢のつづれの錦を展観させるべく
一夕
(
いっせき
)
知己
(
ちき
)
を招いた。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
丁度
(
ちょうど
)
これと同様な話を、その
後
(
のち
)
にまたある
知己
(
ちき
)
からも聞いた事があった。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
多く言うを要しない
知己
(
ちき
)
の
快
(
こころよ
)
さが、胸から胸へと
靉靆
(
あいたい
)
としてただよう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
文登
(
ぶんとう
)
の
周生
(
しゅうせい
)
は
成
(
せい
)
生と少い時から学問を共にしたので、ちょうど後漢の
公沙穆
(
こうさぼく
)
と
呉祐
(
ごゆう
)
とが米を
搗
(
つ
)
く所で
知己
(
ちき
)
になって、後世から
杵臼
(
ききゅう
)
の
交
(
こう
)
といわれたような親しい仲であったが、成は貧乏であったから
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
娑婆
(
しゃば
)
の空気に触るる事の嬉しく、かつは郷里より、親戚
知己
(
ちき
)
の来り会して
懐
(
なつ
)
かしき両親の消息を
齎
(
もたら
)
すこともやと、これを楽しみに看守に
護
(
まも
)
られ、
腕車
(
わんしゃ
)
に乗りて、監獄の門を出づれば、署の門前より
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
世間が君を誤解しても、君の
知己
(
ちき
)
が誤解しなければよいではないか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
秋の
或
(
ある
)
月の夜であったが、私は書生一人
伴
(
つ
)
れて、共同墓地の
傍
(
わき
)
に居る
知己
(
ちき
)
の家を訪ねた、書生はすぐ私より
先
(
さ
)
きに帰してしまったが、私が
後
(
あと
)
からその家を辞したのは、かれこれ十一時近い頃であった
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
江戸へ参れば
知己
(
ちき
)
朋友は幾人も居て、段々面白くなって来た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
知己
(
ちき
)
苟
(
いやしく
)
も
遇
(
あ
)
はざれば
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
下手人はお小夜の
知己
(
ちき
)
で、木戸を開けて狭い庭から通して貰って、一気にお小夜を殺して帰ったというほかには何の手掛りもありません。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれど政職だけは、さすがに若い彼を家老に
抜擢
(
ばってき
)
したほどだけの
知己
(
ちき
)
である。ほかの家来が疑っているような事は毛頭考えてもいないふうだった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
親戚
知己
(
ちき
)
は集まって来たが、日頃疎遠の人が多く、倭文子誘拐事件以来、畑柳家の相談役の様な立場にある三谷が、さしずめ葬儀委員長であった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(
大
(
おほ
)
きく
出
(
で
)
たな。)——
當今
(
たうこん
)
三等米
(
さんとうまい
)
、
一升
(
いつしよう
)
につき
約四十三錢
(
やくよんじふさんせん
)
の
値
(
ね
)
を
論
(
ろん
)
ずるものに、
𢌞米問屋
(
くわいまいどんや
)
の
知己
(
ちき
)
があらう
筈
(
はず
)
はない。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は
大
(
おおい
)
に
肝癪
(
かんしゃく
)
に
障
(
さわ
)
った様子で、
寒竹
(
かんちく
)
をそいだような耳をしきりとぴく付かせてあららかに立ち去った。吾輩が車屋の黒と
知己
(
ちき
)
になったのはこれからである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
図
(
はか
)
らざりき、私がネパールにおいて最大有力なる
知己
(
ちき
)
を得んとは。これまた仏陀の
妙助
(
みょうじょ
)
であると感謝しました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
お糸さんは私がそういう本に興味を示すのを見て云った。「清ちゃんはわせのように見えるところもあるけれど、ほんとはおくてなのね。」けだし
知己
(
ちき
)
の言であろう。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
(藤岡蔵六の先輩
知己
(
ちき
)
は
大抵
(
たいてい
)
哲学者や何かなるべければ、三段論法を用ふること斯くの如し。)
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それがまたなまじな
小言
(
こごと
)
などよりどれほどか深く
対者
(
あいて
)
の弱点を突くのです。また氏の家庭が氏の親しい
知己
(
ちき
)
か友人の来訪に
遇
(
あ
)
う時です、氏が氏の漫画一流の
諷刺
(
ふうし
)
滑稽
(
こっけい
)
を続出
風発
(
ふうはつ
)
させるのは。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
十年の
知己
(
ちき
)
のように話しかけられたことで安江は初対面のあいさつもぬきに
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
惟
(
おも
)
うにこれただ一例のみ。高材逸足の士、出頭の地を求めんと欲す、万一
知己
(
ちき
)
に遭う、あるいは
可
(
か
)
なり。もし遭う
能
(
あた
)
わずんば、彼らは利器を
抱
(
いだ
)
いて、拘文死法の中に
宛転
(
えんてん
)
たらざるべからず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
“知己”の意味
《名詞》
知己(ちき)
自分のことをよく理解してくれる人。
知人。知り合い。
(出典:Wiktionary)
知
常用漢字
小2
部首:⽮
8画
己
常用漢字
小6
部首:⼰
3画
“知己”で始まる語句
知己人
知己料
知己等
知己朋友