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無益
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むやく
ふりがな文庫
“
無益
(
むやく
)” の例文
転宅の事を老人に語るも
無益
(
むやく
)
なり、到底その意に任せて左右せしむ可き事に非ずとて、夫婦
喃々
(
なんなん
)
の間に決したることならんなれども
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
張箍
(
はりわ
)
の
女袴
(
をんなばかま
)
を
穿
(
は
)
いた
官女
(
くわんぢよ
)
よ、
橡
(
とち
)
の
木
(
き
)
よ、
三葉形
(
みつばがた
)
の
縫
(
ぬひ
)
を置いて、鳥の
羽根
(
はね
)
の飾をした
上衣
(
うはぎ
)
を
曳
(
ひき
)
ずる
官女
(
くわんぢよ
)
よ、
大柄
(
おほがら
)
で
權高
(
けんだか
)
で、
無益
(
むやく
)
の
美形
(
びけい
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
とめても
無益
(
むやく
)
と綾子は強いず、「しかしこのままお別れは
残惜
(
のこりおし
)
い。お
住居
(
すまい
)
は? せめてお名だけ。」と余儀無く問えば、打笑いて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浜育ちとはいいながら、
無益
(
むやく
)
の
殺生
(
せっしょう
)
はせぬものじゃ。この蟹を海へ放してやれ。その代りにわしがよいものをやりましょうぞ。
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その時までの
記章
(
かたみ
)
にはおれが秘蔵のこの匕首(これにはおれの
精神
(
たましい
)
もこもるわ)匕首を残せば和女もこれで
煩悩
(
ぼんのう
)
の
羈
(
きずな
)
をばのう……なみだは
無益
(
むやく
)
ぞ
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
▼ もっと見る
その翼を張りておそろしき荒海の上に飛び出でたるはかの猶太教徒の惠なりといひかけて、忽ち頭を
掉
(
ふ
)
り動かし、あな
無益
(
むやく
)
なる詞にもあるかな
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
雙脇
(
もろわき
)
いたく痩せたるはミケーレ・スコットといひ、惑はし欺く
無益
(
むやく
)
の
術
(
わざ
)
にまことに長けし者なりき 一一五—一一七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ことに、深い宿意があって打ち果したという敵じゃなし、女房の命まで取るのは
無益
(
むやく
)
だと思ったから、斬りかかる懐剣の下を潜って、相手の利腕を捕えた。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
取次いでも
無益
(
むやく
)
なれば我が計ふて得させんと、甘く
遇
(
あしら
)
へば附上る言分、最早何も彼も聞いてやらぬ、帰れ帰れ、と小人の
常態
(
つね
)
とて語気たちまち
粗暴
(
あら
)
くなり
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
なさるべきではありません。御病中にも私は姫君がたにもお逢いにならぬがよろしいと申し上げていたのですから、こうなりましてから、互いに
無益
(
むやく
)
な執着を
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
客來
(
きやくらい
)
にやあらん
折
(
をり
)
わろかりと
歩
(
ほ
)
を
返
(
かへ
)
せしが、さりとも
此處
(
こゝ
)
まで
來
(
き
)
しものを
此
(
この
)
まま
歸
(
かへ
)
るも
無益
(
むやく
)
しゝと、
庭
(
には
)
より
廻
(
め
)
ぐりて
椽
(
ゑん
)
に
上
(
あが
)
れば、
客間
(
きやくま
)
めきたる
所
(
ところ
)
に
話
(
はな
)
し
聲
(
ごゑ
)
す
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
われも
他
(
かれ
)
さへ亡きものにせば、躯はさのみ要なければ、わが
功名
(
てがら
)
を
横奪
(
よこどり
)
されて、残念なれども争ふて、
傷
(
きずつ
)
けられんも
無益
(
むやく
)
しと思ひ、そのまま棄てて帰り来ぬ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
上
(
うえ
)
を
見
(
み
)
れば
限
(
かぎ
)
りもないが、
下
(
した
)
を
見
(
み
)
ればまだ
際限
(
さいげん
)
もないのです。
何事
(
なにごと
)
も
皆
(
みな
)
深
(
ふか
)
い
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
の
結果
(
けっか
)
とあきらめて、お
互
(
たがい
)
に
無益
(
むやく
)
の
愚痴
(
ぐぢ
)
などはこぼさぬことに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「おゝ、萬事その方が申す通りに致して遣はさう。出來る出來ぬの詮議は
無益
(
むやく
)
の沙汰ぢや。」
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「三
業
(
ごう
)
に悪を造らず、
諸々
(
もろもろ
)
の
有情
(
うじょう
)
を
傷
(
いた
)
めず、
正念
(
しょうねん
)
に空を観ずれば、
無益
(
むやく
)
の苦しみは免るべし」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
無益
(
むやく
)
に
言
(
ことば
)
を用ゐんより、
唯手柔
(
ただてやはらか
)
に
撮
(
つま
)
み出すに
如
(
し
)
かじと、直行は少しも
逆
(
さから
)
はずして
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さは云へ折角の御芳志ならば、今
些
(
すこ
)
しばかり
彼方
(
かなた
)
の筑前領まで御見送り賜はりてむや。さすれば御役目
滞
(
とどこ
)
り無く相済みて、
無益
(
むやく
)
の
殺生
(
せっしょう
)
も御座なかる可く、御藩の恥辱とも相成るまじ。此儀如何や。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分は三沢の話をここまで聞いて
慄
(
ぞっ
)
とした。何の必要があって、彼は
己
(
おのれ
)
の肉体をそう残酷に取扱ったのだろう。己れは自業自得としても、「あの女」の弱い
身体
(
からだ
)
をなんでそう
無益
(
むやく
)
に苦めたものだろう。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見つけ
溌
(
ばつ
)
さりやつて見れば一文なしの
殼欠
(
がらつけつ
)
無益
(
むやく
)
の
殺生
(
せつしやう
)
に手下の衆を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
損じることも
無益
(
むやく
)
と考えて今日まで黙っておりましたが……
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蛇
(
へび
)
の如きわが
無益
(
むやく
)
なる
肌身
(
はだみ
)
を
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
神に
頼
(
よ
)
る身は
無益
(
むやく
)
ならぬを。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
さては
無益
(
むやく
)
な
其
(
その
)
労が。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
無益
(
むやく
)
の、腕立て」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
無益
(
むやく
)
にも……
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
十兵衞も分らぬことに思へども
辞
(
いな
)
みもならねば、
既
(
はや
)
感応寺の門くゞるさへ
無益
(
むやく
)
しくは考へつゝも、何御用ぞと行つて問へば、天地顛倒こりや
何
(
どう
)
ぢや、夢か現か真実か
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「許しておけば無礼な
雑言
(
ぞうごん
)
、重ねていはば手は見せまじ」「そはわれよりこそいふことなれ、爾曹如きと問答
無益
(
むやく
)
し。
怪我
(
けが
)
せぬ
中
(
うち
)
にその鳥を、われに渡して
疾
(
と
)
く逃げずや」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
仮名書きの物を読むのは目に時間がかかり、念仏を怠ることになり、
無益
(
むやく
)
であるとしたのです。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「おゝ、万事その方が申す通りに致して遣はさう。出来る出来ぬの詮議は
無益
(
むやく
)
の沙汰ぢや。」
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上からは
無益
(
むやく
)
に藤蔓を投げてみたが、彼はそれに取りすがることも出来ないのであった。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、
何
(
なに
)
を
申
(
もう
)
しましても
女
(
おんな
)
の
細腕
(
ほそうで
)
、
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
む一
族
(
ぞく
)
郎党
(
ろうとう
)
の
数
(
かず
)
もよくよく
残
(
のこ
)
り
少
(
すく
)
なになって
了
(
しま
)
ったのを
見
(
み
)
ましては、
再挙
(
さいきょ
)
の
計劃
(
けいかく
)
の
到底
(
とうてい
)
無益
(
むやく
)
であることが
次第次第
(
しだいしだい
)
に
判
(
わか
)
ってまいりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼はさすがに見捨てかねたる人の顔を始は
可傷
(
いたま
)
しと
眺
(
なが
)
めたりしに、その
眼色
(
まなざし
)
は
漸
(
やうや
)
く鋭く、かつは疑ひかつは怪むらんやうに、忍びては
矚
(
まも
)
りつつ
便無
(
びんな
)
げに
佇
(
たたず
)
みけるに、いでや長居は
無益
(
むやく
)
とばかり
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
殺せば兩人の口より
密計
(
みつけい
)
の
露顯
(
ろけん
)
に及は
必定
(
ひつぢやう
)
なり
然
(
され
)
ば兩人とも
生
(
いか
)
し置難し
無益
(
むやく
)
の
殺生
(
せつしやう
)
に
似
(
に
)
たれど
是非
(
ぜひ
)
に及ばず此兩人をも
殺害
(
せつがい
)
すべし
扨
(
さて
)
彼
(
かの
)
兩人を片付る手段といふは明日各々方に山見物させ其
案内
(
あんない
)
に兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さすれば我はこの
家
(
や
)
に用無し。長居は
無益
(
むやく
)
と何気無く
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「悲哀」の
琴
(
きん
)
の絲の
緒
(
を
)
を、ゆし
按
(
あん
)
ずるぞ
無益
(
むやく
)
なる。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「問答
無益
(
むやく
)
」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
十兵衛も分らぬことに思えども
辞
(
いな
)
みもならねば、はや感応寺の門くぐるさえ
無益
(
むやく
)
しくは考えつつも、何御用ぞと行って問えば、天地
顛倒
(
てんどう
)
こりゃどうじゃ、夢か
現
(
うつつ
)
か真実か
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
問答
無益
(
むやく
)
とみて、弥次右衛門も身がまえした。それからふた言三言いい募った後、ふたつの刀が抜きあわされて、素姓の知れない若侍は血みどろになって弥次右衛門の眼のまえに倒れた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「この小倅に何が出来るもんか?
無益
(
むやく
)
の
殺生
(
せっしょう
)
をするものではない。」
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
妖物
(
ばけもの
)
屋敷に長居は
無益
(
むやく
)
だ。直ぐ帰るから早く渡せ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「悲哀」の
琴
(
きん
)
の糸の
緒
(
を
)
を、ゆし
按
(
あん
)
ずるぞ
無益
(
むやく
)
なる。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
上人様は
汝
(
きさま
)
ごとき職人らに耳は
仮
(
か
)
したまわぬというに、取り次いでも
無益
(
むやく
)
なれば我が計ろうて得させんと、甘く
遇
(
あしら
)
えばつけ上る言い分、もはや何もかも聞いてやらぬ、帰れ帰れ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この一切の
無益
(
むやく
)
なる世の
煩累
(
わづらひ
)
を振りすてゝ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「問答
無益
(
むやく
)
だ。源三郎、河原へ来い」
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
弟夫婦は
年少
(
としわか
)
きまま
無益
(
むやく
)
の
奢侈
(
おごり
)
に財を
費
(
ついや
)
し、
幾時
(
いくばく
)
も経ざるに貧しくなりて、兄の
許
(
もと
)
に
合力
(
ごうりょく
)
を
乞
(
こ
)
ひに来ければ、兄は是非なく銭十万を与へけるに、それをも
少時
(
しばし
)
に
用
(
つか
)
ひ尽してまた合力を乞ひに来りぬ。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この一切の
無益
(
むやく
)
なる世の
煩累
(
わづらひ
)
を振りすてゝ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
“無益”の意味
《名詞》
無益(むえき、古:むやく)
利益がないこと。役に立たないこと。
(出典:Wiktionary)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
“無益”で始まる語句
無益物
無益者
無益委記