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潔
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いさぎ
ふりがな文庫
“
潔
(
いさぎ
)” の例文
音楽の処女地であった日本に、陳、呉の役目を果すためには、単にレコードの悪口を言って
潔
(
いさぎ
)
よしとしているわけには行かなかった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
日露戦争の当時、人の
勧
(
すすめ
)
に応じて、株に手を出して全く遣り
損
(
そく
)
なってから、
潔
(
いさぎ
)
よく祖先の地を売り払って、北海道へ渡ったのである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
以て親と思ふの
孝心
(
かうしん
)
一
途
(
づ
)
に
潔
(
いさぎ
)
よく母に
暇乞
(
いとまごひ
)
なし五兩の金を路用にと懷中して其夜は十三
里
(
り
)
淀川
(
よどがは
)
の船に
打乘
(
うちのり
)
一日も早くと江戸へぞ
下
(
くだ
)
りける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
我身に罪は無しとは云え、
孰
(
いず
)
れとも免れぬ場合、
潔
(
いさぎ
)
よく伏罪し苦しみを短かくするに
如
(
し
)
くなしと無念を
呑
(
のみ
)
て
断念
(
あきら
)
めし者ならぬか
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
重太郎は
潔
(
いさぎ
)
よくお葉を思い切ったのであろうか。彼はお葉から
受取
(
うけと
)
った椿の枝を大事に抱えて、虎ヶ窟の
方
(
かた
)
へ
悄々
(
しおしお
)
と
引返
(
ひっかえ
)
した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
金を
路傍
(
ろぼう
)
の
土芥
(
どかい
)
のごとくみなすのはいかにも
欲
(
よく
)
がなく
潔
(
いさぎ
)
よく聞こえるが、また
丁寧
(
ていねい
)
に考えると金は決して
己
(
おの
)
れの物ではない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
自己を下賤醜悪にしてまで存在を続けて行く必要が何処にあろう。
潔
(
いさぎ
)
よく落花の雪となって
消
(
きゆ
)
るに
如
(
し
)
くはない。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何
(
なに
)
はゞかりての
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
ぞや
身
(
み
)
を
觀
(
くわん
)
ずれば
御恨
(
おうら
)
みも
未練
(
みれん
)
も
何
(
なに
)
もあらずお二
タ
方
(
かた
)
さま
首尾
(
しび
)
とゝのひし
曉
(
あかつき
)
には
潔
(
いさぎ
)
よく
斯々
(
かう/\
)
して
流石
(
さすが
)
は
貞操
(
みさを
)
を
立
(
たつ
)
るとだけ
君
(
きみ
)
さまに
知
(
し
)
られなば
夫
(
それ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そしてさう云ふ馬鹿々々しい『
潔
(
いさぎ
)
よさ』に負けない丈けの強さと
僻
(
ひが
)
みを持つた人は無理に悪魔主義になつてその尊い生命を持ちくづし、
自棄
(
やけ
)
に棒に振つて了ふのです。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
其
(
その
)
活動力
(
くわつどうりよく
)
を
失
(
うしな
)
つて
居
(
を
)
る
間
(
あひだ
)
は、
如何
(
いかん
)
ともする
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
ません、
吾等
(
われら
)
は
潔
(
いさぎ
)
よく
其處
(
そこ
)
に
身命
(
しんめい
)
を
抛
(
なげう
)
つ
事
(
こと
)
は
露惜
(
つゆをし
)
まぬが、
其爲
(
そのため
)
に、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
が
遂
(
つひ
)
に
彼等
(
かれら
)
の
手
(
て
)
に
掠奪
(
りやくだつ
)
されて
御覽
(
ごらん
)
なさい
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
へんに「いい子」になって、人々の同情をひくよりは、かえって
潔
(
いさぎ
)
よいことだと思っていた。それが、いけなかったのである。現世には、現世の限度というものが在るらしい。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わたくしはたま/\近所からそれを土産に貰って食べるとき、歯を宛てゝ煎餅の片れが
潔
(
いさぎ
)
よく噛み破られる音を、何か無限なものの韻に触れるような期待で聴き惚れるのでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
僕は自分でやりますと云つたんですけれど、「そんな事を云ふな、天野朱雲が最後の友情を享けて
潔
(
いさぎ
)
よく行つて呉れ。」と云ひ乍ら、涙を流して僕には背を向けて
孜々
(
せつせ
)
と握るんです。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私の背後からは
円
(
まる
)
い
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
に金と黒とのリボンをひらひらさして、
白茶
(
しろちゃ
)
の背広に濃い花色のネクタイを結んだ、やっと五歳と四ヶ月の幼年紳士がとても
潔
(
いさぎ
)
よく口をへの字に引き
緊
(
し
)
めて
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
涙を隠し
愁懼
(
しゅうく
)
を包み、
潔
(
いさぎ
)
よく彼の
門出
(
かどで
)
を送りしごとく彼の
遠逝
(
えんせい
)
を送らんのみと。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
最後は
潔
(
いさぎ
)
よくするつもりで、ちょうど昔から女には好意をもたれないように生まれついているものと、自分で決めていたと同じ自己否定の観念や、年齢や生活条件もそれに加算してのうえで
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「はい、どうせあなたと別れては、誰一人たよるものもないわたしの身、後に残って、一人で生きて行こうとは思いませぬ。どうぞわたしを手に懸けておいて、
潔
(
いさぎ
)
よう
敵討
(
かたきうち
)
のお供をしてくださりませ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ただ
潔
(
いさぎ
)
よう思い切って、山名に縁組みしてくるれば、三方四方が無事に納まるというものじゃ。聞き分けてくれ、応と言え。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その言葉は全く正反対で、ベートーヴェンの
潔
(
いさぎ
)
よさに比べて、モーツァルトの心事を疑うものがあるかも知れない。が、それは大変な間違いである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
取なと
言
(
いは
)
るゝに忠右衞門
殊勝
(
けなげ
)
にも然らば
父上
(
ちゝうへ
)
御免を
蒙
(
かうむ
)
り御先へ切腹仕つり
黄泉
(
くわうせん
)
の
露拂
(
つゆはら
)
ひ致さんと
潔
(
いさぎ
)
よくも
短刀
(
たんたう
)
を兩手に
持
(
もち
)
左の
脇腹
(
わきばら
)
へ既に
突立
(
つきたて
)
んとする
折柄
(
をりから
)
廊下
(
らうか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また妻子を苦しめて自分のみ
潔
(
いさぎ
)
よいということがほんとの神聖とも思わない。天が我に子供を与えた以上は、彼らをして僕以上の者にするだけの義務は僕にある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「そうだ。だから、この事に対して、君の僕等に与えようとする制裁は
潔
(
いさぎ
)
よく受ける覚悟だ。今のはただ事実をそのままに話しただけで、君の処分の材料にする考だ」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれは快よく
瞑
(
めい
)
する事が出来ると
遺書
(
ゆゐしよ
)
にも有つたと言ふでは無いか、あれは
潔
(
いさぎ
)
よくこの世を思ひ切つたので、お前の事も合せて思ひ切つたので決して未練は残してゐなかつたに
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
自
(
みづか
)
ら
爆發藥
(
ばくはつやく
)
を
以
(
もつ
)
て
艇體
(
ていたい
)
を
破壞
(
はくわい
)
して、
潔
(
いさぎ
)
よく
千尋
(
ちひろ
)
の
海底
(
かいてい
)
に
沈
(
しづ
)
まんとの
覺悟
(
かくご
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
今宵
(
こよい
)
かぎり
潔
(
いさぎ
)
よく青春を葬ろうか。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「女から
愛憎
(
あいそ
)
尽かしをすると、下々の者は、もう少し
潔
(
いさぎ
)
よい事を申します。殿様、もうお目にはかかりません」
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
實
(
げ
)
に御名將の
思召
(
おぼしめし
)
潔
(
いさぎ
)
よく御座候と申上られ是より中納言樣には御老中御
列座
(
れつざ
)
の御席へ渡らせ給ひ越前守を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
状態
(
じやうたい
)
は、
不幸
(
ふかう
)
にして
宗助
(
そうすけ
)
の
山
(
やま
)
を
去
(
さ
)
らなければならない
日
(
ひ
)
迄
(
まで
)
、
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つ
程
(
ほど
)
の
新生面
(
しんせいめん
)
を
開
(
ひら
)
く
機會
(
きくわい
)
なく
續
(
つゞ
)
いた。
愈
(
いよ/\
)
出立
(
しゆつたつ
)
の
朝
(
あさ
)
になつて
宗助
(
そうすけ
)
は
潔
(
いさぎ
)
よく
未練
(
みれん
)
を
抛
(
な
)
げ
棄
(
す
)
てた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうですとも……。あんな
家
(
うち
)
へは決して二度と
足踏
(
あしぶみ
)
は
為
(
し
)
ませんよ。」と、市郎は
潔
(
いさぎ
)
よく答えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
冒頭
(
ぼうとう
)
に掲げた米人の言うごとく、おのおのが
潔
(
いさぎ
)
よい愛情から起算して、(親なり妻なり子なり、最も自分に近いゆえに最も自分に親しい
情合
(
じょうあ
)
いに基づいて)
己
(
おの
)
れの
日々
(
ひび
)
の事務を
怠
(
おこた
)
らず、百姓は百姓
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
多分何も彼も濟んで、
潔
(
いさぎ
)
よく自首して出るつもりのが、機會をうしなつてこんな事になつたのでせう。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お身たちはいかに藻掻いても狂うても、しょせん助からぬ運命じゃで、今夜のうちにここで
潔
(
いさぎ
)
よく自滅せられい。それが小坂部殿の申し伝えじゃ。なんと合点せられたか。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分は自分の思う通りを父に告げる、父は父の考えを遠慮なく自分に
洩
(
も
)
らす、それで衝突する、衝突の結果はどうあろうとも
潔
(
いさぎ
)
よく自分で受ける。これが代助の予期であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
社交機關を持たない娘達や、
遊里
(
いうり
)
に出入りするのを
潔
(
いさぎ
)
よしとしない純情な息子達の間に、かうした病氣の
流行
(
はや
)
るのも、嬉しくしをらしい現象であつたかも知れません。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
朝早く床の上に起き直って、向うの三階の屋根と
吾室
(
わがへや
)
の
障子
(
しょうじ
)
の間にわずかばかり見える山の
頂
(
いただき
)
を眺めるたびに、わが頬の
潔
(
いさぎ
)
よく剃り落してある
滑
(
なめ
)
らかさを
撫
(
な
)
で廻しては
嬉
(
うれ
)
しがった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
潔
(
いさぎ
)
よく今宵のうちに……。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「成程、御武家はさすがに
潔
(
いさぎ
)
よいもので、隨分、その三千兩を見付けてあげないものでもありませんが、伊八の娘のお
信乃
(
しの
)
には、何んのおとがめもないことでせうな」
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
強いられた時、余はやむなく細長く
反
(
そ
)
り
返
(
かえ
)
った硝子の
管
(
くだ
)
を傾けて、湯とも水とも
捌
(
さば
)
けない
液
(
しる
)
を、舌の上に
辷
(
すべ
)
らせようと試みた。それが流れて
咽喉
(
のど
)
を
下
(
くだ
)
る
後
(
あと
)
には、
潔
(
いさぎ
)
よからぬ
粘
(
ねば
)
り強い
香
(
か
)
が
妄
(
みだ
)
りに残った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その方を親の敵と狙う、
万田龍之助
(
まんだりゅうのすけ
)
は父祖由緒の地に其方を迎えて、
敵
(
かたき
)
名乗をあげるだろう。最早主家帰参の
望
(
のぞみ
)
も絶えた其方だ、
潔
(
いさぎ
)
よく龍之助に討たれて、孝子の志を遂げさせるがよい。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いよいよ出立の朝になって宗助は
潔
(
いさぎ
)
よく未練を
抛
(
な
)
げ
棄
(
す
)
てた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さう言ふところは、なか/\
潔
(
いさぎ
)
よい男前です。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
潔
常用漢字
小5
部首:⽔
15画
“潔”を含む語句
清潔
潔斎
純潔
不潔
皎潔
小清潔
潔癖
潔白
精進潔斎
高潔
清潔好
清浄潔白
潔清
潔浄
清潔法
廉潔
清廉潔白
不潔物
皓潔
簡潔
...