トップ
>
毛頭
>
もうとう
ふりがな文庫
“
毛頭
(
もうとう
)” の例文
「いや、ルーブル紙幣の名を聞いただけで、
寒気
(
さむけ
)
がしてぶるぶると
慄
(
ふる
)
えが出る。そんなものを紙幣で
頂
(
いただ
)
こうなど
毛頭
(
もうとう
)
思っとらん」
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、この
娘
(
こ
)
としてはそうした
方便
(
ほうべん
)
の
必要
(
ひつよう
)
は
毛頭
(
もうとう
)
なく、もともと
純潔
(
じゅんけつ
)
な
小供
(
こども
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
には、
最初
(
さいしょ
)
から
幽界
(
ゆうかい
)
の
現実
(
げんじつ
)
に
目覚
(
めざ
)
めさせるに
限
(
かぎ
)
るのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
反間苦肉
(
はんかんくにく
)
の密告が図星に当ったものであるが、むろん、これは卑怯とも何とも云いようのない
所業
(
しわざ
)
で、Wに対して弁解の余地は
毛頭
(
もうとう
)
ない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かういふ
風
(
ふう
)
にしてわが
地球
(
ちきゆう
)
の
知識
(
ちしき
)
はだん/\
進
(
すゝ
)
んで
來
(
き
)
たけれども、
其内部
(
そのないぶ
)
の
成立
(
なりた
)
ちに
立入
(
たちい
)
つた
知識
(
ちしき
)
は
毛頭
(
もうとう
)
進
(
すゝ
)
んでゐないといつて
宜
(
よろ
)
しかつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
締殺し候覺え
毛頭
(
もうとう
)
御座なく元私し事は
賤
(
いやし
)
き者の娘にて津國屋が
未
(
まだ
)
神田に
住居
(
ぢうきよ
)
致せし節同人店に居候中兩親も死に
果
(
はて
)
候ひしを不便に思ひ私しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
けれども私は断言します。兄さんは
真面目
(
まじめ
)
です。けっして私をごまかそうとしてはいません。私も忠実です。あなたを
欺
(
あざむ
)
く気は
毛頭
(
もうとう
)
ないのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしその人が行ってしまうとお経の声はまた変じてたちまち鼻唄となるので、
祈祷
(
きとう
)
などという考えは
毛頭
(
もうとう
)
壮士坊主の心の中にはないようです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
この書を写すに幾日かゝったか
能
(
よ
)
く覚えないが、何でも二十日以上三十日足らずの
間
(
あいだ
)
に写して
仕舞
(
しま
)
うて、原書の主人に
毛頭
(
もうとう
)
疑うような
顔色
(
がんしょく
)
もなく
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
反抗の精神にかりたてるつもりは
毛頭
(
もうとう
)
ない。私たちが大衆青年に求めているのは、まず何よりも愛情だよ。愛情に出発した創造と調和の精神だよ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
家庭のことを振りかえって見ても、不愉快や、不満に思うふしは
毛頭
(
もうとう
)
あるはずがないと思います。随分
我儘
(
わがまま
)
な女です。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
自分の心に
尋
(
たず
)
ねて人に無礼を加うる念が
毛頭
(
もうとう
)
なければ、動作の
調
(
ととの
)
わぬことなどは、人も
宥
(
ゆる
)
すであろう、また自分の良心も必ずこれを
宥
(
ゆる
)
すものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼は
弥助
(
やすけ
)
という日本名までもらっていたが、日本の武将と武将の変乱に殉じる理由は
毛頭
(
もうとう
)
ないし、当人には何が何だか分らない出来事にちがいない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご承知の通り、手前は当今、ほうぼうの役割部屋で養われている名もない権八、これで功名しようの、あなたをやっつけようの、そんな
娑婆
(
しゃば
)
ッけは
毛頭
(
もうとう
)
ない。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今さら、彼は家のことに口を出すつもりは
毛頭
(
もうとう
)
なかった。ただ、半蔵の仕事部屋を見回るだけに満足した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
妻
(
つま
)
に
持
(
も
)
つ
芳之助
(
よしのすけ
)
と
思
(
おも
)
ふかよしや
芳之助
(
よしのすけ
)
が
持
(
も
)
つといふとも
我
(
わ
)
れある
以上
(
いじやう
)
は
嫁
(
よめ
)
にすること
毛頭
(
もうとう
)
ならぬ
汚
(
けが
)
らはしゝ
運平
(
うんぺい
)
の
名
(
な
)
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しても
胸
(
むね
)
が
沸
(
わ
)
くなり
況
(
まし
)
てやそれが
娘
(
むすめ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「いかにも、貴殿がまことの和田静馬殿であることは、恵林寺の
先触
(
さきぶれ
)
でも
毛頭
(
もうとう
)
疑いのないところ、若松屋の若者こそ、甚だ怪しい、
篤
(
とく
)
と吟味を致さねばならぬ」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
学校も一緒、商売も一緒、何方か病気をしない限り、毎日顔を合せて来ている。同業のものは僕達のことを御両人と呼ぶ。僕も菊太郎君もそれに異存は
毛頭
(
もうとう
)
ない。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こうなってみると毛の
価
(
あたい
)
もなかなか
馬鹿
(
ばか
)
にできぬもので、
毛頭
(
もうとう
)
その事実に
偽
(
いつわ
)
りはない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
自分からいい出すつもりは
毛頭
(
もうとう
)
なかった。私は、彼が自分の耳で、それがもはや聞こえてはこないのを聞くべきだと考え、その瞬間の彼の反応をつぶさに観察してやるつもりだった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
佐渡は、修理に刃傷されるような覚えは、
毛頭
(
もうとう
)
ない。まして、あの乱心者のした事じゃ。
大方
(
おおかた
)
、何と云う事もなく、肥後侯を斬ったのであろう。人違などとは、迷惑至極な臆測じゃ。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仏国公使の答は徳川政府に対しては陸軍の
編制
(
へんせい
)
その他の事に関し少なからざる
債権
(
さいけん
)
あり、新政府にてこれを引受けらるることなれば、
毛頭
(
もうとう
)
差支
(
さしつかえ
)
なしとてその
挨拶
(
あいさつ
)
甚
(
はなは
)
だ
淡泊
(
たんぱく
)
なりしという。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
市井
(
しせい
)
の女等を相手にして痴愚の恋に
耽
(
ふけ
)
る気持は今更
毛頭
(
もうとう
)
無かったけれど、そうしたことから段々縁遠い容貌に私がなって行きつつあるということは、何となく厭であった。私はまだ若いのだ。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
だが、
肝腎
(
かんじん
)
の叔父はもう、以前のような熱情を千代さんに持っていなかった。無論、千代さんと結婚なんかする気は
毛頭
(
もうとう
)
なかった。結婚するには千代さんはもう、余りにも新鮮味がなかったのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
左樣
(
さやう
)
な
心配
(
しんぱい
)
は
毛頭
(
もうとう
)
ないと
云
(
い
)
ふことを
確信
(
かくしん
)
した
次第
(
しだい
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
……たといドンナ事があろうとも、僕は品夫を殺さない決心ですから……品夫を見棄てる気は
毛頭
(
もうとう
)
無いのですから、何でもハッキリ云って下さい。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だから当日は、ふらふらするからだを豊岡まで
搬
(
はこ
)
んだようなわけで、特殊飛行をする意志は
毛頭
(
もうとう
)
なかったのであった。
三重宙返りの記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
毛頭
(
もうとう
)
、さような意志はない。……だが、親御たるあなた様にも、なんらの情愛はおぼえぬと仰せあれば——」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猫よりはいつの
間
(
ま
)
にか人間の方へ接近して来たような心持になって、同族を
糾合
(
きゅうごう
)
して二本足の先生と
雌雄
(
しゆう
)
を決しようなどと
云
(
い
)
う量見は昨今のところ
毛頭
(
もうとう
)
ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恭一から
押
(
お
)
しかえして、また何か言って来るのを期待するのは、おかしなことだし、むろん、返事を書くときに、それを予期していたわけでは
毛頭
(
もうとう
)
なかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
僕がかくのごとき言を述べたならば、あるいはいたずらに人を責むるように聞こゆるであろうが、わが輩はそれがし
何某
(
なにがし
)
なる個人を
攻撃
(
こうげき
)
する考えは
毛頭
(
もうとう
)
ない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
申出ば此方へ役人を
遣
(
つか
)
はすべし
屹度
(
きつと
)
申渡すべき
筋
(
すぢ
)
も
有
(
あり
)
其方共も
落度
(
おちど
)
には
毛頭
(
もうとう
)
相成
(
あひなら
)
ず
氣遣
(
きづか
)
ひ無用なり何分
無禮
(
ぶれい
)
の
無
(
なき
)
樣
(
やう
)
に致すべしと
云渡
(
いひわた
)
しければ兩人は是を
聞
(
きゝ
)
て
肝
(
きも
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
行蔵
(
こうぞう
)
は我に存す、
毀誉
(
きよ
)
は他人の主張、我に
与
(
あず
)
からず我に関せずと
存
(
ぞんじ
)
候
(
そうろう
)
。
各人
(
かくじん
)
へ
御示
(
おしめし
)
御座
(
ござ
)
候
(
そうろう
)
とも
毛頭
(
もうとう
)
異存
(
いぞん
)
無之
(
これなく
)
候
(
そうろう
)
。
御
(
おん
)
差越之
(
さしこしの
)
御草稿
(
ごそうこう
)
は
拝受
(
はいじゅ
)
いたし
度
(
たく
)
、
御許容
(
ごきょよう
)
可被下
(
くださるべく
)
候也
(
そうろう
)
。
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
あなたの鼻をあかそうの、あたしがこれで功名をしようの、そんな気は
毛頭
(
もうとう
)
ないんだから
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし、こう云ったからと云って、何も平吉が損得の勘定ずくで嘘をついていると云う訳では
毛頭
(
もうとう
)
ない。第一彼は、ほとんど、嘘をついていると云う事を意識せずに、嘘をついている。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それには
申年
(
さるどし
)
の三月に赤心報国の
輩
(
ともがら
)
が井伊大老を殺害に及んだことは
毛頭
(
もうとう
)
も幕府に対し異心をはさんだのではないということから書き初めて、彼らの態度を明らかにしてあったという。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
吹替
(
ふきか
)
えのありまするたびに、員数を改めて差出しまする古金新金、それを隠し置きまするような覚えは
毛頭
(
もうとう
)
ござりませぬ、御念の上ならば、もう一応、家屋敷をおさがし下されまするように
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は屍体に
喰
(
く
)
い込んだ弾丸の
入射角
(
にゅうしゃかく
)
を正確に測ろうなどとは
毛頭
(
もうとう
)
考えたことがなかった。「それは面白い方法ですね」
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
むろんその時も私は、谷山家を出る考えなんか
毛頭
(
もうとう
)
ありませんでした。ハイ。世の中の事はすべて運命ですからね。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれどもその面白味はあの初菊という女の胴や手が
蛇
(
へび
)
のように三味線につれて、ひなひなするから面白かったんで、人情の発現として泣く
了簡
(
りょうけん
)
は
毛頭
(
もうとう
)
なかったんです。
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何者にか聞れし一向
蹤跡
(
あとかた
)
なき事なり拙者
毛頭
(
もうとう
)
左樣
(
さやう
)
の事存じ申さずと
虚嘯
(
そらうそぶ
)
き
何
(
な
)
にも
不束
(
ふつつか
)
なる挨拶なるにぞ六郎右衞門は
勃
(
むつ
)
とし
彼奴
(
きやつ
)
多分の金子を掘り出しながら
少
(
すこし
)
の配分を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「——ああ、誤らした。自分の踏んで来た道には、
毛頭
(
もうとう
)
悔いはないが、妹には、女の道を」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
僅
(
わず
)
かに発芽する
蔬菜
(
そさい
)
のたぐいを順次に生に忠実な虫に供養するまでである。
勿論
(
もちろん
)
厨房
(
ちゅうぼう
)
の助に成ろう
筈
(
はず
)
はない。こんな有様であるから田園生活なんどは
毛頭
(
もうとう
)
思いも寄らぬことである。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ましてや道楽のために学問をするなどという考は
毛頭
(
もうとう
)
起る理由がない。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
且
(
かつ
)
つその
握
(
にぎっ
)
た珠を竜宮へ
返
(
か
)
えそうなんと云う念は
毛頭
(
もうとう
)
ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかしそんな非礼な言葉を、この福の神に告白して、その御機嫌を損ずる気は
毛頭
(
もうとう
)
なかったのである。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……さもあれば
毛頭
(
もうとう
)
否
(
いな
)
むすじはない。むしろ大きな歓びでござる。宗治として歓びでござる
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヤアどうも、君に議論を吹っかけるつもりじゃ
毛頭
(
もうとう
)
なかったのですがネ、つい面白い原稿だねのない
言訳
(
いいわけ
)
に一寸議論の
端
(
はし
)
が飛び出して来たという次第なのですよ。——
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
仕掛けんなどという考えは
毛頭
(
もうとう
)
ござらぬ
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
毛頭
(
もうとう
)
」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“毛頭”で始まる語句
毛頭巾
毛頭星