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晴衣
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はれぎ
ふりがな文庫
“
晴衣
(
はれぎ
)” の例文
姫の姿はその間にまじり、次第に遠ざかりゆきて、おりおり人の肩のすきまに見ゆる、きょうの
晴衣
(
はれぎ
)
の水いろのみぞ名残りなりける。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
すれば、
當國
(
このくに
)
の
風習通
(
ならはしどほ
)
りに、
顏
(
かほ
)
は
故
(
わざ
)
と
隱
(
かく
)
さいで、
最
(
いっち
)
良
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せ、
柩車
(
ひつぎぐるま
)
に
載
(
の
)
せて、カピューレット
家
(
け
)
代々
(
だい/\
)
の
古
(
ふる
)
い
廟舍
(
たまや
)
へ
送
(
おく
)
られさッしゃらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ある日千代さんは、
石和
(
いさわ
)
という町に片づいている姉のもとから突然電報でよび寄せられた。千代さんは大急ぎで
他所
(
よそ
)
ゆきの
晴衣
(
はれぎ
)
を着て出かけて行った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
だが、一歩大宮に入ると、
軒
(
のき
)
ごとに
万燈
(
まんどう
)
をともし、幕をもって壁をかこい、花を
挿
(
い
)
け、
金屏風
(
きんびょうぶ
)
をすえ、人はみな
晴衣
(
はれぎ
)
を着て、町中、大祭のような賑いであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もうそろそろお正月も近づいたし、あたしは是非とも
晴衣
(
はれぎ
)
が一枚ほしい、女の子はたまには
綺麗
(
きれい
)
に着飾らなければ生きている
甲斐
(
かい
)
が無い、この白絹を
藤色
(
ふじいろ
)
に染め
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
翌日の夕まだ「アヱ、マリア」の鐘鳴らぬほどに、人々我を伴ひて寺にゆき、母上に
暇乞
(
いとまごひ
)
せしめき。きのふ祭見にゆきし
晴衣
(
はれぎ
)
のまゝにて、狹き木棺の
裡
(
うち
)
に臥し給へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
村落
(
むら
)
の
者
(
もの
)
は
段々
(
だん/\
)
に
器量
(
きりやう
)
相當
(
さうたう
)
な
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
て
神社
(
じんじや
)
の
前
(
まへ
)
に
聚
(
あつま
)
つた。
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つのは
猶且
(
やつぱり
)
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
で、
疎末
(
そまつ
)
な
手織木綿
(
ておりもめん
)
であつてもメリンスの
帶
(
おび
)
と
前垂
(
まへだれ
)
とが
彼等
(
かれら
)
を十
分
(
ぶん
)
に
粧
(
よそほ
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三箇条といふのは、第一、お客の
悪
(
わる
)
てんがうに腹を立てぬ事。第二、
晴衣
(
はれぎ
)
の汚れを気にしない事。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
木之助はよそ行きの
晴衣
(
はれぎ
)
にやはり袴をはき、腰に握り飯の包みをぶらさげ、胡弓を持っていた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
七通りの
晴衣
(
はれぎ
)
もそろえてやれないようなことじゃ、お粂だって肩身が狭かろうからね。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お花は心の
様
(
さま
)
さして悪しからず、ただ貧しき家に生れて、
一年
(
ひととせ
)
村の祭礼の折とかや、兄弟多くして
晴衣
(
はれぎ
)
の用意なく、遊び友達の良き着物着るを見るにつけても、わが
纏
(
まと
)
える
襤褸
(
つづれ
)
の
恨
(
うら
)
めしく
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
兄は、その頃、すでに、共産党のシンパサイザァだったらしいのですから、ぼくや母の
杞憂
(
きゆう
)
は、てんで茶化していたようでしたが、さすがに、一人の弟の
晴衣
(
はれぎ
)
とて心配してくれたとみえます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
影の隣りに
糸織
(
いとおり
)
かとも思われる、女の
晴衣
(
はれぎ
)
が
衣紋竹
(
えもんだけ
)
につるしてかけてある。細君のものにしては少し
派出
(
はで
)
過ぎるが、これは多少景気のいい時、
田舎
(
いなか
)
で買ってやったものだと今だに記憶している。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
卒業式に
晴衣
(
はれぎ
)
を着飾ってくる女生徒の群れの中にもかれの好きな少女が三四人あった。紫の
矢絣
(
やがすり
)
の
衣服
(
きもの
)
に
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
をはいてくる子が中でも一番眼に残っている。その子は
町
(
まち
)
はずれの町から来た。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
晴衣
(
はれぎ
)
の
亘長
(
ゆきたけ
)
を気にしてのお勢のじれこみがお政の
肝癪
(
かんしゃく
)
と成て、廻りの髪結の来ようの遅いのがお鍋の落度となり、
究竟
(
はて
)
は万古の
茶瓶
(
きゅうす
)
が生れも付かぬ
欠口
(
いぐち
)
になるやら、
架棚
(
たな
)
の
擂鉢
(
すりばち
)
が
独手
(
ひとりで
)
に
駈出
(
かけだ
)
すやら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
晴と褻との対立は、衣服においては殊に顕著であったように考えられている。
晴衣
(
はれぎ
)
という語は標準語中にもなお存し、
褻衣
(
けぎ
)
という語も
対馬
(
つしま
)
・
五島
(
ごとう
)
・
天草
(
あまくさ
)
など、九州の島々には方言として行われている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
傍
(
そば
)
で
見
(
み
)
ていた
母
(
はは
)
も、『モー一
度
(
ど
)
治
(
なお
)
って、
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せて
見
(
み
)
たい……。』と
言
(
い
)
って、
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
して
了
(
しま
)
いました。
斯
(
こ
)
んな
話
(
はなし
)
をしていると、
私
(
わたくし
)
の
眼
(
め
)
には
今
(
いま
)
でもその
場
(
ば
)
の
光景
(
ありさま
)
が、まざまざと
映
(
うつ
)
ってまいります……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その日の午後、姉は
晴衣
(
はれぎ
)
を着て母とともに二台の車にのった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
葱坊主夕づく遅し
晴衣
(
はれぎ
)
着て戻れる子等はいまだ
外
(
と
)
にあり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
枕元にたゝまぬ春の
晴衣
(
はれぎ
)
かな
格堂
(
かくどう
)
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
姫の姿はその間にまじり、次第に遠ざかりゆきて、をりをり人の肩のすきまに見ゆる、けふの
晴衣
(
はれぎ
)
の水いろのみぞ名残なりける。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ヂュリ
乳母
(
うば
)
や、一しょに
部屋
(
へや
)
へ
來
(
き
)
て、
明日
(
あす
)
被
(
き
)
ねばならぬ
最
(
いっ
)
ち
似合
(
にあ
)
ふ
晴衣
(
はれぎ
)
を
手傳
(
てつだ
)
うて
撰
(
えら
)
んでくりゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
數月の間行李の中に鎖されゐたる我
晴衣
(
はれぎ
)
はとり出されぬ。帽には美しき薔薇の花を揷したり。身のまはりにて、最も怪しげなりしは
履
(
はき
)
ものなり。靴とはいへど羅馬の
鞋
(
サンダラ
)
に近く覺えられき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
テーブルを前にして、それ相当の
晴衣
(
はれぎ
)
を着た子供達がずらりと並んでいる。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
更
(
さら
)
に
俄
(
にはか
)
にごつと
立
(
た
)
つた
風
(
かぜ
)
に
森
(
もり
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
葉
(
は
)
は
散亂
(
さんらん
)
して
鮮
(
あざや
)
かな
光
(
ひかり
)
を
保
(
たも
)
ちながら
空中
(
くうちう
)
に
閃
(
ひらめ
)
いた。
數分時
(
すうふんじ
)
の
後
(
のち
)
世間
(
せけん
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
暗澹
(
あんたん
)
たる
光
(
ひかり
)
に
包
(
つゝ
)
まれて
時雨
(
しぐれ
)
がざあと
來
(
き
)
た。
村落
(
むら
)
の
何處
(
どこ
)
にも
晴衣
(
はれぎ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
なく
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
絵も香も髪も
律呂
(
しらべ
)
も
宝玉
(
はうぎよく
)
も
晴衣
(
はれぎ
)
も酒も
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
婚
(
こん
)
して
壽
(
じゅ
)
なるは
必
(
かなら
)
ずしも
良縁
(
りゃうゑん
)
ならず、
婚
(
こん
)
して
夭折
(
えうせつ
)
す、
却
(
かへ
)
って
良縁
(
りゃうえん
)
。さ、
涙
(
なみだ
)
を
乾
(
かわ
)
かして、
迷迭香
(
まんねんくわう
)
を
死骸
(
なきがら
)
に
揷
(
はさ
)
ましゃれ。そして
習慣通
(
ならはしどほ
)
り、
最
(
いっ
)
ち
佳
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せて、
教會
(
けうくわい
)
へ
送
(
おく
)
らっしゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
さうして
其
(
そ
)
の
家族
(
かぞく
)
が
日
(
ひ
)
は
沒
(
ぼつ
)
したにしても
何時
(
いつ
)
になくまだ
明
(
あか
)
るい
内
(
うち
)
に
浴
(
ゆあ
)
みをして
女
(
をんな
)
までが
裂
(
さ
)
いた
菖蒲
(
しやうぶ
)
を
髮
(
かみ
)
に
卷
(
ま
)
いて、
忙
(
せは
)
しい
日
(
ひ
)
と
日
(
ひ
)
の
間
(
あひだ
)
をそれでも
晴衣
(
はれぎ
)
の
姿
(
すがた
)
になる
端午
(
たんご
)
の
日
(
ひ
)
の
來
(
く
)
るのを
懶
(
ものう
)
げに
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
晴
常用漢字
小2
部首:⽇
12画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“晴”で始まる語句
晴
晴々
晴天
晴着
晴間
晴朗
晴季
晴渡
晴明
晴夜