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愕
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おどろ
ふりがな文庫
“
愕
(
おどろ
)” の例文
この要求に立って考えて見ると、世界史と各国の歴史との扱われかたが、従来の文化の中では何と機械的であったろうかと
愕
(
おどろ
)
かれる。
世代の価値:世界と日本の文化史の知識
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
とにかく
愕
(
おどろ
)
いたのは金博士ばかりではない。全世界の全人間が愕いた。殊に最もひどい感動をうけたものは、各国参謀軍人であった。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、その後、きょうまでの五日間にこのエスプリのたちまちわたくしの胎内に
蔓
(
はびこ
)
り育ったことはわれながら
愕
(
おどろ
)
くべきほどだった。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すると、何千羽とも知れない
水禽
(
みずとり
)
が、いちどに翼を
搏
(
う
)
って飛び立った。面々の駒は
愕
(
おどろ
)
いて、幾頭かは沼水の深いところへ跳ねこんだ。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然
(
しか
)
もこの小山ほどといふのは、誇張でない、ぎつしりと
隙間
(
すきま
)
のないまでに積まれてゐるので、自分は来る
度毎
(
たびごと
)
に驚き
愕
(
おどろ
)
いたものである。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
併
(
しか
)
し、次の情景が私達を更に
愕
(
おどろ
)
かした。不意の闖入者と花子とが
緊
(
ひし
)
と抱き締めて、ものも云わずに黒い地面にうずくまったからである。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
それはカドリイルの練習だったが、トニオ・クレエゲルの烈しく
愕
(
おどろ
)
いたことには、彼はインゲ・ホルムと同じ
角陣
(
カレエ
)
の中にいたのである。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
今までのよりずっとその
輪廓
(
りんかく
)
がはっきりしていて、そしてその苦痛の度も数層倍
烈
(
はげ
)
しいものであることを知って私は
愕
(
おどろ
)
いたのであった。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それどころか、すでにこれに備えるために新しい大砲ができているらしく、特殊の構造の弾丸が
飛来
(
ひらい
)
してかえって英軍を
愕
(
おどろ
)
かした。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
さても彼は、安政六年五月二十五日において、いよいよ
公
(
おおやけ
)
の筋より江戸
檻致
(
かんち
)
の命を聞くに至れり。彼はこれを聴いて、
毫
(
ごう
)
も
愕
(
おどろ
)
く所なし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
春枝
(
はるえ
)
は
大分
(
だいぶん
)
愚痴
(
ぐち
)
が
出
(
で
)
ます。
女
(
をんな
)
はあれだからいかんです。はゝゝゝゝ。けれど
私
(
わたくし
)
も、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
沈沒
(
ちんぼつ
)
を
耳
(
みゝ
)
にした
時
(
とき
)
には
實
(
じつ
)
に
愕
(
おどろ
)
きました。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
森の
梟
(
ふくろう
)
とか幻想の
虹
(
にじ
)
とかいったハイカラなもので、私はその少女の作品から、「神秘的」なと云う
愕
(
おどろ
)
くべき上品な言葉を知った。
私の先生
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
それから二三十
間
(
けん
)
も行ったであろうか、道の両側が畠のように
展
(
ひら
)
けているところまで来て、またまた
愕
(
おどろ
)
かされてしまったのだ。
火星の魔術師
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
余り唐突に姿を現わしたので、冬子は
愕
(
おどろ
)
き、あれッ! と叫んで仙ちゃんに縋りついた。もう駄目です。譲治は前後を忘れて飛びかかった。
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「うむ。おれア実あ、さっきからそいつを見て
愕
(
おどろ
)
いているんだが、まるでおいらにそっくりじゃアねえか。なあお絃」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「さあ、どうかお入り下さい。」と
叮寧
(
ていねい
)
に云うものですから、その通り一足中へはいりましたら、全く
愕
(
おどろ
)
いてしまいました。そこは
玄関
(
げんかん
)
だったのです。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
愕
(
おどろ
)
きと怖れとに、その
刹那
(
せつな
)
、心臓の鼓動もとまったかとさえ思ったくらいだった。けれど私はじきに、私の心臓の鼓動が激しく打ち始めたのを感じた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
犬は腹を立てて追ふ。鶏はちよつと身を引く。腹を立てた犬は吠え立てたけれども鶏の一群は別に
愕
(
おどろ
)
かなかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「どうも取んだ事で、
阿父
(
おとつ
)
さんの様子はどんな? 今朝新聞を見ると
愕
(
おどろ
)
いて飛んで来たのです。
容体
(
ようだい
)
はどうです」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
不審
(
いぶかし
)
みつゝ
伴
(
ともな
)
ひ出また小西屋は何ごとやらんと
愕
(
おどろ
)
くよりして長左衞門病氣と稱して出もせず其代人は
管伴
(
ばんたう
)
忠兵衞
丁稚
(
でつち
)
和吉を
供
(
とも
)
に連れ奉行所へ出
腰掛
(
こしかけ
)
へ和吉を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
君の思ひがけない失神、T博士の診断、そしてF高原への転地……つめたい言ひ方かも知れないが、君は自分の生理に
愕
(
おどろ
)
いたにすぎないのではないだらうか。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
叫ぶように云って、狂おしく
縋
(
すが
)
りつく娘の顔、正吉は息も止るかと
愕
(
おどろ
)
いた。なんという不思議な運命であろう、それは
紛
(
まぎ
)
れもない筑紫屋の娘お美津であった。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は私を見つけて
愕
(
おどろ
)
いたらしかったが、前からこういうときでも少しも表情に顕れない彼だった。すッと進んで来ていう。彼はある種の武術の習練者である。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
あれと同じことさ。あっしは、一度盗ろうと考えたら、そいつを手に入れねえ中は、おちおち夜も眠れねえんで——。因果な根性で、自分でも
愕
(
おどろ
)
いていやすよ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
王
従容
(
しょうよう
)
として去る。庸の諸将
相
(
あい
)
顧
(
かえり
)
みて
愕
(
おどろ
)
き
眙
(
み
)
るも、天子の詔、朕をして
叔父
(
しゅくふ
)
を殺すの名を負わしむる
勿
(
なか
)
れの語あるを以て、矢を
発
(
はな
)
つを
敢
(
あえ
)
てせず。
此
(
この
)
日
(
ひ
)
復
(
また
)
戦う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
最後
(
さいご
)
に
私
(
わたくし
)
が、
最近
(
さいきん
)
滝
(
たき
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
さんの
本体
(
ほんたい
)
を
拝
(
おが
)
ましていただいた
話
(
はなし
)
を
致
(
いた
)
しますと、
母
(
はは
)
の
愕
(
おどろ
)
きは
頂点
(
てうてん
)
に
達
(
たっ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
深夜火器を
弄
(
ろう
)
して閨中の人を
愕
(
おどろ
)
かせしバイロン、必らずしも狂人たりしにあらざる可し、蓋し女性は或意味に於て
甚
(
はなは
)
だ偏狭頑迷なる者なり、
而
(
しか
)
して詩家も亦た
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
三人声を揃えて
突喊
(
とっかん
)
すると、
愕
(
おどろ
)
いた一群は小石を蹴って跳び上りさま、これも上河内の方面に逃げ去った。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
阿園が問いに何心なくさようと答えつ、後にてハッと
愕
(
おどろ
)
きたれど
駟
(
し
)
も舌に及ばざりき、女房は
焦
(
せ
)
き立てり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
彼は
愕
(
おどろ
)
いて話を
止
(
や
)
めた。そして両
眼
(
がん
)
を大きく
瞠
(
みひら
)
いた。手に持っているハンカチは次第に桃色から赤に変り、それをかざしていた手も同じ様に赤く染って行った。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幸村、喜んで「御働きの程、目を
愕
(
おどろ
)
かしたり。敵はこれよりわれ等が受取ったり」と言って、軍を進めた。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ここで、マアセルを
愕
(
おどろ
)
かせないように、しずかに、ごく静かに、いささか話しを後へ戻す必要があるのだ。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
盲
(
めくら
)
にして七十八歳の
翁
(
おきな
)
は、
手引
(
てびき
)
をも
伴
(
つ
)
れざるなり。手引をも伴れざる七十八歳の
盲
(
めくら
)
の翁は、
親不知
(
おやしらず
)
の沖を越ゆべき船に乗りたるなり。
衆人
(
ひとびと
)
はその無法なるに
愕
(
おどろ
)
けり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
周は
愕
(
おどろ
)
いてそのわけを問うた。成は剣を出して周に見せた。それにはなまなまと血がついていた。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
昨日の私がほんとうの私か、今日の私がほんとうの私か?———嘆き、悲しみ、
愕
(
おどろ
)
きの涙に暮れつつも、自分で自分を省ると、
何処
(
どこ
)
からともなくそう云う声が聞えます。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
待てど二郎十蔵ともに
出
(
い
)
で来たらず、口々に宮本宮本、十蔵早く
出
(
い
)
でよと叫べども答えすらなし、人々は顔と顔と見合して
愕
(
おどろ
)
き怪しみ、わが手を握りし岡村の手は振るいぬ。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と、その
跫音
(
あしおと
)
に
愕
(
おどろ
)
いた
鶏
(
とり
)
どもは、
宿木
(
とまりぎ
)
の上で、きゃあきゃあ騒ぐ。にんじんは
怒鳴
(
どな
)
る——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
と思つて眼を轉じた時、自分はひやりと許り心を
愕
(
おどろ
)
かした。そして、
呼吸
(
いき
)
をひそめた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ジョンソン大尉インドバハール地方で猴群に
愕
(
おどろ
)
かされてその馬騒ぎ
逸
(
のが
)
れし時、鉄砲を持ち出して短距離から一猴を
射
(
う
)
ち
中
(
あ
)
てしに、即時予に飛び掛かるごとく樹の最下枝に走り降り
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
愕
(
おどろ
)
かない、そこで、では面目ないから手前が切腹するという、やはりどうぞ御勝手にと愕かない、最後に、ではこの真与太郎殿を殺すといわれ、初めておきせは顔面蒼白してしまう。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「金をおとした」と答えると「いくら」と
訊
(
き
)
き、金額を話すと「オウ」と
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
しか
)
めたり、肩をすぼめたり、おおげさに
愕
(
おどろ
)
いてみせ、
一緒
(
いっしょ
)
に
捜
(
さが
)
しに行く、といいはってきかないのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
内部の情景を一目見せられた私は、想わずあっと
愕
(
おどろ
)
きの叫びを立てましたが、
俄
(
にわか
)
に体中が
慄
(
ふる
)
え出し、奥歯のかちかち触れ合うのが止みません……何という
惨
(
むご
)
たらしい出来ごとでしょう。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
女は
愕
(
おどろ
)
いた。なんと返事をして好いかも分らなくなつた。ただ男の顔を見つめた。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
それは、
愕
(
おどろ
)
きでもありません、嘆美でもありません。さればと云って、よく世間で云っております、あの、雷にどかーんと撃たれたような気持、——ああしたものでもありませんでした。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
この時廊下に足音がせずに、
障子
(
しょうじ
)
がすうっと
開
(
あ
)
いた。主客は
斉
(
ひとし
)
く
愕
(
おどろ
)
き
眙
(
み
)
た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だが、今、その考え方に気づくと、邦夷は、水を浴びたような
愕
(
おどろ
)
きを覚えた。目をみはった。すると、刻々近づきつつある郷里と自分の間に、悲しみと喜びが見境えもなく紛乱するのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
由布院が見える頃になると、この斜面一帯に牛が放牧されている。自動車の
行手
(
ゆくて
)
にも平然としていて、
怪訝
(
けげん
)
そうにこちらを見ていることもある。そしてずっと近くになってやっと
愕
(
おどろ
)
いて逃げ出す。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
発作的に気が
触
(
ふ
)
れて
拳銃
(
ピストル
)
自殺をしたに相違ないと云うのだ、
愕
(
おどろ
)
いたろう
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
身に
悪痛
(
いた
)
みを感ずるような寒気が沙原に降る。怖れと
愕
(
おどろ
)
きに
何
(
いず
)
れの方角を撰ぶという余裕がなかった。彼は闇の中に幾たびか
躓
(
つまず
)
いた。そのたびに柔かな沙地に
跪
(
ひざまず
)
いた。最後に、急な崖から転倒した。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
忠太郎 あッおかみさんは憶えがあるんだ(思わず膝を進め)顔に出たその
愕
(
おどろ
)
きが——ところは江州阪田の郡、醒が井から南へ一里、
磨針峠
(
すりはりとうげ
)
の山の宿場で
番場
(
ばんば
)
という処がござんす。そこのあッしは。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
愕
漢検1級
部首:⼼
12画
“愕”を含む語句
驚愕
愕然
驚愕狼狽
大驚愕
錯愕
震愕
恐愕
尾崎愕堂
怖愕
愕心
愕眙
狼狽驚愕
驚愕交響曲
驚愕仕
驚愕顛動