想像さうぞう)” の例文
しかしあのたくましいムツソリニも一わんの「しるこ」をすゝりながら、天下てんか大勢たいせいかんがへてゐるのはかく想像さうぞうするだけでも愉快ゆくわいであらう。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
軍事上ぐんじじやう大發明だいはつめい——一だい帆走船ほまへせん——三十七めい水兵すゐへい——化學用くわがくよう藥品やくひん是等これらからおもあはせるとおぼろながらも想像さうぞう出來できことはない。
たるれい想像さうぞうぎるので、加瀬貝塚かせかひづか疑問ぎもんをして、一そうつよからしめる論證ろんしようとするにはらぬけれども、一おう參考さんかうとするには充分じうぶんだらうとおもうのである。
あのにぎつたほか、あのむねいだいたほかむねのあつたことを想像さうぞうして、心臓しんざう鼓動こどうも一とまり、呼吸いきふさがつたやうにおぼえた。同時どうじ色々いろ/\疑問ぎもんむねおこつた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
はら行手ゆくてはまだとほかつた。わたしれしよびれた中根なかね姿すがた想像さうぞうして時時ときどき可笑をかしくなつたり、どくになつたりした。が、何時いつわたしおそつてくる睡魔すゐまこらへきれなくなつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あめはふれどゆきれど其處そこ轅棒かぢぼうおろさぬことなしとくちさがなき車夫しやふれに申せしやら、それからそれつたはりて想像さうぞうのかたまりはかげとなりかたちとなり種々さま/″\うわさとなり、ひとれずをもみたま御方おんかたもありし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此時このとき如何いかうれしく、また、如何いかなる談話だんわのあつたかはたゞ諸君しよくん想像さうぞうまかせるが、こゝ一言ひとことしるしてかねばならぬのは、この大輕氣球だいけいききゆうことである。
それからまたパリのあるカツフエにやはり紅毛人こうもうじん畫家ぐわか一人ひとり、一わんの「しるこ」をすゝりながら、——こんな想像さうぞうをすることは閑人かんじん仕事しごと相違さうゐない。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此手紙以外このてがみいぐわいに、をんなにくには、如何どん秘密ひみつあとつけられてあるか、それは一さいわからぬ。こゝろおくに、如何どんこひふうめてあるか、それもとよりわからぬ。わたし想像さうぞう可恐おそろしくするどくなつてた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
望生ぼうせいとは徒歩とほである。幻花げんくわ佛骨ぶつこつ自轉車じてんしやである。自轉車じてんしやの二よりも、徒歩とほ余等よらはうきへゆきいたなどは滑稽こつけいである。如何いかに二がよたくりまはつたかを想像さうぞうするにる。
のやうにおぼしめして御苦勞ごくらうなき御苦勞ごくらうやら我身わがみ新參しんざん勝手かつてらずおもとようのみつとめれば出入でいりのおひとおほくも見知みしらず想像さうぞうには此人このひとかとゆるもけれどこのみはひと心々こゝろ/″\なにがおそみしやらはでおもふは山吹やまぶきしたゆくみづのわきかへりてむねぐるしさもさぞなるべしおつゝしぶかさは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おそらくわたくし想像さうぞうあやまるまい、じつてんわざはひ人間にんげんちからおよところではないが、今更いまさらかゝ災難さいなんふとは、じつ無情なさけな次第しだいです。
ぼくいまもペンをつたまま、はるかにニユウヨオクのあるクラブに紅毛人こうもうじん男女だんぢよが七八にん、一わんの「しるこ」をすゝりながら、チヤアリ、チヤプリンの離婚問題りこんもんだいなんかをはなしてゐる光景くわうけい想像さうぞうしてゐる。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)