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ゆかした
ふりがな文庫
“
床下
(
ゆかした
)” の例文
そのふたりは、おまえのおかあさんの食物部屋の
床下
(
ゆかした
)
に住んでいるんだよ。あそこは、とても住みごこちのいいところなんだって!
眠りの精
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「何という野郎だ、——サア八、これで風向きが変ったろう。金の茶釜は、この小屋になきゃ増屋だ、
床下
(
ゆかした
)
も天井も、みんな捜せ」
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分の
法衣
(
ころも
)
をずたずたに引き裂いて
庫裡
(
くり
)
の
床下
(
ゆかした
)
へ投げ込んで、無断で寺を飛び出した。興津に父を頼って来たのはその時であった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「わしは敵でもなければ味方でもない。そうもうすおまえがたこそ、深夜に
床下
(
ゆかした
)
から
忍
(
しの
)
びこんできて、ひとの家へなにしにきた!」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうかこの包みを受け取って下さい。また
昨日
(
きのう
)
までに集めた金は、あなた方御夫婦も知らない内に、この茶室の
床下
(
ゆかした
)
へ隠して置きました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
……それが、
溝
(
どぶ
)
を
走
(
はし
)
り、
床下
(
ゆかした
)
を
拔
(
ぬ
)
けて、しば/\
人目
(
ひとめ
)
につくやうに
成
(
な
)
つたのは、
去年
(
きよねん
)
七月
(
しちぐわつ
)
……
番町學校
(
ばんちやうがくかう
)
が
一燒
(
ひとや
)
けに
燒
(
や
)
けた
前後
(
あとさき
)
からである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
高いと知りながらも低きにつくのは、自から多年の教育を受けながら、この教育の結果がもたらした財宝を
床下
(
ゆかした
)
に
埋
(
うず
)
むるようなものである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なぜって、いまのこの身の上では、牛小屋の
床下
(
ゆかした
)
の
穴
(
あな
)
よりもましな
家
(
うち
)
に住むことなど、とても望めないことですからね。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
雲雀
(
ひばり
)
は鳴いて居たが、初めて田舎のあばら
家
(
や
)
住居
(
ずまい
)
をする彼等は、大穴のあいた
荒壁
(
あらかべ
)
、吹通しの
床下
(
ゆかした
)
、
建具
(
たてぐ
)
は不足し
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「それで、ほんものを
床下
(
ゆかした
)
にうずめ、にせもののほうを、床の間に飾っておくという、はかりごとだったね。」
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
肉体
(
にくたい
)
は
通例
(
つうれい
)
附近
(
ふきん
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
や
神社
(
やしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
などに
隠
(
かく
)
し
置
(
お
)
き、ただ
引
(
ひ
)
き
抽
(
ぬ
)
いた
魂
(
たましい
)
のみを
遠方
(
えんぽう
)
に
連
(
つ
)
れ
出
(
だ
)
すものでござる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そこで
毎晩
(
まいばん
)
御所
(
ごしょ
)
を
守
(
まも
)
る
武士
(
ぶし
)
が
大
(
おお
)
ぜい、
天子
(
てんし
)
さまのおやすみになる
御殿
(
ごてん
)
の
床下
(
ゆかした
)
に
寝
(
ね
)
ずの
番
(
ばん
)
をして、どうかしてこの
妖
(
あや
)
しい
鳴
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
の
正体
(
しょうたい
)
を
見届
(
みとど
)
けようといたしました。
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「もうこの建物は天井から
床下
(
ゆかした
)
まで調べましたが、異状がありませんでした。
唯
(
ただ
)
残っているのは、あの三つのタンクですが、お言葉を信用してそのままにして置きます」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
食事終りて牢内を歩むに、ふと厚き板の間の
隙
(
すき
)
より、
床下
(
ゆかした
)
の見ゆるに心付き、試みに
眸
(
ひとみ
)
を
凝
(
こ
)
らせば、アア
其処
(
そこ
)
に我が同志の
赤毛布
(
あかげっと
)
を
纏
(
まと
)
いつつ、同じく散歩するが見えたり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
昨日
(
きのう
)
は
富家
(
ふうか
)
の門を守りて、
頸
(
くび
)
に真鍮の輪を
掛
(
かけ
)
し身の、今日は
喪家
(
そうか
)
の
狗
(
く
)
となり
果
(
はて
)
て、
寝
(
いぬ
)
るに
窠
(
とや
)
なく食するに肉なく、
夜
(
よ
)
は辻堂の
床下
(
ゆかした
)
に雨露を
凌
(
しの
)
いで、
無躾
(
ぶしつけ
)
なる
土豚
(
もぐら
)
に驚かされ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
翁は
狼狽
(
あわ
)
てて
懐中
(
ふところ
)
よりまっち取りだし、
一摺
(
ひとす
)
りすれば一間のうちにわかに
明
(
あか
)
くなりつ、人らしきもの見えず、しばししてまた暗し。
陰森
(
いんしん
)
の気
床下
(
ゆかした
)
より起こりて翁が懐に入りぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
霜
(
しも
)
の
来
(
こ
)
ぬ
間
(
ま
)
に、
早
(
はや
)
くも
弱
(
よわ
)
り
果
(
は
)
てた
蟋蟀
(
こおろぎ
)
であろう。
床下
(
ゆかした
)
にあえぐ
音
(
ね
)
が
細々
(
ほそぼそ
)
と
聞
(
き
)
かれた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
が、
家宅捜索
(
かたくそうさく
)
をすると、
時価
(
じか
)
概算
(
がいさん
)
一
億円
(
おくえん
)
に
相当
(
そうとう
)
する
金塊
(
きんかい
)
、
白金
(
はくきん
)
、その
他
(
た
)
の
地金
(
ぢがね
)
が
居室
(
きょしつ
)
の
床下
(
ゆかした
)
から
発見
(
はっけん
)
されたため、ついに
包
(
つつ
)
みきれずして、
刈谷音吉
(
かりやおときち
)
毒殺
(
どくさつ
)
のてんまつを
自供
(
じきょう
)
するに
到
(
いた
)
つた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
何処
(
どこ
)
へ隠したか、何処へ置いて来たか、穴でも掘って
埋
(
い
)
けてあるのではないか、
床下
(
ゆかした
)
にでも有りはしないか、何しろ
彼奴
(
あいつ
)
の手に証書を持たして置いては、千円
遣
(
や
)
っても
保
(
たも
)
つ金ではない
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
根太板を剥がれた
床下
(
ゆかした
)
は、
芥溜
(
ごみた
)
めのように取り散らしてあった。そのなかに一つの大きい橙の実が転げているのを拾わせて、半七は手に取って眺めた。橙には龍という字があらわれていた。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
比嘉春潮
(
ひがしゅんちょう
)
君の話によれば、かの島でモノに
攫
(
さら
)
われた人は、木の梢や水面また断崖絶壁のごとき、普通に人のあるかぬところを歩くことができ、また
下水
(
げすい
)
の中や
洞窟
(
どうくつ
)
床下
(
ゆかした
)
等をも平気で通過する。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
取調
(
とりしら
)
ぶるに道庵方にて
紛失
(
ふんしつ
)
せし單物一枚出たる故女房は家主へ
預
(
あづけ
)
甚兵衞は直に
召捕
(
めしとり
)
猶
(
なほ
)
懷中
(
くわいちう
)
其外所々改めし所
胴卷
(
どうまき
)
に金十二兩餘あり又同人宅の
床下
(
ゆかした
)
に金二十八兩是あり都合四十兩の金出しにより其金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
床下
(
ゆかした
)
に月の光は射し入れり球根が見ゆ數あかる蟻
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と、四つンばいになって、のこのこはいこんだのは、八
神殿
(
しんでん
)
の
床下
(
ゆかした
)
。
藁蓙
(
わらござ
)
を一枚かかえこんで、だんだん
奥
(
おく
)
のほうへいざってきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それに、家の者ぢや刃物を隱しやうはあるめえ。下水や
床下
(
ゆかした
)
へ投り込んだところで、直ぐ知れるに決つてゐる——」
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まだ水の引き切らない
床下
(
ゆかした
)
のぴたぴたに
濡
(
ぬ
)
れた貸家に
畳建具
(
たたみたてぐ
)
も何も入れずに、荷物だけ運んでありました。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そいつは、
飼
(
か
)
い
主
(
ぬし
)
のおくさんが大すきだったんだ。それで、そのおくさんを
喜
(
よろこ
)
ばせてやろうと思って、とてつもなくでかい卵をうんでよ、それを
穀物倉
(
こくもつぐら
)
の
床下
(
ゆかした
)
にかくしておいたんだ。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
丁度
(
ちやうど
)
此
(
こ
)
の
上口
(
のぼりくち
)
の
辺
(
あたり
)
に
美濃
(
みの
)
の
蓮大寺
(
れんたいじ
)
の
本堂
(
ほんだう
)
の
床下
(
ゆかした
)
まで
吹抜
(
ふきぬ
)
けの
風穴
(
かざあな
)
があるといふことを
年経
(
とした
)
つてから
聞
(
き
)
きましたが、なか/\
其処
(
そこ
)
どころの
沙汰
(
さた
)
ではない、一
生懸命
(
しやうけんめい
)
、
景色
(
けしき
)
も
奇跡
(
きせき
)
もあるものかい
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頭上
(
ずじょう
)
の星も、霜夜も、座下の
荒莚
(
あらむしろ
)
も忘れて、彼等もしばし忘我の境に入った。やがてきり〻〻と舞台が廻る。
床下
(
ゆかした
)
で若者が五人がゝりで廻すのである。村芝居に廻り舞台は中々
贅沢
(
ぜいたく
)
なものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
床下
(
ゆかした
)
に月の光は射し入れり球根が見ゆ数あかる蟻
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
右手
(
めて
)
に、名刀
般若丸
(
はんにゃまる
)
を、ひだりの手では、地や
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
をなでまわしながら、ソロリと、八神殿の
床下
(
ゆかした
)
をはいだしてきた者がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先刻
床下
(
ゆかした
)
で破片だけ見付かつたやうな、梅干瓶が三つ、澁紙の蓋を並べて、儼然と並んでゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうどこの
上口
(
のぼりぐち
)
の辺に
美濃
(
みの
)
の
蓮大寺
(
れんだいじ
)
の本堂の
床下
(
ゆかした
)
まで
吹抜
(
ふきぬ
)
けの
風穴
(
かざあな
)
があるということを
年経
(
とした
)
ってから聞きましたが、なかなかそこどころの
沙汰
(
さた
)
ではない、
一生懸命
(
いっしょうけんめい
)
、
景色
(
けしき
)
も
奇跡
(
きせき
)
もあるものかい
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして、それを
螺旋
(
らせん
)
の
締棒
(
しめぼう
)
の下に押込んで、
把
(
て
)
をぐるぐると廻し始める。油は同時に
搾
(
しぼ
)
られて
床下
(
ゆかした
)
の
溝
(
みぞ
)
にどろどろに流れ込む。豆は全くの
糟
(
かす
)
だけになってしまう。すべてが約二三分の仕事である。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そっと体を横に
捻
(
ねじ
)
って、
床下
(
ゆかした
)
から上を
覗
(
のぞ
)
くと、銀五郎の半身は、濡るるを忘れて、弦之丞の帰りを気づかいながら、また独りごとを洩らしている。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天井
(
てんじょう
)
から
床下
(
ゆかした
)
から、押入も、戸棚も、
土竈
(
へっつい
)
の中も、羽目板の後ろも、絶対に見落さないはずですが、夜中までかかって、小刀一挺、いや、針一本見付からなかったのです。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「知れないうちは、五日でも七日でも、ここの
床下
(
ゆかした
)
へ
潜
(
ひそ
)
もう。紋太夫が訪れている晩は今夜に限るまい」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「信吉、この縁の下に潜って、お猿をあの
床下
(
ゆかした
)
の格子から中へ入れてみてくれないか」
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
布を投げたような曲線が、
釣殿
(
つりどの
)
の
床下
(
ゆかした
)
をとおり抜け、せんかんたる小川の末は、東の対ノ屋の庭さきから、さらに
木立
(
こだち
)
をぬい、
竹林
(
ちくりん
)
の根を洗って、邸外へ落ちてゆく。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「音松が殺されて居るんだらう。押入か
床下
(
ゆかした
)
へ首を突つ込んで」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「御子は、あした、横山ノ牧へ、行くんでしょう。そしたら、途中の武蔵野で、殺されますよ。わたしは、叔父御さまたちが、密談しているのを、
床下
(
ゆかした
)
で聞いていた……」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
床下
(
ゆかした
)
や天井裏や押入には」
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“床下”で始まる語句
床下柱
床下街道