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天竺
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てんじく
ふりがな文庫
“
天竺
(
てんじく
)” の例文
これに控えまする唐人は
劉
(
りゅう
)
と申し、
天竺
(
てんじく
)
は
鳥烏山
(
ちょううざん
)
の生れにして——なんかとでたらめに並べて引っこむと、すぐに代わりあって、二
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
天竺
(
てんじく
)
南蛮の
今昔
(
こんじゃく
)
を、
掌
(
たなごころ
)
にても
指
(
ゆびさ
)
すように」
指
(
さ
)
したので、「シメオン
伊留満
(
いるまん
)
はもとより、
上人
(
しょうにん
)
御自身さえ舌を捲かれたそうでござる。」
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天竺
(
てんじく
)
でも、シナでも、一
度
(
ど
)
山か
野
(
の
)
にかくれればもうだれも
追
(
お
)
いかけて
来
(
く
)
る
者
(
もの
)
はなかったのですが、こんどはそういきませんでした。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ここの
家
(
うち
)
へばかり因縁を付けに来たって仕様がない。おまえさんも国姓爺を勤める役者だ。
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
まで渡って探して歩いたらいいでしょう
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
第一番
(
だいいちばん
)
に、
石造皇子
(
いしつくりのみこ
)
はずるい
方
(
ほう
)
に
才
(
さい
)
のあつた
方
(
かた
)
ですから、
註文
(
ちゆうもん
)
の
佛
(
ほとけ
)
の
御石
(
みいし
)
の
鉢
(
はち
)
を
取
(
と
)
りに
天竺
(
てんじく
)
へ
行
(
い
)
つたように
見
(
み
)
せかけて、
三年
(
さんねん
)
ばかりたつて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
▼ もっと見る
お前の料簡にすると両親は子を育ててもその子の
夫定
(
つまさだ
)
めには口出しができないと言うことになるが、そんな事は西洋にも
天竺
(
てんじく
)
にもあんめい。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
北
天竺
(
てんじく
)
の
乾陀羅
(
けんだら
)
国の見生王という王様がいたが、どうかして生身の観世音菩薩を拝みたく思い、
発願
(
はつがん
)
入定
(
にゅうじょう
)
して祈りをささげた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ひとりは
心外道人
(
しんがいどうじん
)
ゆずり、
果心居士
(
かしんこじ
)
の流れをくむ幻術、それに対して犬丸のほうは、悪鬼ラセツがつかうという
天竺
(
てんじく
)
(今のインド)流の妖術。
幻術天魔太郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
我々が
天竺
(
てんじく
)
へ行くのはなんのためだ? 善業を
修
(
ず
)
して来世に極楽に生まれんがためだろうか? ところで、その
極楽
(
ごくらく
)
とはどんなところだろう。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お前がその意地なら腕に
撚
(
よ
)
りをかけてやってみろ、幸い、あの遊行上人は、
天竺
(
てんじく
)
から来たという
黄金
(
きん
)
の
曼陀羅
(
まんだら
)
の
香盒
(
こうごう
)
というものを持っている
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを
攀
(
よ
)
じ昇って
天竺
(
てんじく
)
まで行くと、ある家の裏の垣根にやっと蔓の端が引掛かり、今にもはずれそうになっていたけれども
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「たとえ、日本国中、いいえ、
唐
(
から
)
、
天竺
(
てんじく
)
に身のおきどころがなくなっても、わたしは少しも
厭
(
いと
)
いませぬ。そなたさえ、側にいて下されば——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
お前は
前世
(
さきのよ
)
で、
天竺
(
てんじく
)
の或る国王の御殿に仕えて居る役人であった。その時分、其処の都に一人の美しい女人が居て、お前を深く恋い慕って居た。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もし世間の笑いものになって、ここで生きて行かれぬというなら、
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
の
果
(
はて
)
までも、いっしょに行く気でおりますわいな
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「汝のような者が、信長の統業下にあることは、世間のうたがい、物笑い、日本にとどまらず、
明国
(
みんこく
)
、
高麗
(
こうらい
)
、
天竺
(
てんじく
)
、
南蛮
(
なんばん
)
までの恥さらしである」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天竺
(
てんじく
)
のオイラン——ソラマメのこと。ヤナギマメは、キザミ
昆布
(
こんぶ
)
(これがヤナギ)と豆の煮つけ。アカバトがウズラ豆。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それは内、国家を統一し、外、国力を
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
にまでも示し、日本が世界の美の
鎔鉱炉
(
ようこうろ
)
であることを千幾百年の古しえ、世に示そうとされたのである。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
その他山田長政が威を
暹羅
(
シャム
)
に振いたる、
天竺
(
てんじく
)
徳兵衛が印度に渡りたる、浜田弥兵衛が台湾にある
和蘭
(
オランダ
)
人を
挫
(
くじ
)
きたる、みな
元和
(
げんな
)
、寛永の間にありとす。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「あほうだな。おれの耳は横へついているかもしれねえが、目は
天竺
(
てんじく
)
までもあいていらあ。てめえにゃあの子の首筋と手のなま傷がみえなかったか!」
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
其の向うは、
鰐
(
わに
)
の泳ぐ、
可恐
(
おそろし
)
い
大河
(
おおかわ
)
よ。……
水上
(
みなかみ
)
は
幾千里
(
いくせんり
)
だか分らない、
天竺
(
てんじく
)
のね、
流沙河
(
りゅうさがわ
)
の
末
(
すえ
)
だとさ、河幅が三里の上、深さは
何百尋
(
なんびゃくひろ
)
か分りません。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ぶら下げるとも。
訳
(
わけ
)
はない。大丈夫だから待っていたまえ。——そうら、長いのが
天竺
(
てんじく
)
から、ぶら下がったろう」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八幡様や太閤様の朝鮮征伐、
唐
(
から
)
、
天竺
(
てんじく
)
の交通のカナメ処になって、外国をピリピリさせていた名所旧跡は、みんな博多を
中心
(
まんなか
)
にして取囲んでいるんだ。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「羊の革を使ってあるから南蛮かと思ったら、この模様が南蛮風でもなし、
唐様
(
からよう
)
でもなし
天竺
(
てんじく
)
風でもないでしょう」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
書を読むとは、ひとり日本の書のみならず、支那の書も読み、
天竺
(
てんじく
)
の書も読み、西洋諸国の書も読ざるべからず。
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「煙草」というものがあることは知っていたし、それがどこか
天竺
(
てんじく
)
のほうから渡来したという話も聞いていた。けれども現実に見るのは初めてであった。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
此は、
天竺
(
てんじく
)
の狐の為わざではないか、其とも、この葛城郡に、昔から残っている
幻術師
(
まぼろし
)
のする迷わしではないか。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
天竺
(
てんじく
)
もめんの白い、うす汚れたカーテンを後生大事にどの屋台もが下げている……そうした店からの所産である。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
観念のつながりは、
所詮
(
しょせん
)
僕の妻は、
天竺
(
てんじく
)
のむかし
難陀
(
なんだ
)
の妻
孫陀利
(
すんたり
)
のようには行かぬということに落ちて行った。
リギ山上の一夜
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その昔、猿の大王だの豚の精だのひきつれて、こういう思想で、
天竺
(
てんじく
)
へお経をとりにでかけた坊主もいたけれども、あそこには生死をかけた旅行があった。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
『今昔物語集』巻五第二十一語に
天竺
(
てんじく
)
の山に狐と虎住み、その狐虎の威を仮りて諸獣を
恐
(
おど
)
す、虎行きて狐を責め狐恐れて逃ぐるほどに井に落ちたとありて
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
高麗
(
こうらい
)
、
唐土
(
もろこし
)
、
暹羅
(
シャム
)
国、カンボジャ、スマトラ、
安南
(
あんなん
)
、
天竺
(
てんじく
)
、世界ははて無く広がって居りまする。ここの世界が癪に触るとて、癪に触らぬ世界もござろう。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は、男衆に教わって、
天竺
(
てんじく
)
針をかけることや、どうけを沈めることを知った。日暮にかけておいた天竺針には、朝になるときっと
鰻
(
うなぎ
)
や
鯰
(
なまず
)
がかかっている。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
蝦夷
(
えぞ
)
や
韃靼
(
だったん
)
や
天竺
(
てんじく
)
や
高砂
(
たかさご
)
や、シャムロの国へまで手を延ばして、珍器名什を蒐集することによって、これまた世人に謳われている松平
碩寿翁
(
せきじゅおう
)
その人なのであった。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
元内
又
(
また
)
は源内というのは通称で、そのほかにいろいろな号をその著述の上では使っています。
鳩溪
(
きゅうけい
)
、
風來山人
(
ふうらいさんじん
)
、
天竺
(
てんじく
)
浪人など、そのなかで多く用いられたものでした。
平賀源内
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
首には、流木の
刺股
(
さすまた
)
をくくりつけられ、頭はまた妙な格好で、高く
天竺
(
てんじく
)
玉に結び上げられている。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わたしのような、こぎゃん不幸者は
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
まで捜したッてまたとあろうたア思われまッせん。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
遠くは仏教の発祥地である
天竺
(
てんじく
)
でも、
竹林精舎
(
ちくりんしょうじゃ
)
、
給孤独園
(
ぎっこどくおん
)
といった聖地も、狼や狐のすみかと化し、又、中国でも、天台山、五台山、白馬寺、玉泉寺といった有名な仏寺が
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
三番目は「
蘇莫者
(
そまくしゃ
)
」というのである。何と読むのか、プログラムに仮名付けがないから分らない。説明書によるとこの曲はもと
天竺
(
てんじく
)
の楽で、舞は本朝で作ったとのことである。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
たとえて見ると、心の奥に吉野山があるようなもので、その吉野山は唐土までも続いているという事であるが、あたかも我心も唐土は愚か
天竺
(
てんじく
)
までも
和蘭
(
オランダ
)
までも続いておるというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
昔
天竺
(
てんじく
)
に
閼伽衛奴
(
あかいぬ
)
国という国があって、そこの王を和奴和奴王というた、この王もこの国の民も非常に犬を愛する風であったがその国に一人の男があって王の愛犬を殺すという騒ぎが起った
犬
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そのうち市では、一年増に西洋種の花が多くなつて、今年は
殆
(
ほとんど
)
皆西洋種になつてしまつた。
毬
(
まり
)
のやうな花の咲く
天竺
(
てんじく
)
牡丹を買はうと思つても、
花瓣
(
はなびら
)
の長い、平たい花の咲くダアリアしか無い。
田楽豆腐
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
吾助
(
ごすけ
)
は
大層
(
たいそう
)
な
學者
(
がくしや
)
にて
何
(
なに
)
ごとも
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
なく、
西洋
(
せいやう
)
だの
支那
(
しな
)
だの
天竺
(
てんじく
)
や
何
(
なに
)
かのことも
宜
(
よ
)
く
知
(
し
)
りて、
其話
(
そのはな
)
しが
面白
(
おもしろ
)
ければ
姉樣
(
ねえさま
)
にも
是非
(
ぜひ
)
お
聞
(
き
)
かせ
申
(
まうし
)
たし、
從來
(
まへかた
)
の
爺
(
ぢい
)
と
違
(
ちが
)
ひ
僕
(
ぼく
)
を
可愛
(
かあい
)
がりて
姉樣
(
ねえさま
)
を
賞
(
ほ
)
めて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ふつふつたる香りにばかり
煽
(
あお
)
られていると酔ったとも酔わぬとも名状もなしがたい、前世にでもいただいた
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
のおみきの酔いがいまごろになって
効
(
き
)
いて来たかのような、まことに有り難いような
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
あるいは日本には古くから
天竺
(
てんじく
)
などのように、四種の階級が
截然
(
せつぜん
)
としておったかのごとく、吾も人も信ずるようになった。
家の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
三人の魔女なぞを
遣
(
つかわ
)
すよりも、
六牙象王
(
ろくげのぞうおう
)
の
味噌漬
(
みそづ
)
けだの、
天竜八部
(
てんりゅうはちぶ
)
の
粕漬
(
かすづ
)
けだの、
天竺
(
てんじく
)
の珍味を
降
(
ふ
)
らせたかも知らぬ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人の掛合いや兼合いでは、京大阪へ出ようと、
唐
(
から
)
天竺
(
てんじく
)
へ出ようと、引けは取らないお角さんだが、字学の方にかけると、気が引けてどうにもならない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大奥であろうが、
天竺
(
てんじく
)
であろうが、人を殺した女をのめのめ見のがしておいたら、八丁堀の恥になるんだからね。どんどんと乗りこんでめえりましょうよ
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
七年
幾月
(
いくつき
)
の其の日はじめて、世界を代へた
天竺
(
てんじく
)
の
蕃蛇剌馬
(
ばんじゃらあまん
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
に、緋の色した
鸚鵡
(
おうむ
)
の口から、同じ
言
(
ことば
)
を聞いたので、身を
投臥
(
なげふ
)
して泣いた、と言ひます。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その略にいわく、昔釈迦如来
天竺
(
てんじく
)
の大国の王と生まれて
坐
(
いま
)
しし時、隣国舅氏国飢渇してほとんど餓死に及べり。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
娘の笑は、
端
(
はし
)
なくも母の疑問を起す。子を知るは親に
若
(
し
)
かずと云う。それは違っている。御互に喰い違っておらぬ世界の事は親といえども
唐
(
から
)
、
天竺
(
てんじく
)
である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“天竺”の意味
《固有名詞》
日本、中国からみたインドの呼称。
(出典:Wiktionary)
“天竺”の解説
天竺(てんじく)とは、中国や朝鮮、日本が用いたインドの旧名。ただし、現在のインドと正確に一致するわけではない。
(出典:Wikipedia)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
竺
漢検準1級
部首:⽵
8画
“天竺”で始まる語句
天竺牡丹
天竺鼠
天竺木綿
天竺徳兵衛
天竺葵
天竺浪人
天竺織
天竺国
天竺髷
天竺屋