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夜分
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やぶん
ふりがな文庫
“
夜分
(
やぶん
)” の例文
そこで、気の
逸
(
はや
)
い安床は、
夜分
(
やぶん
)
、仕事をしまってから、私の父を
訪
(
たず
)
ねて参り、時に兼さん、これこれと始終のことをまず話し、それから
幕末維新懐古談:03 安床の「安さん」の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あの
時
(
とき
)
は
愚老
(
ぐらう
)
も
不審
(
ふしん
)
に
思
(
おも
)
ひました。
岸和田藩
(
きしわだはん
)
のお
武士
(
さむらひ
)
が
夜分
(
やぶん
)
内々
(
ない/\
)
で
見
(
み
)
えまして、
主人
(
しゆじん
)
美濃守
(
みののかみ
)
急病
(
きふびやう
)
で
惱
(
なや
)
んでゐるによつて
診
(
み
)
てくれとのお
話
(
はなし
)
。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「ねえ、きみ!
夜分
(
やぶん
)
通
(
とお
)
る
人
(
ひと
)
が、このあなへおちないだろうかね。」と、
清吉
(
せいきち
)
は、
道
(
みち
)
の
上
(
うえ
)
のあなをゆびさして、
友
(
とも
)
だちにはなしかけました。
考えこじき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
館
(
やかた
)
の
屋根
(
やね
)
に
渦
(
うづま
)
いてかゝりますと、
晝間
(
ひるま
)
の
寢床
(
ねどこ
)
——
仙人
(
せんにん
)
は
夜
(
よる
)
はいつでも
一睡
(
いつすゐ
)
もしないのです、
夜分
(
やぶん
)
は
塔
(
たふ
)
の
上
(
うへ
)
に
上
(
あが
)
つて、
月
(
つき
)
に
跪
(
ひざまづ
)
き、
星
(
ほし
)
を
拜
(
をが
)
んで
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その鉄の戸は厳しく閉め切ってありまして、いくら王子の身でも、それを
夜分
(
やぶん
)
に開かせることは出来ませんでした。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
夜分
(
やぶん
)
には彼らもずいぶん里近くを通りました。その方が
路
(
みち
)
が楽であったことは、彼らとても変りはないはずです。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
調度類
(
ちょうどるい
)
は
前以
(
まえもっ
)
て
先方
(
せんぽう
)
へ
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けて
置
(
お
)
いて、
後
(
あと
)
から
駕籠
(
かご
)
にのせられて、
大
(
おお
)
きな
行列
(
ぎょうれつ
)
を
作
(
つく
)
って
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
んだまでの
話
(
はなし
)
で……
式
(
しき
)
はもちろん
夜分
(
やぶん
)
に
挙
(
あ
)
げたのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
卒業してから先生の
宅
(
うち
)
へ
夜分
(
やぶん
)
外史を習いに来たが今はよして水車の方を働いている、もっとも水車といっても都の近在だけに山国の小さな小屋とは一つにならない。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それを突っかけてすぐ庭に出ることが出来る、
夜分
(
やぶん
)
こそ
雨戸
(
あまど
)
を
閉
(
し
)
めて家と庭との限界を
厳
(
きび
)
しくしますが、昼は
殆
(
ほとん
)
ど家と庭との境はないといってよいほどであります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「あら、そお。それじゃ、あたし
夜分
(
やぶん
)
に、ちょっと、お寄りするわ。ね、いいでしょう、あなた」
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いつでしたか、
夜分
(
やぶん
)
になって尋ねましたら、お
嫂
(
ねえ
)
さんはお留守です。まだ小さかった
類
(
るい
)
さんは病気で寝ていました。ちょっと話していますと、電話のベルが
頻
(
しき
)
りに鳴ります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
夜分
(
やぶん
)
なぞ、おくみはもうするだけの事はして
了
(
しま
)
つて、客のない店の鏡のところへ出て
悄
(
しよ
)
んぼりと髪なぞ
解
(
と
)
いた
後
(
のち
)
、窓の硝子を通して、向うの、郵便局をしてゐる
家
(
うち
)
の赤い電球を
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
壮快
(
そうかい
)
なる
供養
(
くよう
)
チベット暦の一月十五日になりますと、チュンガ・チョッパ(十五日の
供養
(
くよう
)
)というてなかなか盛んな
供養会
(
くようえ
)
が行われる。これは
夜分
(
やぶん
)
の供養会であって昼は全くないのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
やかましやの
良人
(
をつと
)
が
暇
(
ひま
)
といふては
毛筋
(
けすぢ
)
ほども
明
(
あ
)
けさせて
呉
(
く
)
れぬ
五月蠅
(
うるさ
)
さ、
夜分
(
やぶん
)
なりと
歸
(
かへ
)
りは
此方
(
こち
)
から
送
(
おく
)
らせうほどにお
良人
(
うち
)
に
願
(
ねが
)
ふて
鳥渡
(
ちよつと
)
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れられまいか、
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る、と
云
(
い
)
ふ
文面
(
ふみ
)
で
御座
(
ござ
)
ります
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あんのんな
夜分
(
やぶん
)
のふしどだけは
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
含
(
ふく
)
みつゝ三次の
側
(
そば
)
へさし寄て今より何卒御一所にお
連
(
つれ
)
成
(
なさ
)
れて下されと云へば三次は
默禮
(
もくれい
)
し
然程迄
(
さほどまで
)
にも
逢度
(
あひたく
)
ば今夜
直
(
すぐ
)
にも同道せんと聞てお安は
飛立
(
とびたつ
)
思
(
おも
)
ひそれは/\有難し先樣でさへ
夜分
(
やぶん
)
にても
能事
(
よいこと
)
成
(
なれ
)
ば私しは
一刻
(
ちつと
)
も
疾
(
はや
)
く
逢度
(
あひたい
)
と悦ぶ
風情
(
ふぜい
)
に長庵は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜分
(
やぶん
)
は土間から、一本の木製の明り台が立っていて燈心の火が細く
点
(
とも
)
されていた。でも、結構、それで仕事は出来たもの。
幕末維新懐古談:05 その頃の床屋と湯屋のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
つまり
私
(
わたくし
)
の二百
年間
(
ねんかん
)
のその
日
(
ひ
)
その
日
(
ひ
)
はいつも
御弊
(
ごへい
)
と一
体
(
たい
)
、
夜分
(
やぶん
)
参拝者
(
さんぱいしゃ
)
が
杜絶
(
とだえ
)
た
時分
(
じぶん
)
になって
初
(
はじ
)
めて
自分
(
じぶん
)
に
返
(
かえ
)
って
御弊
(
ごへい
)
から
離
(
はな
)
れると
言
(
い
)
った
塩梅
(
あんばい
)
なのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
すべてかようの山
尾根先
(
おねさき
)
は天狗の通路であって、
樵夫
(
きこり
)
の
輩
(
やから
)
一切
夜分
(
やぶん
)
は居らぬことにしていると述べた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あつ
氣
(
け
)
に
取
(
と
)
られたが、しかし
悟
(
さと
)
つた。……
嘗
(
かつ
)
て
相州
(
さうしう
)
の
某温泉
(
ぼうをんせん
)
で、
朝夕
(
あさゆふ
)
ちつともすゞめが
居
(
ゐ
)
ないのを、
夜分
(
やぶん
)
按摩
(
あんま
)
に
聞
(
き
)
いて、
歎息
(
たんそく
)
した
事
(
こと
)
がある。みんな
食
(
く
)
つてしまつたさうだ。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
けれど
黒塀
(
くろべい
)
の鏡が出来たのはうれしいことでした。朝日のさしてる時ばかりでなく、午後になっても、月が出てれば
夜分
(
やぶん
)
でも、黒塀の鏡は皆の姿をうつし出してくれました。
影法師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それもそうだが、弦の居るところは、
夜分
(
やぶん
)
は電話がきかないらしいんだよ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「さぞ、おまえも
大
(
おお
)
きくなったであろう。そのつもりでぬったが、からだによくあうかどうかわかりません。とどいたら、
着
(
き
)
てみてください。もしあわないようでしたら、
夜分
(
やぶん
)
でもひまのときに、なおして
着
(
き
)
てください。」
田舎のお母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もし気をつけて垣の間から
窺
(
うかが
)
っているならば、訪客は
夜分
(
やぶん
)
にかぎり、そして年齢のころは皆、四十から下の比較的わかい男女であって、いずれも相当の
身姿
(
みなり
)
をしていることが判ったであろう。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
日月
(
ひつき
)
にはともあらん、
夜分
(
やぶん
)
な
星
(
ほし
)
にも
覗
(
のぞ
)
かすな、
心得
(
こゝろえ
)
たか、とのたまへば、
赤
(
あか
)
い
頭巾
(
づきん
)
を
着
(
き
)
た
親仁
(
おやぢ
)
、
嘴
(
くちばし
)
を
以
(
も
)
て
床
(
ゆか
)
を
叩
(
たゝ
)
き、
項
(
うなじ
)
を
垂
(
た
)
れて
承
(
うけたまは
)
り、
殿
(
との
)
の
膝
(
ひざ
)
におはします、
三歳
(
さんさい
)
の
君
(
きみ
)
をふうはりと、
白
(
しろ
)
き
翼
(
つばさ
)
に
掻
(
か
)
い
抱
(
いだ
)
き
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも水面をこうやって航行するのは、きまって
夜分
(
やぶん
)
だけです。
太平洋雷撃戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
脱走しろという、
夜分
(
やぶん
)
になるのは中々だ。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“夜分”の意味
《名詞・形容動詞》
夜中。夜間。よる。
(出典:Wiktionary)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“夜”で始まる語句
夜
夜半
夜更
夜中
夜叉
夜具
夜鷹
夜寒
夜明
夜業