嗚呼あゝ)” の例文
他の人に見咎みとがめられなば一大事と二足三足さりかけしが又振返りさしのぞ嗚呼あゝ我ながら未練みれんなりと心で心をはげましつゝ思ひ極めて立去けり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
市民と市吏と警察吏とが豹変常なき新聞記者を中間にして相互の欠点を狙ひ合つてゐる気味悪い都会。その片隅に嗚呼あゝ自分のいへがある。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たッた一をでも宣言おほせられたならば、小生それがし滿足まんぞくいたす。たゞ嗚呼あゝ」とだけさけばっしゃい、たッた一言ひとことラヴとか、ダヴとか宣言おほせられい。
嗚呼あゝ是れ彼れが成功の大原因に非ずや。彼れは何事にも真面目なり。其軽妙婉転たる文章ももと是れ百錬千鍛の裏に出で来る也。誠実なる人也。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
余が去れる後数分、警吏は令状をたづさへて平民社をたゝけり、厳達して曰く「嗚呼あゝ増税」の一文、社会の秩序を壊乱するものありよつて之を押収あふしふすと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
嗚呼あゝ近世の小説は歓天喜地愉快を写さずして、総て悲哀を以て終らざる可からざると。小説の真味たゞに消極的の運命を写すのみならんや。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
嗚呼あゝ天地味ひなきこと久し、花にあこがるゝもの誰ぞ、月にうそぶくもの誰ぞ、人世の冉々ぜん/\として減毀げんきするをし、ちうとして命運のわたくししがたきを慨す。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
古老こらうまゆひそめ、壯者さうしやうでやくし、嗚呼あゝ兒等こら不祥ふしやうなり。めよ、めよ、なんきみ細石さゞれいしことぶかざる!
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
燒け殘りたる築垣ついがきの蔭より、屋方やかたの跡をながむれば、朱塗しゆぬり中門ちゆうもんのみ半殘なかばのこりて、かどもる人もなし。嗚呼あゝ被官ひくわん郎黨らうたう日頃ひごろちように誇り恩をほしいまゝにせる者、そも幾百千人の多きぞや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
嗚呼あゝ大事切迫だいじせつぱく/\と、わたくし武村兵曹たけむらへいそうかほ見合みあはしたるまゝ身體しんたい置塲おきばらぬほどこゝろなやましてる、ときしもたちまる、はるか/\の水平線上すいへいせんじやう薄雲うすぐもごとけむりあらはれ
逆立さかだてこはい眼に睨まれ小さくなツて手を引きぬ嗚呼あゝ艶福なる者は必らずかくの如く不運なり女運なければ幸福なり讀者諸君それいづれをか執らんと思ひ玉ふナニ女運を右に幸福を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
殺気の中に血涙をふくむ、泣くは笑ふのか、笑ふのは泣くのか、いかりは歌か、歌は怒か、嗚呼あゝはかなき人生の流よ! 数年前までは熊眠り狼住みし此渓間に流れ落ちて、こゝによどみ、こゝに激し
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
嗚呼あゝ神よ、若き人は女の生みたる子は、御供ごくう牡牛をうしよりも御心みこゝろかなふべし
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
未落語家三遊亭圓朝氏が人情話にんじょうばなしの巧に世態を穿ち妙に人情を尽せるにしかず、其の人の感情を動す頗る優劣ありといわんとす、嗚呼あゝ圓朝氏をして欧米文明の国に生れしめば、其の意匠の優れたる
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
翫具ぐわんぐには用うる所さま/″\あるべし。源内死して奇術たえたりしにくだんの両人いでゝ火浣布の機術きじゆつふたゝび世にいでしに、嗚呼あゝ可惜をしむべし、此両人も術をつたへずしてぼつしたれば火浣布ふたゝび世にたえたり。
求めんと欲し続々投書山をす之をもって之を見れば君が文事に於けるた羨むべし嗚呼あゝ涙香君は如何なる才を持て筆を採るや如何なる技を持って小説を作るや余は敢て知らず知らざるゆえに之れを
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
嗚呼あゝこの堂々たる手のうちに、金は無いか、銀將無きかとうれたがり、今にして、らずば、末を奈何いかに懸念貌けねんがほ、仔細らしく意味取りちがへて濫用する圍棋ことばの粘、塗、抑、約いと五月蠅うるさしと。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
嗚呼あゝ、われこれを獲たり。これこそさき拿破里ナポリの貴婦人なるらめ。
なんぢを愛す、我汝をまねぐ、嗚呼あゝ、わが、善惡の名によりて。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
嗚呼あゝ、予が見たる所、感じたる所、すべてくの如し。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
時に後ろの方に當り生者必滅しやうじやひつめつ會者定離ゑしやじやうり嗚呼あゝ皆是前世ぜんせ因縁いんえん果報くわはう南無阿彌陀佛と唱ふる聲に安五郎は振返ふりかへり見れば墨染すみぞめの衣に木綿もめん頭巾づきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聡明にして感情を有したる地下の故人、さに余の依然として呉下蒙ごかもうたるを笑ふなるべし。地下の故人よ、嗚呼あゝ余は依然として呉下蒙たるなり。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
嗚呼あゝ恋愛よ、汝は斯くも権勢ある者ながら、爾の哺養し、爾の切にもとめらるゝ詩家の為に虐遇する所となる事多きは、如何に慨歎すべき事ならずや。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
嗚呼あゝ、自分はどうして昔の奴隷の如く柔順に盲目的に生きる事が出來ないのであらう。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
翫具ぐわんぐには用うる所さま/″\あるべし。源内死して奇術たえたりしにくだんの両人いでゝ火浣布の機術きじゆつふたゝび世にいでしに、嗚呼あゝ可惜をしむべし、此両人も術をつたへずしてぼつしたれば火浣布ふたゝび世にたえたり。
嗚呼あゝ、ブリンヂイシイの港をでゝより、早や二十日はつかあまりを経ぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
嗚呼あゝ、此拿破里の市も、今よりは同じ夢中の物となりをはるならん。
嗚呼あゝ、わがげんの力を、その無言むごんの力と同じからしめ給へ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
嗚呼あゝ、命、新らしき命……わが内臟はとどろきぬ
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
行く下されること數度なり左右の松山にヂイ/\と濁りし聲に啼く虫あり何ぞと聞ば松虫と答ふ山に掛れば數万本の松皆赤枯れて火に燒けたる如し又問へば松虫が皆な喰ひ枯せしなりといふ松に此虫がけば滿山枯し盡さねばやまず其形は毛虫の如くにて憎むべきものなりと云ふ嗚呼あゝ松に生じ松によりて育ちながら新芽を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
なんぢの Longing を空際に投げよ、空際より、爾が人間に為すべきの天職をり来れ、嗚呼あゝ文士、何すれぞ局促として人生に相渉るを之れ求めむ。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
後来海警屡〻至るに及んで天下の人心俄然がぜんとして覚め、尊皇攘夷の声四海にあまねかりしもの、いづくんぞ知らん彼が教訓の結果に非るを。嗚呼あゝ是れ頼襄の事業也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
ほつすればなすことなきしくなし人のきくことなきほつすれば言ことなきしくなしとむべなるかな嗚呼あゝ謹愼つゝしまずんば有べからず。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
嗚呼あゝしゆもろ/\の偶像を破棄し給へり。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
嗚呼あゝ信条なるかな、之を有するの人は以て死生の間に談笑すべし。以て社会の風浪の上に高歩すべし。
信仰個条なかるべからず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
嗚呼あゝ罪なり、然り、罪なり、然れども凡そ世間の罪にして斯の如く純聖なる罪ありや。死は罰なり、然り、罰なり、然れども世間の罰にして斯の如く甘美なる罰ありや。
嗚呼あゝ是れ健康なる思想の表彰として賀すべきの事なりや、そもそも亦喟然きぜんとして歎ずべきの事なりや。
凡神的唯心的傾向に就て (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
嗚呼あゝ墳墓、汝の冷々たる舌、汝の常に餓ゑたる口、何者をかまざらん、何物をか呑まざらん、而して墳墓よ、汝も亦た遂に空々漠々たり、水流滔々として洋海におもむけど
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
義経、弁慶、清正の絵像を見てあどけなき英雄崇拝の感情を燃せり。嗚呼あゝ是れ渠が生涯の方角を指定すべき羅針に非ずや、彼は童子たる時より既に空文を厭ひて事実を喜べり。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
嗚呼あゝ一国民も亦た無常の風を免れじ、達士世を観ずる時、よろしく先づ命運の帰するところをかんがむべし、若し我が国民にして、果して秋天霜満ちて樹葉、黄落の暁にありとせんか
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
またの霊妙なる厭世思想家なども、遂に処女の純潔を尊むに至らず、千載の孤客をして批評の筆硯に対して先づ血涙一滴たらしむ、嗚呼あゝ、処女の純潔に対して端然としてえりたゞしうする作家
嗚呼あゝ、東靡西靡して其日其日の風に任する楊柳的の人物は以て今日を支ふるに足ず、天徳を我になせり桓魋クワンタイ夫れ吾を如何と云ふが如き、智慧は智慧の子に義とせらるゝなりと云ふが如き、信任なく
嗚呼あゝ、人間の事いかに悲しむべきにあらずや。
復讐・戦争・自殺 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
彼等はきむ、嗚呼あゝ、彼等庶幾こひねがはくは活きんか。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)