“人気(にんき)” の例文
旧字:人氣
然う/\、津島(つしま)から乗り込んだのです。この辺は一帯に人気(にんき)の悪いところでしてね、旅の者と見ると随分酷いことをしたものです。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
知(し)っての通(とお)り、あたしゃどうやら人気(にんき)も出(で)て、世間様(せけんさま)からなんのかのと、いわれているけれど、心(こころ)はやっぱり十年前(ねんまえ)もおなじこと。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
戦(いくさ)があっても貧相でなく、新鋳(しんちゅう)の小判(こばん)がザラザラ町にあらわれ、はでで、厳粛(げんしゅく)で、陽気で、活動する人気(にんき)は秀吉の気質(きしつ)どおりだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつしか、西(にし)の都(みやこ)で、人気(にんき)を呼(よ)んでいる甲(こう)の耳(みみ)に、東(ひがし)の都(みやこ)で、やはり、たいへんな人気(にんき)を呼(よ)んでいる乙(おつ)の評判(ひょうばん)がはいりました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかの連中は、悪い落(おち)だと思ったらしい。中には、「へん、いやにおひゃらかしやがる。」なんて云った人もある。船着だから、人気(にんき)が荒いんだ。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
農「然(そ)うか、何(なん)とハア此の村でも段々人気(にんき)が悪くなって、人の心も変ったが、徳野郎あれはあのくれえ太(ふて)え奴はねえノ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼(かれ)はじつとしてゐられなかつた。失(うしな)はれようとする人気(にんき)を取返(とりか)へさうとして、彼(かれ)は更(さ)らに世界的(せかいてき)に自己(じこ)を宣伝(せんでん)して、圧倒的(あつたうてき)に名声(めいせい)を盛返(もりか)へさうと考(かんが)へた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
爾来(じらい)、この池を天魔ヶ池と呼ぶことになったらしいのは、天下到るところに人気(にんき)嘖々(さくさく)たる古今の英雄秀吉も、この地へ来ては、まさしく天魔に相違ない。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
里人(さとびと)からそんなにまで慕(した)ってもらいました私(わたくし)が、やがて病(やまい)の為(た)めに殪(たお)れましたものでございますから、その為(た)めに一層(そう)人気(にんき)が出(で)たとでも申(もう)しましょうか
人気(にんき)は荒かった。彼は押されているうちに斜面(しゃめん)を滑(すべ)って、避難の市民の頭のうえに墜(お)ちそうになった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私がそんな放語漫言したのを許す訳(わ)けはない、直(す)ぐ一刀の下に首が夫くなる筈(はず)だけれども、是(こ)れが所謂(いわゆる)幕末の形勢で、迚(とて)も本式に戦争などの出来る人気(にんき)でなかった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人気(にんき)が荒いので世界的に有名なロンドンの東端区(イースト・エンド)に、ハンベリイ街という町がある。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
人気(にんき)の荒い炭坑都市、筑前(ちくぜん)、直方(のうがた)の警察署内で起った奇妙な殺人事件の話……。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「だけど、たいがいなら、港なんどというところには出んがええよ。人気(にんき)が荒うて、若い娘はモミクチャにされるというけえ。……マンさん、もう、煙草葉(たばこば)のばすこと、やめんさい。帰ろうや」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ナポリ、ポンペイ等の記事も同様である。其(それ)等の郵便を予自身に郵便局へ赴(おもむ)いて差(さし)立てなかつたのが過失であつた。人気(にんき)の悪(わ)るいナポリの宿の下部(ギヤルソン)に托した為(た)めに故意に紛失(ふんじつ)されたのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
よって人気(にんき)直しに私(わたくし)に諸社を神体なしに再興せり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
「どうも人気(にんき)が穏やかでない。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「その通(とお)り。——お上(かみ)さん。太夫(たゆう)の人気(にんき)は大(たい)したもんでげすぜ。これからァ、何(な)んにも恐(こわ)いこたァねえ、日(ひ)の出(で)の勢(いきお)いでげさァ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
チョコレートを食(た)べたために、歯(は)がなくなってしまったしろくまの話(はなし)が新聞(しんぶん)に出(で)ると、いままでよりいっそうこの無邪気(むじゃき)なくまの人気(にんき)が募(つの)ったのであります。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょせん新田殿では人心の収攬(しゅうらん)もおぼつかない。武家の人気(にんき)は否(いな)みようなく尊氏へかたむいてもいる。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
修業者(しゅぎょうじゃ)でも御(ご)へんどさん/\と申して、主(あるじ)が足を洗ってくれるが、誠に人気(にんき)の穏(おだや)かな国で、それと云うのも弘法さまが何百年か昔にお戒め置きなすったからでしょうが
その時、中津の人気(にんき)は如何(どう)かと云(い)えば、学者は挙(こぞっ)て水戸の御隠居様(ごいんきょさま)、即(すなわ)ち烈公(れっこう)の事と、越前の春嶽(しゅんがく)様の話が多い。学者は水戸の老公(ろうこう)と云い、俗では水戸の御隠居様と云う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
英吉利(イギリス)の野菜、仏蘭西(フランス)の野菜、独逸(ドイツ)の野菜、伊太利(イタリイ)の野菜、露西亜(ロシア)の野菜、一番学生に人気(にんき)のあるのは露西亜の野菜学の講義だそうです。ぜひ一度大学を見にお出でなさい。
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし生活(くらし)の豊かな此辺は人気(にんき)が好いとみえて、耳門(くゞり)を推(お)すと直ぐ中へ入ることができた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
人気(にんき)の悪い直方に住んでいながら
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おせんが慕(した)う菊之丞(きくのじょう)は、江戸中(えどじゅう)の人気(にんき)を背負(せお)って立(た)った、役者(やくしゃ)の菊之丞(きくのじょう)ではなくて、かつての幼(おさな)なじみ、王子(おうじ)の吉(きち)ちゃんその人(ひと)だったのだから。——
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
これは武田家(たけだけ)の滅亡(めつぼう)をまのあたりに見ているので、その亜流(ありゅう)をきらった人気(にんき)のあらわれともみられる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉(ひできち)は、よくようすを聞(き)くと、そこへいけば、毎日(まいにち)のように、有名(ゆうめい)な音楽(おんがく)や、人気(にんき)のある大家(たいか)の歌(うた)が聞(き)けるので、ぜひ奉公(ほうこう)をして、そこで勉強(べんきょう)しようと、決心(けっしん)しました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼(かれ)は最初(さいしよ)に博(はく)し得(え)た人気(にんき)が、その頃(ころ)やゝ下火(したび)になりかけてゐるのに気(き)がついてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
軒下(のきした)に縄張(なはば)りがいたしてございます此(こ)の中(うち)に拝観人(はいくわんにん)は皆(みな)立(たつ)て拝(はい)しますので、京都(きやうと)は東京(とうきやう)と違(ちが)つて人気(にんき)は誠に穏(おだ)やかでございまして、巡査(じゆんさ)のいふ事を能(よ)く守り、中々(なか/\)縄(なは)の外へは出ません。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
所が武道一偏、攘夷の世の中であるから、張子の太刀(たち)とか兜(かぶと)とか云(い)うようなものを吊すようになって、全体の人気(にんき)がすっかり昔の武士風になって仕舞(しまっ)た。迚(とて)も是(こ)れでは寄付(よりつ)きようがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そして、素直(すなお)で特色(とくしょく)豊(ゆた)かな絵(え)は、多(おお)くの工員(こういん)たちの間(あいだ)に人気(にんき)を呼(よ)びました。なぜなら、疲(つか)れたものの精神(せいしん)にあこがれと朗(ほが)らかさをあたえることによって、彼(かれ)らを慰(なぐさ)めたからであります。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たいへんに、金(かね)をもうけることの上手(じょうず)な男(おとこ)がおりました。人(ひと)の気(き)のつかないうちに、安(やす)く買(か)っておいて、人気(にんき)がたつとそれを高(たか)く売(う)るというふうでありましたから、金(かね)がどんどんたまりました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)