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しも
ふりがな文庫
“
下
(
しも
)” の例文
あわただしく作られた軍用市は機能を喪失し、川に沿った
上
(
かみ
)
、
下
(
しも
)
の町は、機械的に一本の道路で貫かれているだけで、麻痺に陥った。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これだけは
蕪村
(
ぶそん
)
の大手腕も
畢
(
つひ
)
に追随出来なかつたらしい。
下
(
しも
)
に挙げるのは
几董
(
きとう
)
の編した蕪村句集に載つてゐる春雨の句の全部である。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「きみは杉山あたりのまねをしちゃなりませんぞ。
上
(
かみ
)
にまじわりてへつらわず
下
(
しも
)
にまじわりておごらず、男らしくやってもらいたい」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
長安には太清宮の
下
(
しも
)
に
許多
(
いくた
)
の楼観がある。道教に観があるのは、仏教に寺があるのと同じ事で、寺には
僧侶
(
そうりょ
)
が
居
(
お
)
り、観には道士が居る。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
爾来
上
(
かみ
)
は皇室を始め奉り、
下
(
しも
)
は一般庶民に至るまで、その祖神として天神・地祇を崇祭すること、あえてその間に区別を置かない。
「日本民族」とは何ぞや:日本民族の概念を論ず
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
▼ もっと見る
いかなる階級の人も、
上
(
かみ
)
はお
公卿
(
くげ
)
さまから、
下
(
しも
)
はいやしい民にいたるまで、天然痘の病原体は、なんの
容赦
(
ようしゃ
)
もなくおそいかかりました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
当人もあまり
甘
(
うま
)
くないと思ったものか、ある日その友人で美学とかをやっている人が来た時に
下
(
しも
)
のような話をしているのを聞いた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(重兵衛は太吉を横目に睨みながら、
自在
(
じざい
)
の
湯沸
(
ゆわか
)
しを取って
下
(
しも
)
のかたへ行き、棚から
土瓶
(
どびん
)
をおろして茶の支度をする。
梟
(
ふくろう
)
の声。)
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ゆっくりと町の通りを行くように、通りが、曲ればそのまま曲って行きや。」生絹は
下
(
しも
)
ノ者にそういいつけ、簾の間から町々を眺め
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「旧幕の頃には天領として
郡代
(
ぐんだい
)
が置かれたものでして、ついこの
下
(
しも
)
の土手に
梟首場
(
さらしくびば
)
の跡がございますが」と町長、椅子から伸び
上
(
あが
)
った。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
酉陽雑俎
(
いうやうざつそ
)
に、狐
髑髏
(
どくろ
)
を
戴
(
いたゞ
)
き
北斗
(
ほくと
)
を
拝
(
はい
)
し尾を
撃
(
うち
)
て火を出すといへり。かの国はともあれ我がまさしく見しはしからず、そは
下
(
しも
)
にいふべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
支那
(
しな
)
帝使を
西班牙
(
スペイン
)
帝使の
下
(
しも
)
に座せしめ、
吾
(
わが
)
児
(
こ
)
たり友たる
西帝
(
せいてい
)
の使を、賊たり無頼の徒たる支那帝の
使
(
し
)
の下に
坐
(
ざ
)
せしむる
勿
(
なか
)
れと
云
(
い
)
いしと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「わしは長年、竹山城の御城下宮本村から、
下
(
しも
)
ノ
庄
(
しょう
)
の辺りへは、よう
麻
(
あさ
)
の買い出しに行くが、近頃、さる所でふと、噂を聞いてな」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上
(
かみ
)
は総監から
下
(
しも
)
は巡査刑事に至るまで一人残らず旧式の拷問応用の見込捜索ばかりを、飽きもせずに繰り返していたものである。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、その時はもう怪我でもした様子で、滅茶滅茶に苦しんで、
下
(
しも
)
へ下へと流れて行きました、——水は真っ赤になったようでした
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
幇勢最も盛んな時は、
上
(
かみ
)
は役人より
下
(
しも
)
は游民に至るまで、あらゆる階級の人々を吸集し、清末頃からは女入幇者も沢山あるようになった。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もはや、西の
下
(
しも
)
の
関
(
せき
)
の方では、攘夷を意味するアメリカ商船の砲撃が長州藩によって開始されたとのうわさも伝わって来るようになった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大体福島県は紙漉の村が多いのでありまして、
岩代
(
いわしろ
)
の国では
伊達
(
だて
)
郡
山舟生
(
やまふにゅう
)
や
安達
(
あだち
)
郡の
上
(
かみ
)
および
下
(
しも
)
の川崎村や
耶麻
(
やま
)
郡
熱塩
(
あつしお
)
村の
日中
(
にっちゅう
)
。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
遥か川しもには
油堀
(
あぶらぼり
)
の口にかかった
下
(
しも
)
の
橋
(
はし
)
と、近く仙台堀にかかった
上
(
かみ
)
の
橋
(
はし
)
が見え、また上手には
万年橋
(
まんねんばし
)
が
小名木川
(
おなぎがわ
)
の川口にかかっている。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下
(
しも
)
の者は物をおおぎょうに言いふらすものであるからと思い、あまり人の寄って来ない陰のほうの座敷へ拾った人を寝させた。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
B
上
(
かみ
)
は精養軒の洋食から
下
(
しも
)
は一膳飯、牛飯、大道の焼鳥に至るさ。飯屋にだってうまい物は有るぜ。
先刻
(
さっき
)
来る時はとろろ飯を食って来た。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
御前様づきのお側女中との二人が一人の
下
(
しも
)
女中を雇っている世帯へ、食事は
御番
(
ごばん
)
——主人の食事係が賄うことにして、部屋だけ居候だった。
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さればこそ立法者、道徳者達は、常に徴税を以て暴政の表象となし、これを以て
上
(
かみ
)
王者を
諷
(
ふう
)
し
下
(
しも
)
官僚を戒めて来たものである。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
エニンは昔のエンガンニム、海抜約六百五十
呎
(
フイート
)
、人口二千
左右
(
さう
)
の
小邑
(
せういふ
)
、サマリヤの山尽き
下
(
しも
)
ガリラヤの平原起る所の
境
(
さかひ
)
にあり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ワーリャ (ヤーシャに)お前のおっ母さんが村から出て来て、きのうから
下
(
しも
)
の部屋で待ってるよ、ちょっと会いたいって……
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その歩き方は持ち前だが、これを
後
(
うし
)
ろから見るたびに、かの女のまだ本統に直らない
下
(
しも
)
の病を義雄は思ひ出さずにはゐられないのであつた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
例へば
上
(
かみ
)
十二文字または
下
(
しも
)
十二文字を得ていまだ
外
(
ほか
)
の五文字を得ざる時、色々に置きかへ見るべし。その置きかへるは即ち動くがためなり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
言われるままに小平太はふたたびなよなよと
下
(
しも
)
に坐った。おしおはその膝に取縋って、涙を持った眼に下からじっと男の顔を見上げながら
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
武助さんは、
棹
(
さを
)
をあやつりながら、流しめに良寛さんを見てゐた。良寛さんは、へさきに小さくかがまつて、川の
上
(
かみ
)
や
下
(
しも
)
の方を
眺
(
なが
)
めてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
夜中に、寝巻きの肩をふるわせて、奥と
下
(
しも
)
のあいだの廊下にしょんぼり立って泣いているところを、朋輩にみつかったりした。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
たとえば『倭名類聚鈔』には、「髭」「鬚」をそれぞれ「
上
(
かみ
)
つ
髭
(
ひげ
)
」「
下
(
しも
)
つ
鬚
(
ひげ
)
」などと訓んでいるが、こんなことはいわない。
辞書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その堤は毎日通う小学校の続きになるので、名高い大橋に対して小橋という、学校の傍の石橋の
下
(
しも
)
になって、細い
流
(
ながれ
)
が土手下を通っています。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
目のきれの長い、まつげの濃い、
下
(
しも
)
ぶくれの優しい顔が、かりそめに伝うる幽霊のように、脱落
骨立
(
こつりつ
)
などしているのでない。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その有徳の名声は、七年前から
下
(
しも
)
ブーロンネーにあまねく響いていたが、ついにはその狭い地方を越えて、二、三の近県までひろがっていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
普通だったら
下
(
しも
)
じもの女にでもその御文を届けさせようものを、あの方は役所で私の父に先ず真面目とも常談ともつかずに
仄
(
ほの
)
めかされて置いて
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
上
(
かみ
)
、亀山上皇は、御身を以て国難に代らんと、皇大神宮に祈請を凝らし給ひ、
下
(
しも
)
、鎌倉の将士は驀進して敵艦を襲つて、顧ることをしなかつた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
五条の大橋際から
下
(
しも
)
の方へ、鴨川の流れを背にした狭い、穢なくるしい一筋街で、丁度六条の宿への途すがらであつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
と是から急に手紙を書いて
下総
(
しもふさ
)
の
下
(
しも
)
矢切村へ出し、どうか伊之助さんの方へ
談
(
はなし
)
を附けてくれろと云うので、早速矢切の叔母さんが出て
往
(
ゆ
)
きました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは批評的な半ば科学的な方法で事件を論じようと試みたものだった。記者は
下
(
しも
)
にその主要部分を抄出してみたい。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
もっとも
下
(
しも
)
の方に一軒いい家があるにはあるが、それがその
肺病人
(
ぶらぶらやまい
)
がはいった家だで、お前様たちでは入れさせられないて、気を悪くすべと思ってな
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
子
(
し
)
に
如
(
し
)
かず』と、
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『
此
(
こ
)
れ
子
(
し
)
、
三
(
み
)
つの
者
(
もの
)
、
皆
(
みな
)
吾
(
わ
)
が
下
(
しも
)
に
出
(
い
)
でて、
位
(
くらゐ
)
、
吾
(
わ
)
が
上
(
かみ
)
に
加
(
くは
)
はるは、
何
(
なん
)
ぞや』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
北枝
(
ほくし
)
が「元日や畳の上に米だはら」という句を
詠
(
よ
)
んだ時、芭蕉は「さて/\感心
不斜
(
ななめならず
)
、神代のこともおもはるゝと云ける句の
下
(
しも
)
にたゝん事かたく候、 ...
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
下
(
しも
)
ぶくれのうりざね顔で目は大きすぎるほどぱっちりとして髪を二つに割って両耳のところで結び玉をこさえている。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
さればこれらの分配通信の機関は火の原を
燎
(
や
)
くがごとく、水の
下
(
しも
)
に就くがごとく、かの政治的の境界をば日に
侵掠
(
しんりゃく
)
して経済的の領地となさしめたり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
下
(
しも
)
は子孫の教育を厳にし、永遠なる幸福の基礎を定め、勤倹平和なる家庭と社会とを立て得るに至らん事を祈るなり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
その
軽紗
(
うすもの
)
を漉して射す日の光が、茶の葉をおもむろに柔かく育て、駿河・遠江にわたる
上
(
かみ
)
・
中
(
なか
)
・
下
(
しも
)
の川根のお茶をあんなにうまくさせてゐるのである。
お茶好き小話
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
上の方が小さく、下の方が大きければ、
下
(
しも
)
ぶくれの形になる。
凹
(
くぼ
)
んでいる部分は、彎曲率を
負
(
ふ
)
にとればよいのでその凹み方も、負の値の大小できまる。
茶碗の曲線:――茶道精進の或る友人に――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
尤
(
もっと
)
も
護謨
(
ごむ
)
同様に
紳縮
(
のびちゞ
)
みする
樹皮
(
きのかわ
)
なれば其穴は
自
(
おのずか
)
ら
塞
(
ふさ
)
がりて
唯
(
た
)
だ其傷だけ残れるを見るのみなれば更に
覆
(
くつが
)
えして
下
(
しも
)
の端を眺れば
茲
(
こゝ
)
には異様なる
切創
(
きりきず
)
あり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ずっと流れて、殆んど十町ばかり
下
(
しも
)
で、人に救われたのだが、右手に釣糸を握ったままで、その糸の先にはまだ、その大きな鯉が付いていたそうだ」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
爺さんが
渡仙
(
わたせん
)
(羽後の名立たる高利貸の渡辺仙蔵)の手代をしていた頃、大番頭の丸尾さんというのが大そう主人の気にいりで、
下
(
しも
)
の者にも受けがよい。
神楽坂
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“下”を含む語句
上下
下手
下婢
足下
目下
下女
下袴
地下
放下
直下
下流
下々
下男
垂下
閣下
樹下
天下
下僕
御下
見下
...