一方いつぽう)” の例文
(ロ)水源すいげん涵養かんよう。 森林しんりんはかように雨量うりよう調節ちようせつすることが出來できると同時どうじ一方いつぽうでは水源すいげんやしなひとなり、河水かすいれるのをふせぎます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
また貝殼かひがら一方いつぽうしかないといふことは、自然しぜんにたまつたものでなく、むかしひとつてからをすてたものであるといふほかはないのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
みなみまはすと、玄關げんくわんからの入口いりぐち半分はんぶんふさいで仕舞しまふし、ひがしすとくらくなる、とつて、のこ一方いつぽうてればとこかくすので、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一方いつぽう屋外おくがい避難ひなんせんとする場合ばあひおいては、まだきらないうち家屋かおく倒潰とうかいし、しか入口いりぐちおほきな横木よこぎ壓伏あつぷくせられる危險きけんともなふことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
くわいなるかな櫻木君さくらぎくん海底戰鬪艇かいていせんとうていつひ竣工しゆんこうしましたか。』と、暫時しばしげんもなく、東天とうてん一方いつぽうながめたが、たちま腕拱うでこまぬき
一方いつぽう勅使ちよくし宮中きゆうちゆう參上さんじようして、その一部始終いちぶしじゆうまをげて、かの手紙てがみくすりをさしげました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
日本につぽんうたにおいては、ながかたちのものがたりから、次第しだい變化へんかして、長歌ながうた(ながうた)といふものが出來でき一方いつぽうに、そのうちえきすとも、えっせんすともいつてよい片歌かたうたが、ふたあはさつて
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そして一方いつぽう
このほねつのいしよりもやはらかいのでありますけれども、また一方いつぽうにはいしよりもつよくてをれやすくないといふことがその特長とくちようであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
地震ぢしん出會であつた一瞬間いつしゆんかんこゝろ落着おちつきうしなつて狼狽ろうばいもすれば、いたづらにまど一方いつぽうのみにはしるものもある。平日へいじつ心得こゝろえりないひとにこれがおほい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すでたふ建立けんりつをはつたので、最早もはや歸途きとむか一方いつぽうである。往復わうふく五日いつか豫定よていが、その二日目ふつかめには首尾しゆびよく歸終きろくやうになつたのは、非常ひじやう幸運こううんである。
また一方いつぽうでは人口じんこう増加ぞうかにつれてこれまで食料しよくりようにしてゐたくさもだん/\りなくなり、それをおぎなふためにはたけをこしらへて、農作のうさくをする必要ひつようがおこるし、同時どうじにまた野獸やじゆう
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
が、一方いつぽうでは、まだにぎつてゐられると云ふ意識が大層うれしかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
慶州けいしゆうには周圍しゆういひくやまがあつて、一方いつぽうだけすこひらけてゐる地勢ちせいは、ちょうど内地ないち奈良ならて、まことに景色けしきのよいところであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
えず海岸かいがん一方いつぽう岬頭みさきひるがへつるが、さて熟々つら/\かんがへるに、大佐等たいさらこのしま上陸じやうりくしたそも/\の目的もくてきは、秘密ひみつなる海底戰鬪艇かいていせんとうてい製造せいぞうするがためで、てい竣成しゆんせいとも
一方いつぽうでは下敷したじきしたからたすけをふてわめき、他方たほうでは消防しようぼうきゆうぐるさけび、これにしてなき餘震よしん鳴動めいどう大地だいち動搖どうようとは、さいはひもつのがれたものにはくだしようもなかつたであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)