トップ
>
限
>
ぎ
ふりがな文庫
“
限
(
ぎ
)” の例文
のつそりハッと俯伏せしまゝ五体を
濤
(
なみ
)
と
動
(
ゆる
)
がして、十兵衞めが生命はさ、さ、さし出しまする、と云ひし
限
(
ぎ
)
り
喉
(
のど
)
塞
(
ふさ
)
がりて言語絶え
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
『
斯
(
か
)
うして君と是部屋に寝るのも、
最早
(
もう
)
今夜
限
(
ぎ
)
りだ。』と銀之助は思出したやうに嘆息した。『僕に取つては
是
(
これ
)
が最終の宿直だ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
悪戯
(
いたづら
)
も
好加減
(
いゝかげん
)
に
休
(
よ
)
すかな」と云ひながら立ち
上
(
あ
)
がつて、縁側へ
据付
(
すゑつけ
)
の、
籐
(
と
)
の安楽
椅子
(
いす
)
に腰を掛けた。夫れ
限
(
ぎ
)
りぽかんと何か考へ込んでゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
甚兵衛は今日
限
(
ぎ
)
りだと思った。今日を逸して泰平の世になったら、命を助けてもらったほどの恩を返す機会は、絶対に来ないことを知ったからである。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
而
(
しか
)
して三年この池の
畔
(
ほと
)
りに二人は安楽に暮した。しかるに一日夫は
狩猟
(
かり
)
に出かけた
限
(
ぎ
)
り家に帰えらなかった。
森の妖姫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
甲「さア何時までべん/\と棄置くのだ、二階へ
折助
(
おりすけ
)
が
昇
(
あが
)
った
限
(
ぎ
)
り下りて来んが、さ、これを何う致すのだ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いいえ、これ
限
(
ぎ
)
りです。申すだけ申します。世上の
喧
(
やかま
)
しい取沙汰を、妻なればこそ、聞いてはおられませぬ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
急所をひどく打ったと見えて、おまきさんは声も出さないで土間へ転げ落ちて、もうそれ
限
(
ぎ
)
りになってしまったようですから、わたくしは又びっくりしました。
半七捕物帳:12 猫騒動
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
維新
(
いしん
)
の
變
(
へん
)
に
彼
(
か
)
れは
靜岡
(
しづをか
)
のお
供
(
とも
)
、これは
東臺
(
とうだい
)
の
五月雨
(
さみだれ
)
にながす
血汐
(
ちしほ
)
の
赤
(
あか
)
き
心
(
こヽろ
)
を
首尾
(
しゆび
)
よく
顯
(
あら
)
はして
露
(
つゆ
)
とや
消
(
き
)
えし、
水
(
みづ
)
さかづきして
別
(
わか
)
れし
限
(
ぎ
)
りの
妻
(
つま
)
へ
形見
(
かたみ
)
が
此美人
(
このびじん
)
なり
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
みのるは其れ
限
(
ぎ
)
り何も云はずにゐた。默つてゐる男が今どんな夢の中にその心のすべてを
解
(
ほど
)
かしてゐるのだらうかと云ふ事を考へながら、みのるはいつまでも默つて歩いてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
此所へ落ちたらそれ
限
(
ぎ
)
りだ。藻や
菱
(
ひし
)
が手足に
搦
(
から
)
んで、どうにも斯うにも動きが取れなく成るんだぞ。へへ、鯉でさえ、
鮒
(
ふな
)
でさえ、大きく成ると藻に搦まれて、往生するという魔所だ。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『
何故
(
なぜ
)
さうなのでせう。玉川の方でも
乳
(
ちゝ
)
は一年
限
(
ぎ
)
りで
廃
(
よ
)
して居たのだつたのにね。』
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
山治左(『万葉集』)を一切斉墩樹のチサノキ(今名)、すなわちエゴノキ
限
(
ぎ
)
りの一種とした時、果してそれが上の二首の万葉歌とピッタリ合ってあえて不都合な事は無いかというと
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
お光さん、どうか悪く思わねえでね、これはこの場
限
(
ぎ
)
り水に流しておくんなよ
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
これ
限
(
ぎ
)
りの話だよ、
誰
(
たれ
)
にも
知
(
しら
)
してはなりませんよ。私が
未
(
ま
)
だ若い時分、お里の
父上
(
おとうさま
)
に
縁
(
えんづ
)
かない前に
或
(
ある
)
男に言い寄られて
執着
(
しゅうねく
)
追い
廻
(
まわ
)
されたのだよ。けれども私は
如何
(
どう
)
しても其男の心に従わなかったの。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
其日
限
(
ぎ
)
りに水が落ちて了うのを
毎
(
つね
)
に残念に思うのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
道も知らぬ、術も知らぬ、身柄家柄も無い、頼むは腕一本
限
(
ぎ
)
りの者に取っては、気に食わぬ奴は容赦無くたたき
斬
(
き
)
って、時節到来の時は、つんのめって海に入る。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
夫人と、美しい客間で二人
限
(
ぎ
)
り、何の邪魔もなしに、日曜の午後を愉快に語り暮すことが出来る。さうした楽しい予感で、信一郎の心は、はち切れさうに一杯だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彼の顔を抱いて、そういう武蔵の言には、どこか、名残もこれ
限
(
ぎ
)
りのような、切実なものがあった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新「どうも
怪
(
け
)
しからん鍼医だ、鍼を打ってその穴から水が出るなんという事は無い訳で、
堀抜井戸
(
ほりぬきいど
)
じゃア有るまいし、
痴呆
(
たわけ
)
た話だ、全体
何
(
ど
)
う云うものかあれ
限
(
ぎ
)
り来ませんナ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯亂暴一途に品川へも足は向くれど騷ぎは其座
限
(
ぎ
)
り、夜中に車を飛ばして
車町
(
くるまちやう
)
の
破落戸
(
ごろ
)
がもとをたゝき起し、それ酒かへ肴と、紙入れの底をはたき無理を徹すが道樂なりけり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それは
冤罪
(
えんざい
)
です、全く冤罪です。昨日も云う通り、僕は
唯
(
た
)
った一度
彼家
(
あすこ
)
へ行った
限
(
ぎ
)
りで、あの女と何等の関係も無いんです。
先方
(
むこう
)
では
何
(
ど
)
う思っているか知らんが、
此方
(
こっち
)
は
清浄
(
しょうじょう
)
潔白です。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
露西亞式發掘
(
ろしあしきはつくつ
)
は
併
(
しか
)
し
好
(
よ
)
い
事
(
こと
)
では
無
(
な
)
い。それ
限
(
ぎ
)
り余等は行はぬ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「あいつさ、あいつはあれ
限
(
ぎ
)
りもう来ねえのか?」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
とうとうそれ
限
(
ぎ
)
りで散会しました
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人と、美しい客間で二人
限
(
ぎ
)
り、何の邪魔もなしに、日曜の午後を愉快に語り暮すことが出来る。そうした楽しい予感で、信一郎の心は、はち切れそうに一杯だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
なぜあんな高価なものを持って歩く? すぐ、犯人が
捕
(
つか
)
まったからよいけれど、もし
宝石
(
いし
)
をバラバラにしてこかされたら、それ
限
(
ぎ
)
りじゃないか。金庫へでもしまッとけ。ばか!
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴方なら貰いたいと云って、江戸屋の半治さんという人を掛合にお
遣
(
や
)
んなすったら、もう
此方
(
こなた
)
へ御縁組になってお
引越
(
ひっこ
)
しになったと聞き、仕方がないと云ってそれ
限
(
ぎ
)
りになって
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯
(
たゞ
)
亂暴
(
らんぼう
)
一
途
(
づ
)
に
品川
(
しながは
)
へも
足
(
あし
)
は
向
(
む
)
くれど
騷
(
さわ
)
ぎは
其座
(
そのざ
)
限
(
ぎ
)
り、
夜中
(
よなか
)
に
車
(
くるま
)
を
飛
(
と
)
ばして
車町
(
くるまゝち
)
の
破落戸
(
ごろ
)
がもとをたゝき
起
(
おこ
)
し、それ
酒
(
さけ
)
かへ
肴
(
さかな
)
と、
紙入
(
かみい
)
れの
底
(
そこ
)
をはたきて
無理
(
むり
)
を
徹
(
とほ
)
すが
道樂
(
だうらく
)
なりけり
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其証は孔子の御子は伯魚一人
限
(
ぎ
)
りで、幵官氏の
出
(
しゅつ
)
ただ
一人
(
いちにん
)
、其他に伯魚の弟、妹というものは無かったのでござる、又孔子が継室を迎えられた、それは何氏であったということも
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「何故、あれ
限
(
ぎ
)
り来ないんだろう。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「それ
限
(
ぎ
)
りだ。
何故
(
なぜ
)
」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もう、
軍
(
いくさ
)
も今日
限
(
ぎ
)
りじゃ。城方は兵糧がない上に、山田
右衛門作
(
えもさく
)
と申す者が、有馬勢に内応の
矢文
(
やぶみ
)
を射た」という噂が人々の心を引き立たせた。功名も今日
限
(
ぎ
)
りじゃ。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
内儀
(
ないぎ
)
もまだ若いし、あんな小娘と二人
限
(
ぎ
)
りで、よくこんな山里に住んでいられるな」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
面倒なり
好
(
よき
)
に計らへと皺枯れたる御声にて云ひたまはんは知れてあれど、恐る/\圓道或時、思さるゝ
用途
(
みち
)
もやと伺ひしに、塔を建てよと唯一言云はれし
限
(
ぎ
)
り振り向きも為たまはず
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
奪られちゃア大変と争う
機
(
はず
)
みに
引裂
(
ひっさ
)
かれたから、屋敷へ帰ることも出来ず、貴方の跡を
尾
(
つ
)
けて
此方
(
こちら
)
へ入った
限
(
ぎ
)
り影も形も見えず、だん/\聞けば、あのお小姓のお
家
(
うち
)
だとの事ですから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
振向
(
ふりむ
)
ひて
見
(
み
)
てくれねば
此方
(
こちら
)
も
追
(
お
)
ひかけて
袖
(
そで
)
を
捉
(
と
)
らへるに
及
(
およ
)
ばず、
夫
(
それ
)
なら
廢
(
よ
)
せとて
夫
(
そ
)
れ
限
(
ぎ
)
りに
成
(
な
)
りまする、
相手
(
あいて
)
はいくらもあれども一
生
(
せう
)
を
頼
(
たの
)
む
人
(
ひと
)
が
無
(
な
)
いのでござんすとて
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
なげなる
風情
(
ふぜい
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「それ
限
(
ぎ
)
りかい」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、あれ
限
(
ぎ
)
りでございますよ。
縹緻
(
きりょう
)
が踏めるので、万一、旅籠代や立て替えが取れなくても、住み込ませる口はあると安心していたところ、先手を打たれてしまいましたわい」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人
限
(
ぎ
)
りで三千円ばかりの資本ではじめたというのですが、この頃なんぞ兄の方は金廻りがよくて、競馬などに行ってるという話……
食物
(
くいもの
)
商売は確かにうまく行きさえすればいいんですよ。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
若「でございますが、好い花魁になりますとお初会の処は大概お座敷
限
(
ぎ
)
りで」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と唯一言我知らず云ひ出したる
限
(
ぎ
)
り挨拶さへどぎまぎして急には二の句の出ざる中、煤けし紙に針の孔、油染みなんど多き行燈の小蔭に
悄然
(
しよんぼり
)
と坐り込める十兵衞を見かけて源太にずつと通られ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「あれ
限
(
ぎ
)
りです」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
喜「もう是れ
限
(
ぎ
)
り飲まねえから、よう
宜
(
い
)
いからもう一本
燗
(
つ
)
けなよ」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
限
常用漢字
小5
部首:⾩
9画
“限”を含む語句
分限者
際限
限界
日限
見限
是限
今日限
刻限
其限
夫限
二人限
極限
限度
分限
無限
根限
数限
俄分限
身代限
制限
...