金具かなぐ)” の例文
ぼうしとオーバーはやっとぬいで、暖炉だんろのまえのいすにおいてある。長ぐつは、のかこいの金具かなぐのうえにおいてあった。
金梨地きんなしじを見るような日光が、御縁、お窓のかたちなりに射しこんで、欄間らんま彫刻ほり金具かなぐあおい御紋ごもん、襖の引手に垂れ下がるむらさきの房、ゆら
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると、ふたについているばねじかけの金具かなぐが、ぱちんとしまって、もう中からはひらかぬようになってしまいました。
奇面城の秘密 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
奥の壁つきには六字名号みょうごうふくをかけ、御燈明おとうみょうの光ちら/\、真鍮しんちゅう金具かなぐがほのかに光って居る。みょうむねせまって来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それにつづいて、なんだか知らないが、かちゃかちゃと、金具かなぐのふれあう音がした。ときには、ぱっと火花が一瞬間、室内を明かるくすることがあった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
車を急に止めさせて降りた。軒の低い古家で、右の片隅に貧しい飾り棚を設け、硝子ガラスごしに様々なほりのある金具かなぐが並べてある。どれもほこりでぼんやりしている。
思い出す職人 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
林檎の木よ、發情期はつじやうきの壓迫で、身の内がほてつて重くなつた爛醉らんすゐなさけふさつぶじゆくした葡萄のゆるんだ帶の金具かなぐ、花を飾つた酒樽、葡萄色の蜂の飮水場みづのみば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ロバートは真っ蒼になってふるえていたが、やがて重い真鍮の金具かなぐをとって窓の丸いガラス戸をしめかけた。
柔肌やわはだに食い入るばかり、金金具かなぐで留めた天鵝絨びろうど腕守うでまもり、内証で神月の頭字かしらじ一字、神というのが彫ってある。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここの渓流けいりゅうでは砂金さきんがとれる、砂金をうってよろい小太刀こだち金具かなぐをつくる少女があり、そうかと思うと、かわをついで絹糸きぬいとで、武具ぶぐ草摺くさずりをよろっているうちも見える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
バスケットは、そこでほこりがかかり、だんだんふるいうえにもふるくなって、金具かなぐもさびてゆきました。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
青糸毛あおいとげだの、赤糸毛あかいとげだの、あるいはまた栴檀庇せんだんびさしだのの数寄すきを凝らした牛車ぎっしゃが、のっしりとあたりの人波を抑えて、屋形やかたに打った金銀の金具かなぐを折からうららかな春の日ざしに
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふゆひくうてしづんだ。舊暦きうれきくれちかつて婚姻こんいんおほおこなはれる季節きせつた。まち建具師たてぐし店先みせさきゑられた簟笥たんす長持ながもちから疎末そまつ金具かなぐひかるのをるやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おかあさんは、てつ金具かなぐのついた、カシワの木でできている、大きなおもたい長持を持っていたのですが、これはおかあさんのほかは、だれも開けてはいけないことになっていました。
海老錠えびぢやうのおりた本殿ほんでんの扉が向ふの方に見えて、薄暗い中から八寸ぐらゐの鏡が外面そとの光線を反射してゐた。扉の金具かなぐも黄色く光つて、其の前の八足やつあしには瓶子へいしが二つ靜かにつてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
剣のようにとがったいかめしく頑固がんこな馬具を着け、真鍮しんちゅう金具かなぐを光らせた幾頭かの馬が大きな荷馬車を引いて行く音、モン・トオロン行の乗合自動車の通う音、並木街を往復する電車の音
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
全体ぜんたい少しもくさらず、かたち今の船にことなるのみならず、金具かなぐを用うべき処みなくぢらひげを用ひて寸鉄すんでつをもほどこしたる処なし。木もまた何の木なるをべんずる者なく、おそらくは異国いこくの船ならんといへりとぞ。
金具かなぐのペタルに明るい冬の日を
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
それにはちっちゃなとめ金具かなぐ
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
時計の金具かなぐが、ぎしぎしきしむ。四少年は、たがいにきあって、ゆれがおさまるのを待とうとしたが、そのとき板の間がめりめりと音をたてて、ぐらりとかたむいた。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どうせ、あのたばこれのかざりや、帯止おびどめのぎん金具かなぐは、たいしたにもならないだろうが、もしあのさかずきが、いいさかずきであったなら、になるかもしれない。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
表積おもてづみは半分に称しているが、長さ十八けん、幅七間、二十四反帆たんぼ、二十四挺櫓ちょうろ、朱の欄干を立てめぐらし、金ちりばめの金具かなぐ屋形やかた結構けっこうさ、二十五万石の太守のお座船だけあって
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卯平うへい藁屑わらくづと一つに投出なげだしてある胴亂どうらんから五りん銅貨どうくわしてやるのがれいであるが、與吉よきち自分じぶんぜにさうとして胴亂どうらんおほきな金具かなぐ容易よういかないのでおこつてしてたり
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
便宜べんぎな材料でありますから、更に美しい形を与えたら、まだまだよい仕事に延びて行くでありましょう。次には馬具屋が現れます。ここの鞍骨くらぼね金具かなぐのよさではたしかに日本一でありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
全体ぜんたい少しもくさらず、かたち今の船にことなるのみならず、金具かなぐを用うべき処みなくぢらひげを用ひて寸鉄すんでつをもほどこしたる処なし。木もまた何の木なるをべんずる者なく、おそらくは異国いこくの船ならんといへりとぞ。
かしこまりて何某なにがしより、鳥籠とりかごたか七尺しちしやくなが二尺にしやくはゞ六尺ろくしやくつくりて、溜塗ためぬりになし、金具かなぐゑ、立派りつぱ仕上しあぐるやう作事奉行さくじぶぎやう申渡まをしわたせば、奉行ぶぎやう其旨そのむねうけたまはりて、早速さつそく城下じやうかより細工人さいくにん上手じやうずなるを召出めしいだし
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
細き金具かなぐ歌口うたぐち
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
長造が、新聞紙をバリバリあける手許てもとに、一座のひとみあつまった。二重三重ふたえみえの包み紙の下から、やっと引出されたのは、ゴムと金具かなぐとで出来たおめんのようなものだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
としちゃんも、そのそばへゆきました。かわいそうに、バスケットの金具かなぐがとれかかっています。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
金具かなぐがピカピカ光る複雑な測定器や、頑丈がんじょうな鉄のフレイムかこまれた電気機械などが押しならんでいて、四面の鼠色ねずみいろ壁体へきたいの上には、妖怪ようかいの行列をみるようなグロテスクきわまる大きい影が
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ロータリーのよくは、新造しなくてはならないので、ちょっと材料に困った。しかしそれも、木の板に、空缶あきかんのブリキ板を貼り、そのうえに、こわれた金具かなぐの中から、いいものをよって、取付けた。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)