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貴方
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あなた
ふりがな文庫
“
貴方
(
あなた
)” の例文
「まあ、宇佐美さん、断然久し振りねエ、何んという風の吹き廻しでしょう、近頃は
私
(
わたし
)
、
貴方
(
あなた
)
の禿げ振りを夢に見て仕様が無いのよ」
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ハツ/\
何
(
ど
)
うも
御親切
(
ごしんせつ
)
に
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、
何卒
(
どうか
)
貴方
(
あなた
)
お
宅
(
たく
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいまし。金「
帰
(
かへ
)
らんでも
宜
(
い
)
いからお
喫
(
あが
)
りな、
私
(
わつし
)
の見て
居
(
ゐ
)
る
前
(
めえ
)
で。 ...
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
何時
(
いつ
)
も
貴方
(
あなた
)
がお堅くしておられますから、すこしは、
浮
(
うき
)
うきなされるようにと、それで奥様からくだされたものでございましょう」
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
貴方
(
あなた
)
のお力になりましょう。そうですね、僕はさっそく明日の午前十時、白堊館へまいります。又そこでお眼にかかりましょう!」
幽霊屋敷の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
貴方
(
あなた
)
のように世間を広く渡っておられる方に、その
理由
(
わけ
)
というのを聞いて頂いたら、何か適当な御意見が聞かれはしまいかと思って
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
「あれ、
貴方
(
あなた
)
……お
手拭
(
てぬぐい
)
をと思いましたけれど、
唯今
(
ただいま
)
お湯へ入りました、私のだものですから。——それに濡れてはおりますし……」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いいえ違いますよ」
支配人
(
バー・テン
)
は烈しく首を振りながら、「君ちゃんは、もう
貴方
(
あなた
)
がたのほうで、落第になってるじゃアありませんか」
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「ダンスなンて知らないわ。
貴方
(
あなた
)
なさるの?」「少しはね」「そう、いい方があるンでしょう? それでお金がいるンじゃないの?」
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
禁止なされたのも、
貴方
(
あなた
)
の御発意と申すことで、実業界から
斯
(
か
)
かる愛国の手本が出ますると云ふのは、実に近来の快事で御座りまする
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
で、
貴方
(
あなた
)
は
好
(
よ
)
い
時代
(
じだい
)
が
來
(
こ
)
やうと
濟
(
すま
)
してもゐられるでせうが、いや、
私
(
わたくし
)
の
言
(
い
)
ふことは
卑
(
いやし
)
いかも
知
(
し
)
れません、
笑止
(
をか
)
しければお
笑
(
わら
)
ひ
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
助けられた恩からでございます……それにいたしましても
貴方
(
あなた
)
様に——未来の良人のあなた様に、そのようなことを疑われましては
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾
(
わたくし
)
が、
貴方
(
あなた
)
のために、どんなことをしたか、どんなことをするか、それをお試しになるために、直ぐ此の自動車でいらしつて下さい!
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
寧
(
いつ
)
そこりや
貴方
(
あなた
)
に御願ひ申して、手短く書いて頂きたいと思ひまして——どうして女の手紙といふものは斯う用が
達
(
もと
)
らないのでせう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
可愛相
(
かあいさう
)
にねえ
貴方
(
あなた
)
。
其
(
その
)
書面
(
しよめん
)
によると
亞尼
(
アンニー
)
は、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
沈沒
(
ちんぼつ
)
を
聞
(
き
)
いて、
私共
(
わたくしども
)
に
濟
(
す
)
まぬと
尼
(
あま
)
になつたのですよ。
其
(
その
)
事柄
(
ことがら
)
は
一塲
(
いちじやう
)
の
悲劇
(
トラジデー
)
です。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「いや六条さん。班長さんはじめ幹部の連中が、いま手が放せなくなったのですよ。
貴方
(
あなた
)
もついでに、見合せなすったらどうですかね」
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ちゃんとわかりますわ。
貴方
(
あなた
)
の眼で。それからあなたはまだおひとりですか? あまりだしぬけな問ですが、それとももう……」
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「
貴方
(
あなた
)
は、
何
(
な
)
んかてえと
家
(
うち
)
が淋しい淋しいツて
有仰
(
おつしや
)
いますけれども、そりや家に病身の人がゐりや、
自然
(
しぜん
)
陰氣
(
いんき
)
になりもしますわ。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
自分はもと洛中を騒がした鬼だが、余り
悪戯
(
いたづら
)
が過ぎるとあつて
貴方
(
あなた
)
の御先祖安倍晴明殿のために、この橋の下に
封
(
ふう
)
ぜられて
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
貴方
(
あなた
)
から借りて
置
(
お
)
かうと思ふんです」と云つて、改めて誠吾の
顔
(
かほ
)
を見た。
兄
(
あに
)
は矢っ張り普通の顔をしてゐた。さうして、平気に
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「よかないわ。
貴方
(
あなた
)
に
不機嫌
(
ふきげん
)
になられて、ダンスを見る気分も壊れてしまったわ。だからお誘いしたら素直に来て下さるものよ。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その前の年は観世の河原猿楽御覧、更には、これは
貴方
(
あなた
)
さまよく御存じの
公方
(
くぼう
)
さま春日社御参詣、また
文正
(
ぶんしょう
)
の初めには花の御幸。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
わたくしがこちらを持つ、
貴方
(
あなた
)
はそちらを握って、決して離してはいけませんよ。闇でもわたしは行けるから、恐れることはありません。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「じゃ、
貴方
(
あなた
)
がたが御覧になった石橋さんという方の、欠点とでもいったようなものは……一口にいったら、どんなところでしょうか?」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
三百円やそこらの
端金
(
はしたがね
)
で
貴方
(
あなた
)
の御名誉を
傷
(
きずつ
)
けて、後来御出世の
妨碍
(
さまたげ
)
にもなるやうな事を為るのは、私の方でも
決
(
け
)
して
可好
(
このまし
)
くはないのです。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又
※
(
はか
)
らずも
貴方
(
あなた
)
の御助けに預かりし事
實
(
まこと
)
に有難く存じ奉つる
此御恩
(
このごおん
)
は
生々
(
しやう/″\
)
世々
(
せゝ
)
忘却
(
ばうきやく
)
仕まつらず候と夫婦
諸共
(
もろとも
)
に涙を流して申しけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「なんですよ、あんまり
貴方
(
あなた
)
の評判がいゝもんですから、さういふ方ならぜひ一度
自宅
(
うち
)
でも診ていたゞきたいと思ひましてね」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
だしに使ったわけ。……だけど、
貴方
(
あなた
)
はべつですよ。貴方には、私がほかに用事があるから誘ったんです……。だから、怒らないで下さいね
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしたらある晩、学校から帰って来たX君をつかまえて、奥さんが「
貴方
(
あなた
)
この頃ずっと顔色が悪いようだが、どこか悪いのじゃありませんか」
百科事典美談
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「気狂いのくせにバタが欲しいなんて斯んな
僭越
(
せんえつ
)
な奴があるでしょうか、ねえ
貴方
(
あなた
)
……」ひどく
馴
(
な
)
れ馴れしく斯う言い乍ら
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
批評家ツてものは口が悪いの子、
貴方
(
あなた
)
の作を浅薄だの
軽浮
(
けいふ
)
だのと失敬だワ。
妾
(
わたし
)
は貴方の小説が一番好きよ、肩が張らなくツて
読心
(
よみごゝろ
)
が好いツと。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
貴方
(
あなた
)
はお気の毒ながらたいへん醜いおかたゆえ、私のところに
留
(
とど
)
まっていただこうとは思いませぬから、ほんとうのことを申しますが、実は
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
恋しいあなたが
唯
(
ただ
)
お一人のみゆえこんなにも悲しむのです、というので、この歌の「人」は
貴方
(
あなた
)
というぐらいの意味である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「どんな事と云って、そう一口には申せませんがな。——しかし、
貴方
(
あなた
)
がたは、そんな話をお聞きなすっても、格別面白くもございますまい。」
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
出版所の秘書が云いにくそうに「これでは、ひょっとすると、Lord すなわち
貴方
(
あなた
)
だと読者が思うかもしれませんが」
レーリー卿(Lord Rayleigh)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「まあ、
貴方
(
あなた
)
でしたか。ほんとによくいらつしやいました。
先刻
(
さつき
)
から皆さんがお待兼でいらつしやいますよ。」と招じた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
「
貴方
(
あなた
)
は、この
室
(
へや
)
にどうして調度が少ないのか、お訊きになりたいのでしょう」鎮子が最初発した言葉が、こうであった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「この際、しかしはありませんよ。これは意志の問題なんで、
貴方
(
あなた
)
の学んだパリのソルボンヌ大学では、どういう教育をしたか存じませんがね」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
余所目
(
よそめ
)
にも
羨
(
うらや
)
まるゝほど
親
(
したし
)
げに彼れが首に手を巻きて別れのキスを移しながら「
貴方
(
あなた
)
、大事をお
取
(
とり
)
なさい、
内
(
うち
)
には
私
(
わたく
)
しが気遣うて待て居ますから」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
貴方
(
あなた
)
に書き直しさせたと言って、この二、三日大自慢で、それだけ、私は、小さくなっていなければならず、まことに味気ないことになりました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
貴方
(
あなた
)
の心は近頃大変に若やいで来た。
其
(
それ
)
は
解
(
わか
)
つて居る。年寄つた自分に
飽
(
あき
)
が来て、あのアルマンに移つて
行
(
ゆ
)
くのでせう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「あら、
本当
(
ほんと
)
?
本当
(
ほんと
)
に買って来て下すったの? まあ、嬉しいこと! だから、
貴方
(
あなた
)
は
実
(
じつ
)
が有るッていうンだよ……」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そりゃあ
貴方
(
あなた
)
、わたくしだって、人を縛るばかりが能じゃあない。時にはこういう
立役
(
たちやく
)
にもなりますよ。はははははは
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『
貴方
(
あなた
)
は——』と言ふより早く、智惠子の手は突然男の肩に捉まつた。烈しい感動が、女の全身に溢れた。強く強く其顏を男の二の腕に
摩
(
こす
)
り附けて
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
貴方
(
あなた
)
も御存知のように、僕は世間知らずの一介の貧乏画家だし、言葉の使用法にあまり敏感なたちじゃありません。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
銅貨の中へ混ぜて、
貴方
(
あなた
)
がこれを私にくれて、顔を赤くしながら逃げるようにして走って行ったのを、今でも覚えていますよ。私はそれから、この指輪を
喫煙癖
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
頗
(
すこぶ
)
る
失望
(
しつばう
)
して
誰
(
だれ
)
かに
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
はうと
思
(
おも
)
つてた
矢先
(
やさき
)
でしたから
兎
(
うさぎ
)
が
傍
(
そば
)
へ
來
(
き
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひ、
低
(
ひく
)
い
怕々
(
おど/\
)
した
聲
(
こゑ
)
で、『
萬望
(
どうぞ
)
、
貴方
(
あなた
)
——』と
云
(
い
)
ひかけました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「わたくしはもう京をはなれることがございませんが、それでいいのでしょうか。わたくしの
貴方
(
あなた
)
にお聞き申したいことはただ一つそのことでございます。」
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
竹取翁 何を云っておられるのかな?……
儂
(
わし
)
にはどうも
貴方
(
あなた
)
のおっしゃることがよくのみ込めんのじゃが……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「別に何にも怪しい物音などは聞きませんでした。
貴方
(
あなた
)
も一度お起きになったようじゃァございませんか」
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
何うか、
貴方
(
あなた
)
が来たのを機会に、昔のやうには行かなくとも、本堂も修繕し、
庫裡
(
くり
)
ももう少し住み好いやうにし、寺としても余り人に馬鹿にされない寺にしたい。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
“貴方”の意味
《名詞:あなた》
「あなた」を参照。
《名詞:きほう》
相手を敬って相手のいる場所を指す語。
同等の相手を敬って言う二人称。あなた。
(出典:Wiktionary)
“貴方(
あなた
)”の解説
あなた(彼方、貴方、貴男、貴女)は、特定の人物を直接呼ぶ際に用いる日本語の人称名詞である。また、指示語の一つで、彼方(かなた、あなた、「遠くに在るもの」の意)にある様。此方(こなた、「近くに有るもの」の意)の対義語。
(出典:Wikipedia)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“貴方”で始まる語句
貴方様
貴方方
貴方等
貴方々
貴方樣
貴方所
貴方達
貴方々々