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誉
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ほまれ
ふりがな文庫
“
誉
(
ほまれ
)” の例文
旧字:
譽
血によって印刷された綱の跡——このような一見つまらないものを見
遁
(
の
)
がさなかったのは、さすがに名検事の
誉
(
ほまれ
)
高き村松氏であった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「彼是
人選
(
にんせん
)
の結果が、とうと御老人が指名せられる事になりました。何しろ一代の
誉
(
ほまれ
)
といふものです。一つ奮つて御揮毫が願ひたい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『ほう、今の悲鳴は、吉良どのか。
甲冑
(
かっちゅう
)
の血まみれは武士の
誉
(
ほまれ
)
とこそ思ったが、素袍の血まみれは珍らしい。——いや古今の
椿事
(
ちんじ
)
』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は前に
此
(
この
)
「
日本
(
にほん
)
の
誉
(
ほまれ
)
」を変な物だと報じて置いたが、其れは忠臣蔵の
飜案
(
ほんあん
)
だと思へばこそ僕等日本人に
其
(
その
)
支離滅裂な点が
目障
(
めざはり
)
になる物の
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
縦令
(
たとい
)
記録に残って彼等勇敢なる
武士
(
つわもの
)
と肩を竝べる
誉
(
ほまれ
)
があろうとも、私は夜行には絶対に自信は皆無である。思っただけで身の毛がよだつ——。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
某が買い求め候香木、
畏
(
かしこ
)
くも至尊の御賞美を
被
(
こうむ
)
り、御当家の
誉
(
ほまれ
)
と相成り候事、存じ寄らざる
儀
(
ぎ
)
と存じ、落涙候事に候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
子路の仕事は
孔家
(
こうけ
)
のために宰として
蒲
(
ほ
)
の地を治めることである。衛の孔家は、魯ならば季孫氏に当る名家で、当主孔叔圉はつとに名大夫の
誉
(
ほまれ
)
が高い。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
前
(
まへ
)
にもいへるごとくちゞみは
手間賃
(
てまちん
)
を
論
(
ろん
)
ぜざるものゆゑ、
誰
(
た
)
がおりたるちゞみは初市に
何程
(
なにほど
)
に
売
(
うり
)
たり、よほど手があがりたりなどいはるゝを
誉
(
ほまれ
)
とし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
蕪村をして名を文学に揚げ
誉
(
ほまれ
)
を百代に残さんとの些の野心あらしめば、彼の事業は
此
(
ここ
)
に止まらざりしや必せり。彼は恐らくは一俳人に満足せざりしならん。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これは
出藍
(
しゅつらん
)
の
誉
(
ほまれ
)
ある者が出来たので、即ち教育家その人よりも立派な者が作られたことの寓説である。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
頭脳
(
あたま
)
の中をこんな事にこしらへて、一軒ごとの格子に
烟草
(
たばこ
)
の無理どり鼻紙の無心、打ちつ打たれつこれを一
世
(
せ
)
の
誉
(
ほまれ
)
と心得れば、堅気の家の相続息子
地廻
(
じまわ
)
りと改名して
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ふと口を
噤
(
つぐ
)
んで見とれ、名花の
誉
(
ほまれ
)
は国中にかぐわしく、見ぬ人も見ぬ恋に沈むという有様であった。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
握る名と奪える
誉
(
ほまれ
)
とは、
小賢
(
こざ
)
かしき
蜂
(
はち
)
が甘く
醸
(
かも
)
すと見せて、針を
棄
(
す
)
て去る蜜のごときものであろう。いわゆる
楽
(
たのしみ
)
は物に
着
(
ちゃく
)
するより起るが
故
(
ゆえ
)
に、あらゆる苦しみを含む。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これはまた
大仰
(
おおぎょう
)
な。試合は真剣の争いにあらず、勝負は時の運なれば、勝ったりとて負けたりとて、
恥
(
はじ
)
でも
誉
(
ほまれ
)
でもござるまい、まして一家の破滅などとは
合点
(
がてん
)
なり
難
(
がた
)
き」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「私は御一緒に行きますよ。それからジムも行くことは私が請合います。ジムはきっとこの企ての
誉
(
ほまれ
)
たる者になるでしょう。ただ、私には気にかかる人が一人だけいます。」
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
お雪は相馬氏の
孤児
(
みなしご
)
で、父はかつて地方裁判所に、明決、快断の
誉
(
ほまれ
)
ある名士であったが、かつて死刑を宣告した罪囚の
女
(
むすめ
)
を、心着かず入れて
妾
(
しょう
)
として、それがために暗殺された。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
技術は名人の
誉
(
ほまれ
)
高く、如何なる名手といへどもこの人を
掏摸
(
ス
)
るあたはず、如何ほど要心を怠らなくともこの人にかかつては
掏摸
(
スラ
)
れてしまふといふ老練の巧者を据えるのが宜しからう。
総理大臣が貰つた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「よくやっている。名校長の
誉
(
ほまれ
)
が高い。君は知事になって来ても、
迚
(
とて
)
も切れないよ」
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
近い
例証
(
ためし
)
が十年前の支那の戦争で、村から取られた兵隊が一人死にましたが、ヤア村の
誉
(
ほまれ
)
になるなんて、鎮守の
杜
(
もり
)
に大きな石碑建てて、役人など多勢来て、大金使つて、大騒ぎして
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
一四六
さる
由縁
(
ゆゑ
)
有りて人の
得
(
え
)
させしを、兄の見
咎
(
とが
)
めてかくのたまふなり。父、何の
一四七
誉
(
ほまれ
)
ありてさる宝をば人のくれたるぞ。
一四八
更におぼつかなき事。只今
所縁
(
いはれ
)
かたり出でよと
罵
(
ののし
)
る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
大尉
(
たいゐ
)
が高き
誉
(
ほまれ
)
にはけおされてなど
口々
(
くち/″\
)
いふ、百
本
(
ぽん
)
杭
(
ぐひ
)
より
石原
(
いしはら
)
の
河岸
(
かし
)
、車の輪も
廻
(
まは
)
らぬほど
雑沓
(
こみあひ
)
たり、
大尉
(
たいゐ
)
は
予
(
よ
)
が
友
(
とも
)
露伴氏
(
ろはんし
)
の
実兄
(
じつけい
)
なり、また
此行中
(
このかうちう
)
に
我
(
わが
)
社員
(
しやゐん
)
あれば、
此勇
(
このいさ
)
ましき人の出を見ては
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「然り! 士道八則にも定むるところじゃ。斬るべしと知らば
怯
(
ひる
)
まずしてこれを斬り、斬るべからずと知らば忍んでこれを斬らず、即ち武道第一の
誉
(
ほまれ
)
なりとな。これもやはり御意に召さぬかな」
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
歌道は飛鳥井家の門人であって
出藍
(
しゅつらん
)
の
誉
(
ほまれ
)
高かったから、歌集の書写等を下命になったこともしばしばで、単に勅命のみならず、宮家、武家等からも依頼があった。歌集でないものにも筆を染めた。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
翁の歿後、師を喪った初心者で斎田氏の門下に馳せ参じた者も些少ではなかったが、斎田氏の八釜しさが
出藍
(
しゅつらん
)
の
誉
(
ほまれ
)
があったものと見えて、しまいには佐藤文次郎氏一人だけ居残るという惨況であった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
夙
(
つと
)
に知る可く、「
望
(
のぞみ
)
」こそそを
預言
(
かねごと
)
し、「
誉
(
ほまれ
)
」こそ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
両奉行の
誉
(
ほまれ
)
になったというお話でございます。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……恥もあらず
誉
(
ほまれ
)
もあらず
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
誉
(
ほまれ
)
よはやく
黄泉
(
よみ
)
の人
都喜姫
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
文武
(
ぶんぶ
)
の
誉
(
ほまれ
)
たぐいなく
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
綾を織る罪や
誉
(
ほまれ
)
や。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
オデオン座で新しく演じて居るパウル・アンテルムの新作劇「
日本
(
にほん
)
の
誉
(
ほまれ
)
」はその芸術的価値は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、目先が
異
(
かは
)
つて居るので
大入
(
おほいり
)
を続けて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
心もあの
貌
(
かおばせ
)
のように
厳
(
いつく
)
しく、われにあだし心おこさせたまわず、世のたのしみをば失いぬれど、幾百年の間いやしき血
一滴
(
ひとしずく
)
まぜしことなき家の
誉
(
ほまれ
)
はすくいぬ
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
岡部一郎は、この輝かしい成功の
誉
(
ほまれ
)
をしりぞけて、どこまでも
謙遜
(
けんそん
)
したのは、
床
(
ゆか
)
しきかぎりであった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かねて令徳の
誉
(
ほまれ
)
高いガーツルードどのが、一生わしの傍にいて、国の為、わしの力になってくれる事になりましたので、もはや王城の基礎も確固たり、デンマークも安泰と思います。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
我が国の
誉
(
ほまれ
)
として我々は親も捨て、はなはだしきは妻子を
殺
(
ころ
)
すまでして
出陣
(
しゅつじん
)
した例などを物語ると、今日の西洋人の耳には
野蛮
(
やばん
)
に聞こゆるそうだが、かくのごとき例は幾たび聞いても
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
他人の事と思はれず、
我身
(
わがみ
)
の
誉
(
ほまれ
)
と
打忘
(
うちわす
)
れられて
嬉
(
うれ
)
しく
独
(
ひとり
)
笑
(
ゑみ
)
する心の
中
(
うち
)
には、
此群集
(
このぐんしふ
)
の人々にイヤ御苦労さま
抔
(
など
)
と
一々
(
いち/\
)
挨拶
(
あいさつ
)
もしたかりし、これによりて
推想
(
おしおも
)
ふも
大尉
(
たいゐ
)
が
一族
(
いちぞく
)
近親
(
きんしん
)
の
方々
(
かた/″\
)
はいかに
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
娘は
幸福
(
しあわせ
)
ではないのですか。火も水も、火は虹となり、水は滝となって、彼の生命を飾ったのです。
抜身
(
ぬきみ
)
の槍の刑罰が馬の左右に、その
誉
(
ほまれ
)
を輝かすと
同一
(
おんなじ
)
に。——博士いかがですか、僧都。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世話になるということは
誉
(
ほまれ
)
のことではあるまい、いわんや一匹の男、女の世話になって旅をし病を養うというのは、誉ではあるまい、それを甘んじているおれの身も、またおかしなものかな。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二
陸奧
(
むつ
)
の国
三
蒲生氏郷
(
がまふうぢさと
)
の家に、
四
岡左内といふ
武士
(
もののふ
)
あり。
五
禄
(
ろく
)
おもく、
誉
(
ほまれ
)
たかく、
六
丈夫
(
ますらを
)
の名を
七
関の東に
震
(
ふる
)
ふ。此の
士
(
し
)
いと
八
偏固
(
かたは
)
なる事あり。富貴をねがふ心、
九
常の
武扁
(
ぶへん
)
にひとしからず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
『てまえに、お杯を下さるとか。身の
誉
(
ほまれ
)
、
戴
(
いただ
)
きまする』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
誉
(
ほまれ
)
」は
翼
(
つばさ
)
、
音高
(
おとだか
)
に
埋火
(
うづみび
)
の「
過去
(
かこ
)
」
煽
(
あふ
)
ぎぬれば
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
誉
(
ほまれ
)
のあだ討ちさ! お気に召したか!」
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
綾を織る罪や
誉
(
ほまれ
)
や。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
想ふに英国で書かれた「ムスメ」
此
(
この
)
国で既に演じて居る「バツタアフライ」と並んで当分欧洲の俗衆に歓迎せられる日本劇は
此
(
この
)
「日本の
誉
(
ほまれ
)
」であらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
心もあの
貌
(
かおばせ
)
のやうに
厳
(
いつく
)
しく、われにあだし心おこさせ玉はず、世のたのしみをば失ひぬれど、
幾百年
(
いくももとせ
)
の間いやしき血
一滴
(
ひとしずく
)
まぜしことなき家の
誉
(
ほまれ
)
はすくひぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
また男子の働きは外部に現るるを
誉
(
ほまれ
)
とするも、女子の働きは
内助
(
ないじょ
)
にある。しかしてこの
内助
(
ないじょ
)
はただに一家のうちの意味にとどまらずして、心のうちの助けの意味とも解すべきであると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それには一週間ばかり
以来
(
このかた
)
、郵便物が通ずると言うのを聞くさえ、
雁
(
かり
)
の
初
(
はつ
)
だよりで、
古
(
むかし
)
の名将、また英雄が、涙に、
誉
(
ほまれ
)
に、
屍
(
かばね
)
を
埋
(
うず
)
め、名を残した、あの、山また山、また山の山路を、
重
(
かさな
)
る峠を
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間並みの人の恥ずることがこの社会では
誉
(
ほまれ
)
なのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唯、すゑの
誉
(
ほまれ
)
の
酬
(
むくい
)
えむとせば
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
二代目津藤として
出藍
(
しゅつらん
)
の
誉
(
ほまれ
)
をいかがわしい境に馳せた香以散人はこの子之助である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
誉
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“誉”を含む語句
名誉
栄誉
誉田
毀誉褒貶
毀誉
道誉
不名誉
了誉上人
二代源氏誉身換
名誉心
名誉毀損
誉詞
道誉寺
美香弊乃誉路臂
視誉
褒貶毀誉
蓮生院薫誉智才信士
花菱院照誉東成信士
花上野誉碑
艦隊誉夜襲
...