いつの頃だか知らないが、或る日総理大臣官邸へ書留の手紙がとどいた。大変分厚だ。危険と書いた道路の建札と同じぐらゐ大きな書体で、親展と朱肉で捺してあるのである。けれども、なんにも役に立たない。 かういふ手紙を読むために一役ありついた役人がゐて …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「文学者 第一巻第一一号」文学者発行所、1939(昭和14)年11月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約17分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約28分(300文字/分) |