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著
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き
ふりがな文庫
“
著
(
き
)” の例文
父は家人の騒ぐのを制して、
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
きそれから羽織を
著
(
き
)
た。それから
弓張
(
ゆみはり
)
を
灯
(
とも
)
し、仏壇のまへに据わつて電報をひらいたさうである。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ポーチへ、青い
竪襟
(
たてえり
)
のついた灰色の上衣を
著
(
き
)
た従僕が出て来て、チチコフを玄関へ招じ入れたが、既にそこには主人が出迎えていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
だが、
何
(
ど
)
うしても
絶念
(
あきら
)
められなかつたと見えて、羽織の紋所には、捨てられた女五人の名前を書き込んで平気でそれを
著
(
き
)
てゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その翌日、老女は、途方に暮れながらも、どうかして彼女に着物を
著
(
き
)
せようとした。けれども、狂女は身を
踠
(
もが
)
いて泣きわめくばかりだった。
狂女
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
考えてみると
似非物
(
にせもの
)
は
真物
(
ほんもの
)
のザックバランに優ることはない。そこでいっそのこと、辮子を廃し、洋服を
著
(
き
)
て、大手を振って往来を歩いた。
頭髪の故事
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
▼ もっと見る
それは冬の
微曇
(
うすぐもり
)
のした日のことであった。S大尉が格納庫の中で機体の手入れをしていると、飛行服を
著
(
き
)
たS中尉が顔色をかえて飛んで来て
空中に消えた兵曹
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
当時
髻
(
もとどり
)
を麻糸で
結
(
ゆ
)
い、
地織木綿
(
じおりもめん
)
の衣服を
著
(
き
)
た弘前の人々の中へ、江戸
育
(
そだち
)
の五百らが
交
(
まじ
)
ったのだから、物珍らしく思われたのも
怪
(
あやし
)
むに足りない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
まづ安心したことには、あまり気早過ぎはしなかつたかと内心気にしてゐたのであつたが、車内の人の半分近くも袷せを
著
(
き
)
てゐたことであつた。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お絹は
著
(
き
)
ものを著かえる前に、棚から弁当を取りだして、昨夜から註文をしておいた、少しばかりの御馳走やおすしを、お箸で詰めかえていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たちまち一人
皮袴
(
かわばかま
)
を
著
(
き
)
乗馬し従者一人添い来って卜を請う、西に去って食を
覓
(
もと
)
めんか東に求めんかと問うたんで、宗
卦
(
け
)
を
作
(
な
)
し東に向えと告げた。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
庄三郎は
織色
(
おりいろ
)
の羽織を
著
(
き
)
まして、
二子
(
ふたこ
)
の茶の
黒
(
くろっ
)
ぽい
縞
(
しま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
に縞の前掛に、帯は八王子博多を締めて、商人然としている。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おのれきものぬぎかへて
賤
(
しず
)
が
著
(
き
)
るつづりおりに似たる衣をきかへたり、
此
(
この
)
時扇
一握
(
いちあく
)
を
半井保
(
なからいたもつ
)
にたまひて曙覧にたびてよと仰せたり、おのれいへらく
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
……其時、手で、今してる様にさわって見たら、驚いたことに、おれのからだは、
著
(
き
)
こんだ著物の下で、
腊
(
ほじし
)
のように、ぺしゃんこになって居た——。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
私の父は当時のハイカラであったらしく、いつか洋服を
一著
(
いっちゃく
)
作ってくれたことがあったが、そんなものを
著
(
き
)
て外を歩くことなどはとても出来なかった。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼等
(
かれら
)
は
皆
(
みな
)
、この
曇天
(
どんてん
)
に
押
(
お
)
しすくめられたかと
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
、
揃
(
そろ
)
つて
脊
(
せい
)
が
低
(
ひく
)
かつた。さうして
又
(
また
)
この
町
(
まち
)
はづれの
陰慘
(
いんさん
)
たる
風物
(
ふうぶつ
)
と
同
(
おな
)
じやうな
色
(
いろ
)
の
著物
(
きもの
)
を
著
(
き
)
てゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春になって花見に行ったとか、もしくは芝居を見に行ったとか、そうでなくっても何処かの人の集りに出て行ったので、
余所行
(
よそゆ
)
きの晴衣を
著
(
き
)
て行った。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
あのすっぺりとしたやや尖った頭に、何枚かの衣をぬくぬくと
著
(
き
)
て出る姿は、お杉がいなくともなお法師であった。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その内に三十七、八年戦役になって、兄は出征されましたので、あの袖無しを
著
(
き
)
てお祝の席に出ると楽しみにされたのも
徒
(
いたずら
)
になって、時が過ぎました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「私は一生御恩に
著
(
き
)
ます、——二つの意味で。」と彼のさっきの弁護依頼人が、相手の手を取りながら、言った。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
天台山にも異ならず。但し
有待
(
うたい
)
の
依身
(
いしん
)
なれば、
著
(
き
)
ざれば
風
(
かぜ
)
身
(
み
)
にしみ、
食
(
くは
)
ざれば
命
(
いのち
)
持
(
も
)
ちがたし。
燈
(
ともしび
)
に油をつがず、火に薪を加へざるが如し。命いかでかつぐべきやらん。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
またある時、天皇葛城山に登りいでます時に、
百官
(
つかさつかさ
)
の人ども、
悉
(
ことごと
)
に
紅
(
あか
)
き
紐
(
ひも
)
著けたる青摺の
衣
(
きぬ
)
を給はりて
著
(
き
)
たり。その時にその向ひの山の尾
四
より、山の上に登る人あり。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
毅堂は
笈
(
きゅう
)
を負うて江戸に出でてより二十年にして始めて
錦
(
にしき
)
を
著
(
き
)
て故郷に還ったのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「兄は私より身なりが悪いと気にするからなるべくいいのを
著
(
き
)
せてあげてください」
結婚
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
一行
悉
(
ことごと
)
く切棒駕籠に乗り、父は例の野袴をはいて、江戸から持って来た切棒に乗り、仲間等はカンバンを着て槍を立て草履を持ち、具足櫃もカンバンを
著
(
き
)
た者が担ぎ、合羽籠といって
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
洋服を
著
(
き
)
るということは、殊に勤めに出る身には洒落や見得ではなく全くの必要からであることは明白であるが、しかし、日本人で洋服を初めて著る人の誰がそれをちょっと洒落に又見得に
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
何の
情
(
じょう
)
を含みてか
吾
(
わが
)
与
(
あた
)
えし
櫛
(
くし
)
にジッと見とれ居る美しさ、アヽ
此処
(
ここ
)
なりと
幻像
(
まぼろし
)
を写して
再
(
また
)
一鑿
(
ひとのみ
)
、
漸
(
ようや
)
く二十日を越えて最初の意匠誤らず、花漬売の時の
襤褸
(
つづれ
)
をも
著
(
き
)
せねば子爵令嬢の錦をも着せず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おれに狼の名を
著
(
き
)
せぬよう承知してくれと、貝は拝むような眼附でそう言ったが、すては、ではあたしにも恥を掻かさないで
搉
(
いだ
)
いただけで帰ってくれ、貝どのの命にかかわることだからといった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
老蛙田簑
著
(
き
)
て鳴く梅雨の田を子の蛙らは泳ぎすらむか
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
想像するだけでも眠くなるやうだ! 今
著
(
き
)
てゐる
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
立枠
(
たてわく
)
模様の
水浅葱
(
みづあさぎ
)
、はでな
単衣
(
ひとへ
)
を
著
(
き
)
たれども
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を
腮
(
あご
)
にはさむや
著
(
き
)
そ
始
(
はじめ
)
汶村
(
ぶんそん
)
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
こんやから早速
著
(
き
)
てやろう。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
衣
(
きぬ
)
に
摺
(
す
)
りつけ
著
(
き
)
む日知らずも
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
苔の
衣
(
ころも
)
著
(
き
)
、
明
(
あか
)
き火を持ち
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
それは年のころ四十前後の、顎鬚をきれいに剃って、フロックコートを
著
(
き
)
た、見たところ非常に気楽な生活を送っているらしい男であった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
常に弊衣を
著
(
き
)
ていた竹逕が、その頃から
絹布
(
けんぷ
)
を
被
(
き
)
るようになった。しかし
幾
(
いくばく
)
もなく、当時の有力者山内
豊信
(
とよしげ
)
等の
斥
(
しりぞ
)
くる所となって官を
罷
(
や
)
めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
家の者が驚いて見ているとどこからともなしに越後
縮
(
ちぢみ
)
の浴衣と
洋傘
(
こうもりがさ
)
が飛んで来た。と、竹竿の一つはその浴衣を
著
(
き
)
、一つは洋傘をさして歩いた。
唖の妖女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
髪は文金の
高髷
(
たかまげ
)
にふさ/\と結いまして、少し
白粉
(
おしろい
)
も濃く
粧
(
つ
)
けまして、和平夫婦が三々九度の盃を手に取上げる折から、表の
方
(
かた
)
から半合羽を
著
(
き
)
て
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旅の若い
女性
(
にょしょう
)
は、
型摺
(
かたず
)
りの大様な美しい模様をおいた
著
(
き
)
る物を襲うて居る。笠は、浅い
縁
(
へり
)
に、深い
縹色
(
はなだいろ
)
の布が、うなじを隠すほどに、さがっていた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
取るものも取り敢えず、あわてて着物を
著
(
き
)
ると、私は云われた場所まで駈けて行ったのです。私は駈けました、力つきて倒れてしまうほど駈けました。
寡婦
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
これは維新前の
士
(
さむらい
)
の道中などを想像したもので、五月雨のため合羽を
著
(
き
)
て歩いていると、刀が定めて突張るであろうというところから出来た句である。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
而してその人を見れば目つぶらにして顔おそろしく服装は普通の書生の
著
(
き
)
たるよりも
遥
(
はる
)
かにきたなき者を著たり
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そんなら仮りに西洋の留学生としておこう。主人はいつも洋服を
著
(
き
)
て、ハードカラーはいつも雪のように真白。
幸福な家庭
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
惟うに茶人の
著
(
き
)
る十徳という物あるに因って、茶を植うれば他の作物に十倍増して利益ある由を、この書の出来た貞享五年頃、またはその前に世に言い
囃
(
はや
)
し
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いろいろ価の
廉
(
やす
)
い日用品、食料品を商ふ市で、主に労働階級の者を相手にしてゐるやうである。川魚を
天麩羅
(
てんぷら
)
にして売つてゐたり、
著
(
き
)
類の競売などは幾組もある。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それからまた台所の方にいたかと思うと、道太が間もなく何か取りかたがた襦袢を
著
(
き
)
に二階へあがったころには、お絹は床をあげて、彼の脱ぎ棄ての始末をしていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
赤い友禅の
袖
(
そで
)
の長いのを
著
(
き
)
ていましたが、誰かの黒っぽい羽織を上に引張って
手拭
(
てぬぐい
)
で
頬被
(
ほおかぶり
)
をし、遊び人とでもいうつもりでしょう、
拳固
(
げんこ
)
を
懐
(
ふところ
)
から
覗
(
のぞ
)
かせて歩くのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
児を結び付けたる
紐
(
ひも
)
は藤の
蔓
(
つる
)
にて、
著
(
き
)
たる衣類は世の常の
縞物
(
しまもの
)
なれど、裾のあたりはぼろぼろに破れたるを、いろいろの木の葉などを添へて
綴
(
つづ
)
りたり。足は地につくとも覚えず。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
するとその門の中には夏外套を
著
(
き
)
た男が一人、何か
滔々
(
とうとう
)
としゃべりながら、「お立ち合い」の人々へ小さい法律書を売りつけていた。僕はかれの雄弁に
辟易
(
へきえき
)
せずにはいられなかった。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あなた、寒かあなくつて? わたしもう袷せを
著
(
き
)
たつてをかしかあないわね?」
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
“著”の意味
《名詞》
(チョ)書物を書くこと。また、その書物。
(チョ)明らかなこと。
(出典:Wiktionary)
著
常用漢字
小6
部首:⾋
11画
“著”を含む語句
著名
執著
頓著
落著
顕著
無頓著
愛著
著書
撞著
著作
貪著
著物
著者
著述
瞞著
著手
逢著
巾著
新著聞集
下著
...