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窃
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そっ
ふりがな文庫
“
窃
(
そっ
)” の例文
旧字:
竊
はて、不思議だと思いながら、
抜足
(
ぬきあし
)
をして
窃
(
そっ
)
と
尾
(
つ
)
けて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。
熟
(
よく
)
視
(
み
)
ると、
其奴
(
そいつ
)
が赤児を抱えていたのだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
うのは全く
此方
(
こっち
)
が悪い。人の勉強するのを面白くないとは
怪
(
け
)
しからぬ事だけれども、何分
興
(
きょう
)
がないから
窃
(
そっ
)
と両三人に相談して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
とこれから
窃
(
そっ
)
と出掛けて上方者の
家
(
うち
)
の水口の戸を明けてとう/\盗んで来ました。人が取ったのを又盗み出すと云う太い奴でございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とむらむらとして、どうしたんですか、じりじり胸が煮え返るようで
極
(
き
)
めつけますと、
窃
(
そっ
)
と
跫音
(
あしおと
)
を忍んで、
光
(
みつ
)
やは、二階を下りましたっけ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
別荘作りの立派な家、そこまで行くと立ち止まり、ジロリ四辺を見まわしたね、それから木戸を
窃
(
そっ
)
と開けて、入り込んだものでございますよ。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
とぶっきらぼうの私も雪江さんだけには言いつけぬお世辞も
不覚
(
つい
)
出て、机の上の毛糸のランプ
敷
(
じき
)
へ
窃
(
そっ
)
とランプを載せると
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
拘泥
(
こうでい
)
のないはればれした快活さが、その女の眠っている間には必らず湧き上ってくる感情だった。かれは
窃
(
そっ
)
と腰掛を離れ渚の方へ向いて歩き出した。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼は
窃
(
そっ
)
とぬき足して母屋に帰った。
唄
(
うた
)
はまだつゞいて、(ウーイ、ウーイ)が Refrain の様に響いて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
いつも
眞赤
(
まっか
)
になってゐる……
其
(
その
)
姫
(
ひめ
)
の
脣
(
くちびる
)
から
永劫
(
えいがう
)
死
(
し
)
なぬ
天福
(
てんぷく
)
を
窃
(
そっ
)
と
盜
(
ぬす
)
むことも
出來
(
でく
)
る、ロミオにはそれが
能
(
かな
)
はぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
千代子は何の
考
(
かんがえ
)
もなく
心安立
(
こころやすだて
)
に呼びかけようとするのを、蝶子が心づいて、
窃
(
そっ
)
と千代子に注意をした。山室と歌唱いとは何も知らずそのまま横町を六区の方へ曲る。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お島が朝御飯を運んで来た時、乃公は
窃
(
そっ
)
と床を脱出して、戸の
後
(
うしろ
)
に
匿
(
かく
)
れていた。お母さんの黒い肩掛を頭から
被
(
かぶ
)
って、戸が開くか開かないに、乃公はお島の足に囓り付いた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
或る
楼
(
うち
)
へ遊びに行ったら、正太夫という人が度々遊びに来る、今晩も来ていますというゆえ、その正太夫という人を是非見せてくれと頼んで、
廊下鳶
(
ろうかとんび
)
をして障子の
隙
(
すき
)
から
窃
(
そっ
)
と
覗
(
のぞ
)
いて見たら
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
父親
(
おやじ
)
の影が見えたので、源は
窃
(
そっ
)
と表の方へ抜出しました。何処へ行くという
目的
(
めあて
)
もなく、ぶらりと出掛けて、やがて二三町も歩いてまいりますと、さ、足は不思議に前へ進まなくなりました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何でも
夜半
(
よなか
)
のことだと聞きましたが、裏の
鶏舎
(
とや
)
で
羽搏
(
はばたき
)
の音が烈しく聞えたので、彌作が
窃
(
そっ
)
と出て見ると、暗い中に例の𤢖が立っている。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かけるようなものだと種々に考えまして親父の寝付いた時分に
窃
(
そっ
)
と抜け出して
数寄屋河岸
(
すきやがし
)
の柳番屋の脇の処に立って居りました。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
沖田総司
(
おきたそうじ
)
は、枕元の刀を掴み、夜具を
刎退
(
はねの
)
け、
病
(
やまい
)
で衰弱しきっている体を立上らせ、縁へ出、雨戸を
窃
(
そっ
)
と開けて見た。
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私はもう
後
(
あと
)
は聴いていなかった。
誰
(
たれ
)
を
憚
(
はばか
)
る必要もないのに、
窃
(
そっ
)
と目立たぬように
後方
(
うしろ
)
へ
退
(
さが
)
って、
狐鼠々々
(
こそこそ
)
と奥へ
引込
(
ひっこ
)
んだ。ベタリと机の前へ坐った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
大阪あたりの娘らしいのが、「
良平
(
りょうへい
)
さんよ」と云う。お新さんがお糸さんと顔見合わせて
莞爾
(
にっこり
)
した。お新さんは
窃
(
そっ
)
と其内の椿の葉を記念の為にちぎった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
何故
(
なぜ
)
というに神社の境内に近く
佗住居
(
わびずまい
)
して読書に
倦
(
う
)
み苦作につかれた折
窃
(
そっ
)
と着のみ着のまま
羽織
(
はおり
)
も
引掛
(
ひっか
)
けず我が
家
(
や
)
の庭のように静な裏手から人なき境内に
歩入
(
あゆみい
)
って
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私はしばらくすると私自身の腹の中に
窃
(
そっ
)
と
聞耳
(
ききみみ
)
を立てるように、何かをさぐりながら聞こうとした。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
あんな事を云わんでも
宜
(
い
)
いのじゃと独り発明したようなものだが、
是
(
こ
)
れ
許
(
ばか
)
りは母にも云われず姉にも云われず、云えば
屹
(
きっ
)
と叱られるから、
一人
(
ひとり
)
で
窃
(
そっ
)
と黙って居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
乃公は余り苦しいから、
窃
(
そっ
)
と室を脱出して、客間へ入ったけれども、見つかると又叱られるから、窓掛の後に
匿
(
かく
)
れていたが、其中に大層身体が
疲
(
だ
)
るくなり、次いで
睡
(
ねむ
)
くなった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ヂュリエット
又
(
また
)
階上
(
かいぢゃう
)
に
現
(
あらは
)
れて、
窃
(
そっ
)
と
口笛
(
くちぶえ
)
を
鳴
(
な
)
らす。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
老功に笑って
退
(
の
)
け、
仰向
(
あおむ
)
いて障子を
窃
(
そっ
)
と。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なにをしてゐるのかと、わたしも
窃
(
そっ
)
と覗いてみると、四人は明るい月の下に突つ立つて、なにか相談でもしてゐるらしいんです。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
梅「確かりせえたって私は
窃
(
そっ
)
と裏から逃げようと思ってる処に、鉄砲の音を聞いて今度ばかりは本当に死んだような心持になりましたよ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
無論一体に
疵
(
きず
)
だらけで
処々
(
ところどころ
)
鉛筆の落書の
痕
(
あと
)
を
留
(
とど
)
めて、腰張の新聞紙の
剥
(
めく
)
れた蔭から隠した
大疵
(
おおきず
)
が
窃
(
そっ
)
と
面
(
かお
)
を出している。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
メレンスの
半襟
(
はんえり
)
一かけ、足袋の一足、
窃
(
そっ
)
と
他
(
ひと
)
の女中の
袂
(
たもと
)
にしのばせて、来年の
餌
(
えさ
)
にする家もある。其等の出代りも済んで、やれ一安心と息をつけば、最早彼岸だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蘿月
宗匠
(
そうしょう
)
はいくら年をとっても昔の
気質
(
かたぎ
)
は変らないので見て見ぬように
窃
(
そっ
)
と立止るが、大概はぞっとしない女房ばかりなので、
落胆
(
らくたん
)
したようにそのまま
歩調
(
あゆみ
)
を早める。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下駄を突っかけると飛石伝いに
窃
(
そっ
)
と
其方
(
そっち
)
へ小走って行った。
燈火
(
ともしび
)
の射さない暗い露路に小供が一人立っていたが、しかしそれは小供ではなく思った通りトン公であった。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
料理茶屋で
飲
(
のん
)
だ帰りに
猪口
(
ちょこ
)
だの小皿だの色々手ごろな品を
窃
(
そっ
)
と盗んで来るような万引である。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
乃公
(
おれ
)
は
窃
(
そっ
)
と校長の室へ行って見た。来ない筈だ。木乃伊はストーブの側で椅子に
凭
(
もた
)
れて、心持好さそうに
居睡
(
いねむり
)
をしている。
恁
(
こ
)
うなると校長も他愛ないものだ。乃公が
近傍
(
ちかく
)
へ行っても知らずにいる。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しながら、
窃
(
そっ
)
とその甕を探し出して籠に入れる。そうして、その上に洗濯の着物をかぶせて抱えて帰る。そうすれば誰も気がつきますまい。
自来也の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
孰
(
いず
)
れも大きに驚き、長二の身の上を案じ、大抵にしておけと云わぬばかりに、源八が
窃
(
そっ
)
と長二の袖を引くを、奉行は
疾
(
はや
)
くも認められまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手に持っていた竹の鞭で、
窃
(
そっ
)
と鼬に障わりながら、錆のある美音で唄い出した。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
留守の中に
窃
(
そっ
)
と猫の
児
(
こ
)
の
死骸
(
しがい
)
を押入の中に投込んで様子を見たが、これさえさほど恐怖の種にはならなかったらしいので、遂に清岡はわるくすると感付かれるかも知れぬと危ぶみながら
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けてから
窃
(
そっ
)
と見まはるのかも知れないと思つて、内へ這入つてその話をすると、かみさんも
成程
(
なるほど
)
さうかも知れないと云つてゐました。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三「新吉が居る様なれば寄らねえが、新吉が居なければ
一寸
(
ちょっと
)
逢って
行
(
ゆ
)
きたいから
窃
(
そっ
)
と
覗
(
のぞ
)
いて様子を見て、新吉が居ては
迚
(
とて
)
も顔出しは出来ぬ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
コツコツコツコツと部屋の襖を
窃
(
そっ
)
と指で打つ者がある。
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
怖いもの見たさに、お菊は眼を少しく明けて
窃
(
そっ
)
と窺うと、うす暗い
行燈
(
あんどう
)
の前に若い女の立姿が幻のように浮き出していた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼奴
(
あいつ
)
は今丁度
食
(
くら
)
い酔って寝て居やアがる
中
(
うち
)
に
窃
(
そっ
)
と持って来て中を
発
(
あば
)
いて
遣
(
や
)
ろうじゃアねえか、後で気が附いて騒いだってもと/\彼奴の物でねえから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
塩冶の奥方にお目通りして、かの歌を
窃
(
そっ
)
とまいらせましたら、手にとりあげて
御覧
(
ごろう
)
じて、しばしは顔をあかめておわす。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
一際
(
ひときわ
)
蕭然
(
ひっそり
)
とする。時に隣座敷は
武士体
(
さむらいてい
)
のお客、降込められて遅くなって藤屋へ着き、是から湯にでも入ろうとする処を、廊下では二人で
窃
(
そっ
)
と
覗
(
のぞ
)
いて居る。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窟の奥から
窃
(
そっ
)
と抜け出して、
先
(
ま
)
ず表の
有様
(
ありさま
)
を
偸
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
ると、夜は
既
(
も
)
う更けたらしい、山霧は雨となって細かに降っている。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云って
皆
(
みん
)
な出て仕舞ったが、中に一人九兵衞さんと云う人ばかりは出られませんから、
窃
(
そっ
)
と
柘榴口
(
ざくろぐち
)
を
潜
(
くゞ
)
って逃げようと思うと、水船の脇で
辷
(
すべ
)
って倒れました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
牢にいる間に、お熊は
窃
(
そっ
)
とお菊に約束して、もしお前が命を助かったらば、
妾
(
わたし
)
の形見として黄八丈の小袖を遣ろうと云った。しかしお菊も助からなかった。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
窃
(
そっ
)
と
尾
(
つ
)
いて
往
(
ゆ
)
くと、六軒目の長屋の前へ荷を
下
(
おろ
)
して、がちりっと
上総戸
(
かずさど
)
を明けて入るから、清次は心の内で、
此奴
(
こいつ
)
此処
(
こゝ
)
に住んでるのか、不思議な事もあるものだ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とは申しますものゝ
窃
(
そっ
)
と楼主の顔をみますれば、
何
(
なん
)
となく
穏
(
おだや
)
かでない、
幾度
(
いくたび
)
となく身請のことを口を酸ッぱくして諭しても、花里は
諾
(
うん
)
と申さないから
焦
(
じ
)
れているんで。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その途端に、隣に寝ていたお久が不意に
此方
(
こっち
)
へ向いて
輾転
(
ねがえり
)
を打った。お菊は
吃驚
(
びっくり
)
して見かえると、それを相図のようにお熊は
窃
(
そっ
)
と起った。どこかで
既
(
も
)
う一番鶏の歌う声が聞えた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
庭口から
窃
(
そっ
)
と忍び込んで、裏手に待っているから、四つの廻りの拍子木を聞いたら、構わず菊の
首玉
(
くびッたま
)
へかじり附け、己が
突然
(
だしぬけ
)
にがらりと障子を開けて、
不義者
(
ぶぎもの
)
見附けた
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窃
常用漢字
中学
部首:⽳
9画
“窃”を含む語句
窃盗
剽窃
窃々
窃取
心窃
窃視
窃笑
窃盜
窃窕
強窃盗
窃比我於老彭
露窃
窃眇
窃盗狂者
窃盗狂
窃盗事件
窃書
窃伺
尚窃
小窃偸
...