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渡場
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わたしば
ふりがな文庫
“
渡場
(
わたしば
)” の例文
小児心
(
こどもごころ
)
に取って返したのが
丁
(
ちょう
)
ど
幸
(
さいわい
)
と、橋から
渡場
(
わたしば
)
まで
行
(
ゆ
)
く間の、あの、
岩淵
(
いわぶち
)
の岩は、人を隔てる医王山の
一
(
いち
)
の
砦
(
とりで
)
と言っても
可
(
よ
)
い。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然し
渡場
(
わたしば
)
は
未
(
いま
)
だ
悉
(
こと/″\
)
く東京市中から其の跡を絶つた訳ではない。
両国橋
(
りやうごくばし
)
を
間
(
あひだ
)
にして其の
川上
(
かはかみ
)
に
富士見
(
ふじみ
)
の
渡
(
わたし
)
、その
川下
(
かはしも
)
に
安宅
(
あたけ
)
の
渡
(
わたし
)
が残つてゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と云われ、二人はワナ/\
慄
(
ふる
)
えて居りますと、此の時矢切の
渡場
(
わたしば
)
へ舟を
繋
(
つ
)
けて
上
(
あが
)
りましたのは荷足の仙太でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
渡場
(
わたしば
)
まで来ても犬は去りません。竜之助もまた追おうともしません。竜之助が船に乗ると、犬もそれについて船に乗ろうとして船頭どもの怒りに触れました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
聞
然
(
さ
)
すれば我父は
大坂
(
おほさか
)
生
(
うまれ
)
なれば鈴ヶ森にて
獄門
(
ごくもん
)
に掛られたる
事
(
こと
)
疑
(
うたが
)
ひなしと夫より六郷の
渡場
(
わたしば
)
を
越
(
こえ
)
故意
(
わざ
)
と
途中
(
とちう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
その翌三月十七日午前四時に一里ばかり降って行くとブラマプトラ川の岸に出ました。それからその南岸に沿うて二里半も行きますとチャクサムという
渡場
(
わたしば
)
に着いた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
お島が今の養家へ貰われて来たのは、
渡場
(
わたしば
)
でその時行逢った父親の知合の男の
口入
(
くちいれ
)
であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それから下ノ関の
渡場
(
わたしば
)
を渡て、
船場屋
(
せんばや
)
を
捜
(
さが
)
し出して、兼て用意の
贋
(
にせ
)
手紙を
持
(
もっ
)
て
行
(
いっ
)
た所が、
成程
(
なるほど
)
鉄屋
(
くろがねや
)
とは懇意な家と見える、手紙を一見して
早速
(
さっそく
)
泊めて
呉
(
く
)
れて、万事
能
(
よ
)
く世話をして呉れて
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
小さな暗い坂を越えて、私の村へ渡る
渡場
(
わたしば
)
へ出た時に友人が云いだした。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「これッ、だれかおらぬか、この
渡場
(
わたしば
)
のものはおらぬか!」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船頭
(
せんどう
)
さん、
渡場
(
わたしば
)
で
一番
(
いちばん
)
川幅
(
かははゞ
)
の
廣
(
ひろ
)
いのは
何處
(
どこ
)
だい。
先
(
ま
)
づ
此處
(
こゝ
)
だね。
何町位
(
なんちやうぐらゐ
)
あるねといふ。
唾
(
つば
)
乾
(
かわ
)
きて
齒
(
は
)
の
根
(
ね
)
も
合
(
あ
)
はず、
煙管
(
きせる
)
は
出
(
だ
)
したが
手
(
て
)
が
震
(
ふる
)
へる。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一しきり
渡場
(
わたしば
)
へ急ぐ人の
往来
(
ゆきゝ
)
も今では
殆
(
ほとん
)
ど絶え、橋の下に
夜泊
(
よどま
)
りする
荷船
(
にぶね
)
の
燈火
(
ともしび
)
が
慶養寺
(
けいやうじ
)
の高い
木立
(
こだち
)
を
倒
(
さかさ
)
に映した
山谷堀
(
さんやぼり
)
の水に美しく流れた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
恭「うゝん叔母さん嘘だよ、勇助さんはね、矢切の
渡場
(
わたしば
)
でね、この叔父さんが殺しちまったんだよ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二日ばかり捜しあるいた口が、どこにも見つからなかったのに
落胆
(
がっかり
)
した彼が、日の暮方に疲れて
渡場
(
わたしば
)
の方から帰って来たとき、家のなかは
其処
(
そこ
)
らじゅう水だらけになっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
葭
(
よし
)
がしげつて
渡場
(
わたしば
)
の邪魔になり」といふかの川柳においても想像せらるる如く、時には互に
反目
(
はんもく
)
嫉視
(
しっし
)
せるや知るべからず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
身體
(
からだ
)
を
搖
(
ゆす
)
り、
下駄
(
げた
)
にて
板敷
(
いたじき
)
を
踏鳴
(
ふみな
)
らす
音
(
おと
)
おどろ/\し。
其
(
その
)
まゝ
渡場
(
わたしば
)
を
志
(
こゝろざ
)
す、
石段
(
いしだん
)
の
中途
(
ちうと
)
にて
行逢
(
ゆきあ
)
ひしは、
日傘
(
ひがさ
)
さしたる、十二ばかりの
友禪縮緬
(
いうぜんちりめん
)
、
踊子
(
をどりこ
)
か。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と無暗に手を引いて
渡場
(
わたしば
)
へ参り、少しの手当を遣って渡しを越え、此処から
笹沢
(
さゝざわ
)
、のり
原
(
ばら
)
、いぼり
谷
(
たに
)
、
片掛
(
かたかけ
)
、
湯
(
ゆ
)
の
谷
(
たに
)
と六里半余の道でござりますが、これから先は
極
(
ごく
)
難所
(
なんじょ
)
で
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は
唯
(
ただ
)
両国橋の
有無
(
いうむ
)
に
係
(
かゝは
)
らず其の
上下
(
かみしも
)
に
今猶
(
いまなほ
)
渡場
(
わたしば
)
が残されてある如く隅田川其の他の川筋にいつまでも昔のまゝの
渡船
(
わたしぶね
)
のあらん事を
希
(
こひねが
)
ふのである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ふとその
渡場
(
わたしば
)
の手前で、
背後
(
うしろ
)
から始めて呼び留めた
親仁
(
おやじ
)
があります。
兄
(
にい
)
や、
兄
(
にい
)
やと太い調子。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
乙「へえナニ、申します/\、
私
(
わし
)
は下矢切村の
渡場
(
わたしば
)
の船頭で喜代松と云うもんでごぜえます」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
江戸時代に
遡
(
さかのぼ
)
つて
之
(
これ
)
を見れば元禄九年に
永代橋
(
えいたいばし
)
が
懸
(
かゝ
)
つて、
大渡
(
おほわた
)
しと呼ばれた
大川口
(
おほかはぐち
)
の
渡場
(
わたしば
)
は
江戸鹿子
(
えどかのこ
)
や
江戸爵抔
(
えどすゞめなど
)
の
古書
(
こしよ
)
にその跡を残すばかりとなつた。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
葉山森戸などへ三崎の方から帰ります、この辺のお百姓や、漁師たち、顔を知ったものが、途中から、
乗
(
のっ
)
けてくらっせえ、明いてる船じゃ、と
渡場
(
わたしば
)
でも船つきでもござりませぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三囲稲荷
(
みめぐりいなり
)
の鳥居が遠くからも望まれる土手の上から斜に水際に
下
(
おり
)
ると
竹屋
(
たけや
)
の渡しと呼ばれた
渡場
(
わたしば
)
の
桟橋
(
さんばし
)
が浮いていて、浅草の方へ行く人を
今戸
(
いまど
)
の
河岸
(
かわぎし
)
へ渡していた。
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
渡場
(
わたしば
)
からこちらは、一生私が忘れない
処
(
ところ
)
なんだね、で今度来る時も、
前
(
さき
)
の世の旅を二度する気で、松一本、橋一ツも心をつけて見たんだけれども、それらしい家もなく、柳の樹も分らない。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸時代に
溯
(
さかのぼ
)
ってこれを見れば元禄九年に
永代橋
(
えいたいばし
)
が
懸
(
かか
)
って、
大渡
(
おおわた
)
しと呼ばれた
大川口
(
おおかわぐち
)
の
渡場
(
わたしば
)
は『
江戸鹿子
(
えどかのこ
)
』や『
江戸爵
(
えどすずめ
)
』などの古書にその跡を残すばかりとなった。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
渡場
(
わたしば
)
に着くと、ちょうど
乗合
(
のりあい
)
が
揃
(
そろ
)
ッていたので、すぐに
乗込
(
のりこ
)
んだ。船頭は未だ
到
(
い
)
なかッたが、
所
(
ところ
)
の
壮者
(
わかいもの
)
だの、娘だの、
女房
(
かみさん
)
達が大勢で働いて、
乗合
(
のりあい
)
に
一箇
(
ひとつ
)
ずつ
折
(
おり
)
をくれたと思い給え。見ると
赤飯
(
こわめし
)
だ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
モーターボートの響を耳にしては、「橋台に菜の花さけり」といわれた
渡場
(
わたしば
)
を思い出す人はない。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
岩淵
(
いわぶち
)
の
渡場
(
わたしば
)
手前に、姉の
忰
(
せがれ
)
が、女房持で水呑百姓をいたしておりまして、しがない
身上
(
みのうえ
)
ではありまするけれど、気立の
可
(
い
)
い深切ものでございますから、私も
当
(
あて
)
にはしないで心頼りと思うております。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉は
先刻
(
さっき
)
から一人ぼんやりして、
或
(
ある
)
時は
今戸橋
(
いまどばし
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
凭
(
もた
)
れたり、或時は岸の石垣から
渡場
(
わたしば
)
の
桟橋
(
さんばし
)
へ下りて見たりして、夕日から黄昏、黄昏から夜になる河の景色を眺めていた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
先刻
(
さつき
)
から一人ぼんやりして、
或時
(
あるとき
)
は
今戸橋
(
いまどばし
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
凭
(
もた
)
れたり、
或時
(
あるとき
)
は岸の
石垣
(
いしがき
)
から
渡場
(
わたしば
)
の
桟橋
(
さんばし
)
へ
下
(
お
)
りて見たりして、
夕日
(
ゆふひ
)
から
黄昏
(
たそがれ
)
、
黄昏
(
たそがれ
)
から夜になる
河
(
かは
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あたり一面の光景は疲れた母親の眼には
余
(
あま
)
りに色彩が
強烈
(
きやうれつ
)
すぎる
程
(
ほど
)
であつた。お
豊
(
とよ
)
は
渡場
(
わたしば
)
の
方
(
はう
)
へ
下
(
お
)
りかけたけれど、急に
恐
(
おそ
)
るゝ
如
(
ごと
)
く
踵
(
くびす
)
を返して、
金龍山下
(
きんりゆうざんした
)
の
日蔭
(
ひかげ
)
になつた
瓦町
(
かはらまち
)
を急いだ。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あたり一面の光景は疲れた母親の眼には余りに色彩が強烈すぎるほどであった。お豊は
渡場
(
わたしば
)
の方へ
下
(
お
)
りかけたけれど、急に恐るる如く
踵
(
くびす
)
を返して、
金竜山下
(
きんりゅうざんした
)
の
日蔭
(
ひかげ
)
になった
瓦町
(
かわらまち
)
を急いだ。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
油紙で張った雨傘に
門
(
かど
)
の
時雨
(
しぐれ
)
のはらはらと降りかかる
響
(
ひびき
)
。夕月をかすめて
啼過
(
なきすぐ
)
る
雁
(
かり
)
の声。
短夜
(
みじかよ
)
の夢にふと聞く
時鳥
(
ほととぎす
)
の声。雨の夕方
渡場
(
わたしば
)
の船を呼ぶ人の声。
夜網
(
よあみ
)
を投込む水音。
荷船
(
にぶね
)
の
舵
(
かじ
)
の響。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
渡
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
場
常用漢字
小2
部首:⼟
12画
“渡場”で始まる語句
渡場守