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ふりがな文庫
“
業平
(
なりひら
)” の例文
天蓋
(
てんがい
)
の下をのぞくと、だんなが
業平
(
なりひら
)
、あっしが名古屋
山左衛門
(
さんざえもん
)
ていう美男子だからね。ときに、この尺八ゃどこへどう差すんですかい
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
業政は在五中将
業平
(
なりひら
)
の
裔
(
すえ
)
であり、智謀すぐれた人物で、七年このかた武田氏に攻められながら、好防善戦かたく守って
動
(
ゆる
)
がなかった。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたくしが
業平
(
なりひら
)
の方までまいりまして、その帰りに水戸様前からもう少しこっちへまいりますと、堤の上は薄暗くなって居りました。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いや、その間だけは恋の無常さえ忘れていると申してもよい。じゃによって予が眼からは
恋慕三昧
(
れんぼざんまい
)
に日を送った
業平
(
なりひら
)
こそ、
天晴
(
あっぱれ
)
知識じゃ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
業平
(
なりひら
)
橋を渡って数丁行くと、とある山側の
邸
(
やしき
)
の
塀
(
へい
)
から枝をさし出した一本の桜が、早くも見事な花を着けているのに心づいた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
業平
(
なりひら
)
という人は文芸に優秀なることは言うまでもないが、その人となりについてどれほど根底のたしかな人か知らんが、その
臨終
(
りんじゅう
)
になって
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
千兩の持參金で、
業平
(
なりひら
)
と言はれた男の嫁にはなつたが、男は二人も女を持つて居た。その一人などは、嫁が來て三月も經たないうちから、嫁を
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
業平
(
なりひら
)
や小町や物語の光君という人などが花やかな貴族生活をくりのべていたころでも、古都は明るいものではなかった。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「さあ、あっしゃあ、まだ、どんづまりまでは突きとめていねえんで——
業平
(
なりひら
)
ばしから先きのことは、親分や、作太が、
嗅
(
か
)
いでまわっているはずです」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
二人の前には六歌仙が、在原
業平
(
なりひら
)
、僧正遍昭、喜撰法師、大友黒主、文屋康秀、小野小町、こういう順序に置いてあったが信輔筆の名筆もズクズクに水に濡れている。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
や、百人一首で
稚
(
おさ
)
な
馴染
(
なじみ
)
の
業平
(
なりひら
)
の冠に著けた
鍋取
(
なべとり
)
によく似た物を黒革作りで高帽の一側に著けあり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
魚北 (後から振り返って、拳固で鼻を鳴らす)ちえッ、
業平
(
なりひら
)
様のお通りに気が付きゃがらねえ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
かの恋の英雄として有名な
業平
(
なりひら
)
のごときも二世の源氏(皇孫にして臣下の列に下った人)である。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
伊勢
(
いせ
)
物語を描いた絵もあって、妹に琴を教えていて、「うら若みねよげに見ゆる若草を人の結ばんことをしぞ思ふ」と
業平
(
なりひら
)
が言っている絵をどんなふうに御覧になるかと
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
虫蝕
(
むしくい
)
と、
雨染
(
あまじ
)
みと、
摺剥
(
すりむ
)
けたので分らぬが、上に、
業平
(
なりひら
)
と小町のようなのが
対向
(
さしむか
)
いで、前に
土器
(
かわらけ
)
を控えると、
万歳烏帽子
(
まんざいえぼし
)
が五人ばかり、ずらりと拝伏した処が描いてある。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
廃頽して行く筋道となつて開展される、王朝時代のデカダン詩人、
業平
(
なりひら
)
の東下りは、哀れにも華やかな序幕を明けた、さうしてそれから後に、多くの「東下り」なる悲劇が
天竜川
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
在原の
業平
(
なりひら
)
が東へ下ってきた時に、隅田川の
言問
(
こととい
)
の渡船場あたりで、嘴と脚の紅い水鳥を見て、いかにもみやびているところから『みやこ鳥』と呼んだという伝説があるが
みやこ鳥
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
此人の
乱行
(
らんぎやう
)
の一ツを
言
(
いは
)
ば、
叔父
(
をぢ
)
たる大納言
国経卿
(
くにつねきやう
)
は
年老
(
としおい
)
、
叔母
(
をば
)
たる北の方は年若く
業平
(
なりひら
)
の
孫女
(
まごむすめ
)
にて
絶世
(
ぜつせい
)
の
美人
(
びじん
)
なり。時平是に
恋々
(
れん/\
)
す、
夫人
(
ふじん
)
もまた
夫
(
をつと
)
の
老
(
おい
)
たるを
嫌
(
きら
)
ふの心あり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
俺の英語は本物じゃ。よう聞いとけ。ロイドちうのは色男の事ぞ。舶来の
業平
(
なりひら
)
さんの事ぞ。セルロイドと間違えるな。その日本の業平さんと、小野小町とこの村で結婚さっしゃる。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「見てみろ、また高楼に灯が入った。道益の一ノ姫は、今夜も
船澗
(
ふなま
)
をあけて、谷戸の
業平
(
なりひら
)
に夜舟を漕がせる気とみえる。これでもう
五
(
い
)
つ
夜
(
や
)
つづけうちだが、ようまァ精の出ることだ」
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
男の素袷に
兵児帯
(
へこおび
)
無雑作に巻いたも悪からず、昔男の
業平
(
なりひら
)
にはこうした姿も出来なかったろうが、かきつばたのひんなりなりとした様は、なおかつ江戸ッ児の素袷着たるにも類すべく
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
本所
業平
(
なりひら
)
の
陋巷
(
ろうこう
)
、なめくじばかりやたらにいる
茅屋
(
ぼうおく
)
にいて、その大きい大きいなめくじはなんと塩をかけると溶けるどころかピョイと首を振ってその塩を振り落としてしまうというのである。
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
向島ではこれらの風流人を迎えて
業平
(
なりひら
)
しじみとか、紫鯉とか、くわいとか、芋とか土地の名産を紹介して、いわゆる田舎料理麦飯を
以
(
も
)
って遇し、あるいは主として川魚を
御馳走
(
ごちそう
)
したのである。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
「
聚落
(
じゅらく
)
の
安芸
(
あき
)
の
毛利
(
もうり
)
殿の
亭
(
ちん
)
にて連歌の折、庭の紅梅につけて、梅の花
神代
(
かみよ
)
もきかぬ色香かな、と紹巴法橋がいたされたのを人〻褒め申す」と答えたのにつけて、神代もきかぬとの
業平
(
なりひら
)
の歌は
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
業平
(
なりひら
)
の歌ではないが、「わが身ひとつはもとの身にして」と、心の中でつぶやきながら、家の中を歩いてみると、むかし寝室であったところの板敷の
床
(
ゆか
)
をとりはずして、土を積んで塚をこしらえ
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
井手
(
ゐで
)
の
蛙
(
かはづ
)
の干したのも珍らしくないからと、行平殿のござつた時、モウシ若様、
妾
(
わたし
)
の
従来
(
これまで
)
見た事の無いのは
業平
(
なりひら
)
朝臣
(
あそん
)
の歌枕、
松風
(
まつかぜ
)
村雨
(
むらさめ
)
の
汐汲桶
(
しほくみをけ
)
、ヘマムシ入道の
袈裟法衣
(
けさころも
)
、
小豆
(
あづき
)
大納言の
小倉
(
をぐら
)
の色紙
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
曳きて通る男に聞けば
女夫松
(
めをとまつ
)
とて名高きものなりといふ丘の上に
便々館湖鯉鮒
(
べん/\くわんこりふ
)
の狂詠を彫りし碑あり
業平
(
なりひら
)
も
如何
(
どう
)
したとかいふヘボ歌ゆゑ記臆をすべり落ぬ
辷
(
すべ
)
る赤土に下駄を腰の臺としてしばらく景色を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
娘に書かせたる事論なしとここの内儀が人の悪き目にて
睨
(
にら
)
みぬ、手跡によりて人の顔つきを思ひやるは、名を聞いて人の善悪を判断するやうなもの、当代の能書に
業平
(
なりひら
)
さまならぬもおはしますぞかし
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そしてとつぜん、伊勢物語の
業平
(
なりひら
)
の歌を、朗々と吟じ出した。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
越
(
こえ
)
たるが
子
(
こ
)
といふ者は長三郎とて今茲十九になる男子一
個
(
にん
)
然
(
さる
)
に此長三郎は
生
(
うま
)
れ附ての美男にて女の如き者なれば
誰
(
たれ
)
言
(
いふ
)
ともなく本町
業平
(
なりひら
)
又
(
また
)
小西屋の
俳優息子
(
やくしやむすこ
)
と評判殊に
高
(
たか
)
かるより夫婦は
何卒
(
なにとぞ
)
能
(
よき
)
嫁
(
よめ
)
取
(
とつ
)
て
樂隱居
(
らくいんきよ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「さあ、これからが
宇津
(
うつ
)
の
谷
(
や
)
峠。
業平
(
なりひら
)
の、
駿河
(
するが
)
なるうつの山辺のうつゝにも夢にも人にあはぬなりけり、あの昔の宇都の山ですね。登りは少し骨が折れましょう。持ちものはこっちへお出しなさい。持っててあげますから」
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
業平
(
なりひら
)
橋を越えたところで下して呉れ」
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この里に
業平
(
なりひら
)
来ればここも歌
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
本所
業平
(
なりひら
)
のほうのめし屋でひょいと出会ったんでさ、辰あにいはあっしより二十日ばかりまえ、御放免になっていたんです。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「浅草から
手繰
(
たぐ
)
って、本所の
業平
(
なりひら
)
に木賃宿を巣にして居る事は直ぐ判ったんだが、どうした事か、三日も帰って来ない」
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
牛若にこしらえた者は四谷伝馬町で糸屋
業平
(
なりひら
)
といわれている大通りの若主人が
扮
(
ふん
)
していたものでしたから、将軍家はそれほどでもありませんでしたが
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
業平
(
なりひら
)
の
朝臣
(
あそん
)
、
実方
(
さねかた
)
の朝臣、——皆大同小異ではないか? ああ云う都人もおれのように、
東
(
あずま
)
や
陸奥
(
みちのく
)
へ
下
(
くだ
)
った事は、思いのほか楽しい旅だったかも知れぬ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二、三人たずねたのですが、あいにくどいつも留守で手間取りました。だが、すっかり判りました。浅井の妾の親許は小梅の植木屋の長五郎、
家
(
うち
)
は
業平
(
なりひら
)
橋の少し先だそうです
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は耳に異状がありしとするも、
口
(
くち
)
なり
鼻
(
はな
)
なり
業平
(
なりひら
)
をしのぐほどの形をしていたかも知れぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
此人の
乱行
(
らんぎやう
)
の一ツを
言
(
いは
)
ば、
叔父
(
をぢ
)
たる大納言
国経卿
(
くにつねきやう
)
は
年老
(
としおい
)
、
叔母
(
をば
)
たる北の方は年若く
業平
(
なりひら
)
の
孫女
(
まごむすめ
)
にて
絶世
(
ぜつせい
)
の
美人
(
びじん
)
なり。時平是に
恋々
(
れん/\
)
す、
夫人
(
ふじん
)
もまた
夫
(
をつと
)
の
老
(
おい
)
たるを
嫌
(
きら
)
ふの心あり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
村田というのがその姓で、聞き香、茶の湯、鞠、揷花、風流の道に詳しい上に、当代無類の美男であったので「色の村田の中将や」と
業平
(
なりひら
)
中将に例えられて
流行唄
(
はやりうた
)
にさえ唄われた男。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
箇程
(
かほど
)
までに迷わせたるお辰め、
汝
(
おのれ
)
も浮世の潮に漂う
浮萍
(
うきくさ
)
のような
定
(
さだめ
)
なき女と知らで天上の
菩薩
(
ぼさつ
)
と誤り、
勿体
(
もったい
)
なき
光輪
(
ごこう
)
まで
付
(
つけ
)
たる事口惜し、
何処
(
いずこ
)
の
業平
(
なりひら
)
なり
癩病
(
なりんぼ
)
なり、勝手に縁組、勝手に
楽
(
たのし
)
め。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ウム、いかにも俺、
小
(
ち
)
っこくて江戸前だから、
業平
(
なりひら
)
蜆ってところだろう。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
余り降り方が
物凄
(
ものすご
)
いのと、自警団の青年などが水の警戒に
駈
(
か
)
け歩いているので、廻り道をして蘆屋川の堤防の上へ出、水量の増した川の様子を見て戻って来て、
業平
(
なりひら
)
橋の辺は大変でございます
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
娘
(
むすめ
)
に
書
(
か
)
かせたる
事
(
こと
)
論
(
ろん
)
なしとこゝの
内儀
(
ないぎ
)
が
人
(
ひと
)
の
惡
(
わる
)
き
目
(
め
)
にて
睨
(
にら
)
みぬ、
手跡
(
しゆせき
)
によりて
人
(
ひと
)
の
顏
(
かほ
)
つきを
思
(
おも
)
ひやるは、
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いて
人
(
ひと
)
の
善惡
(
ぜんあく
)
を
判斷
(
はんだん
)
するやうなもの、
當代
(
たうだい
)
の
能書
(
のうしよ
)
に
業平
(
なりひら
)
さまならぬもおはしますぞかし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
自分では
業平
(
なりひら
)
なんだから
耐
(
たま
)
らない。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一玄は口の中でそっと、その歌を繰り返してから、
在五
(
ざいご
)
中将でございますな、と云った。甲斐は、さよう、
業平
(
なりひら
)
だと
頷
(
うなず
)
いた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今
業平
(
なりひら
)
と言われた、二十九の美男の殿様が、烏帽子岳の中腹で、羽を焼かれたツグミのように、綺麗に裸に剥かれたのは、想像を絶する奇観でした。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
つまり旅人は
業平
(
なりひら
)
以来の隅田川の渡りの水にも、犬の土左衛門の流れ得る事実をちよつと思ひ出させ過ぎたのである。これは勿論旅人になつた能役者の罪でも何でもない。
金春会の「隅田川」
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
近ごろのだんなの色男ぶりときちゃ
業平
(
なりひら
)
もはだしの人気なんだから、ひょっとするとなんですぜ、だんなに首ったけというどこかの箱入り娘が、ご番所の名まえをかたって、だんなを
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“業平”の解説
業平(なりひら)は、東京都墨田区の地名。現行行政地名は業平一丁目から業平五丁目。住居表示実施済み区域。
(出典:Wikipedia)
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
“業平”で始まる語句
業平橋
業平朝臣
業平竹
業平侯爵
業平文治
業平塚
業平岩
業平忌
業平村
業平男