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柄
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がら
ふりがな文庫
“
柄
(
がら
)” の例文
この
競売
(
オークション
)
を一層効果的にするために、時局
柄
(
がら
)
、光栄ある石井長六閣下の愛嬢を、近親として手元にひきつけておく必要があったのだ。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
細い
釘店
(
くぎだな
)
の往来は場所
柄
(
がら
)
だけに
門並
(
かどな
)
みきれいに掃除されて、打ち水をした上を、気のきいた
風体
(
ふうてい
)
の男女が忙しそうに
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
していた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
木綿の紺絣のほかに、上布があって
生麻
(
きあさ
)
の上等のを用い、
柄
(
がら
)
の細かいよい品を
手機
(
てばた
)
にかけました。決して粗末な仕事ではありません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
一座の空気が次第に濃厚になると、一番調子づくのは芦名兵三郎で、この男の
柄
(
がら
)
は、不思議なほど
浮滑
(
うわすべ
)
りな空気にピタリとはまります。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ええ、毎日注文があります。しかし
雁
(
がん
)
の方が、もっと売れます。雁の方がずっと
柄
(
がら
)
がいいし、第一手数がありませんからな。そら。」
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
大兵の男の
朱胴
(
しゅどう
)
はまだ新しく燃え立つばかりに見えるのが、竹刀は中段にとって、気合は
柄
(
がら
)
に相応してなかなか
凄
(
すさ
)
まじいものです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今このこけ猿の壺を眼の前にして、じっと見つめていると、その作ゆきといい、
柄
(
がら
)
といい、いかさま天下にまたとあるまじき名品。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
後にその松木が
寺島宗則
(
てらしまむねのり
)
となって、
参議
(
さんぎ
)
とか
外務卿
(
がいむきょう
)
とか
云
(
い
)
う実際の国事に当たのは、実は本人の
柄
(
がら
)
に
於
(
おい
)
て商売
違
(
ちが
)
いであったと思います。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もう追ッつけ来る時分だ……手はずをきめておかなくっちゃいけねえ、
蜘蛛太
(
くもた
)
、てめえは
柄
(
がら
)
が小さいから人目につかなくっていい。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いろいろな事を見たり聞たりするにつけて日本の将来と云う問題がしきりに頭の中に起る。
柄
(
がら
)
にないといってひやかしたまうな。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
机の前のメリンスの坐布団の牡丹の
柄
(
がら
)
は、彼女が一緒に見立てたものだった。その色褪せた花模様を、彼女は夢み心地に見やるのである。
夢の図
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私の衣類の
柄
(
がら
)
の見立てなども父がしたようであったし、
肩揚
(
かたあ
)
げや
腰揚
(
こしあ
)
げのことまでも父が自分で
指図
(
さしず
)
して母に
針
(
はり
)
を採らせたようであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
『これはまた、向うの村で受けたのとは、まるで違った挨拶ですね。一体、あなたはどうしてこんなに
柄
(
がら
)
の悪い所に住んでいるんです?』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
愉快に感じると同時に自分も知らず知らずその
趨勢
(
すうせい
)
に刺激されて、つい
柄
(
がら
)
にない方面にまで空想の翼を延ばしたくなったようなわけである。
日本楽器の名称
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「ええ、あんまり——何です。
皆
(
みんな
)
あんまり、よく出来ないようだって云っています。」と、
柄
(
がら
)
にもなくはにかんだ返事をした。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
矢野はふたりを
誘
(
さそ
)
うて自分の室にもどった。元来こういうことをやるは矢野の
柄
(
がら
)
でないのだ。矢野にしては今夜はよほど調子はずれである。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
炭坑の爆発はその後もかなり
頻繁
(
ひんぱん
)
にあって、時局
柄
(
がら
)
重大な問題なので、私もその人と一緒に少し手をつけて見たことがあった。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「参ちゃんか」と彼はまた云った、「おちついたらやって来るよ、親方なんてえ
柄
(
がら
)
じゃあねえ、これからもずっとそう呼んでもらいたいな」
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あの
慾張婆
(
よくばりばばあ
)
め、これも
廃
(
すた
)
れた
柄
(
がら
)
だ、あれも
老人
(
としより
)
じみてるといっちゃ、かねの生きてるうちから、ぽつぽつ運んでいたものさ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呼出し
吟味
(
ぎんみ
)
有けれども事
柄
(
がら
)
確
(
しか
)
と分らず小松屋よりは安五郎
多分
(
たぶん
)
脇
(
わき
)
へ賣たで有んとの訴へなり又儀左衞門の女房も訴へ出しに付
無量庵柴屋寺
(
むりやうあんしばやでら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そうかと
思
(
おも
)
うと、いま
西京
(
さいきょう
)
では、こういう
着物
(
きもの
)
の
柄
(
がら
)
がはやるとか、
東京
(
とうきょう
)
の
人
(
ひと
)
は、こういう
品
(
しな
)
を
好
(
この
)
むとか、そういうような
話
(
はなし
)
も
知
(
し
)
っていました。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「少し違うぜ、春のが、山姫のおつかわしめだと、向うへ出たのは山の神の
落子
(
おとしご
)
らしいよ、
柄
(
がら
)
ゆきが——
最
(
もっと
)
も今度の方はお前には
縁
(
えん
)
がある。」
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これもまた、やむを得ない。ただ、あの、
自惚
(
うぬぼ
)
れだけは警戒しなさい。お前は、ポローニヤスの子だ。父と同様に、女に
惚
(
ほ
)
れられる
柄
(
がら
)
でない。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「せつかくですが、僕にはもう、金儲けという仕事に情熱も自信ももてないんです。このへんで自分の
柄
(
がら
)
に合つた仕事をみつけるつもりです」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
柄
(
がら
)
にもない
華奢
(
きゃしゃ
)
な
洋杖
(
ステッキ
)
蝙蝠傘などを買って来たのがそもそもの過りであった、私は苦笑して、その柄と
尖
(
さき
)
とを両手に持った。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
僕の所の婆やなんかも、僕が
柄
(
がら
)
にもなく朝起きをして、一日も休まず自動車学校へ通学するのを見て、たまげているよ。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
利かして、寝酒の一杯も、差し入れてくれそうなものだと思っていたのだよ——
柄
(
がら
)
こそ
不意気
(
ぶいき
)
だが、どこかこう
乙
(
おつ
)
なところのあるお人なんだから——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
大原「僕も豚ではないと思った、実に美味くって頬が落ちる。これは全く
御令妹
(
ごれいまい
)
のお手料理だからこんなにおいしいのだね」と
柄
(
がら
)
になきお世辞を言う。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
へッへへ、ね、おい三的! 何を
柄
(
がら
)
にもなく恥ずかしがっているんだ。気を鎮めて下さるんだとよ。お酒でね、おめえの気を鎮めて下さるというんだよ。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一体私は衣服反物に対して、単に色合が好いとか
柄
(
がら
)
が
粋
(
いき
)
だとかいう以外に、もっと深く鋭い愛着心を持って居た。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこへホームスパンの
柄
(
がら
)
の見本をしらべに行った由。そしたら「ありゃ心臓のつよさだけでやっているんですな」
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうだお前が笑い出すと、俺だってちょっと気味悪くなるよ。笑うって
柄
(
がら
)
じゃアないからな。
柄
(
がら
)
でないやつを出されると、一時は
吃驚
(
びっくり
)
して身に沁みるよ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さう
答
(
こた
)
へて
玄関
(
げんくわん
)
にあがると、
機嫌
(
きげん
)
のいい
時
(
とき
)
にするいつもの
癖
(
くせ
)
で、青木さんは小
柄
(
がら
)
な
奧
(
おく
)
さんの
體
(
からだ
)
を
軽
(
かる
)
く
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せながら、そのくちびるに
短
(
みじか
)
い
接
(
せつ
)
ぷんを
與
(
あた
)
へた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
日本探偵小説の
嚆矢
(
こうし
)
とは此無惨を云うなり無惨とは面白し如何なること
柄
(
がら
)
を書しものを無惨と云うか是れは此れ当時都新聞の主筆者涙香小史君が得意の怪筆を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
文壇の風潮たとへば客観的小説を芸術の
上乗
(
じょうじょう
)
なるものとなせばとて
強
(
し
)
ひてこれに
迎合
(
げいごう
)
する必要はなし。作者
輙
(
すなわ
)
ちおのれの
柄
(
がら
)
になきものを書かんとするなかれ。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
大杉は直情径行でスパイの勤まる
柄
(
がら
)
ではない。もしその
一本気
(
いっぽんぎ
)
な
肝癪
(
かんしゃく
)
や
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な
傲岸
(
ごうがん
)
が世間や同志を欺くの仮面であるなら、それは芝居が余り巧み過ぎる。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それでけりだ……なんだっておれは
義侠
(
ぎきょう
)
ぶって、余計な口出しをしたのだろう! おれなどが人を助ける
柄
(
がら
)
かい? おれに助ける権利があるのか? なあに
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
読み返してみたが、やはり
駄目
(
だめ
)
だ。第一、文章も
平生
(
へいぜい
)
と違い、言うことも珍妙不可解で、およそ其許の
柄
(
がら
)
でも、また余の柄でもないと思われることばかりだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
猿廻
(
さるまわ
)
しに来た。此は呂昇の
柄
(
がら
)
にも無いし、連れ弾もまずいし、
大隈
(
おおすみ
)
を聞いた耳には、無論物足らぬ。と思いつゝ、十数年前の
歌舞伎座
(
かぶきざ
)
が不図眼の前に浮んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
清浦氏はその呼吸を見て帰つては、こつそり手習ひをした。そして
漸
(
やつ
)
と自分の
柄
(
がら
)
に
鰭
(
ひれ
)
をつける事を覚えた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そういう時には、「栗橋のにそう言って出してもらってやろうか」などと
柄
(
がら
)
にもない口を清三はきいた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
翻訳の
稽古
(
けいこ
)
でもしていたら、今ごろはこうしたことにもならずにすんだものを、創作なぞと
柄
(
がら
)
にもないことを空想して
与太
(
よた
)
をやってきたのが間違いだったかしれん。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
その下役の参謀などに
却
(
かえ
)
って人物がいても、時代は識見と相応せずに人柄と取引するような場合が多いので、
柄
(
がら
)
が時代に合わないと、どうにもならないものである。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
柄
(
がら
)
に無い
聞書
(
きゝがき
)
をするが、
椰子
(
やし
)
が成長して実を結ぶまでには七八年を要し、
他
(
た
)
の𤍠帯植物と同じく常に開花し常に結実するので、一
樹
(
じゆ
)
が一年に平均八十個の実を産し
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私は考へるのです。小屋や劇團の
柄
(
がら
)
から言つても、第一流のものが必ずしも好きにはなれません。
砂がき
(旧字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
谷間の淡靄は、その光りに飽和して、大
柄
(
がら
)
の段だら縞に、山谷を染め分ける。真向うの
空清水
(
からしみず
)
の直線的な深い山峡には、残雪が今しもめざめて、蒼白い上わ眼を見はる。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
しかし着物の
柄
(
がら
)
や、
四肢
(
しし
)
の発達ぶりから考えますと、まず二十五歳前後というところでしょうナ
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ロンドンのちまたに
喧嘩
(
けんか
)
があると、職務
柄
(
がら
)
の礼状を発することなく、みずからその
渦中
(
かちゅう
)
に飛びこみ、「サアここにヒュースが来た、ヒュースの
拳骨
(
げんこつ
)
を知らぬか」と
名乗
(
なの
)
り
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
お前に似ている男だからといって特別に好意を持たなければならん訳があるのかい? 人に好意を持つなんてことはお前の
柄
(
がら
)
じゃない。それはお前も承知しているはずだ。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
この上、お坊ちゃまに
御厄介
(
ごやっかい
)
をお掛け申すのは、この衛門、とても忍びのうございますでな。それに、お坊ちゃま。(
柄
(
がら
)
になく恥しそうに笑う)へ、へ、へ、へ、へ、………
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
“柄”の意味
《名詞》
(え)道具の握りの部分。
(がら)模様。
(出典:Wiktionary)
柄
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柄”を含む語句
話柄
小柄
間柄
折柄
長柄
稼業柄
把柄
柄杓
手柄
人柄
足柄
大柄
談柄
肥柄杓
葉柄
刀柄
白柄
笑柄
青貝柄
横柄
...