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斧
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おの
ふりがな文庫
“
斧
(
おの
)” の例文
音楽の波が下がって行く時に戦もゆるむように思われた。
投
(
な
)
げ
槍
(
やり
)
や
斧
(
おの
)
をふるう勇士が、皆音楽に拍子を合わせているように思われた。
春寒
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「先週わがアリョーナ・イヴァーノヴナを
斧
(
おの
)
でやっつけたのは、本当に何か未来のナポレオンとでもいったような者じゃないかな?」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
またその骨や、その関節は、僕自身の
拳
(
こぶし
)
のように生けるがごとくに見える。……さらにまた、鏡のうちにうつる戦闘用の
斧
(
おの
)
を見ろ。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
一寸二寸と
掘
(
ほっ
)
て行った。すると、存外浅い所に手ごたえがあった。とり出して見ると、それは見覚えのある。自分の
家
(
うち
)
の
斧
(
おの
)
だった。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
弓を持つもの
鉾
(
ほこ
)
を持つもの、
斧
(
おの
)
を持つもの、棒を持つものが一人ずつある。また同時に吉祥天女が天女二十人をひきいて現われる。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
「——といって、その這い松から下の崖は、まるで、
斧
(
おの
)
で削ったような一枚岩、こんな所じゃ、猿でも降りて行くことは出来めえ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土人の若者等が四組に分れて畑仕事と
道拓
(
みちひら
)
きに従っている。
斧
(
おの
)
の音。煙の匂。ヘンリ・シメレの監督で、仕事は大いに
捗
(
はかど
)
っているようだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
冬には
斧
(
おの
)
でそのパンをうちわって、食べられるようにするため二十四時間水中に浸すのです。——兄弟たちよ、
憐憫
(
れんびん
)
の情をお持ちなさい。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そういう集団の両刃の
斧
(
おの
)
は、社会主義的国家の生命なき抽象観念を打ち
拉
(
ひし
)
ぐとともに、また、生産力なき個人主義、精力を細分する観念
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「さあ、これからいよいよ日本帝国を亡ぼし、東洋全土をわがS国植民地とするその最初の
斧
(
おの
)
をふりおろすのだ。ああ、愉快!」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一人の日本兵が、
斧
(
おの
)
で誰れかに殺された。それで犬どもが怒りだしたのだ。彼は逃げながら、途中、森から振りかえって村を眺めかえした。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「なんだと、にせものだからにせものと云ったんだ。生意気いうと、あした
斧
(
おの
)
をもってきて、片っぱしから
伐
(
き
)
ってしまうぞ。」
かしわばやしの夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
枕を削る
山颪
(
やまおろし
)
は、激しく
板戸
(
いたど
)
を
挫
(
ひし
)
ぐばかり、髪を
蓬
(
おどろ
)
に、
藍色
(
あいいろ
)
の
面
(
めん
)
が、
斧
(
おの
)
を取つて襲ふかともの
凄
(
すご
)
い。……心細さは
鼠
(
ねずみ
)
も鳴かぬ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
幽
(
かす
)
かに聞えた歌の音は
窖中
(
こうちゅう
)
にいる一人の声に相違ない。歌の
主
(
ぬし
)
は腕を高くまくって、大きな
斧
(
おの
)
を
轆轤
(
ろくろ
)
の
砥石
(
といし
)
にかけて一生懸命に
磨
(
と
)
いでいる。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「しまったな」と隼人は計りながら独り言を云った、「
鋸
(
のこぎり
)
と
斧
(
おの
)
を持って来るんだったな、そうすればここで支柱が作れたんだ」
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
怒りのあまり、これまで自分の手を止めていたあの子供らしい怖さも忘れて、
斧
(
おの
)
を振り上げ、その動物をめがけて一撃に打ち下ろそうとした。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
文公は更に人数を増して、四十人の卒に
斧
(
おの
)
を
執
(
と
)
らせたが、なおその目的を達することが出来ないので、卒もみな疲れ果てた。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また草木
禽獣
(
きんじゅう
)
得意の世界ともいうべきアマゾン河流地方のごとく、いかに
斧
(
おの
)
をふるうも森々たる高草大木は人を圧して侵し
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
浴衣
(
ゆかた
)
一枚草履ばきで此川辺に下り立ち、
斧
(
おの
)
で氷を打割って真裸に飛び込んだ老翁の姿を想い見ると、畏敬の情は自然に起る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ピリオドを打ち得ず、小さいコンマの連続だけである。永遠においでおいでの、あの
悪魔
(
デモン
)
に、私はそろそろ食われかけていた。
蟷螂
(
とうろう
)
の
斧
(
おの
)
である。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
四人は四日分の
食料
(
しょくりょう
)
を
準備
(
じゅんび
)
した、めいめい一ちょうの
旋条銃
(
せんじょうじゅう
)
と、短
銃
(
じゅう
)
をたずさえ、ほかに
斧
(
おの
)
、
磁石
(
じしゃく
)
、
望遠鏡
(
ぼうえんきょう
)
、
毛布
(
もうふ
)
などを持ってゆくことにした。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
交野
(
かたの
)
の
平六
(
へいろく
)
が、
斧
(
おの
)
の
柄
(
え
)
をたたいて、こうののしると、「おう」という答えがあって、たちまち盗人の中からも、また
矢叫
(
やたけ
)
びの声が上がり始める。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仁右衛門は右手に隠して持っていた
斧
(
おの
)
で
眉間
(
みけん
)
を喰らわそうと思っていたが、どうしてもそれが出来なかった。彼れはまた馬を
牽
(
ひ
)
いて小屋に帰った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
小石川植物園内の大銀杏は維新後
危
(
あやう
)
く
伐
(
き
)
り倒されようとした
斧
(
おの
)
の跡が残っているために今ではかえって老樹を
愛重
(
あいちょう
)
する人の多く知る処となっている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
翁
(
おきな
)
の言葉がふと途切れる。すると、翁の姿は濃い
蒼色
(
あおいろ
)
の光に照らされ始めた。白銀の
斧
(
おの
)
がその手に異様に光っている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
仙人
(
せんにん
)
の遊戯を見ているうちに
斧
(
おの
)
の木の柄が朽ちた話と同じような
恍惚
(
こうこつ
)
状態になって女房たちは長い時間水上にいた。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一作が薪割用の
斧
(
おの
)
を振上げて見せると、
唖女
(
おしおんな
)
は、両手を合わせて拝みながら、蓬々たる頭を左右に振立てた。
下腹部
(
したはら
)
を撫でて見せながら今一度叫んだ。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『荒鷲』爆撃機も『ライオン』戦車も、一たび『富士』の前へ出たら、あわれな
蟷螂
(
とうろう
)
(かまきり)の
斧
(
おの
)
じゃないか。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
城之介様の高足駄、一本歯の利器と来た日には、
掻
(
か
)
い
撫
(
な
)
での
斧
(
おの
)
より役立つんだからなあ。胸を蹴ってやるばかりさ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「昔、晋に王質という
木樵
(
きこり
)
があった。或日、山へ行ったら、
童子
(
どうじ
)
が数名碁を打っていた。王質は
斧
(
おの
)
を置いて勝負を見物し始めた。あの絵は然うだろう?」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
浮世の栄華に誇れる奴らの
胆
(
きも
)
を破れや
睡
(
ねむ
)
りを
攪
(
みだ
)
せや、愚物の胸に血の
濤
(
なみ
)
打たせよ、偽物の面の紅き色
奪
(
と
)
れ、
斧
(
おの
)
持てる者斧を
揮
(
ふる
)
え、
矛
(
ほこ
)
もてるもの矛を揮え
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
恐ろしい音がして倒れて行きましたっけ。あの大きな
鋸
(
のこぎり
)
や
斧
(
おの
)
で柱を
伐
(
き
)
る音は、今だにわたしの耳についています。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人が侍女を
対手
(
あいて
)
に酒を呑み出して居るところへ「
蠅翼
(
ようよく
)
の芸人」が入って来た。半身から上が裸体で筋肉を自慢に見せて居る壮漢が薄手の
斧
(
おの
)
を提げて来た。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
藍微塵
(
あいみじん
)
の意気な袷を着ておりますが、身体も顔も泥だらけ、左の手に龕灯を提げ、右の手には一挺の
斧
(
おの
)
を持っているのは一体何をしようというのでしょう。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
常の如く
斧
(
おの
)
を携へて山奥に入り、
柴立
(
しばだち
)
を踏分け
渓水
(
たにみず
)
を越え、二里ばかりも
躋
(
のぼ
)
りしが、
寥廓
(
りょうかく
)
たる平地に出でたり。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
斧
(
おの
)
、
鍋
(
なべ
)
などが、そうだった。いずれも島生活には、なくてはならぬ品なので、みんな、じつにがっかりした。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
「
晋
(
しん
)
の王質と云う
樵夫
(
きこり
)
が山の中で童子が碁を打っているのを見ていたら、その間に
斧
(
おの
)
の
柯
(
え
)
が
爛
(
ただ
)
れた、とやら云うようなことではございませんでしたでしょうか」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は草を敷いて身を横たえ、
数百年
(
すひゃくねん
)
斧
(
おの
)
の入れたことのない
欝
(
うつ
)
たる深林の上を見越しに、近郊の田園を望んで楽しんだことも幾度であるかわかりませんほどでした。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
屠手
(
としゅ
)
は屠獣所から雇うてきたのである。撲殺には何の用意もいらない。屠手が小さな
斧
(
おの
)
に似た
鉄鎚
(
てっつい
)
をかまえて立っているところへ、牧夫が牛を引いて行くのである。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
とすっかり
度胸
(
どきょう
)
をきめて、
腰
(
こし
)
にきこりの
斧
(
おの
)
をさして、
烏帽子
(
えぼし
)
をずるずるに
鼻
(
はな
)
の
頭
(
あたま
)
までかぶったまま
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「
斧
(
おの
)
だ! この
扉
(
ドア
)
がロッビアだろうが左甚五郎の手彫りだろうが、僕は
是
(
ぜ
)
が非でも叩き破るんだ」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
こっちはクサリ鎌も、
斧
(
おの
)
も、ピストルも、何ひとつ
兇器
(
きょうき
)
をもっているわけではないし、愛想わらいをまで浮かべているのだが、それでもやはり強盗あつかいにされるのだ。
嫁入り支度
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
まずわたしは
斧
(
おの
)
と
手桶
(
ておけ
)
とをもって——それが夢でないならば——水をさがしに往くのである。寒い、雪の降った翌朝には水を見出すのは鉱脈占いの杖を要する仕事である。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
村の
人達
(
ひとたち
)
は、
皆
(
みん
)
な
麓
(
ふもと
)
まで
駈
(
か
)
けつけて来ましたが、何様何千年も
斧
(
おの
)
を入れた事のない大きな森の大木が燃え出したのですから、見る/\うちに、山一面が火の海になりました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
あくる朝、川下の者は浜へ下りてきて、妻を掘りだして、トンチトンチたちの残して行った米俵だの、酒樽だの、柄のある
斧
(
おの
)
、柄のない斧など、妻といっしょに家へ運びこんだ。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
蟷螂
(
とうろう
)
の
斧
(
おの
)
だ、いざとなれば旗本八万騎が物を言う、
痩
(
や
)
せても枯れても三百年来の江戸だ——今日までタカをくくっていたのだが、時勢が、事実そんなに急激に変動して来たのか。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……寝つけない夜床の上で、彼はよく茫然と終末の日の予感におののいた。
焚附
(
たきつけ
)
を作るために、彼は朽木に
斧
(
おの
)
をあてたことがある。すると無数の
羽根蟻
(
はねあり
)
が
足許
(
あしもと
)
の地面を
匐
(
は
)
い廻った。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
また
巷談
(
こうだん
)
のたぐいでガラにもなくチッポケな
斧
(
おの
)
をふりまわしているのは、われわれの小さな力が実は祖国の大きな未来や運命を決することになるのだから、悪く再建されないように
チッポケな斧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
村人たちはもう、枯れた木に縄をつけ、その
根本
(
ねもと
)
を、
鋸
(
のこぎり
)
でひいたり、
斧
(
おの
)
で切ったりして、うちたおそうとしています。こーん、こーん……という斧の音が、私の胸にしみ通ります……。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
たまたま近所の若者十四、五名、一杯機嫌のおもしろ半分、今夜こそは西方院の化け物を退治しやらんと、手に手に
斧
(
おの
)
、
鉞
(
まさかり
)
、
棍棒
(
こんぼう
)
などを取りつつ、台所なる炉に
榾柮
(
ほた
)
折りくべて
団欒
(
だんらん
)
し
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
“斧”の解説
斧(おの、よき)は、片手、もしくは両手持ちの柄の先に厚くて重い刃を装着した叩き切るための刃物である。
(出典:Wikipedia)
斧
漢検準1級
部首:⽄
8画
“斧”を含む語句
斧鉞
手斧
氷斧
石斧
大斧
磨製石斧
戦斧
手斧初
銀斧
斧柄
金斧
新羅斧
打石斧
斧鑿
磨石斧
打製石斧
斧斤
神斧鬼鑿
斧九太夫
斧正
...