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撰
>
え
ふりがな文庫
“
撰
(
え
)” の例文
贄櫃
(
モンストランチア
)
の前には、
兒
(
ちご
)
あまた
提香爐
(
ひさげかうろ
)
を振り動かして歩めり。これに續きたるは、こゝらあたりの美しき少女を
撰
(
え
)
り出でて、花の環を取らせたるなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あの女を
貰
(
もら
)
う気はないのか。好いじゃないか貰ったって。そう
撰
(
え
)
り好みをする程女房に重きを置くと、何だか元禄時代の色男の様で可笑しいな。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
卑弥呼は薄桃色の
染衣
(
しめごろも
)
に身を包んで、やがて彼女の
良人
(
おっと
)
となるべき
卑狗
(
ひこ
)
の
大兄
(
おおえ
)
と向い合いながら、鹿の毛皮の上で
管玉
(
くだだま
)
と勾玉とを
撰
(
え
)
り
分
(
わ
)
けていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
憲作は平気な顔で又ダイヤを
撰
(
よ
)
り初めた。最も光りの強い新型に磨いたダイヤ入りの指環を
撰
(
え
)
り出して徳市に見せた。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
島崎氏の用ゐられた言葉は决して
撰
(
え
)
り好みをした珍奇の言葉ではなかつたので、一々に拾ひ上げて見れば
寧
(
むし
)
ろその尋常なるに驚かるゝばかりであるが
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
▼ もっと見る
結城
(
ゆうき
)
孫三郎あやつりの常小屋の真向うの中村座は、江戸随一、
撰
(
え
)
りすぐりの名優を座付にして、不断の大入りを誇っていたのが、物の盛衰は理外の理
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
一人
(
ひとり
)
の
女
(
おんな
)
が、
長
(
なが
)
いはしのようなもので、ごみ
捨
(
す
)
て
場
(
ば
)
をかき
返
(
かえ
)
して、
落
(
お
)
ちている
菜
(
な
)
っ
葉
(
ぱ
)
や、
新聞紙
(
しんぶんし
)
のようなものを
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
へひろげて、
撰
(
え
)
り
分
(
わ
)
けていました。
雪の降った日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
料理法に一番大切な事は原料を択ぶのです。同じ
直段
(
ねだん
)
の物を買っても
撰
(
え
)
らび方によって大層な違いがあります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
さりながら三歳といふより手しほに懸け給へば、我れを見ること
真実
(
まこと
)
の子の如く、蝶花の愛
親
(
おや
)
といふ
共
(
とも
)
これには過ぎまじく、七歳よりぞ手習ひ学問の師を
撰
(
え
)
らみて
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
藥草類
(
やくさうるゐ
)
を
撰
(
え
)
ってをったが、
顏
(
かほ
)
は
痩枯
(
やせが
)
れ、
眉毛
(
まゆげ
)
は
蔽
(
おほ
)
い
被
(
かぶさ
)
り、
鋭
(
するど
)
い
貧
(
ひん
)
に
躯
(
み
)
を
削
(
けづ
)
られて、
殘
(
のこ
)
ったは
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
この三百余種類から天気の模様や水流の具合に鑑みて一番鮎の御機嫌に叶いそうなのを
撰
(
え
)
り当てるか
否
(
どう
)
かゞ上手と下手の分れるところです。鉤が合えばパクリときます。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ところで、私の考えでは、この百観音の中に、
優
(
すぐ
)
れたものが五、六体ある。それを
撰
(
え
)
り出そう。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「だが、女のために大儀を
衍
(
あやま
)
る」と、勘平はまたごろりと横になりながら言った。「考えてみると、気の毒なものじゃね。こうしてだんだん
籾
(
もみ
)
と
糠
(
ぬか
)
とが
撰
(
え
)
り分けられるんだよ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
無理にも
納得
(
なつとく
)
させねばならぬと、
彼
(
あ
)
の通りの御意気込み、其れに
旦那様
(
だんなさま
)
も、梅も余り
撰
(
え
)
り
嫌
(
ぎ
)
らひして居る中に、年を取り過ぎる様なことがあつてはと云ふ御心配で御座いましてネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
断って置くが、己が最初に実業家たらんと
志
(
こゝろざし
)
たのは、もと/\自ら
撰
(
え
)
り好んだ訳ではないのである。自分が将来、従事し得る多くの職業の
内
(
うち
)
から、特に実業家を選択したのではなかったのである。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
富豪
(
かねもち
)
や会社の重役やが、数多い店員や社員の志望者を
撰
(
え
)
り分けるには、
恰
(
ちやう
)
ど女学校出の若夫人の八百屋の店先で、卵や
甘藍
(
キヤベツ
)
を見立てるのと同じに、人によつてそれ/″\
異
(
ちが
)
つた
標準
(
めあて
)
があるらしい。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
義母はしげしげとそれを眺めながら骨を
撰
(
え
)
り分けた。彼もぼんやり側に
屈
(
かが
)
んで拾いとっていたが、
骨壺
(
こつつぼ
)
はすぐに一杯になってしまった。風呂敷に包んだ骨壺を抱えて、彼は植込の径を歩いて行った。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
傍
(
かたへ
)
より、
笑
(
ゑ
)
みて静かに
籠
(
かたみ
)
なる木の実
撰
(
え
)
りつつ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
自分の好きなものを一ツ一ツ
撰
(
え
)
り出す毎に、男が青くなったり赤くなったりするのを見るのは、二重の意味で云うに云われぬ面白さと愉快さだそうな。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
一体
何
(
ど
)
うなんだ。あの女を貰ふ気はないのか。
好
(
い
)
いぢやないか
貰
(
もら
)
つたつて。さう
撰
(
え
)
り
好
(
ごの
)
みをする程女房に重きを置くと、何だか
元禄
(
げんろく
)
時代の色男の様で可笑しいな。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
撰
(
え
)
りに
撰
(
え
)
りて
取
(
と
)
る
虫喰栗
(
むしくひぐり
)
も
世
(
よ
)
には
多
(
おほ
)
かり、
藻
(
も
)
くずに
埋
(
うづ
)
もるゝ
美玉
(
びぎよく
)
又
(
また
)
なからずや、
哀
(
あわれ
)
この
願
(
ねが
)
ひ
許容
(
きよよう
)
ありて、
彼女
(
かれ
)
が
素性
(
すじやう
)
問
(
と
)
ひ
定
(
さだ
)
め
給
(
たま
)
はりたし、
曲
(
まが
)
りし
刀尺
(
さし
)
に
直
(
すぐ
)
なる
物
(
もの
)
はかり
難
(
がた
)
く
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あれは、
紙
(
かみ
)
や、
金
(
かな
)
くずや、こわれたびんのようなものを
撰
(
え
)
り
分
(
わ
)
けているのさ。」
雪の降った日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
納骨のために墓の石も取除かれたが、彼の持っている骨壺は大きすぎて、その墓の奥に納まらなかった。骨は改めて、別の小さな壺に移されることになった。改めて彼は再び妻の骨を
箸
(
はし
)
で
撰
(
え
)
りわけた。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
と南さんは戸棚の中から
夥多
(
したたか
)
撰
(
え
)
り出して来て
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しみじみと
撰
(
え
)
る手のさばき
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ドン底に近付いてはトロの後押し、土方の手伝い、ヨイトマケ、紙屑
撰
(
え
)
り、工女、掃除女に到るまで、数えて来ると随分ある。これ等はみんな職業婦人に相違ない。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
過去の痛恨を
新
(
あらた
)
にすべく、普通の人が
滅多
(
めった
)
に出逢わないこの偶然に出逢うために、千百人のうちから
撰
(
え
)
り出されなければならないほどの人物であったかと思うと、宗助は苦しかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子爵
(
ししやく
)
の
寵愛
(
ちようあい
)
子
(
こ
)
よりも
深
(
ふか
)
く、
兩親
(
おや
)
なき
妹
(
いもと
)
の
大切
(
たいせつ
)
さ
限
(
かぎ
)
りなければ、
良
(
よ
)
きが
上
(
うへ
)
にも
良
(
よ
)
きを
撰
(
え
)
らみて、
何某家
(
なにがしけ
)
の
奧方
(
おくがた
)
とも
未
(
ま
)
だ
名
(
な
)
をつけぬ十六の
春風
(
はるかぜ
)
、
無慘
(
むざん
)
や
玉簾
(
たますだれ
)
ふき
通
(
とほ
)
して
此初櫻
(
このはつざくら
)
ちりかヽりし
袖
(
そで
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
姉
(
あね
)
たちの
難義
(
なんぎ
)
が
見
(
み
)
ゆる
樣
(
やう
)
なれば、
今
(
いま
)
しばらく
止
(
と
)
まりてと、
母君
(
はヽぎみ
)
は
物
(
もの
)
やはらかに
曰
(
のたま
)
ひたれど、お
許
(
ゆる
)
しの
出
(
いで
)
しに
甲斐
(
かひ
)
なく、
夫々
(
それ/\
)
に
支度
(
したく
)
して
老實
(
まめやか
)
の
侍女
(
つき
)
を
撰
(
え
)
らみ、
出立
(
しゆつたつ
)
は
何日々々
(
いつ/\
)
と
内々
(
ない/\
)
に
取
(
とり
)
きめけるを
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
過去
(
くわこ
)
の
痛恨
(
つうこん
)
を
新
(
あらた
)
にすべく、
普通
(
ふつう
)
の
人
(
ひと
)
が
滅多
(
めつた
)
に
出逢
(
であ
)
はない
此
(
この
)
偶然
(
ぐうぜん
)
に
出逢
(
であ
)
ふために、千百
人
(
にん
)
のうちから
撰
(
え
)
り
出
(
だ
)
されなければならない
程
(
ほど
)
の
人物
(
じんぶつ
)
であつたかと
思
(
おも
)
ふと、
宗助
(
そうすけ
)
は
苦
(
くる
)
しかつた。
又
(
また
)
腹立
(
はらだゝ
)
しかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
撰
漢検準1級
部首:⼿
15画
“撰”を含む語句
杜撰
撰集
撰択
新撰字鏡
勅撰集
孟浪杜撰
撰取
虫撰
新撰
撰屑
自撰
精撰
喜撰法師
人撰
撰手
喜撰
銘撰
撰集抄
新撰組
勅撰
...